【ひぐらし小説】人柱編
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                   ●注意書き●

・”ひぐらしのなく頃に”の2次創作小説です。

・昔に魅ぃ板に投稿した作品のコピーです。

・本作品の「皆殺し編」のネタバレも含みますので注意

・「皆殺し編」終了後に作成したものなので、本作と相違点・キャラ崩壊が含んでおります。

 (羽入の過去は、本作「言祝し編」で明らかになっております)

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                   人柱編

 

ああゥ・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで

俺達はなんで・・・・・

俺達はなんでこんな底なし沼に漬かるなんて事になっているんだよ

何が?・・・・何故?、どうしてこんな事に・・・・・・

それは・・・・・・・・・・・・・・・

「クスクスクスクスクス」

きっと俺達の目の前にいる人で在らざる者が笑っている・・・・

畜生・・・・・どうして、どうして、どうしてなんだよおぉぉぉーーーーーー

「羽入・・・・どうしてなの?」

鬼の底なし沼へどんどんと沈んでいく俺達・・・・・・

レナ・魅音・詩音・梨花・沙都子・・・・・・・もう俺達は長くないだろう

底なし沼へはまったら最後、けっして出られない

それが底なしの恐怖、いくらもがこうが泥をかき混ぜているだけでもがいているだけ

もう体半分は全員が埋まっている・・・・下手に動けば動くほど沈むのは速くなる

俺達はもはや抵抗せず、ただ・・・ただ耳を傾けるしかできない、それ以外は祈るだけ・・・

そもそも何故こういう事になったんだ・・・・・・

それは・・・・

「あなた達は私の運命を破り、勝者となった・・・・・・・」

そうだ、俺達は勝者になったんだ・・・・幾度の失敗を重ねて、ついに運命に勝ったんだ

レナは、道を誤らず、リナと叔父を父から解き放ち

詩音は、悟史の帰りを信じて沙都子を大事にしている

圭一・・・俺は、魅音に人形も渡したし、沙都子を叔父から助けるために、園崎家、いや雛見沢すら打ち破り

沙都子を助け出したんだ・・・・・・・・

そして沙都子も悟史に誇れるぐらい強くなった・・・・・・・

梨花ちゃんだって運命に抗う強さを得て、山狗達のイカれたハンティングから生き延びたんだ

そして山狗達のイかれた虐殺だって食い止めたんだ・・・・・・

俺達は全てのイカれた運命に勝ったんだ・・・・・・・俺達は勝ったんだ!

明日からこの破滅の輪廻を抜け出して、みんなで勝ち取った平和な未来が訪れるはずだったのに・・・

だったはずなのに・・・・・・・・なのに・・・・・・

「何でなんだよおぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「クスクス」

「答えろオォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

羽入が顔を上げた・・・・・だがその見た事もないほどの冷酷な目に梨花は驚き、そして全員がその奥に潜む

得体の知れない何かに恐怖した・・・・・・・・

「言ったでしょう・・・・・・・・・、期待しすぎると、裏切られる」

「何をしたって・・・・・・奇跡は起きない、そして世界は終わるって・・・・」

羽入はその言葉に禍々しい怒りと憎しみを込めて発声した

「なんでよぉー、これで全て終わって勝てたのに、起こせないはずの奇跡を起こし、破滅の運命を破ったのに・・・・どうして?」

「あなただって、自分はいっしょに幸せな未来を行きたいってそう言ったじゃないのーーー」

梨花が吼えた・・・・それは当然だ、だが・・・・・・それすらを冷徹に言い返す

「なら・・・・未来を奪われた者はどうすればいいの?」

「!」

「未来を奪われ・・・・すでに肉体はなく、消え行くその魂になおかつ消滅を許されず、鬼を受け継ぐ子と成りし、けれども

人から苛まれ罵られ迫害されしうつろわざる神・・・・・オヤシロ様、それが私」

「望んでこうなった訳でもないのに・・・・・・・、みんなは人柱を望んだくせにぃ、くせにぃ・・・・・・私を捨てたくせにぃ」

「人ではあらず、鬼を受け継ぐ者になったら、今度は私を否定する・・・・・未来を奪ったくせに、奪ったくせにぃ」

「私死にたくなかった・・・・生きたかった、もっともっと生きてみんなと楽しい事をしたかった・・・・・・」

「・・・・・・羽入、あんた」

「だからこそ魂が死ねないからこそ私は、オヤシロ様の像で眠りについた」

「そして数百年・・・・・そして梨花、あなたが生まれた」

「!」

「あなたの本当の幼い時、私はあなたの些細なイタズラで目覚めたのよ梨花」

「!」

「あなたは雛身沢の残された力を受け継ぎし者・・・・だからこそ私の姿を見えて話す事ができた」

「そしてあなたは望んだのよ・・・・・」

「私が望んだ?」

「そう」

 

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■回想

 

