真・恋姫†無双〜二人の王佐〜第二章 第六話「賈駆の奇策<後編>」
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<注意>

この作品の桂花は一刀の妹という設定の為、恋姫シリーズでみられる一刀への罵声や毒は一切言いません。というよりもむしろ逆に甘えてきます。

それにオリキャラが何人も出てきます。一例として桂花の母や妹、華琳の母などまだまだ沢山出す予定です。

そしてキャラの仕官時期が違ったり所属が違ったりするかもしれません。(そのあたりはまだ未定です。)

あと一刀にオリジナル設定を設けていますので、恋姫シリーズの一刀とは身体能力や言葉遣いなど多少変わっています。ですが根本的な所は一緒のつもりです。

それと一刀には以前の記憶がありません。なぜ無いのかはそのうち出てきますのでそれまでお楽しみに♪

ですが一度読んでみてください!それで「おもしろい」と思ってさらに読み続けていただけたらうれしいです。

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<王佐の才>

『帝王を補佐するにふさわしい才能(武・智)又はそれを持つ者のこと言う。(辞書引用)』

これは、平和な世を作ろうと乱世を駆け抜けた双子の男女の物語である。

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呂布「月をいじめる奴らは許さない………だから…全員殺す…」

 

董卓軍兵士『うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!』

 

みんな『ヒィッ!?』

 

突如として現れた呂布はそう言うと凄まじいほどの殺気を放ちながら自らの部下たちを率いて一直線で袁紹のいる本陣目掛けて駆け出した。

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華雄「な、何故呂布がここにいるのだ!?奴は虎牢関の守備のはずだろう!!それなのになぜこの水関に来ているのだ!!」

 

張遼「そうや!一体どうなっとるんや!?誰か説明せい!!」

 

二人の反応を見る限り呂布が来ることなど知らされていなかった華雄と張遼は突然の事に驚き、そして混乱していた。だがそこに一人の兵士がやってきた。

 

董卓軍兵士「申し上げます!!」

 

張遼「なんや、お前は?」

 

董卓軍兵士「はっ!私は呂布軍の伝令係であります」

 

張遼「ちょうどいい所に来たな!どういうことか説明せい!!」

 

董卓軍兵士「はっ!まず、今回我々をこちらに来るよう命令したのは賈駆様です」

 

張遼「賈駆っちが!」

 

董卓軍兵士「はい、そしてここからが本題です。賈駆様から指揮権を渡された陳宮様よりお二人にはこのまま左右に分かれて呂布将軍の部隊の為の道を作ってほしいと言付かっております」

 

張遼「……………………なるほどな。わかったで!!」

 

華雄「なんだと!?張遼!貴様、袁紹の首を呂布に渡すのか!!」

 

張遼は少し考えたあと陳宮の考えを理解したようで素直に了承したが、華雄は納得できないといった感じだった。

 

張遼「ええやん別に?袁紹の首は恋に譲ってやればええ。そのかわりウチらはあの関羽と趙雲とかいうのをぶっ潰せばいいんや。それにや、今の恋は完全に鬼神状態だから巻き込まれんようにしないとアカンで?」

 

華雄「うっ…そうだな。あいつ我らの中で賈駆の次に董卓様に懐いていたからな。巻き添えを食らうのは勘弁だな。しかたない、それが得策か…」

 

張遼「なら早いとこ恋の為に道を作るでぇ!!伝令係、帰って伝えろや!!わかったってな」

 

董卓軍兵士「御意!!」

 

張遼「よっしゃぁぁーー!!やったるでーー!!!華雄は右、ウチは左や!!」

 

華雄「わかった!華雄隊、呂布隊の為に道を作るぞ!!進路変更!右へ敵を押し込めーーーー!!!!!」

 

華雄隊『応っ!おりゃーーーーーーーーーーーー!!!!!!!』

 

 

張遼「張遼隊も一気にいくでぇーーーーーっ!!!!!!

 

張遼隊『応っ!どおおおおりゃーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!』

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愛紗「なにぃ!?我らの兵が分断されてしまっただと!!」

 

星「くっ、こうなってはもはや策どころではないな…愛紗、私は左の兵達の救援に行く!!愛紗は右の兵たちを頼むぞ!!」

 

愛紗「止むを得ないか…星!!生きて桃香様の下で再び会おう!!」

 

星「ああ!!」

 

こうして二手に分かれた愛紗と星だったが

 

張遼「や〜っと見つけたでぇ♪」

 

星「ほぅ〜、どうやら私は当りを引いたようだな」

 

星の前には張遼が…

 

 

華雄「ようやく見つけたぞ、関羽ーー!!よくも私だけではなく我が主董卓様まで

愚弄してくれたな!!その罪、死んで償うがいい!!」

 

