きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! #8 死闘! 艦隊戦!
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<きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社! 第8話 死闘! 艦隊戦!>

 

レン:機体制御は任せて下さい。イッツア ショータイム!! ハチュネ発進! 砲撃開始!!!!!

 

遂に、地球の存亡を賭けた、戦いの幕が切って降ろされた!!

 

(タイムトンネル内)

 

ミク:ミクミク! 行きまーーーす!!!

 

ヒューーーーーーン!、バシュ!!

 

ハチュネがカタパルトから後方の敵艦隊方面へ射出された。

 

メイコ警部:落ちろ! 落ちろ!

 

バシュ! バシュ!

 

濃赤色のエネルギー弾が2発ほど、スタールビーキャノンの砲門から後方艦隊へ向けて発射された!

 

レン:リンさん、主砲の効果は?

リン:主砲の軌跡に存在していたエッグは撃墜によりレーダーから消滅しました。が・・・

ルカ:撃墜によるエネルギーの減衰、敵戦艦の装甲かバリアーの影響で、敵本体である戦艦へのダメージは0ね

リン:ミクさん、敵機先陣と接触!

 

ミク:ネギブレード!!! 1つ! 2つ! 3つ! 4つ!

 

数を数えた分の敵機“エッグ”が、ネギブレード(ムラサメブレードが制式名称だがミクが強引に名前を変えてしまった)の斬撃で真っ二つに切り裂かれ、轟音と共に爆発していった。

 

リン:ミクさんの斬撃により、当艦の近くと周囲に取り憑いたエッグは全滅しました。現在、当艦に取り憑いている敵機0です

レン:第2波の敵機接触までの予測時間は?

リン:レーダー予測では、あと1分ね

 

ズガン!

 

敵艦隊から、青白い一筋のエネルギー砲が発射され、一直線にこちらの艦の左舷下に命中した!

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ローラ:敵1番艦からのエネルギー砲を受けました。現状出力のバリアーで被害0です

レン:さすがオーパーツ製の砲撃ですね、正確に当ててくる・・・。エネルギー砲はいいとしても、物理弾には気を付けよう

ルカ:レン君、どうする? これじゃ埒があかないわ。敵機も第1陣で100あるし。ミクさんが頑張ってるから、本艦への取り憑きは免れているけど、敵機が邪魔で主砲が敵艦に当たらないし

レン:う〜ん・・・・・よし! こちらから出向くことにしよう!

ルカ:は!?

レン:言葉の通り、速度を急速に落として、1番艦の腹部を通り抜けるんです。当然通り抜けるときに、思いっきり主砲を打ち込みますけどね

ルカ:え!? だって、そんなコトしたら相手の主砲を思いっきり喰らうじゃないの!?

レン:だから“急速”なんです。相手の主砲にロックオンさせません。移動軌跡はタイムトンネルの内壁ギリギリまで円弧を描いて急速後退し、その後上向きに一気に詰め寄り、1番艦の腹部を通り抜けます。ルカさん、主砲を“ガトリングタイプ“に変更してください

ルカ:・・・なるほど“リロード時間0”で思いっきりたたき込むのね。了解

 

ルカはパネルを操作すると、主砲の形状を変更した。主砲の円筒形の砲門は、横6つに均等分割されて、くの字に軽く折れ曲がった。

 

ルカ:回転テスト開始

 

6つに分割された砲門は中心を軸にして、高速回転した。どうやら6つに分割した砲門のそれぞれから凝縮した小型エネルギー弾が発射されるようだ

 

ルカ:テスト終了。オールグリーンです。メイコ警部、マスタースレイブガンを、横の“ガトリングタイプ”に変えて下さい

メイコ警部:まさか、ガトリング砲まで使うことになるとは・・・。銃器試験で使ったことあるけどね・・・

 

メイコ警部は横のハンガーに置いてあった、軽量小型のガトリング砲に持ち替えた。

 

レン:これから当艦の進路をハチュネにも送ります。ハチュネは自動的に進路上の邪魔な敵機に移動するので、ミク君は、これまで通り“ばっさり”とやっちゃってね

ミク:了解ミク

レン:僕もムラサメを全機射出して応戦します。主砲は上向きに固定。バリアーは80%出力まで上げて、20%分を主砲に廻します。多少砲撃を喰らいますから体の固定、お願いします。ローラさん、修復と循環経路の確保、お願いしますね

ローラ:了解

レン:リンさん、これからさっきの予定進路で1番艦を撃墜します。レーダー情報、お願いします

リン:了解!

