Coffee Magic
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「は〜良い演奏だったね〜」

 紬が持参したケーキと入れてくれた紅茶を味わいながら、満足げに笑う唯。癒し系とも呼べる笑顔はいつものことで、軽音部一同にとってはすでに見慣れた表情だった。

「澪先輩、それは……」

「ん?」

 紬が入れた紅茶ではなく、澪が鞄から取り出したのペットボトルだった。ラベルにはコーヒーと記載されている。

「今日チョコレートケーキだったから、コーヒーも合うかと思ったんだけど」

「そうね、チョコレートにはコーヒーが合うもの」

「わざわざ入れてもらう必要もないし」

「澪先輩にコーヒーって似合いますね」

 目を輝かせて、軽音部唯一の二年生の梓は澪を見つめた。

「そうかな」

「はいっ」

「え〜あずにゃん、私は〜?」

「唯先輩はジュースって感じです」

「そんなことないよ!」

 ペットボトルを取り上げ、問答無用で中の液体を飲み干す唯。

「おい、唯それノンシュガーだ……」

「うえ〜〜〜」

 吐き出さなかったが、不味そうに顔をしかめている。

「澪ちゃんなんでこんなの飲んでるの〜?」

「受験勉強とかするときによく飲むんだよ。作曲とかさ」

「う〜〜」

「唯ちゃん、はいお口直し」

 さっ、と新しいケーキを唯の前に差し出す紬。素早い動きでケーキを食べ尽くすと、またうれしそうに微笑む。

「おいし〜」

「やれやれ」

「唯はガキだな〜コーヒー飲めないなんて」

「……お前もコーヒーに砂糖とミルク大量に入れないと飲めないだろうが」

 律の言葉に澪はすかさず反論する。

「入れて飲めるんだから問題ないだろ?」

「む〜それだったら私にも飲めるもん!」

 相変わらずの言い争いを、三人はのどかに眺めているのだった。

 

 居間から聞こえるテレビの音に、寝る支度を整え終えた憂は首を傾げながら階段を降りた。静かに居間を覗き込むと、テレビが点けっぱなしになっていた。

「お姉ちゃん、もう十一時だよ?」

「そうだよね〜」

 ソファーに寝ころんでいた唯が起きあがって、憂にひらひらと手を振る。

「でも全然眠くないんだよね」

「いつもお姉ちゃん、この時間は熟睡してるよね?」

「ん〜コーヒー飲んだからかなぁ」

「コーヒー飲んじゃったの!?」

「うん、でもおいしくなかったよ。お砂糖もミルクも入ってなかったし」

 ほぼ飲んだことがないに等しい姉がコーヒーを飲んだ、つまりカフェインの絶大な効果により、眠気が失われてしまったのだ。

「お姉ちゃん、明日休みでよかったね……」

「今日は夜更かしできるね〜」

 コーヒーのせいで眠くならないのをわかっていない唯は、再度寝ころんでテレビに視線を向ける。

「お姉ちゃん、「私も起きるね」

「いいの?」

「うん、お姉ちゃんと一緒にいられるし」

 嬉しそうに笑いながら、夜更かしするための飲み物と軽食を作りに台所へ行く。

 お姉ちゃんには温かい紅茶を、私には夜更かしするためのノンシュガーのコーヒーを。

 徹夜は体によくないけど、たまにはいいということで。

 

 賑やかな声が平沢家の居間で、夜遅くまで聞こえることとなったのだった。

説明
勢いに任せて書いたけいおん!小説。コーヒーを飲む話。唯はなんか効果抜群だと思うんだ!
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けいおん! コーヒー 

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