愛紗「能書きはいいさっさとかかってこい!私は急いでいるんだ!」

 

愛紗の前には華雄が待ち構えていたのだった。

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愛紗「(桃香様、どうかご無事で…この愛紗、必ず貴女様の下に駆けつけますゆえもうしばらくお待ちください…)」

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愛紗と星が華雄達と戦っている一方、袁紹軍と戦場の真ん中にいる桃香達は呂布の登場と董卓軍の突然の進路変更に部隊は混乱していた。

 

朱里「はわわ!?た、大変ですーーーーーー!!!」

 

雛里「あわわ!?華雄将軍と張遼将軍が左右に割れちゃいましたぁぁ!!!!!!」

 

桃香「ええぇーーーー!?どどどど、どうしよう!?このままだと呂布さんがこっちに来ちゃうよ〜〜!?」

 

白蓮「落ち着け桃香!!」

 

朱里「と、桃香様、それだけではありません!間違いなく向こうの目的は私達の後ろにいる連合の盟主である袁紹さんの首です。呂布さんの実力は黄巾党三万人を一人で相手にして壊滅させたほどの実力、このまま袁紹さんの首を取られてしまえばこの連合洛陽に到達する前に負けてしまいます!!」

 

桃香「そんな!?なんとかならないの朱里ちゃん、雛里ちゃん!?」

 

桃香が頼みの綱の朱里と雛里に聞いてみるが二人は首を横に振った。

 

朱里「申し訳ありません桃香様、私達にはもう打つ手はありません…」

 

雛里「愛紗さんも星さんも華雄将軍と張遼将軍に足止めされてしまっていますし、鈴々ちゃんも愛紗さん達のところに行ったきり戻ってきていません。なので今現在、我が軍には呂布さんと対等に戦える将はいないんです…」

 

桃香「そう、だったね…」

 

朱里「はい…だからもう私達にできることといえば、他の諸侯からの救援部隊が来るまで今の戦力で呂布将軍の部隊を食い止めるくらいしかできません…」

 

白蓮「我ら白馬隊も全力で食い止めてやる!」

 

桃香「ありがとう白蓮ちゃん!!よーし、ならそれまで頑張って時間を稼ぐよ!」

 

朱里・雛里「「御意です!!」」

 

白蓮「ああ!!」

 

二人の指示の下劉備軍と公孫賛軍は迫りく呂布軍にぶつかっていったのだった。

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〜袁紹軍〜

 

斗詩「大変だよ文ちゃん!!呂布さんが凄い勢いでこっちに来てるよ!!」

 

猪々子「なんだって!?でも何で虎牢関にいるはずの呂布が水関にいるんだ?」

 

斗詩「そんなの知らないよ〜〜!!わかってるのはこのままいけば間違いなく私達が呂布さんを相手しなくちゃいけなくなるってことだよ〜〜〜」

 

猪々子「マジで!!あたい一度でいいから飛将軍とまで謳われる呂奉先と戦ってみたかったんだ♪」

 

斗詩「文ちゃん!?」

 

猪々子「そんじゃあ後のことは任せたぜ、斗詩!」

 

斗詩「駄目だよ文ちゃん!!あんな化け物みたいな強さの人と戦ったら死んじゃうよ!!」

 

猪々子「大丈夫だって斗詩。危なくなったらちゃんと逃げるし、それにあたいは決めてるんだ!!死ぬなら絶対に斗詩のおっぱいの上でって♪」

 

斗詩「文ちゃんったらこんなところで何言ってるの!!」

 

猪々子「まっ、そういう訳だから心配すんなって♪そんじゃ〜な〜〜!!」

 

そう言って猪々子は自分の武器を持って前線へと走って行ってしまった。

 

斗詩「ちょ、ちょっと文ちゃん!?って行っちゃったよぉ〜〜。はぁ〜……って私もこんなことしている場合じゃないんだった!?早く姫にこのことの報告して下がってもらわないと!!」

 

若干お疲れ気味な斗詩は自らの主である袁紹の下に向かったのだった…

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〜孫堅軍〜

 

冥琳「一体どうなっている!!なぜ呂布が水関にいるのだ!!そんな報告は一言も聞いていないぞ!!諜報部隊は何をやっていた!!」

 

周泰「も、申し訳ありません!!ですが戦の開始の直前に忍びこんだ時には水関の中には呂布軍は居りませんでした!!」

 

冥琳「なんだと!?では奴らは最初から中にいたわけではなく、後からこの水関に来たとでもいうのか……緋蓮様!このままでは我らの総大将である袁紹の首が奴らに…」

 

