そらのおとしもの   お金稼ぎはつらいよ
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「はぁ〜」

 

智樹は居間でお茶を飲みながらため息をつく。

 

「どうしたんですか? マスター」

「いや、金がなくてな……」

「お金ですか?」

 

桜井家は基本的に外国に旅行中の両親からの仕送りがあるのだが、両親は現在桜井家には智樹以外のものは住んでいることを知らない。

そのため仕送りの金額は人一人が生活できる分しか来ないのだが、この桜井家には3人の居候であるイカロス、ニンフ、カオスがいる。

おまけに大体ご飯を食べにくるアストレアもいるので事実上5人も食費がかかる。

 

「とりあえずなんか売ったりしてお金作らねえとな……」

「だったらこれ売ったら?」

 

カオスがその辺に散らばっていたエッチな本を取る。

 

「ダメダメダメ!」

 

智樹は色んな意味でダメと言いながらカオスからエッチな本を取り上げる。

 

「この本はだめ!」

「でも売る物ないでしょ。他に…」

「う……」

 

智樹は前に秋の時にフリーマーケットなどをやったが結局売れなかった。

お金は何とかニンフの力で「モテ男ジャミング」の力でモテモテにしてもらったおかげで何とかなったが、今回もそうしてくれるとは限らない。

何故ならアストレアが地上に来てすぐに美香子主催のプロレス大会の時にニンフに「モテ男ジャミング」をかけてもらったが、ニンフが途中で拒み、それ以降かけてもらってないのだ。

 

「じゃあ一体どうしたら……」

「これは〜、アルバイトしかないかしら〜」

 

そこにいつの間にか庭の方にいた美香子に秋山がいた。

 

「げっ、会長!」

「秋山さんも……」

「よ」

「それで会長、アルバイトって何?」

「簡単に言うとお金を稼ぐ方法よ〜」

「ただし働く必要があるけどな」

「働くって何をするの?」

「そうね〜」

「行ってからのお楽しみだ!」

 

秋山の体からオーラのようなものが広がり、それは智樹達を包みこみ、全員を瞬間移動させた。

 

 

 

そらのおとしもの   お金稼ぎはつらいよ

 

 

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智樹視点

 

 

こんにちは、桜井智樹です。

俺達はいつの間にかファミレスの店員をやっていました。

俺はウェイター、イカロスが厨房で料理を作っていて、ニンフはウェイトレスをしています。

カオスがいないって? カオスなら……。

 

「え〜っとね、フライドポテトと……」

「俺、サイダー」

「え〜と、フライドポテトにサイダーと……え〜と………」

 

カオスは秋山と一緒に客になってました。しかもあの二人の相手が何故かアストレアでした。

しかもウェイトレス姿。あの服がはち切れんばかりのおっぱいは……。

 

「智ちゃん……」

 

そうでした。なぜかそはらもウェイトレスしてたんでした。

 

「へぶぅ!」

「もう智ちゃんったら……」

「これで5回目……」

 

でもこんなことでへこたれません。

 

「ハンバーグステーキとカレーライスでいいのね!」

 

どうやらあっちのテーブルの席に座ってるお客の注文を決める長さにイラついたニンフがテーブルを強く叩く。

 

「は、はい」

 

客は少し怯えてますが、どこか喜んだ顔をしてます。

 

「桜井君、いい加減起きたら〜」

 

会長が俺を起こしに来ました。

 

「ちなみに桜井君が倒れたりセクハラした分は給料から天引きよ〜」

「な、なんだってーーーーー!?」

 

俺はそのことを聞いて何とか体を起こしました。

 

「頑張るぞーーーーーー!!」

 

 

智樹視点終わり

 

 

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「お兄ちゃん、頑張ってるね」

「まあ給料減らされると言われた以上頑張るだろ」

 

智樹達を客席から見ている秋山とカオス。

 

「ねえ、アストレアお姉様、ご飯まだ〜?」

「はいはい〜い。お待ちおおっと!?」

 

秋山とカオスが頼んだ分をお盆に運んでいたが、アストレアは思いっきりこけてしまい、皿やコップなどが宙を舞う。

しかし中身はこぼれなかった。なぜなら中身がこぼれるよりも先に秋山が光速以上の速さで皿を回収し、その上に料理などを戻したからだ。

そしてその皿は秋山達のテーブルに既にあった。

 