レン:カイトさん、現在の年数は?

カイト:紀元前500000年ですね。まだ先は長いですね

レン:よし、出口まではまだありますね。では、始めます! ムラサメ全機発進!

 

バシュ! バシュ!

 

ビット型の小型ムラサメブレード10機全部が戦闘艦から射出された。

 

レン:ムラサメ、ハチュネに付いていって当艦進路上の敵機を撃墜しろ!

 

ビィーン

 

ムラサメ全機のセンサーが黄色く光り、ハチュネを追いかけていった。

 

レン:これより急速後退し、タイムトンネル内壁ギリギリに降下します!

 

レンは眼を閉じると意識を集中して、艦のタイムトラベル速度を急激に落とし、円弧状に急速降下し、タイムトンネル内壁ギリギリを航行した。取り憑こうとした敵機は、タイムトンネル内壁に衝突し、時空の彼方に消えていった。この内壁より外は時空の狭間、落ちると二度と出てこられない。

 

また敵艦隊からの砲撃は無かった。自分たちの機体であるエッグを取り憑かせようとしたのが徒になって、砲撃できなかったのである。

 

リン:1番艦との距離、詰まりました! 上昇ポイントです!

レン:りょーかい! これより1番艦に急速接近し、後方へ抜けます! 各員衝撃に備えて下さい! メイコ警部、ガトリングガン、ヨロシク頼みます

メイコ警部:了解!

 

ミク:ミクミク! 敵機! 消えろぉぉ!

 

ミクのハチュネの斬撃と、ビット型ムラサメの体当たり斬撃攻撃により、進路上の敵機は消えていった。進路が確保されたルートをレンはバリアーを張ったまま、機体を一気に1番艦前方の腹部に接近させていった。しかし、今回はさすがに相手のエネルギー砲を数発喰らった。それも直撃。

 

ローラ:敵艦からのエネルギー砲、3発直撃しました。バリアーでも80%回避だったため、現在、竜の卵で修復してます

 

レンは戦闘艦を1番艦腹部前部にピッタリと付けた。その様相は小判鮫のようだった。

 

レン:これより急速後退! ガトリングガン砲撃開始!

メイコ警部:オーケー!

 

戦闘艦は1番艦の腹部を逆位置で滑走していくように、後部へ移動していた。

 

メイコ警部:うぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!

 

メイコ警部の持つガトリングタイプコントローラーが唸り上げて6つの砲身が回転していった。ガトリングタイプの主砲も上を向きながら同じように回転し、濃赤色の小型エネルギー弾を休み無く1番艦の腹にたたき込んでいった。1番艦の腹部から艦橋下までが、エネルギー弾の直撃で内部爆発して、ボコンボコンと装甲が内側から膨れ上がっていった。

 

そして、戦闘艦は、1番艦後ろ、バーニアを通り過ぎて、艦隊後方に抜けた。1番艦のみ、内部の爆発を数回繰り返した後、大爆発を起こして撃沈し、タイムトンネル下部内壁の奥に消えていった。

 

リン:1番艦、撃沈しました。レーダーより反応消滅です

ローラ:当艦の修復、終了しました

レン:メイコ警部、有り難うです。主砲を元に戻しますね

 

主砲は閉じて、元の砲身に戻った。

 

ルカ:エネルギーチャージ時間、30秒ください

 

メイコ警部:はぁーーーーはぁーーーーはぁーーーーー

ミク:ミ・・ミクゥ・・・

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レン:ハチュネを当艦前部に戻し、ムラサメを帰艦させます

 

ルカ:まずは1隻撃墜ね。あとは2〜5番艦、それと母艦1隻か

レン:当艦の航行速度を固定し、敵艦隊との距離を固定します。メイコ警部とミク君の回復、エネルギーチャージ完了と同時に、主砲を“スナイパータイプ”に切り替え、超高出力スナイパーライフルで、2番〜5番艦の後部バーニアを狙い、打ち抜きます

ルカ:後部バーニア?