緋蓮「ああ、このままではこっちの負けになっちまうわな。ちっ、しょうがねぇ。袁紹の奴を救いに行ってやるか!!それと雪蓮と冥琳は兵の半分を率いて開いている水関を落としてこい!!」

 

冥琳「御意!!」

 

雪蓮「お母様」

 

緋蓮「話しならあとにしろ雪蓮、私は忙しいんだ。お前もさっさと自分の持ち場につきやがれ!」

 

雪蓮「お母様。袁紹救援の役目、私にやらせてもらえませんか?」

 

冥琳「雪蓮!?」

 

緋蓮「なんだお前、呂布と戦ってみたいのか?だけどな、おそらく奴の実力は私と同等だ。今のお前じゃあ勝てないから止めておきな」

 

雪蓮「いえ、確かに呂布とは戦ってはみたいです。ですが、それ以上に私はあの場所に行かないといけない気がするんです」

 

緋蓮「ほう〜………もしかしてそれは勘か?」

 

雪蓮「はい、勘です」

 

緋蓮が雪蓮の目を見ると冗談や生半可な気持ちで言っているのではないことが伝わってきた。

 

緋蓮「そうか…………………わかった。ならお前は私の代わりに部隊を率いて袁紹の救援に向かえ。私は残りの部隊と共に空き家の水関を攻める。冥琳、お前は私と来い!!」

 

冥琳「そんな!?危険すぎます!!せめて私も雪蓮と共に袁紹の救援に!!」

 

緋蓮「冥琳、お前の友を心配する気持ちはわかるつもりだ。だがこいつも孫家のはしくれ。いつまでも私の後ろをついてくるだけでは困るんだよ。それにあいつが覚悟をもって行くって言ってるんだ。素直に行かせてやれ」

 

冥琳「ですが、相手はあの呂布なんですよ!!」

 

緋蓮「だからいいんじゃないか。それぐらいのことを乗り越えてもらわなければ孫呉の王になんぞできるものか!!」

 

冥琳「ですが!!」

 

緋蓮「くどいぞ冥琳!!」

 

すると先ほどとは態度が一変して緋蓮は冥琳を怒鳴りつけた。

 

冥琳「!?」

 

緋蓮「これは母である前に王としての命令だ。一家臣であるお前にとやかく言われる筋合いはない!!」

 

冥琳「は、はい、失礼しました…」

 

???「冥琳様!!」

 

???「ご安心を!!」

 

落ち込む冥琳が声を頼りに振り向くとそこにはいつの間にか二人の女の子が跪いていた。

 

冥琳「興覇、それに幼平…」

 

思春「たとえ何があっても我々が命をかけて雪蓮様をお護りしますのでご安心ください」

 

明命「そうです!!雪蓮様には何人たりとも近づかせません!!」

 

冥琳「………ふぅ、わかった。では雪蓮のこと、頼んだぞ」

 

思春・明命「「御意!!」」

 

緋蓮「終わったな?よし、それじゃあ三人とも行ってこい!!」」

 

思春・明命「「はっ!!」」

 

雪蓮「はい、では行ってまいりますお母様」

 

 

 

 

緋蓮「行ったか…」

 

冥琳「緋蓮様、申し訳ありませんでした…」

 

緋蓮「いや、娘をそこまで想ってくれるのは母親としては嬉しいことさ。だから冥琳、これからもあいつを支えてやってくれ」

 

冥琳「はい」

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〜馬騰軍〜

 

碧「ほう、虎牢関にいるはずの呂布がここまで下がってくるとはな。こりゃあ大変なことになったもんだ♪」

 

翠「お袋!何暢気なこと言ってるんだよ!?あたしたちも袁紹の救援にいかないとマズイだろが!!」

 

碧「ならお前が行けよ翠」

 

翠「へっ?」

 

碧「さっきも言ったろ?俺は今回一切手を出さないって」

 

翠「でもよ!!」

 

碧「それにほれ、あっちを見てみやがれ」

 

翠が碧の指差す方を見てみると、そこには雪蓮が部隊を率いて袁紹の下に向かう姿があった。

 

碧「あいつんところも自分じゃなくて娘が行っているぜ?」

 

翠「……わかった」

 

碧「おや、やけに素直じゃないか?」

 

翠「別に…ただ、確かにいつまでもお袋に頼りっぱなしっていうのも良くないと思っただけだよ」

 

碧「ほぅ、殊勝な心がけじゃないか。それじゃあ頼んだよ」

 

翠「ああ」

 

蒲公英「なら、たんぽぽも行く!!」

 

碧「駄目だ。お前はここで俺と待機だ」

 

蒲公英「えーーーっ!?そんな〜、お姉様が行くならたんぽぽも行っていいじゃん!!」

 

碧「駄目だと言ってるのがわからんのか!!」

 

ゴチン!!