「あれ?」

「まったく……」

 

アストレアの前にはサイダーを飲んでいる秋山とフライドポテトを食べているカオスがいた。

 

「アストレアちゃんの失敗も桜井君の給料から引くからね〜」

「なんでーーーーー!?」

 

嘆く智樹。

 

(そろそろか……)

「こんにちは〜」

 

ファミレスに新しく一人の客が入って来る。

風音日和であった。

 

「よ、日和、こっちこっち」

「秋山先生にカオスさん」

 

日和が秋山達のテーブル席に座る。

 

「ヒヨリ、何にするの?」

 

ニンフがやって来て注文を聞く。

 

「ええっと……」

 

日和がメニューを見て何を注文しようか考えていると……。

 

「!?」

 

ニンフは思わず前を見てみるとなんと窓の外には突然車がファミレスに向かって飛んできていた。

 

「ヒヨリ! 危ない!」

 

ニンフが日和を庇うように日和の上を覆う。

日和はエンジェロイドに改造されているとはいえそんなに丈夫ではない。

そのためにニンフは日和を庇ったのだ。

それに対して同席なのにもかかわらず秋山とカオスは無関心に食事をしていた。

その気になれば秋山が車をファミレスに突っ込む前に返すことは可能であったのだが……。

そして突っ込んだ車はファミレスのカウンターに刺さった。

 

「な、な、な、なんじゃこりゃあああああ!?」

「マスター、大丈夫ですか?」

 

イカロスも何の音かと慌てた様子でやって来た。

 

「イカロス、俺は何とか……」

「ど、ど、どうしよう智ちゃん」

「どうしようって言われても…………」

「桜井く〜ん、車をどけないと店は営業できずに給料も払えないわよ〜」

 

美香子はこんな時でも店の心配の方をしていた。

 

「会長、いくらなんでも……ってまさか!?」

「そうよ〜。これくらいやってもらわないとファミレスの店員は務まらないでしょ〜」

 

そう、この車突入は美香子が画策したものであり、車を突っ込ませたのは秋山であったのだ。

ちなみにカオスもこのことを知っており、無関心だったのはそのため。日和は秋山がわざと呼び、智樹達がどう出るかをテストするため何も知らせていなかった。

 

「とりあえず初回だからまだ許してあげるけど〜、もし次車か何かをこのお店に突っ込ませたら、給料から天引きよ〜。桜井君の〜」

「俺だけ!?」

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再び智樹視点

 

 

こうして俺達は会長や秋山の無理難題を押し付けられることになった。

車が突っ込んだ次の日は、ボーリングの球が飛んで来たのをイカロスが打ち返して何とかした。

しかしその次の日は……。

 

「セパタクロウ!」

「セパタクロウ♪」

 

店の外でなぜか秋山がカオスを誘ってセパタクロウをして、秋山の蹴ったボールが窓を破ろうとしたのをニンフがパラダイス=ソングで迎撃したこともあった。

パラダイス=ソングを店の中でやっちまったから窓が壊れて、俺の給料から天引きされたけどな。

もう何か飛んできたらイカロスに対処してもらおうと思ったけど、その次の日にミサイルが飛んでくるのをイカロスが察知して迎撃したのはよかったけど、天井を突き破ってしまったためにまた俺の給料から天引きされた。

一体どうしたらいいのだろうかと悩んでいたら、1週間くらいはこれと言ったものは飛んでこずに済んだ。

まあその1週間が終わった次の日には野球のボールが飛んできたけどな…。しかも打ったのが風音ときた…。

そんなこんなで何とか給料日を迎えた。

 

「皆よく頑張ったわね〜。これが皆の給料よ〜」

 

会長が給料袋を俺達に手渡してくれる。ただ心なしか、俺の袋だけイカロス達のと比べると厚みがない。

 

「あの〜、開けてもいいすか?」

「いいわよ〜」

 

俺は給料袋を開けてみる。

その中には1000円札が3枚しかなかった。

 

「3000円……」

「この店の損失は桜井君の給料から引くって言ったわよね〜。それで計算した結果が、3000円なのよ〜」

「そ、そんな……」

「あの〜、会長私達も開けていいんですか?」

「いいわよ〜」

 