レン:バーニアの出力部分には基本的にはバリアーを張れませんから。それに1番艦の撃沈で艦隊の配置にかなりの異常が見られます。当艦のバリアーは30%まで下げ、下げた分の出力を全てスナイパーライフルに廻します

ミク:ミクはどうしたらいい?

レン:ハチュネを当艦から離し、敵艦の砲撃を陽動していてください。当然、敵機の撃墜もお願いします

ミク:了解!

 

ルカ:チャージ終了!

レン:主砲を超高出力スナイパーライフルタイプに変形して下さい。狙い打ちます

ルカ:了解。主砲変形!

 

主砲は今度は6段階に砲身を伸ばして、かなり細長い砲身に変形した。

 

レン:メイコ警部、大丈夫ですか?

 

メイコ警部:ふぅ。終わって帰ったら、大吟醸4本おごってよね。1艦1本

レン:了解!

 

メイコ警部は、同じく横のハンガーに置いてあった“スナイパーライフルコントローラー”に持ち替え、さらに固定ベルトを使って、体を固定した。そして、まず2番艦のバーニアに標準機を合わせた

 

レン:ルカさん、ローラさん、今回は当艦の微少の揺れも制御します。精密スラスターでの位置固定、お願いします。僕の方でも微調整します

ローラ、ルカ:了解

 

レンとメイコ警部は精神集中させた。スナイピングはとにかくガンナーの体の固定が命、戦闘艦はコレまでになく、止まって見えるくらい相対的に静止していた

 

メイコ警部:・・・・・トクン・・・・・・トクン・・・・・・トクン・・・・・・・

 

カチッ

 

ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 

主砲砲門から濃赤色の一筋のエネルギーラインが発射された! そして2番艦バーニアから入り、戦艦内を貫通して、2番艦先頭から突き抜けていた

 

ズガンズガン・・・・ズゴン・・・・ボコンボコン・・・・ボコン!

 

1番艦も同じく内部爆発し、タイムトンネル下部壁面の先へ落ちていった。

 

メイコ警部:ふぅ

ルカ:チャージまで20秒

メイコ警部:次のターゲット“3番艦”をロックオンします

 

標準機は3番艦のバーニアに合わせられた

 

メイコ警部:私の銃撃のレベル、射撃でオリンピック出られる精度なのよ

レン:でしょうね。一撃で撃墜ですから

ルカ:チャージ終了

メイコ警部:撃ちます

 

メイコ警部:ふぅ・・・・・・トクン・・・・・トクン・・・・・トクン・・・・・

 

カチッ

 

ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!

 

赤い閃光は3番艦のバーニアに吸い込まれていき、戦艦を貫いた。

 

ボゴン!・・・・・ボコンボコン!・・・・・ズガン!!!!

 

3番艦も撃沈していき、壁面外に消えていった。

 

レン:お見事!

 

ルカ:チャージまで20秒

メイコ警部:次のターゲットは“4番艦”ね。ロックオンするわ

 

標準機は4番艦のバーニアに合わせられた。

 

ルカ:チャージ終了。

メイコ警部:撃ちます

 

同じように赤い光線が砲門から発射され、4番艦のバーニアに近づいた。しかし、バーニアの手前で屈折して反射し、タイムトンネルの上部内壁に消えていった。

 

ルカ:さすがに敵さんも学習したようね。異常な張り方だけど、バーニア付近に強力な反射バリアーを張られたわ

メイコ警部:私の役目はここまでのようね。防御壁張られたら、さすがに無理だわ

レン:お疲れさまでした。神経集中で疲れたと思います。椅子で休んでいて下さい

メイコ警部:ふぅ〜、そうさせて貰うわ

 

メイコ警部はスナイパーライフルをコントローラーハンガーに戻し、椅子にどっかと座って休むことにした。

 

ルカ:主砲は通常に戻して置きます

レン:お願いします。ハチュネ! ちょっとこっちに戻ってきて!