 

蒲公英「いっ……たぁ〜〜〜〜っ…………」

 

碧「わかったな?」

 

蒲公英「は、はい…」

 

駄々をこねる蒲公英だったが、碧の拳骨の一撃を食らい、しぶしぶといった感じで諦めた。

 

碧「わかればいいんだよ、わかれば」

 

蒲公英「無理矢理に納得させたくせに(ぼそ)」

 

碧「何か言ったかい、たんぽぽ?」

 

蒲公英「い、いえ、何でもないです伯母様…」

 

碧「ならいい」

 

翠「はははは…それじゃあお袋、行ってくるぜ!」

 

碧「おう、行ってこい翠!!」

 

こうして馬騰軍も救援部隊を派遣したのだった。

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〜曹操軍〜

 

 

華琳「くっ、董卓軍にしてやられたわ!!今麗羽をやられるわけにはいかないのよ…春蘭と季衣、それと凪、沙和、真桜、貴女達救援に向かいなさい!!」

 

春蘭「御意!!」

 

季衣「はい!!」

 

凪「御意です!!」

 

沙和「御意なの〜!!」

 

真桜「御意や!!」

 

そう言うと

 

華琳「桂花、貴女のところの美雷の部隊はすぐに動けるかしら?」

 

桂花「大丈夫なはずよ」

 

華琳「そう、なら春蘭達と一緒に行ってもらえるかしら?」

 

桂花「しょうがないわね…」

 

武将達と桂花が出て行くとこの場に残ったのは華琳と秋蘭、そして茉莉と親衛隊の典偉だけになった。

 

茉莉「華琳様、申し訳ありませんでした…」

 

華琳「あら?どうして貴女が謝る必要があるの?途中までは貴女の考え通り、劉備は華雄と張遼を挑発していたでしょう?」

 

茉莉「ですが、その後の華雄達を袁紹の軍にぶつけようとしたり、呂布の奇襲などを私は読むことができませんでした…」

 

茉莉はうなだれながら呟いた。

 

華琳「そう思うのなら、次の戦では良い結果を残せるよう努力なさい」

 

茉莉「は、はい!!華琳様のお役に立てるようがんばります!!」

 

華琳「期待してるわよ茉莉」

 

茉莉「御意!!では私も春蘭達と共に行ってまいります!!」

 

そう言うと茉莉は部屋から出て行った。

 

 

華琳「ふふっ、茉莉ったらあんなに張り切っちゃって」

 

秋蘭「どうやら茉莉は軍師として桂花に負けたくないといった感情を持っているようですからね。桂花が自分よりも正確に相手の計略を読んだのが悔しかったのでしょう」

 

華琳「そうね。それにしても…董卓軍の連中、ものの見事に桂花の考えていた策で来たわね。本当に驚いたわ」

 

秋蘭「…私も驚きました」

 

華琳「最初聞いた時はありえないとすら思ったわよ。“あんな成功するかも不確定な計略”なんて…」

 

 

 

〜回想〜

 

桂花「わかったわよ。私だったら戦力をわざわざ分散させないでほぼ全軍で一つの関、今ならこの水関で連合と戦うわね」

 

茉莉「やっぱアンタ馬鹿なの!?そんなことしたら虎牢関はどうするのよ!!空にでもする気?それに全軍が水関に入れるわけないじゃない!!よくて半分よ!!」

 

桂花「そんなのアンタに言われなくてもわかってるわよ。だから“ほぼ”って言ったでしょう?」

 

華琳「なるほどね、まずは部隊をそれぞれ水関と虎牢関の二つにに分ける。そして武将は水関に華雄と張遼、虎牢関に呂布を置いておく」

 

秋蘭「その後、連合接近の知らせを受けたら呂布と虎牢関の兵のさらに半分を水関に向かわせて油断した連合を叩く、ということか……理屈だけで考えれば奇襲としてこれ以上はない打撃を相手に与えられる策だな」

 

春蘭「???」

 

桂花「そういうことよ。それに、もしそこで不足の事態が起きたのなら虎牢関に引いて当初の予定通り籠城すればいいことだけよ」

 

茉莉「そ、そんなの成功するわけないじゃない!!たとえそうだとしても虎牢関から来た兵たちは疲れて実力の半分も出せないはずよ!!」

 

茉莉は何とか桂花の策の穴を探そうと必死になっていた。

 

桂花「それは水関に着く寸前にしっかり休んでから来ればほぼ全力で戦えるはずよ。それに始めに言ったでしょ?これはあくまで私があの董卓軍の軍師だった場合の仮定の話しだって?おそらくこれを本当に実行するためにはその時にならないとわからない問題もあるだろうから私でさえ本当に実行するかどうかはその時の状態次第で決める策よ」

