加奈子の・・・
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「あ゛〜疲れたー!」

 楽屋のソファにドカッと腰を降ろす。今日はライブがあってかなり疲れた。

 まぁ、あたしの歌を大勢のオタに聞かせるのは嫌いじゃないけど、それでもライブとか

になるとそれなりに疲れる。

「はい、かなかなちゃん。お茶だよ」

「お、さんきゅーな」

 ブリジットからお茶を受け取り、ごくっと一気に飲み干す。

 モデルの仕事やライブの仕事もそれなりに楽しんではいるけど、なんか物足りない。

 それなりに充実してるのに、あと一つ何かが足りない気がするんだよなぁ。

 癒し……はまぁ、ブリジットがいるからいいけど、張り合いがないというか……

「あぁ。バカを言える相手が居ないんだ」

 散々、ブリジットの前でバカなことをやったような気はするけど、基本的にブリジット

は大人しいから張り合いがない。

 あたしの周りでバカなことを出来る相手といえば……

 桐乃はまぁ……なんか違うような気がするし、あやせに限っては殺されそーだしな。

 なんというか、あたしを楽しませてくれるような奴は――

「――いた!」

「か、かなかなちゃん!? どうしたの?」

 ガバッとソファから立ち上がり、ある一人の男の顔を思いだす。

「あいつだ! あのマネージャーがいんじゃん!」

 あたしの相手をしてくれる奴。あたしのバカに付き合ってくれる奴。

 あのマネージャーが居たら、もっと楽しくなるんじゃねぇの?

「あーでも、あいつってクビになったんだっけ」

 あやせが言ってたけど、確かあたしにセクハラをしたのがバレたとか……それだと、

もう会うことは出来ねーのかね?

「一応、あやせに聞いてみっか」

 すぐさま携帯を取り出してあやせに電話をする。

『もしもし……』

「お、あやせ? 少し聞きたいことがあんだけど」

『聞きたいこと? ついに勉強でもする気になったの?』

「ちげーよ。勉強なんかする気になるわけねーだろ」

 あんなのを好んでしたい奴の気が知れない。

『じゃあ、加奈子が聞きたいことって何なの?』

「……あのさ、前に加奈子のマネージャーをしてくれた奴がいんじゃん? あいつの事

を聞きたいんだけど……」

 あたしに付き合ってくれる人。あたしの我儘に文句を言いながらもきちんと聞いてくれる人。

 そんなあいつのことを聞きたい。

『お兄さ……いえ、あのマネージャーさんのことは詳しく分からないの』

「詳しく分からねーって知り合いなんだろ?」

『べ、別に知り合いというわけじゃ……』

「なんだよ、使えねーな」

『……誰が使えないって?』

「ひぃっ!? な、何でもないですよ、アヤセサマ」

 こ、怖ぇよ。電話越しでも十分伝わるくらい、声のトーンが怖ぇよ。

『それならいいけど、本当に何も知らないわよ』

「じゃあ、連絡先でいいから教えてくれよ。後は自分でやるから」

『加奈子……随分、必死ね』

「ば、バカ――っ! 何言ってんだよ! 全然必死になんかなってねーし!」

 ただ、あたしはあのバカマネージャーに我儘を聞いてもらおうって思っただけだし。

 軽く遊び相手になってもらおうと思っただけだかんな。

『……分かったわ。連絡先なら教えてあげるわ』

「お、マジで!? さんきゅーあやせ♪」

 マジであやせ様々だ。相変わらず役に立つ。

『はいはい。頑張るのよ加奈子』

「おう♪」

 上機嫌で携帯を切る。これであのマネージャーと連絡を取ることが出来る。

 これであのマネージャーに会うことが出来る。

 これで――

 

「にひひっ、たくさん我儘言ってやるからな元、マネージャーさん♪」

 そう一言呟いて、あたしはあやせに教えてもらった連絡先に電話した。

 

説明
やっとやる気ゲージが溜まってきたので作品投下を。
俺妹から加奈子です。色々ツッコミどころがあるかもしれませんが、気にしてはダメですよ?
そして相変わらずのタイトルのセンスの無さ。
シリーズモノの予定です。
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タグ
俺の妹がこんなに可愛いわけがない 来栖加奈子 

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