 

陽動していたハチュネが戦闘艦に戻ってきた。

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レン:残るは4、5番艦の2隻と母艦1隻か・・・・さーてどうしようか

ローラ:あの〜、ちょっといいですか? 敵側は今までこんな便利なモノを持っていながら使ってなかったと言うことは、このバリアーを使用するために、どこかを動かしている出力を相当落として、その分を利用していると思うんです。だから高確立で“今”は、どこかに防御や攻撃が極端に手薄になっている所があると思うんです

ルカ:なるほど。再度、敵艦隊をスキャンしてみる必要があるわね

レン:バリアー展開率を120%にし、位置をここに固定しますから、再スキャンをかけてみてください

リン:ラッキーです! 敵機は全て敵艦隊の護衛にまわっていて、こちらのエリアには侵入してません

ルカ:了解! 敵艦隊の再スキャン開始!

 

アン:4番艦、5番艦、母艦の後部バーニア付近に、強固な反射バリアーの存在確認・・・

アン:母艦に向かって左側に位置する4番艦の左右側面、バリアーが張られてません。また弾幕装置にエネルギーがまわってません

アン:母艦に向かって右側に位置する5番艦の左右側面、バリアーが張られてません。また弾幕装置にエネルギーがまわってません

アン:母艦は全身にバリアーを張っており、エネルギー弾を完全無効にしてます。また迎撃装置にエネルギーが回っており、物理弾もほぼ無効になります。よって母艦単体を攻撃するのはリスクが高いです

 

レン:了解。手薄エリアがあったか。しかし、この位置からの攻撃を4番、5番艦後部に与えていないと、敵のバリアーを後部に固定できないな・・・・。やはり“同等の攻撃”を同時に与えないと、バリアーが張られていない側面に攻撃を加えるのは無理か

ルカ:スナイパーライフルモードでの射撃だと、チャージ中、側面にバリアーを張り替えられますね・・・。ならある程度近づいてキャノンかガトリングで攻撃し続け、側面をハチュネとムラサメの斬撃で破壊するしかないよね

ミク:ミクミク〜、ネギブレードで戦艦を落とせるでしょうか?

レン:ん〜、僕のムラサメを同時に使うとしても、かなり難しいな。おそらく敵さんがバリアーを張るのは、スタールビーキャノンが来る方向だろうしね

 

ローラ:いえ、もう1つ手があります。多少こちらもダメージを受けますが

レン:え!?

ローラ:バリアーとムラサメを本艦前面に張り、4番か5番艦の側面に特攻して、敵のバリアーの内側からガトリングキャノンを撃ち込みます。敵が張ったバリアーはエネルギー弾にしか効果がありません。本艦を疑似物理弾のように使うわけです

レン:ず、随分大胆な作戦だけど、それが確実か・・・。で、かなりの敵弾を受けると思うけど、予測では修復できる程度なのかな?

ローラ:計算では作戦中にかなり被弾しますが、バリアーに出来るだけ出力を使えば、ある程度ダメージを軽減できるはずですし、ハチュネに邪魔な敵機の撃墜をして貰い、バリアーを張っている前面以外からのダメージを回避すれば、十分修復可能です

レン:了解。4番、5番艦の撃墜はそれで行こう。皆さんわかりましたか?

 

ルカ:竜の卵の回復力を信じることにします

リン:やりましょう

カイト:現在BD100万年。そろそろ“次元加速”したいので、そうします

メイコ警部:やれやれ、またガトリングみたいね。いいよ、やりましょうか

ミク:頑張ります!

ローラ:全員一致のようです

レン:オーケー! では、作戦を開始しますか。まずは4番艦の横に移動します

 

レンは加速イメージを送ると、戦闘艦はバリアーを張ったまま、4番艦の横にスライドするように移動した。

 

レン:ハチュネとムラサメを射出! バリアーを出力120%で本艦前面に固定、ムラサメを本艦先頭位置に固定。ハチュネは射出後、本艦移動ライン上の敵機を撃墜してください。主砲をガトリングタイプに変形!

ミク:ミクぅ! 了解!