 

華琳「そうね。真っ当な軍師だったらそんな策は取らないわね。私でも実行するかどうか…」

 

茉莉「ですよね!!ほら見なさい!!華琳様だってアンタの考えた頭のおかしい策なんて採用するわけないのよ!!」

 

桂花「はいはい、そうですね。私が華琳に策を授けることなんて無いと思うから別に構わないわよ」

 

茉莉「なんですってーーーーー!!!!!」

 

華琳「わざわざ桂花に噛み付かないの茉莉」

 

茉莉「は、はい…」

 

華琳「とにかく何が起きても対応できるよう、各自の部隊は準備を整えておきなさい!!」

 

 

みんな『御意!!』

 

 

〜回想終了〜

 

 

 

華琳「もし、あの時…桂花の計略を視野に入れて行動していたら、もしかしたらここまで大事にならなかったかもしれないわね…」

 

秋蘭「それは仕方がありません。あのような計略、普通ならばまず考えつきさえしないものですから」

 

華琳「でもあの娘、桂花は思いついたわ。そして見事に向こうの手の内を読んで見せた…」

 

秋蘭「はい、それには私も素直に関心しました」

 

華琳「やっぱり欲しいわね。あの娘…」

 

秋蘭「ですが…」

 

華琳「わかってるわよ。あの娘の仕える相手は生涯ただ一人、一刀だけ…ただちょっと言ってみただけよ」

 

秋蘭「はい…」

 

華琳「(一刀、貴方今どこにいるのよ…)!?」

 

華琳が一刀のことを考えていたその時、一瞬だが華琳は寒気を感じた。

 

秋蘭「華琳様?いかがいたしましたか?」

 

華琳「な、なんでもないわ。それよりもやっぱり秋蘭、貴女も救援に向かいなさい。それで本当に危なくなったら麗羽を放って退避してきなさい」

 

秋蘭「よろしいので?」

 

華琳「構わないわ。まだこんな所で貴女達を失うわけにはいかないのよ」

 

秋蘭「華琳様……わかりました。この夏侯妙才、必ずや皆を無事に連れ帰ってみせます!!」

 

華琳「頼んだわよ」

 

秋蘭「御意!!」

 

華琳「さっきの悪寒はなに?これから何が起きるっていうのよ…」

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茉莉「………」

 

茉莉「(桂花、アンタなんかに絶対に負けないんだから!!)」

 

実は茉莉がこの会話を天幕の外から聞いていたことに、華琳と秋蘭は不覚にも気が付いていなかったのだった…

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桂花「というわけで美雷、貴女は春蘭達と一緒に麗羽の救援に行ってもらうわ」

 

美雷「了解だよ♪…」

 

桂花「…美雷!!」

 

美雷が自ら武器をもって出撃しようとした時、桂花はおもむろに美雷を引き止めた。

 

美雷「何、桂花ちゃん?」

 

桂花「これ、御守り代わりに持っていきなさい!!」

 

すると桂花はある物を美雷に手渡した。

 

美雷「えっ!?でもこれって…」

 

桂花「そうよ。それはお兄様の黒牙刀よ」

 

なんと桂花が美雷に渡したのは一刀が子供の頃から使っていた武器、黒牙刀だった。

 

美雷「いいの?」

 

桂花「もちろん貸すだけよ!か・す・だ・け!!生きてちゃんと返しに来なさい!!」

 

美雷「うん、もちろんわかってるよ。ありがとう桂花ちゃん♪」

 

桂花「な、ならいいわ/////」

 

相手は兄同様鬼神と恐れられ、飛将軍とまで言われる呂奉先。間違いなく実力以上の相手と戦う美雷の身を案じた桂花のできる精一杯のことだった。

 

美雷「それじゃあ行ってくるね!!」

 

桂花「死ぬんじゃないわよ…」

 

そして桂花は美雷の後ろ姿を眺めながら無事を願ったのだった…

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そして場面は戦場に戻る

 

白蓮「くっ、我が軍はもう限界だ」

 

朱里「はわわ!?と、桃香様!!我々の軍もこれ以上は持ちません!!」

 

桃香「そんな!?諸侯の人達の救援はまだ来ないの?」

 

雛里「あわわ、ま、まだ駄目です〜!!みなさんこちらに向かってきているようですが到着まではもう少し時間が…」

 

桃香「そ、それじゃあ…」

 

???「……見つけた」

 

四人「「「!?」」」

 