「・・・・・・・・・触れる事もできず、話す事もできない、見ているしかできない僕には、見ている事しかできないよ」

「いいなー、羽入は」

「?・・・・何がですか梨花?」

「それだけ死なないで長生きができたなら、きっと一回の人生じゃ見きれないたくさんのものを見れるはずですよ」

「・・・・いいとは思わないですよ、期待しても裏切られるだけです」

「ミー、にぱ〜」

「梨花?」

「羽入はそういう下向きで見るから人生が、世界がつまらなくなってしまうのですよ」

「世の中にはもっともっといっぱいいっぱい楽しい事があるはずなんですから」

梨花は無邪気にそう言った・・・・・それはまだ世界を知らないゆえの、無知ゆえの純粋さ

「・・・・・なら梨花、あなたは死ぬぐらいなら、終わらない人生の方が良いと言うのですね」

「ハイーです☆」

「・・・・・・・・・」

羽入にはそれができた・・・しなかった、それは文字通り終わらない世界

永遠こそあるが、けっして梨花のためにはならないと思った・・・・けど

そして梨花の本当の初めての人生は呆気ない幕を下ろした

「梨花・・・・・梨花」

「羽・・・入・・・・・・・・・・・私は、・・・・死ぬ・・・のね」

「・・・・・・・・・・・・・」

羽入は決心した、終わった梨花の命、人生、運命、それを救う方法を!

「大丈夫ですよ、僕がなんとかします」

「・・・・・・・・・・・・・」

「僕の力で、あなたと契約し、ここに次元の固有結界の法則を結び付けます」

「終わらない世界・・・・・それが梨花の望んだ世界、なら僕は梨花と共に永遠を生きます」

「そして2人で終わらない世界で、永遠に楽しい事を、楽しい世界を続けよう」

 

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■現実

 

「!」

「そう、梨花・・・・・これこそがあなたが望んだ世界」

「最後の力でその終わらない輪廻次元を形成し、そしてあなたを媒介にしてその身を梨花と共にした」

そうか・・・・そうだったのか、これは私が望んだ世界

幼かった私が、未来を夢見て、終わらない世界を望んだ私の・・・・・”罪”だったんだ

「だからこそ・・・・・梨花は永遠に死なない、世界だけが何度でもやり直す」

「だけど・・・・・・・・・梨花の魂、精神が死んでしまった時、媒介にしている私も共に死ぬ」

「そんな梨花に希望を持たせるために、私はルールを破った」

「ルール?」

「”別の世界の記憶を受け継ぐ”と言うルールを作った・・・・・・」

「それで梨花がすこしでも活気になり、また数百年と続いてくれればと思った・・・・だけど違った」

「前原 圭一、彼はそのルールを持たせただけで、私の想像を超えたイレギュラーとなった」

「そしてついには全ての破滅の運命すら破ってしまった・・・・・・・・」

そうか、これは・・・・・・裏切りなんだ

永遠を望んだ、羽入といっしょに望んだ永遠に対する、羽入に対する裏切り、私の罪、私の罰

「だから終わらせる・・・・・・・・・じゃなきゃ」

顔を下に向いた羽入が声を曇らせた・・・・・そうその意味は誰もが理解している事だ

ここで”終わらない世界”を終わらせてしまったのなら、おそらく私と言う媒介との契約が切れ、そして羽入の魂は消滅する

消滅・・・・それは文字通り完全なる死を意味する

報われず人柱になって未来を奪われ、なのにオヤシロさまと言う神になり、来世と言う転生まで奪われ

なおかつこの世界に縛り付けられる、うつろわざる神・・・・・・・・・・・・・・

誰からも理解されず、誰からも愛されず、誰からも認めてもらえず、誰からも信じてもらえず、誰からも助けてもらえず

見ているだけのその身で、争うだけの醜い世界をただ傍観し続けるだけ、未来を期待しても今まで何度も裏切られ傷ついてきた

そして私と言う梨花に会い、羽入に友ができた・・・・・・

その友が望んだ、終わらない世界を形成したのに・・・・友は裏切ろうとしている、逃げようとしている

唯一信じた友を捨てて、今のみんなと共に自分達だけ未来を掴もうとしている・・・・

そしてみんなに残るのは未来、私は絶望の死・・・・・・・・・・そんな都合のいい結末、誰が許すか!

