入国――ティナ=ソレイス
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 アクトティニア王国まであと少しだ。

 

 ティナは軽い着替えと医療用の道具が入ったバッグを片手に王国の東門まで来た。その門には王国の外見とは裏腹で、かなりの人集りがあった。

 

 恐らく私と同じ理由で来たものだろう。様々な種族の旅人や傭兵、勿論私と同じ医者の様な人もいた。そして、それは同時に数ヶ月いや数年間、もしくは一生こいつらと過ごす事になるのだなと、ティナはやれやれと心の中で思いながら人だかりの中へと、この「アクトティニア王国」の中へと私は進んでいった。

 

「これは、驚いた……」

 

 丘の上から見た風景とは違い、やはり復興の兆しを少しながら見えていた。その証拠としてメインストリートの周辺で市場が開かれていた。勿論その人達も王国の周りから来たのだろう。

いろいろな村や街を点々と拠点を移してきたティナさえも見たことの無い物品が所狭しと路上に展開されていた。

 

 そこの美人さんこの品を見てみな、これはとてもレアもの商品だよとか商人が一生懸命、流れる人と対決している様だった。

 

 生憎だが、私はそんな「無駄なもの」を買うほどお金を持ち合わせていない。最低限の資金で今まで過ごしてきた。例えお礼として貰ったとしても、直ぐに医療道具に変わってしまう。そうしたほうが私自身気持ちがいい。

 

「『人の命を救えるなら』ね……」

 

そう言ってるうちに、ティナは最初の目的地に着いた。

 

「お疲れ様です!!」

 

その目的地の中に入ると、受付のカウンター越しに太陽のような笑顔を持ち合わせた鼬獣人がそこにいた。

 

「すまないが、この王国で医者として貢献したいのだが、受付はここでよかったのか?」

 

「ええ、こちらで受付出来ますよ。兵舎もご利用になられますか?」

 

 私がその鼬獣人に尋ねると笑顔で回答し、専用の紙とペンを出してきた。

 

「兵舎もお願いしたい」

 

私は、キビキビとしたその態度に少々圧倒されながらもその用紙に書かれた事に目を通し、サインをした。

 

「ではこちらが兵舎の鍵です!」

 

鼬獣人はニコニコしながら鍵を私に渡してくれた。

 

「シエルです!」

 

 えっ、と声を漏らし兵舎へと向かうはずの足を止めた。

 

「王国専属メイドの『シエル』です!」

 

 

 こうして私の日々が始まった。

説明
プロローグから入国までのはなしです。
まだキャラが安定しないのは秘密です))
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BP ケモノ ドラゴン ファンタジー 

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