桃香、朱里、雛里、そして白蓮の四人は前方からの声に言葉を失った。なんと突然目の前の兵達が吹き飛び、そこから紅い髪の女の子が大きな戟を持ってやってきたのだ。

 

???「……お前が袁紹か?」

 

桃香「ち、違います。…わ、私は劉備…です…」

 

???「……違うのか。お前は?」

 

白蓮「こ、公孫賛…だ」

 

???「……こいつも違う」

 

桃香「と、ところで…あ、貴女は?」

 

???「……呂奉先」

 

四人「「「!?」」」

 

呂布「……でもお前とお前、この部隊の大将みたいだから……殺す」

 

呂布は桃香と白蓮を指差して言った。

 

四人「「「!?」」」

 

呂布「……死ね」

 

鈴々「そうはさせないのだぁー!!!!」

 

呂布「………無理」

 

 

スカッ!

 

 

鈴々「避けられたのだ!?」

 

戻ってきた鈴々が死角から呂布に攻撃をしたが呂布には見えていたのかあっさりと避けてしまった。

 

桃香「鈴々ちゃんっ!!」

 

鈴々「お姉ちゃん達無事かーー?」

 

桃香「う、うん。ありがとう鈴々ちゃん!!」

 

白蓮「助かったぞ鈴々!!」

 

朱里「助かりました〜」

 

雛里「あう〜、ありがとうございます」

 

鈴々「そんなことよりお姉ちゃん達は早く下がるのだ!!」

 

桃香「でも鈴々ちゃんを置いていくなんてできないよ!!」

 

鈴々「鈴々は大丈夫なのだ!!だからお姉ちゃん達は早く!!」

 

白蓮「桃香、鈴々の言う通りにするんだ。それに私達がいると逆に鈴々の足を引っ張ることになる」

 

桃香「う、うん…」

 

桃香、白蓮、朱里、雛里は残った兵と共に下がっていった。

 

呂布「……なんだお前?」

 

鈴々「鈴々は張翼徳なのだ!!」

 

呂布「……お前も恋の邪魔をするのか?」

 

鈴々「もちろんなのだ!!」

 

呂布「……そうか。なら来い。…相手してやる」

 

鈴々「にゃにおー!!」

 

 

ブン!!

 

 

呂布「……遅い」

 

鈴々「にゃにゃ!?」

 

鈴々のけっして遅くはない蛇矛の一撃を呂布は軽々と避けて見せた。

 

鈴々「ならこれならどうなのだーーーー!!!!」

 

 

ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ!ビュンッ

 

 

鈴々は連続の突きを繰り出した。しかし

 

呂布「……だから無駄」

 

鈴々「にゃ!?」

 

呂ふは鈴々の攻撃を全てかわし、なおかつ最後に突き出された蛇矛を掴んで振り回した。

 

鈴々「め、目が回ったのだ〜〜〜」

 

呂布「……お前の実力はもうわかった」

 

鈴々「よ、ようやく治ったのだ…って、な、なんだとー!!」

 

呂布「……お前じゃあ、恋には勝てない。……諦めろ」

 

???「なら我々も混ぜてもらおうか!!」

 

呂布「……誰?」

 

愛紗「劉備軍所属、関雲長!!」

 

春蘭「曹操軍所属、夏侯元譲!!

 

秋蘭「同じく夏侯妙才」

 

季衣「許緒だよ!!」

 

凪「楽進と言います!!」

 

真桜「李典や!!」

 

沙和「于禁なの〜!!」

 

美雷「鐘会だよ♪」

 

呂布「……沢山来た」

 

なんと鈴々の前に立ち塞がったのは愛紗と曹操軍の武将達だった。

 

鈴々「愛紗ーー!!!」

 

愛紗「無事だったか鈴々!!それで桃香様達は?」

 

鈴々「お姉ちゃん達は逃がしたから大丈夫なのだ!!」

 

愛紗「そうか。よかった〜」

 

鈴々「愛紗、星はどうしたのだ?」

 

愛紗「いや、途中で別れたからわからん。だが、奴なら大丈夫だろう」

 

鈴々「そうなのか〜」

 

呂布「……もういいか?」

 

愛紗「あ、ああ、待ってもらってすまなかった。」

 

呂布「……なら来い」

 

呂布が武器を構えると愛紗達も武器を構えた。

 

鈴々「愛紗、気をつけるのだ。悔しいけど鈴々一人じゃ呂布には歯が立たなかったのだ…」

 

愛紗「何!?呂奉先、それほどなのか…」

 

呂布「……一人ずつの相手は面倒、だから全員まとめてかかって来い」

 

春蘭「ふん!そんなもの、やってみなくてはわからないだろう!!いいか、お前達は絶対に手を出すなよ!!」

 

春蘭「呂奉先、我が大剣の血錆となれぃ!うおおおおぉぉぉぉーーーーーーっ!!!」

 

呂布「……何、それ?」

 

 

ガキンッ!!