羽入の思考がはっきりと自分の事のように想像できる・・・・そして

なら・・・・・殺してやる、どうせ死んでもやり直す終わらない世界、今度からは記憶継承のルールも消してやる

そして繰り返す・・・・・未来の無い終わらない世界、そして2人で共に生き続ける、それが私達が望んだ本当の未来なのだから

「だから終わらせる・・・・・・・全てを!ひぐらしがなく頃に」

「やめてえぇぇーーーーーーーーーー」

「お願い羽入、私はどうなってもいいから、圭一達だけはその世界から見逃してあげて」

「何を言っているのですか梨花、梨花がいない世界に何の意味が」

「そうですわ梨花、クスクス・・・・・・今のあなたはみんながいてからこそ、ならもしみんながいなくなった

殺されるだけの絶望の未来にあなたはそれを繰り返す事ができるのかしら?無理よね・・・・だってあんたは弱いだから」

「できるわ、それが罪ならば、私は喜んで受け入れるわ・・・・・もうあなたを裏切ったりしない、だから・・・・・お願いよおぉぉ」

「・・・・・・・・・・・・駄目♪、私を裏切ったんだからね、一生苦しんで苦しんでそれでも気がつかず永遠を繰り返しなさい梨花」

「ハン、オヤシロ様が聞いてあきれるぜ」

「!」

「まったくだね圭ちゃん」

「自分が不幸だからって他人も不幸にしないと喜べないなんてね」

「フン、負け惜しみを・・・・・・・・・しょせんあなた達は私の手の平で踊るピエロなのよ」

「ゴールのないスゴロクを未来永劫と続けて苦しむのがあなた達よクスクス」

「自分から戦わなかった敗者が、自分は敗者だってアピールして同情誘っているだけじゃねえか」

「!」

「まったくだね、私が同じ立場だったどんな事にでも戦ったね」

「人柱が嫌なら逃げ出せば良かったじゃない・・・・・・・、なんで素直に死を受け入れたのよ」

「そうだ、おまえは傍観者でも努力はしなかった・・・・努力などしないくせに期待して、そして勝手に裏切られたと傷つく」

「何も努力しなかった分際が、勝手に期待して勝手に失望してんじゃねえよ!」

「・・・・・・・黙れ」

「結局は梨花のように慰めてくれる人が欲しかっただけ、何もせずに現れてくれる人を待っていただけ」

「それに本当の仲間ならね、不幸になってまでいっしょになってくれる事なんて絶対に望まない」

「そうだ・・・・本当の仲間なら自分を犠牲にしてまで他人の幸せを願う実行するんだ」

「それが本当の友・仲間なんだよおぉぉーーー!」

「うるさい、黙れぇーーーーー」

「おまえ達に何がわかる?おまえ達に私の苦しみが痛みが悲しみがわかってたまるものか・・・・・・・」

「ああ、わかりたくなんてないね」

「キッ」

「結局おまえは梨花を犠牲にして自分が助かろうと俺達をハメた」

「裏切り?・・・・・いや違うね、おまえは初めから信頼などしていない、ただ梨花を利用しただけだ・・・・・・」

「そんな偽りの仲間に裏切りなんて言葉は場違いなんだよおぉぉぉーーーーーーー」

「圭ちゃん、良い事言ったね」

「羽入だっけ・・・・あんたなんで自分が不幸だか考えた事あるの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あんたは望む事しかしなかったくせに人のせいにして、それを運命で片付けた、それを繰り返してきた」

「これはそれの積み重なったあんたの心の罪なんだよおぉ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「そうですわ、あなたは私と同じく耐え続ける事が強さだと勘違いしているのです」

「本当の強さは、立ち向かう事です!・・・・・それは梨花から教えられた本当の強さなんですわよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「それはどんなに辛くて怖いことか私が一番知っていますわ、期待すればするほど失敗の恐れも大きくなる」