ローラ:バリアー出力120%固定で本艦前面に固定させました

ルカ:主砲、ガトリングタイプに変形し、前方に方向を固定しました!

 

レン:ではご覚悟を。突貫!!!!!

 

レンは最大出力イメージを送り、戦闘艦をバリアーが張られた4番艦側面に突貫させた! ハチュネも同じく戦闘艦に付いていき、敵機を撃墜していった!

 

ガン!・・・ガン!

 

ローラ:敵艦隊からの攻撃、数発命中、被弾率10%

リン:4番艦との接触時間、あと10秒!

レン:まだまだ!

 

ガンガンガンガン!

 

ローラ:被弾率25%

リン:接触まであと5秒!

レン:いっっっっっっっっっけーーーーーーーー!!

 

ザグザグザグザグ!!!! ズガン!!

 

ムラサメ10機全てが突貫して開けた4番艦横の穴に船首を突っ込ませる感じで、遂に戦闘艦は戦艦のバリアーを突破したのだった!

 

レン:メイコ警部!!!!

メイコ警部:これでも喰らえ!!!!!!

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガがガガガ!!!!!!!!!!

 

戦艦内部にガトリングキャノンをしこたま撃ち込んだのだった。

 

ボゴン!!!・・・・ボゴン!!!・・・ボゴン!!!!

 

レン:後退し、4番艦腹部を通り抜けて、5番艦の側面にも特攻する!

 

レンは少し後退し、少しダメージを喰らって変形した船首を抜き出し、そのまま爆発寸前の4番艦の下を潜って、5番艦の母艦側の側面にムラサメを叩き込み、またもや船首を突っ込ませた!

 

メイコ警部:落ちろーーーーーーーー!!!!!!!

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!

 

ガトリングキャノンは5番艦の内部に大量に撃ち込まれ、内部爆発し、今にも落ちる寸前だった。

 

レン:後退した後、5番艦の下部を潜って急速離脱する!

 

戦闘艦は軽く後ろに移動した後、フルスロットル状態で敵艦隊の前に出て離脱していった。

 

ズゴン!!!! ズゴン!!!!! ズガン!!!! ボガン!!!!!

 

2隻の戦艦は轟音を立てて崩れ落ち、タイムトンネル内壁の下部に吸い込まれていった。

 

ローラ:被弾率40%、これより竜の卵による修復のため、バリアー展開率と航行出力を20%まで下げ、残り全てを修復に使います

レン:頼む! ムラサメは全機帰艦!

メイコ警部:ふぅ〜、死ぬかと思った・・・・・

ミク:ハチュネ着艦しましたミクミク。マスタースレイブモニターから見た本艦のダメージ、特に船首に大きなダメージを喰らってますよ

レン:それは想定内だよ。頑張って今修復して貰っているから。とりあえず椅子に座って休息していてください

カイト:現在BD250万年です。敵母艦も同じ時空速度で付いてきているみたいですね

リン:今の攻撃でエッグ全機が母艦に戻って行きました。どうやら、最後は母艦との追いかけっこといったところですね

ルカ:はふぅ〜、“やる”、とは言った物の、さすがに捨て身の戦法ね・・・

 

ローラ:修復率20%。ちょっと時間がかかります

ルカ:ナノマシンで出来ている機体とは言え、さすがにダメージ喰らったからね

レン:航行に支障を来していないし、機内の損傷もない。大丈夫だよ

リン:つくづく、船首にコクピットがなくてよかったわ・・・

カイト:いや、そこにあってもこの人はやりかねないよ・・・

 

それから5分後・・・

 

ローラ:修復率100%。完全に直りました

リン:母艦、依然として本艦の後ろをピッタリマークしてます

カイト:現在BD600万年。半分過ぎって所です

ルカ:今のところ母艦からの攻撃はないわね。で、どうする? 残った最後の“母艦”・・・

レン:さっきの接近戦の最中、4番艦から5番艦に移動するとき、ムラサメ1機を母艦の腹部に潜らせて、装甲を薄く削らせておいたんだ。サンプルをムラサメ内部に格納し、帰艦したとき、アンに分析してもらっていたんだよ。その結果、非常に残念な結果が出たんだ

ルカ:え!? 残念?