そはら達も給料袋を開けてみたら俺のと違い札束が入ってた。

見るからに50枚くらいのものだった。しかもそれは俺のように千円札じゃなくて一万円札だった。

 

「ちょっと、会長! この差は何!?」

「あら〜、会長言ったわよね〜。この店の損失は桜井君の給料から天引きだって〜」

「そんな〜」

 

会長の言葉を聞いて思わず膝をつく俺。

 

「か、か、か、会長……こんなにもらっていいんですか……」

 

そはらの声は震えていた。

まあそはらもこんなに一気にもらったら困るよな。

 

「いいのよ〜、見月さんにイカロスちゃん達はこのお店のために働いてくれたのだから〜」

「師匠、ありがとうございます!」

 

イカロスとニンフとアストレアは会長にお礼を言った。

ちょっと待て、そはらはともかくぶっちゃけお前達だよな。

この店の損失の原因って……。

 

 

智樹視点終了

 

 

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給料をもらったニンフとアストレアは大喜びであった。

 

「これでおかしがいっぱい買える〜。それにこれだけあったら、昼ドラのDVD、ううんブルーレイBOXも買えるわ。

でもその前にブルーレイレコーダーを買わないといけないか〜。まっ、いっか♪ これだけあるんだし……」

「ニンフ先輩、ニンフ先輩、これで何買いましょうか? でかいおむすびとか? それともたこ焼きをいっぱい買っちゃおうかな〜」

 

二人とも欲望に忠実であった。

 

「イカロスはどうするんだ?」

「庭のスイカ畑の環境をよくするものを日和さんと相談して買いたいと思います」

「そ、そうか……。それでそはらは……」

 

智樹がそはらに尋ねるがそはらはまだ気が動転していた。

 

「ダメだありゃ(けど、誰も家に入れようなんて思ってくれないのか)」

「お前だって最初っから入れる気ないだろ」

 

そこに秋山がやって来る。

 

「どわっ!」

「秋山さん」

「とりあえずバイトの目的忘れてないか? お前達…」

「「「バイトの目的……」」」

 

皆がアルバイトの目的を思い出すが……。

 

「え? 最初っからおかし買うためのお金じゃないの?」

「違うだろ」

「おいしいものを食べるためじゃないんですか?」

「微妙に間違ってるな、アストレア。とは言ってもお前は美香子が連れてきたんだったな。なら間違えても無理はないな。で、イカロス、稼ぎの目的は?」

「スイカのため」

「やっぱ間違ってるな。カオスは分かるか?」

「お金のないおうちに入れるんだよね?」

「その通り」

 

秋山はイカロス達を見る。

 

「お前達よりよっぽどしっかりしてるじゃないか……」

「………」

「まあこれは俺がカオスを誘ったりして営業妨害したりした給料分な」

 

秋山はどこからか給料袋を取り出し、カオスに手渡す。

 

「どのくらいあるの?」

「20万」

「ふぅ〜ん。はいお兄ちゃん」

 

カオスはなんと智樹にもらった給料袋を渡した。

 

「いいのか?」

「うん。お兄ちゃんの方が欲しいと思うから……」

「カオス〜〜〜」

 

カオスの心遣いに感動する智樹。

 

「カオスの心遣いを無駄にせず、きちんと家のために使えよな」

「もちろんだぜ!」

 

しかしその数日後、なんやかんやでエッチなものを大量購入した智樹を見た秋山。

 

「お前血祭りにあげてやる」

「へええええええええ!?」

 

智樹は秋山のラリアットによってシナプスの最下層に叩きつけられたそうだ。

 

 

 

 

終わり

説明
今回はレスポンス先のものを参考にしたものとなります。
また作者の分身となるオリジナルキャラ(秋山総司郎)も出てきます。
今回の最後はあるMAD系でよくみられる光景が出てきます。
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コメント
トモ坊、お前は給料の件では泣いていい。でもカオスの心遣いを台無しにするのはNGですな。いっそ、そのままシナプスで働いてみては?w(tk)
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そらのおとしもの 桜井智樹 見月そはら 五月田根美香子 イカロス ニンフ アストレア カオス 秋山総司郎 

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