「でも挑まなきゃ・・・・・・勝つ事が絶対にできないのですよ!」

「・・・・・・でももう遅い、終わらない世界で私は勝者になれない、なれるとするなら今この瞬間がこの世界の勝者だ」

「アッハハハハハ、私が言っている事やっぱり理解してないね」

「死ぬ事を逃げているのがそうだって言っているの!」

「何を・・・・・、遠まわしに”死ね”と言うの?」

「まあ聞こえによってはそう取れなくもないけどね・・・・・・・、今が駄目なら明日へ、明日が失敗しても次の未来があるかもわからずに挑み続けた」

「これがあなたに出来る?・・・・・・・・できないわよね」

「そうだ・・・・・俺達はいつでも今を大事に生きて、明日へ挑み続ける・・・・・・この後だってな」

「おまえが管理するならおまえが折れるまで俺達は何度でも何でも戦い続けてやるぞ」

「例え、おまえから記憶が奪われたって骨が砕けようが足がもげようが、あがいてやる!」

そうか・・・・・・・・・この心の強さが、失敗を恐れない挑戦する心が、幾多の奇跡を呼び起こしてきたのか

「羽入・・・・・・あなたならわかるはずです、誰よりも辛い悲しみを背負ってきたあなたなら」

もし彼らが私の立場なら、この終わらない世界を終わらせるのだろう・・・・・・・それが運命を凌駕した力

私は・・・・・・・・・できなかった

私は死にたくなかった・・・・・そして戦わず、努力もせずに・・・なのに未来を見たいと、贅沢ばっか言っていた

きっとこれは本当のオヤシロ様が私に対しての罰なのだろう

「・・・・・・・・・・・・・・・・・ならば証明して見せてくれるわよね圭一」

「!」

「もう一度・・・・私が形成する終わらない世界であなた達が自らの意志で、全ての破滅の運命を超えたなら・・・・・私は負けを認めよう」

「だができないのならば私は終わらない世界で梨花と共に終わらない時を生き続ける」

「これはゲームなのですよ、圭一」

「・・・・へっ、おもしれえじゃねえか」

「この本気になった前原 圭一に不可能なんてないんだぜ」

「それすらも忘れる世界でどうあがくか見せてもらうわよクスクス」

「へっ、おまえこそ今の約束忘れるんじゃねえぞ」

そう言うと圭一達は完全に泥に沈んだ・・・・・あと30秒あれば窒息死するだろう、だがどうすることもできない

最後に梨花が沈む前に言う・・・・・・

「羽入・・・・・・・・・・・・僕達はどんな事があっても・・・・・・・・・・・・・永遠に友であり、仲間ですよ!」

そう言うと梨花も完全に泥へ沈んだ

「みんな馬鹿じゃないのアッハハハハハハハハハハ、アッハハハハハハハハハハハ」

「ハハハハハハハハハハハ、ははははははは・・・・・・」

涙が止まらなかった・・・・何故だろう、涙など昔に枯れ果てたはずなのに・・・・・・・・・・・・

「羽入・・・・・・・・・・・・僕達はどんな事があっても・・・・・・・・・・・・・仲間ですよ!」

あの言葉に嘘はないはずなのに・・・・・・どうして私・・・いや僕は信じてあげらなかったのですか

僕は裏切られたとしか思えなかった、全ての破滅の運命を突破して前へ進む梨花を・・・・・・

こんな最悪の形で自分のエゴのために犠牲にしてしまった・・・・・・・・・・・・・・

「そうだ・・・・本当の仲間なら自分を犠牲にしてまで他人の幸せを願う実行するんだ」

その言葉に嘘はなかった、だって圭一は沙都子のために自分を犠牲にして叔父を殺したんだ

だけど私にはできなかった・・・・・・・・・何故自分を犠牲にし自分達は幸せな未来を得るのかと嫉妬した

後悔してももう遅い・・・・・この世界はもう、終わってしまったのだから

「あんたは望む事しかしなかったくせに人のせいにして、それを運命で片付けた、それを繰り返してきた」

だってそうするしか・・・・・・僕が生きていくにはそうしなければ梨花同様に心が壊れてしまいそうだったから

運命だから諦める・・・・・これほど都合のいい言葉あるものか、だけどそれを選んだ時点で私の負けだった

認めない・・・・疑う・・・・・、そうか、疑心暗鬼に取り付かれて雛身沢症候群を発病させていたのかもしれない

いやそれもただの言い訳か・・・・本当は何もかも信じられなくなっていた自分の心なんだろうと

結局信じられなかったのである・・・・・”あの時”と同じように、あの頃の仲間と同じように

 

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”あの時”  今から500年前・・・・・僕がまだ人間だった頃の話

そう僕は初めはただの人間だった、どこもみんなと変わらない

動物が精霊と調和して神格し下級神となるのと同じように、僕もその類だった

まだ雛見沢いや明治より前だから鬼ヶ淵と言われていた・・・が、鬼ヶ淵と呼ばれる前の時代

まだその頃は名も無き集落に・・・・・僕はいた

そして僕は・・・・・生贄の家系で生まれてきた存在

生贄・・・・古代から伝えられてきた風習、まあ要は何か災害などあった時、人はそれり祟りと信じて恐れた

そのために神の祟りを沈めるために必要なのが生贄・・・・・・・・

生贄の家系、それは文字どおりの意味を意味する、来るべき時のお供え物として私は育てられた

こんな悲しいひどい未来があるのだろうか?・・・生まれた時からおまえは、我等の未来のために死んでもらうために生まれてきたんだ

常人ならばそんな言葉聞いただけで半狂乱になることだって不思議じゃない・・・・・・・・

でもいくら泣いても叫んでもあがいても・・・・・・まわりの人は誰も僕を助けようなどと、哀れみすら無い

ある意味・・・・・・家畜以下の存在としてされてきたのかもしれない

でもそんな僕にも友達がいた・・・・それは理音(りおん) 楓(かえで)

言い忘れたが、生贄の家系はその宿命ゆえに来る日のために貴族と変わらない生活が約束されている

それは子汚く育てた人を神のお供え物にするのは神に対しての冒涜だからである

わかりやすい例えならば、知人にお供え物か寄贈品を送るのに、食べ物なら質の悪い痛んだ物あげても誰も喜ばない

むしろ怒らせてしまうかもしれない・・・・まあそれと同じと思えばわかるだろう

でも生贄の家系だから良い暮らし、良い食べ物があるだけ・・・・・、身分は下級民とあまり大差ないのだ

むしろいくらこんな良い暮らし食べ物と着飾っても将来死を約束されている人間に対しての現世でのせめてもの慰めなのかもしれない

その答えに誰もがこう答えた・・・・・「それが羽入の運命なんだよ」

運命・・・・生まれた時からすでに決められ、覆す事のできない未来の黙視録

ならなんで僕は生まれてきたんだろう・・・こんな苦しくて悲しい思いをするぐらいなら、こんな世界に生まれてこなかった方が良かった

そしてあの満月の夜・・・・・・・僕は自らの命を立つ為に鬼ヶ山へ向かった

だけど僕は、死ねなかった・・・・・・・・・・・・・・

「どんなに貧しくたってかまわない、どんなに惨めでもかまわない・・・・・・僕はただみんなと生きたいよ」

それは誰もが望む事・・・・・だけど羽入にはそれすら許されない

生贄のために、神のために・・・・その身を捧げて死ね! それは羽入の運命

だけどそんなの誰が理解できる?誰が納得できる?誰が喜ぶ?