レン:こちらの装備では穴を開けるレベルのダメージを与えられない“特殊装甲”だったよ。さっきみたいに母艦のバリアーを突破してムラサメで集中攻撃したとしても、穴を開けられないから、内部に主砲を撃ち込めない。当然だけど、こっちの主砲を中〜遠距離で撃っても、ダメージすら与えられない・・・。こっちのオーパーツ武装ですらダメとは・・・・

ルカ:元々オーパーツは宇宙人が所持する物質だからね。しかし、護衛艦はなんであんなにもろかったのかな?

レン:おそらく、母艦の材質は向こうにとっても“最高の物質”なんだと思うよ。そして母艦に積まれているメインCOMPさえ無事なら、護衛艦は使い捨て。だから最高の物質は母艦だけにしか、使えなかった。あっちの台所も色々あるんだろうね

リン:でも、今残っているのは、その母艦。ダメージを与えられないなら、どうすればいいのかなぁ?

 

レン:・・・・・・こっちの兵器ではどうしようもないのなら、向こうの物質でも“逆らえない”モノでとどめを刺せばいい。

ルカ:は!? “逆らえない”?

 

レン:時空の力を借りるよ。カイトさん、タイムトンネルの出口は、こちらの操作で閉じられるんですか?

カイト:え? ああ、閉められるよ。マニュアル操作に切り替えておけばいいんだ・・・・って、まさか、ここに入ってきた時の、アレを意図的にやるつもりですか?

レン:そう、タイムトンネルが閉じる時の力で、母艦を真っ二つに切り裂きます。それも母艦が停止できない程の距離と速度を保て、ギリギリのタイミングで

カイト:あのですね、それはタイミングが狂うと、僕たちのコレが真っ二つにされちゃうんですよ

レン:失敗出来ない“最後の賭け”だからこそ、あの母艦を撃沈できる。私見ではこれしか方法がないよ。なにせタイムトンネル内での敵艦隊の撃沈か、目的地にたどり着く前に撃沈する事は、“パラドックス”を発生させない、必須事項だからね

ルカ:・・・・そうね、敵艦の最初の先祖が私たちの目的地。今まで破壊されずに1000万年を過ごしていたんだから、“同じ物質が同じ所に存在する”ってパラドックスが起こると、おそらく・・・・・

ミク:どっかの映画でやっていたミク。最悪、宇宙爆発を起こすって・・・・

レン:そう。そのシナリオだけは絶対避けないといけないから、目的地では“破壊されて同じモノになっていない状態”に持っていかないとならない。そしてこちらの武装では破壊できない。だから最後の“時空武器”を使うんです

カイト:そ・・・そんな事・・・僕には出来ない・・・

レン:あ、大丈夫です。カイトさんが行う“タイムトンネル出口封鎖”の操作を僕の方に移してあります。カイトさんはその間際の年代チェックだけ行ってください・・・・・・・皆さん、僕に命、預けてくれますか?

 

メイコ警部:・・・・・・わかったわ、失敗したら切断で宇宙爆発で、どのみち死ぬんだから、あなたに命あげるわ

ミク:ミク〜、必ず終わった後に、返して下さいね

ルカ:もとより貴方にコクピットを預けているんだもの。あげるわ、私の命

リン:返却が条件ですからね!

カイト:最後の操作を放棄してすまない。僕も預けるよ

ローラ:私は疑問の予知無く、命をあげます

 

レン:了解! では、“最後のシメ”、行きましょうか!

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レンは修復した機体のバリアーを最低限まで落とし、時空移動出力を最大まで上げ、急加速した。母艦もそれに付いてくる!

