着ぐるみ“しゃおらん”
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「小狼くん、カワイ〜〜ッ!!」

 さくらの黄色い声が響き渡った。"しゃおらん"と同じ格好をした小狼を見ての感想である。

「あ、ありがとう……」

 頬を真っ赤に染め、間近に迫ったさくらの顔を横目で見やる。まるで小さな子供をあやすようなその笑顔に、少し居たたまれない気持ちを抱きながら、小狼は素直なお礼の言葉を言った。

「この格好なら一年生もきっと喜んでくれるよね!」

「そうでなくちゃ困る。でなきゃ誰がこんな格好……」

 と言いかけて、さくらの笑顔を見た小狼の頬はますます朱に染まった。

「んー、こんなにモフモフで可愛いなら、ずっと抱きついてたいけどなぁ〜」

「なっ!!」

 小狼は助けを求めるように思わず着付けて(?)くれた知世を振り返る。だが普段と変わりない彼女の笑顔が、妙な含みを持っているように見える。

(図られたっ!!)

 "新一年生の歓迎会中にある人物の子息をボディガードして欲しい"という難題を解決する秘策だと知世は言っていたが、この熊の格好は多分それだけが目的じゃないだろう。特にこの色はどう見ても……。

「えへへ♪ それに、小狼くんがこの格好なら飛びついてもヘンじゃないもんね?」

「////っ!!」

 さり気なく言われたさくらの一言が、全てのモヤモヤを吹き飛ばしてしまった。

「…………さくらの笑顔が見られるんだったら」

 小さく呟いた小狼の声は、抱きついていたさくらの耳にだけ聞こえていた。

説明
ひょんな事からどうしてもクマの衣装を着なければならなくなった小狼。
最初は嫌がっていたけれど、着てみるとこれが意外と好評で……。
▼2012/02/28:作品を公開するアカウントを変更しました。
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