それはただ自分が生贄にされないで済むと言う他人本願の犠牲である

部族によってはそれを理解し、まわりは羨ましがる集落もあったそうだが、そんなの理解できない

「羽入ちゃん?」

後ろから突然と自分を呼ぶ声がした。

「何しているのこんな所で?」

それは理音・楓であった・・・・・・・・・・・・・・・

「理音ちゃん・・・・それに楓ちゃんまで」

「こんな崖にきたら危ないのですよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・ほっとおいてください」

「!」

「僕は、どうせ死ぬ運命なんです・・・・・・・だから」

「羽入、哀れです☆哀れです☆」

「どうせ・・・・・死ぬなら人の役に立ってから死になよ」

「・・・・止めてくれはしないのですね」

「止めているだろう?」

「そうじゃないですよ、そうじゃ・・・・」

「いいかい、今あんたがここで勝手に死んだら、一番辛いのはあんたの家族なんだよ」

「何でですか?生まれた時から死ぬために生まれてきたと冷たくあしらってきた家族を!」

「馬鹿だね、それが本心な訳ないだろうが」

「本当は誰よりも羽入の事を思っているに決まっているだろう・・・・・・・」

「だけど・・・・わざとおまえのために、冷たくしているんだよ」

「わざと・・・?」

「情が移ると後に家族も羽入も苦しむだけだからね」

「わかるかい、本当は誰よりも羽入と接して大事にしてやりたかった、大事な残りの時間を・・・・気持ちを押し殺したんだよ」

「それは全てあんたのために・・・・・・、苦しい温もりより、楽な冷たさを選んだ」

「そんなあんたが今、ここで生贄以外の事で死ぬなんて・・・それは家族に対しての冒涜だよ!」

「あうあぅ・・・・・・」

「いいかい、死ぬんなら生贄のために、今を背一杯生きなさい、それが今のあなたにできる家族へのせめての恩恵よ」

「だけど、もし生きたいのであれば・・・・・僕達はあなたを罵るような真似はしないですよ」

「楓ちゃん・・・・」

「羽入・・・・・は、何をしたいのですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・僕は」

「・・・・・・・・・・・生きたい」

「なら、羽入は生きればよいのです、誰のためでもなく自分のために」

「・・・・・・自分のため?」

「そうなのです、自分のために自分の人生を自分で決め、自分で進んで、自分で生きていく・・・・・それが人生なのですよ」

「でも僕は・・・・・・・・・・」

「生贄は明日かもしれないし、もしかしたら必要な時が来ないかもしれません」

「大事なのは、後悔せず今を生きる事なのですよ」

「もしかしたら僕達だってなんかの事故で明日命を落とすかもしれない・・・それは誰にもわからない」

「だから僕達は今を大切に生きているのです」

「今を大切に生きる?」

「大事なのは希望を捨てない事です・・・・・それはまた明日への力となります」

「それを運命と割り切るのは愚の骨頂です」

「運命が人生を決めるんじゃないよ、人生が運命を決めるんだよ」

「だから羽入、運命と割り切って明日への生きる希望を無くし、今を絶望しながら生きるのはやめなさい」

「理音ちゃん、楓ちゃん〜」

「それに辛い時は一人で悩まないでみんなに相談しなよ」

「でも・・・みんなは僕の事を」

「まあたしかにそう見る人もいるけど、少なくても私達は違うつもりだよ」

「あうあぅ」

「辛いなら・・・泣きたいならいつでも助けを求めてよ、私達いつでもあなたの味方だよ」

「ううぅ・・・・うわあぁぁぁーーーーーーーーーーん」

「辛かった、泣きたかった・・・・・・誰かに打ち明けたかった、慰めてもらいたかった、助けてもらいたかった・・・でもでも」

「・・・・・・・・・・・・・」

「辛かっただろうね羽入、・・・・・・・・」

「うううぅぅ・・・・・・・・・」

僕は生まれた時からずっと1人だった・・・・そう信じて決め込んで、勝手に誰も助けてくれないと絶望していた

でも違った、僕は助けを求める勇気すらなかった

哀れな姿を演じながら、・他人が自分に気づいて助けてくれるのを期待していただけ

それを勝手に期待して、誰も助けてくれない事に呪い、勝手に失望して、どんどんと深みにはまっていた

でも理音と楓はその私を救ってくれた・・・・そして語り合える仲間ができた

それから私の人生は明るいものに変わった・・・・人間いつ死ぬかはわからない、なら

不確定の明日を期待するよりも今を楽しく生きよう・・・・・・・

だけど運命は残酷・・・・・・・

 

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テロップ

神よ・・・・もしいるのなら私はあなたを蔑む

神よ・・・・もしいるのなら私はあなたを罵る

神よ・・・・もしいるのなら私はあなたを憎む

神よ・・・・もしいるのなら私はあなたを呪う

神よ・・・・もしいるのなら私はあなたを許さない

神よ・・・・もしいるのなら私はあなたを

 

あなたを殺してやる!

 

 

その日は来た、今日は今までに無い大地震が起こった

そして作物の土地にまで被害が及んだ

ついに生贄の刻が来たのである・・・・・・・来て欲しくないと望んでもそれは来てしまった

そして生贄の日となる日

「羽入・・・・・・あなたはこれからこの地の守り神と精霊様と共にその礎となります」

「それはとても名誉な事であり、これはあなたしかできない事なのです」

母が名にやら神義のためのセリフを言っている・・・もちろん僕の耳にはそんなの入っていない

今日、僕は・・・・・・・死ぬ!