 

 

春蘭「なにぃ!?私の一撃を軽々と受け止めただとぉ!!!」

 

なんと呂布は春蘭の一撃を片手で持った戟で受け止めていた。

 

愛紗「ならば今度は私が相手だ!!」

 

呂布「……今度はお前か?……ならお前は邪魔だ。あっちいけ」

 

 

ゴスッ!

 

 

春蘭「ぐはっ!!」

 

秋蘭「姉者ぁぁぁーーーーーー!!!!!!!!!」

 

すると次に来る愛紗に備えて邪魔な春蘭を強力な蹴りで吹き飛ばした。春蘭は吹き飛ばされ地面に転がっていき、それを秋蘭が追いかけた。

 

愛紗「遮るものがなくなって好都合だ!!いくぞ、でぇぇりゃあああぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」

 

呂布「……遅い」

 

愛紗「なにぃ!?……うぐっ!!」

 

愛紗の攻撃を横に避けた呂布はそのまま肘打ちを愛紗の腹に叩き込んだ。

 

鈴々「愛紗ぁぁぁーーーーー!!!!」

 

秋蘭「くっ、ならば全員で一斉攻撃だ!!!真桜!!美雷!!」

 

真桜「はいな!!突き抜けろ!地竜螺旋撃ーーーーーっ!!」

 

美雷「はああぁぁぁーーーーっ!!!!!」

 

呂布「……全然遅い」

 

秋蘭「今だ!!全員一斉攻撃だ!!はっ!はっ!はっ!!」

 

季衣「いっけぇぇぇぇーーーーーー!!!」

 

凪「猛虎蹴撃!!」

 

沙和「えと、えと…そうだ!これでもくらえなの〜双剣投げーーーーー!!!!」

 

 

真桜と美雷の近距離攻撃で体勢が崩れたその隙を秋蘭、季衣、凪、沙和の遠距離攻撃で狙った。その連続攻撃は凄まじく、大きな音を立て砂煙が舞い呂布を隠したほどだった。

 

秋蘭「やったか?」

 

呂布「……だから無駄」

 

秋蘭「なっ!?こ、これでも駄目なのか……」

 

だが砂煙が晴れて中から出てきたのは秋蘭の放った矢を掴み、季衣の鉄球を踏みつけ、双剣を弾いていた呂布の姿だった。当然その姿はさっきと同じでかすり傷一つついていなかった。

 

呂布「……全員の強さはわかった。…お前たち全員弱すぎる。恋の相手じゃない」

 

春蘭「うっ!な、なんだと!!私はまだ戦え…」

 

春蘭は剣を構えるが呂布は興味なしといった感じで見つめて

 

呂布「……だからもう終わりにする。……お前達全員殺して月を一番いじめる袁紹の首を取りにいくことにする」

 

終了宣言をした。

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全員『!?(ゾクッ)』

 

呂布が一言言った直後、彼女から尋常ではない殺気が春蘭達を襲った。

 

愛紗「くっ!!強さの次元が違いすぎる…」

 

鈴々「マズイ、のだ…」

 

春蘭「こ、ここまで実力の差があるのか…」

 

秋蘭「ど、どうすればいい…」

 

愛紗、春蘭はダメージがあるものの、大量の汗が噴出すだけでなんとか耐え、鈴々と秋蘭は武器を手放さなかったものの殺気で動けず、他の者達に至っては武器を落とし、なおかつ…

 

季衣「だ、だず…げで…」

 

季衣は泣きじゃくり

 

凪「む、無理だ…勝てっこない…こんな人に戦いを挑もうなんて間違ってたんだ…そうだ…」

 

凪は膝から崩れ落ちて何か独り言を話し始め

 

真桜「あかん…もう走馬灯が見えてきたわ…」

 

真桜は遠くを見つめ

 

美雷「こ、怖いよ……」

 

美雷は自らの体を抱きしめながら震え

 

沙和「…………」

 

沙和は涙を流し立ったまま気絶していた。

 

呂布「……まずはお前達から」

 

鈴々・美雷「「!?」」

 

すると呂布は一番端にいた鈴々と美雷に向かっていき、戟を振りあげた。しかも鈴々と美雷はまだ呂布の放った殺気で身動きが取れなかったのだった。

 

すると、

 

愛紗・春蘭「「そうはさせるかぁぁ!!」」

 

春蘭と愛紗が飛び出して春蘭が美雷を、愛紗が鈴々を抱きしめた。

 

鈴々「愛紗!?」

 

秋蘭「姉者!?」

 

美雷「春蘭様!?」

 

春蘭「くっ!せめて他の者達だけでも華琳様のところに返さなくては!!秋蘭!!後は頼んだぞ!!」

 

愛紗「鈴々、桃香様によろしく言っておいてくれ…」

 

秋蘭「姉者ぁぁぁーーーー!!!」

 

鈴々「愛紗ぁぁぁーーーー!!!」

 

美雷「春蘭様ぁぁぁーーーー!」

 

呂布「……なら四人ともまとめて死ね」

 

呂布は勢いよく戟を振り下ろした。

-16ページ-

ビュンっ!!