 

カイト:現在BD800万年。この移動速度だと、あと1分で出口です

レン:カウントダウン、頼みます

 

最大出力でタイムトンネルを疾走する戦闘艦と母艦。

 

カイト:残り50

 

戦闘艦と母艦との距離は縮まらず、伸びずで一定距離を保っていた。これはレンの操縦術に寄るモノだった。

 

カイト:残り40

 

レンは母艦との距離をある程度は維持していた。閉じるまでの時間が必要だったからだ。

 

カイト:残り30

 

レンはとにかく“一定速度&一定間隔”を保持していた。

 

カイト:残り20

 

レン:(ドクン・・・・・ドクン・・・・・)

 

カイト:残り10。テンカウントダウン入ります。

 

きのこオーブに触れているレンの手には汗がにじんでいた。

 

カイト:残り8,7,6,5

 

レンは目を閉じた。もう、ココまで来ると“感”だけが頼りである。

 

カイト:4

 

レン:(・・・)

 

カイト:3

 

レン:(・・・)

 

カイト:2

 

レン:(・・・)

 

カイト:1

 

レン:(・)

 

カイト:0!!!!

 

この時点でローラ以外、全員眼を閉じていた。

 

レン:(・)

 

カイト:−1!!!!

 

レン:(!)

 

レンはカウント−1のコンマ05秒後にタイムトンネルのゲートを閉じる指示を送った。それからコンマ0.005秒後に指示を受けてゲートが閉じ始めた。その速度は時空速度に準じたものだったため、航行速度以上だった。

 

スパン!!!!!!

 

ガゴーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!

カイト:死んでいる人、手を挙げて

リン:それちょい古

ルカ:・・・・・って事は・・・・・・

 

宇宙空間を疾走する時空戦闘艦“スウィート・アン”だけがあり、後方には“真っ二つになった母艦だったモノの前部”だけが残り、そして・・・

 

ズゴーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

母艦の前部は大爆発を起こして、宇宙に爆散していった。

 

ローラ:お疲れさまでした。ここが終着点“BD1000万年の月周辺”です

ミク:ミク・・・・地球が青いミク・・・・

メイコ警部:綺麗ね・・・・・

 

レンはきのこオーブを力強く握って、目をつぶったままだった。

 

ルカ:はいはい、ミッション終了よ。レン君、お疲れさまでした

 

レンはゆっくりと瞼を開けた。

 

レン:はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・良かったぁ・・・・・

 

レンはさすがに力が抜けたのか、ガクっとなった。

 

ローラ:タイミングドンピシャでした。本艦が通り抜けた後、母艦の斜め前からゲートが閉じて来た感じでした。当然母艦は回避不能。見事に両断されました

 

リン:なんかこれからパーティでもやりたい気分なんだけど、やっぱりそうはいかないみたいね。レーダーに巨大な宇宙ステーションらしき反応がありました。勿論、識別は“Unknown”ですけどね。大きさだけ確認できました。さっきの母艦の2倍程度です。月周辺に位置してます

レン:はぁ・・・。まぁここが本当の“目的地”なんだから・・。よし! 気を引き締めて行こう!

カイト:時空の歪みは確認されてません。今のところ正常です

ルカ:とりあえず本艦に異常はないわ。モードを宇宙に切り替えてあるし

レン:向こうからの信号は?

リン:無いわね。でもエネルギー弾の熱源反応も物理弾の物質反応もないの。攻撃意志は無いみたいね

レン:着艦出来そうな所はある?

リン:・・・ある! 向こう側に全然機体反応がないのに、着艦ベースがある!

レン:着艦信号とマーカーを出して下さい。そこに入る事にします

 

リン:でも、なんで攻撃意志がないのかしら?

 

こうしてレン達一行は、最後の目的地に、無事たどり着くことが出来たのだった。

 

(続く)

 

CAST

 

探偵レン:鏡音レン

助手のミク:初音ミク

メイコ警部:MEIKO

 

リン:鏡音リン

カイト:KAITO

ルカ:巡音ルカ

 

ローラ:LOLA

 

時空戦闘艦“スウィート・アン”のシステム:SWEET・ANN

説明
○ボーカロイド小説シリーズ第4作目の”きのこオーブを追え! 鏡音時空探偵社!“シリーズの第8話です。
☆探偵モノです!
○時空を越えて捜査する探偵レンの物語です!
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タグ
Vocaloid ボカロ小説 鏡音レン 鏡音リン 初音ミク 巡音ルカ MEIKO KAITO 海外組 

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