生贄、こんなくだらない風習、誰が作り出したのだろう

それは簡単だ、そう信じた奴が、自分以外の誰かを犠牲にするために作られた風習、下らない

しょせん人間は自分さえ良ければ他人などどうでもいい人種のだと・・・・・

人間らしくただ生きる!

そんな当たり前の事ですら、僕には許されない・・・・・・・僕は死ななくてはならない、この時のためだけに僕は存在する

何故? その質問に対する答えは一つしかない

運命? それこそがおまえ達が勝手に決めて押し付けた事じゃないか

なんで僕が?、おまえ達のために死ななきゃならないんだ

どうして僕なんだ? だがその問いも無限輪廻する返答の輪の一部でしかない

運命とは何だ? 誰が決めた出来事の成り立った道を指すのか、それとも偶然にできた事で成り立つ道、人生全てを指すのか?

「羽入・・・・・・・・・何か言っておきたい事はありますか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「羽入・・・・・・私はおまえを誇りとして・・・・・」

(嘘だ!)

僕が・・・・・・・私が聞きたいのはそんな嘘の虚言じゃない

「・・・・・・・・・・・・・」

でも母は何も答えてくれない・・・・・・・辛いから、僕が悲しくなるから言わないのか

本音ぐらい聞かせてくれてもいいのに・・・・

僕が生贄になれば救われる世界・・・・・、ならもし救われなかったら?

その時は僕は無駄死じゃないか・・・・・そう思うと現世の執着が僕をにぶらせる

「羽入・・・・・・・1時間後に村の広場で待っています」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕は生きたいと言っても村人は誰も耳を貸してはくれない・・・・目障りな存在だ

やる事もなく、ただボーとしていた・・・・・・・・・・それが僕の最後に許された時間なのだから

「羽入、羽入」

僕を呼ぶ声が聞こえた・・・・・、振り向くとそこには理音と楓がいた

「アハハ、元気・・・かな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

目障りだ、煩わしい、どうせ慰めの言葉でもかけて、私の事を思っていたとか免罪符で戯言のみで助けてくれはしない

同情するなら助けて欲しい・・・・・でもそれすらできないなら、せめてほっとおいて欲しかった

でもどうせ私が助けと言っても村人同様に哀れむだけ・・・・・・・

「あのね羽入、楓とだけ相談して決めた事なんだけどね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「逃げよう」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ」

一瞬耳を疑った・・・・だって、だって今一番望んだ事・・・・・・・・・・・・・・・・・

「どこか遠くへ逃げよう・・・・・・・」

「理音ちゃん・・・・」

「こんなの間違っているよ・・・・・だって、だあってぇ」

「人を犠牲にして得る幸せなんて間違っています、僕はそんな幸せにすがりつきたくないです」

「楓ちゃん・・・・」

「ほら、早く逃げよう・・・・・・・・あと1時間で気づかれるまでの間にすこしでも早く遠くへ」

「あうあぅ・・・・・ありがとうなのです、ありがとうなのです」

「礼なんていらないよ、私達は・・・仲間じゃないか」

「早く行くです〜」

「うん」

僕は理音・楓ともに逃げ出した・・・・・・・・だけどもし神がいるのならば、神はそれは許さなかった

「降って来たね・・・・・・・・・」

「もうすこしだから頑張ってね羽入」

「あうあぅ・・・・・・ハイです」

「羽入、もうすこしだよ、もうすこしで自由の身だよ」

「ハイなのです」

足が軽い、それはまるで希望に満ち溢れた道のようだった・・・・・・・・・・だけど

「本当に逃げ切れるのですか?」

僕はわずかにだが不安を覚えていた・・・・・それは逃げ切れるか、そして逃げ切った後の事も含めてだ

どうしてそんな事を聞く?

仲間が助けてくれようとしているのに、この期におよんで何を疑う・・・・・・

未来なんて誰もわからない、だから仲間がいい加減な言葉で返すのではなく黙るのはごく自然な事だ

だが、その弱い心はわずかにだから体にも影響し、僕のペースも落ちていく

「だいぶ離したし、すこし休むか」

その辺りに夜露が凌げそうな所へ身を隠す

思えば、ここで止まったのがいけなかった・・・・僕が何も疑わずに信じてもっと先へ進んでいれば

僕を死なすが、生きて人柱にするための運命が僕達を遮る

「ん・・・・なんだこの音は?」

「何か地鳴りがするような感じです・・・・・・・・・」

「何だあれは?」

「ま、まさかあれは・・・・・・・・・・・・・」

「逃げるんだ羽入」

そうそれは、地震の影響で脆くなった地盤に雨で浸透し崩れて、土石流が発生したのである

僕達は・・・・・・飲み込まれた、そして

「おい、いたぞ・・・・・・ここの隙間に生きているぞ」

僕は助かった・・・・けどその代償は

「駄目だな・・・・・・生存者は羽入だけだ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・何故ですか神よ

これは死ぬ運命から逃げようとした僕への罰なのですか?それとも僕の努力が足りない罰?

でも僕ならともかくなんで2人まで死なせたのです?