-17ページ-

 

 

 

 

一刀様…

 

 

 

 

 

-18ページ-

 

 

 

 

…助けて

 

 

 

 

 

-19ページ-

 

 

 

 

ガキンッ!!!!!

 

 

 

 

 

-20ページ-

 

 

 

 

呂布「!?」

 

 

 

 

-21ページ-

 

美雷「……あれ?」

 

美雷は来ると思われた衝撃が来なかったので恐る恐る目を開けてみた。するとそこには…

-22ページ-

???「ふぅ〜、間一髪だったな」

 

そこには男が立っていた。

 

呂布「………お前、誰だ?」

 

???「俺か?俺の名は…」

-23ページ-

 

 

 

 

「荀天若だ」

 

 

 

 

-24ページ-

荀鳳こと一刀が白い外套を羽織って呂布の一撃を受け止めている姿がそこにあったのだった。

-25ページ-

 

美雷「一刀…様」

 

一刀「ただいま、美雷」

 

ついに一刀がみんなの下に帰ってきた瞬間だった…

 

-26ページ-

〜あとがき〜

 

今回のシチュエーションはいかがだったでしょうか?なんだか自分で書いておいてなんですが、すごく都合が良すぎる気がします……でも、一刀だったら仲間がピンチに陥ったなら必ず駆けつけると思うので悔いはないです。

-27ページ-

〜次回予告〜

 

ついに帰ってきた一刀。その知らせを受けて喜びに沸く袁紹と一部の曹操軍。そして一刀の登場で水関の攻防戦も終わりを迎えるのだった…

 

〜次回[真・恋姫†無双〜二人の王佐〜]第二章 第七話「帰還」

 

『覚醒と修行を得て一周りも二周りも成長した一刀の勇姿をとくと見よ!!』なんてね♪

 

 

それではまた次回!

 

説明
前回のおさらい

ついに始まった水関攻防戦。先鋒の劉備軍が計略で華雄と張遼を落としいれようとした瞬間、なんと虎牢関にいるはずの呂布が現れたのだった…


拙い文ですが最後までお楽しみください。
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コメント
これは・・・続きが楽しみすぎる!(イーグル)
記憶喪失で状況分らぬまま助けてくれる流れかと思ってたが・・・だがそれもいい。(ボンちゃん)
おお!これは燃える展開ですねえ!次も楽しみです。(ZERO&ファルサ)
うん、この展開は正しい。正しいんだけど…正義なのは恋のほうだからなぁ。董卓側からすれば「何してくれてんの!?」状態ですよねこれ。一刀いなければ多分麗羽討ち取って勝ててたでしょうし(吹風)
流石は一刀、スキル『主人公』持ちは違うなwww(アルヤ)
一刀キターーーーーーーーw(ロードスネーク)
主人公キタ━(゚∀゚)━!孫堅・馬騰・呂布という次元違いの強さを持つ猛将のいる泗水関においてどんな活躍をするのか楽しみです。(シグシグ)
最高のタイミングで一刀君登場、いや〜まってましたよ。(神木ヒカリ)
やばい!!この展開は燃える(VVV計画の被験者)
凪がベジータ化したW  恋「バケモノ?違う 恋は悪魔・・・」(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
この展開好きすぎる!(きさらぎ)
お約束な展開ですが、それがイイ。次回に期待ですね。一刀の立ち回り方に。(しゅう)
つ・・・続きを早く・・・恋との戦いとかすgく楽しみですぞ〜〜〜(氷屋)
さて、今後のフラグは?まあ、ここで何人かのフラグはたったよね♪(etyudo)
燃えますね〜。(readman )
タイミングを待っていたかのような出方。これが主人公というやつか。(陸奥守)
まさに危機一髪! 主人公がどれくらい強くなったのかすごく気になります(黒天)
ついに主人公が帰ってきたヽ( ´ー)ノ (desgod)
おーぅ。なんてパニック状態\(^o^)/そしてやっときた白い人( ´ ▽ ` )ノ待ってたよ。(スーシャン)
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真・恋姫†無双 連合軍VS董卓軍 後編 

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