〜幽州のとある城

***side

今日も一日平和・・・特になにも起こらない。

大陸の民達が平和に・・・笑って暮らせるようになったら良いんだけどなぁ・・・。

そんなことを考えながら少女は空を見上げる。

星が輝いていて綺麗な夜空。そして彼女はため息をつく。

そのとき不意に後ろから声がした。

「ため息などついてどういたしましたかな白蓮殿」

この声は知っている。先日からこの城に仕え始めた客将の趙子龍、真名を星という。

かなり腕が立つ奴だ。

「別に何でもないさ。ただ民達が平和に暮らせる世が早く訪れるといいなぁ、と思っただけだ」

「ふむ・・・最近は賊の数も増えておりますからな。

　街で噂になっている『天の御使い』でも現れればいいのですが・・・」

「星、何だその『天の御使い』って？」

「白蓮殿はご存知ありませんか？管輅という占い師の言葉で・・・

　『天より飛来せし一筋の流星、その流星は天の御使いを乗せ、乱世を沈静す。』といったものですよ」

「知らなかったなぁ。でもその『天の御使い』とやらが本当にいるのなら、わたしの所に来てほしいもんだな」

「はっはっは、白蓮殿の陣営には優秀なものがおりませんからな」

「うるさいぞ、星」

「ん、あれは・・・」

星が遠くを見つめる。その先には白い軌跡が見えた。

「星が落ちたのか？何かの凶兆か？縁起が悪いなぁ・・・」

そういう彼女が見つめる先・・・星の軌跡は・・・止まらない

あれは・・・普通の流れ星じゃない・・・。

「おいおい、もしかして管輅とかいう占い師の言うことは本当ということか・・・？」

彼女の頭の中に例の占いがよぎる・・・。

やがてその星は強く輝いたと思うと山の間に吸い込まれるように消えていった・・・。

「白蓮殿・・・調べに行く価値はありそうですな」

「そうだな・・・・・誰かある！」

自分達を守る兵士が近づいてくる。

「今の流星の落ちた場所を調べに行く。騎兵30騎を用意。すぐに門の前に集めろ」

指示が終わると兵は迷いなく走り去っていった。

「よし、星行くぞ」

「御意」

そして私達は先ほどの流星が落ちた場所に向かう・・・。

「この辺だと思ったんだがなぁ。星を最後まで見たらこの辺に落ちたはず・・・。」

「白蓮殿、どういたしますかな？」

「そうだな・・・兵は二人一組になって捜索、なにか見つけたら知らせろ。２刻後にここに集合だ。

　星は私と共について来い、良いな！」

「「「「「御意」」」」」

「よし星、私たちも捜索に当たるぞ」

「分かりました。白蓮殿」

と、こんな会話をしつつ１刻ほど辺りを捜索していると、

「公孫賛様！、趙雲様！」

と兵の声が聞こえた。私たちはすぐにその兵の所へ行く。

「調べていたら、ここに倒れておりました」

と兵が言う。その後ろには白く綺麗な服を着ている男がいた。

「気を失っているようですな・・・。どういたしますか？白蓮殿」

「んーそうだな。こんな綺麗な服見たことないな、とりあえず城に連れて帰るか・・・」

ということで倒れていた男を城へ連れ帰ることにした。襲ってきても星がいるのでだいじょうぶだろ。

今の私にはこの出会いが後の物語に続くことをまだ知らなかった。