逃げることが罪で死罪なら受け入れます、でもその手引きをした2人は死罪ほどじゃないはず

神よ、何故あなたは命まで取ったんですか?

神よ、何故人柱になるわずかな時だけ私は生かしたのですか?何故いっしょに逝かせてくれなかったのですか

神よ、何故こんな運命を形成させるのか?

神よ、何故こんな結末を望むのですか?

「答えろおぉぉーーーーーーーーー!神よおぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

あるのは静寂だけ・・・・・・・・

「僕は・・・・フフフ、私は・・・・・」

「フフフ、そうかこれが答えなのね・・・・・・」

「運命の家畜・・・・・そして逆らうものは誰であろうと死罪に値する」

(ふざけるな)

「フフフハハハハ、神様・・・・・神様は私達を助けてくれるんじゃないの?」

(自分が気に入らない民は殺すって言う事?)

「ならば・・・・・・・・」

(そんな神に用は無い)

「私が・・・・・この地の神となる!」

(そして神を滅ぼしてやる)

「覚えておくがいい、神よ!我が名は羽入・・・・・・・・貴様を滅する存在なり」

(私は人間をやめるぞぉ!)

そして私は人柱として鬼ノ沼へ沈められた・・・・・・・

だが覚えていないが誰かが最後にこう言った・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・ごめんね」

それが私の最後の記憶・・・・・・・・・・・・・

 

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期待しすぎると裏切られる・・・・でもそれは仲間が裏切ったわけじゃない、運命が神が裏切った

いや神がその行動自体を裏切ると取るのならば、私は神に抗うと言う方が適切か

私が信頼が足りなかったのかもしれない・・・・・・もっと何も考えず仲間と共に駆ければ避けれた運命かもしれない

そう結局は私が信じなかったから奇跡は起こらなかった・・・・・・・

圭一の言葉を借りるならば「信じてさえいれば必ず奇跡は起こせた」・・・・・信じてさえいれば

 

死後、私は・・・その無念と未練と憎しみゆえにこの土地に縛り付けられた・・・自縛霊のようなものだ

そして動物霊と融合し、(角はその影響のなごり)精霊の流気(地流)と同調して僕は・・・・・この地だけの下級神となった

下級神となり鬼ヶ淵を統一した。古手の巫女を仲介役として・・・・

だけど昔からの生贄の儀式は今度は私のために行われるようになった・・・・・・・それでは意味がない

昔は神の祟りを生贄で沈める・・・・・、今はオヤシロさま(私が神)だけど祟りがあるならそれは私のせいと信じて私に生贄を捧げる

神が私になっただけで何も変わらない・・・・私は望んだ事はそんな事じゃないのに、もう声すら届かなくっていき残虐の歴史は積み重なる

ただ傍観者となるだけしかなくなったこの身は・・・・・・・・何の意味があるのだろう?

この身すらも神が目論んだ運命の罪なのか?・・・・・・それとも生きたいと思った事を神が別の形で叶えたのだろうか?

その答えは誰にも答えられない

 

-7ページ-

 

だけど人は誰かを犠牲にして争いを望む・・・・・

私はオヤシロ様になっても、私の名の元で大量の虐殺が何度も行われてきた

私そんな事は命じていない、私はそんな事望んでいない

だけど巫女を仲介しなければ僕は触ることも声を聞かせる事すらできない傍観者

山賊や凶暴な動物や病原・・・・それらは極度に疑心暗鬼で雛見沢症候群により鬼と見えていたのかもしれない

その凶暴性を鬼の血と呼んだ・・・・そしてそれを抑える術を教える僕に大層感謝した

人と鬼の共存・・・・・・・・・

そして地を崇めるからこそ、ありえない出来事はオヤシロ様の祟りと呼び、沈めるためと昔の生贄の風習を使った

生贄なんていらない・・・・そんな事をするのならもっと生きて欲しい、生きれなかった僕の分まで

自分の名と大義名分に行われた虐殺・・・たしかに初めは憎しみに囚われていた頃は

それを、他人も僕と同じように未来を奪われていくのを見ているのが嬉しかった時もあった・・・・

けれども必要以上の残酷な拷問死の数々に僕の憎しみはとっくに消えうせていた

嬉しかった時もあった?・・・・・・僕はそんな事命じてない?

嘘だ!それは偽善者だ・・・・・・・僕は心のどこかでそれを望んだんだ

その果てがこれだ・・・・・・積もり重なった神に自分を神と神格しようとする者による神の名の元の虐殺

・・・・・・・・・・だけどいいじゃないか、これが私の本当に望んだ事なのだろう

自分を犠牲にしてのうのうと生きてきた雛見沢の子孫・・・・・・そんな連中に死の制裁を!

これが運命だ・・・・・・・知りながらも突き進んだ道だろう!

運命と信じ、わからぬと逃げ、知らず、退かず・・・・その果ての終局だ!

これが私の望んだ全てだ!!!!!!

「嘘だ!」

僕は・・・・・・・・

それこそが偽善だと言っているだろうが、みんなの幸せのために?だから僕は犠牲になったけど、実は生きたかった?

だからこそおまえは、幸せを奪ってのうのうと生きている連中を儚く思い、憎んで呪って、死を望んだ

「僕は・・・・・・偽善者です」

「たしかに最初は思いました・・・・でも、今は違います」

「僕は梨花と出会ってから変わったのです・・・・・・それが”僕”なのです」

「そしてその僕はそんな結末を一度たりとも望んだ事ないのです」

望んでいない・・・・・・ククク、自分で支離滅裂ね

ゴールを辿り着けるまで進んだ圭一達をあなたは恨んで、呪って、死を望み、実行した

「!」

梨花を大事に?・・・・・・・あなたはその梨花すらも裏切ったくせに

あなたは次の世界の梨花に「自分は絶対裏切らない友だと、仲間だと」言えるのかしら

無理ね、たとえ記憶がないとわかっていてもあなたにはできない

何故ならそれができるほどの勇気と覚悟と努力があるのならばこんな事にはならなかった

さあ・・・・悠久の時の中で生き続けて、あなたが望んだ結末を何度も繰り返しながら、楽しみながら永遠を生きよう

それが私が形成した神の契約・・・・・神の世界、私の世界、オヤシロさまの世界

「うるさい」

「決めたんだ、もう逃げないと、そして戦うと!」

「だから僕は戦う、今あなたと」

私はあなた・・・・そしてあなたは私、互いに在るからこそ成立する存在なのよ

「僕は陽・・・・ならばあなたは陰、だけど僕は知っている」

「あなたは僕が作り出したもの・・・・だからこそ打ち破る事もできる」

「どんな運命も金魚掬いの網より薄いと・・・どんな事にでも戦えると僕は”仲間”に教えられたのだから」

・・・・・・・・・・・・終わらない世界を、仲間のために犠牲にして終わらす、その覚悟はあると言うのですか?

「それが梨花に対するせめてもの恩返し・・・・・」

・・・・・・・・・・・・自分だけが犠牲にし不幸なのは不満ではないの?

「もう僕は十分に生きた・・・・・・楓と梨花によって」

「終わらない世界、終わらないのが終わり・・・・その終わりを終わりにする!」

「だから終わらせる・・・・全てを!ひぐらしがなく頃に」

・・・・・・・・・・・・愚かな、終わらない世界こそが究極の世界だと言うのに・・・・

「言っただろう・・・・私、いやオヤシロの神・・・・いや本当の神よ」

「我が名は羽入・・・・・・・・貴様を滅する存在なり」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・好きにするがいい

そう言うと頭に響く声はどこかへと消えて、世界がまた構成の光に包まれる

「梨花」

「僕と同じ立場と環境だからこそ僕達は惹かれあった・・・・・・・・・・」

「だからこの僕が梨花を苦しめることになってしまった」

「こんな僕の罪を許してくれるかな」

 

-8ページ-

 

■新たな世界

 

そう言うと・・・・・・・・新しい世界へ飛ぶ

そこには元気な梨花の姿があった

「ふう・・・・またですか」

「!」

「羽入・・・・・何を泣いているのですか?」

「梨花アァ 梨花ア〜」

「ごめんなさい、梨花・・・・・・・僕は梨花にひどい罪を犯した」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

「羽入・・・・何をそんなに謝っているのかわからないですが大丈夫ですよ」

「あなたの罪を・・・・・・・許します」

「!」

「羽入・・・・・・・・・・・・僕達はどんな事があっても・・・・・・・・・・・・・永遠に友であり、仲間ですよ!」

「うわああぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

それは今まで押し殺してきた感情・・・・・・・・人は泣けば強くなる、その言葉に嘘は無い

泣いた数だけ強くなり、前へ進むのである

「おーい、梨花こんなところにいたのか」

「ハイなのですよ☆」

「さあ、羽入・・・・・・・・僕達もいっしょに行きましょう」

「梨花・・・・・」

手をつなぎ、僕達は歩き出す・・・・・もちろん触れる事などできないが

「み〜、にぱぁ〜☆」

「ウンなのです」

「あうあぅ・・・・・・」

歩き出す・・・・・未来へ、未来は誰もが持ち、掴む事ができる・・・・・その努力の数しだいで人はいくらでも運命を破ることだってできる

だから僕はもう絶望しない、未来に向かって歩き出す・・・・例えそれが無い死が待ち受けているとしても

今を大事に、今を背一杯生きよう

幸せは有限なのかもしれないけれど・・・・・・希望は無限にある、未来は無限にある

だから歩き出す・・・・・・未来へ

その道が今度こそ未来へ辿りつくために、僕達は今を生きるんだ!

そして今度こそ、終わらせるんだ・・・・・虚像の世界を!

それが・・・・・僕の運命なのだから!

説明
4年前に魅ぃ掲示板に投稿した、ひぐらしのなく頃にの2次創作小説。
小説の投稿試験もかねて、自分が作ったダーク小説でお気に入りの一つ(画像含み)を投稿して見ました。
作成時期は「皆殺し編」終了後、BGMにゲームミュージック名「conviction」:ファイル名「liveシーン音楽」を再生すると雰囲気がより鮮明になります。
”運命”と”生贄”と言う概念にて、苦しむ人間の描写を描いたシナリオとなっております。
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タグ
ダーク ひぐらしのなく頃に 小説 2次創作 

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