全ての終焉 5
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第5話『魔法の危険性』

 

〜ネギの部屋〜

 

 

明日菜さんの夢話を聞くためにワクワクしていた。

もし、僕の思った事が合っているなら、間違いなく的中する。

違うなら別にいい。

 

「ネギが出てきた夢よ」

「僕の?」

「ネギ君の?」

 

木乃香さんの言葉に頷く明日菜さん。

僕の夢? もしかして、木乃香さんと同じような事なのかな?

推測に考えていたら、明日菜さんはちょっとだけ頬を赤く染めて言う。

 

「この夢って私が攫われて変なおじさんに恥ずかしい服を着せられるのよ」

「それってどんなおじさんなんですか?」

「確か……最初にヘって言ってたわ」

「……そうですか」

 

やっぱり、おじさんってヘルマンかも知れない。

そんな状況になったのはそれしか覚えていない。

 

「ネギ?」

「ネギ君?」

 

2人にどうしたのかというような不安な表情で僕を呼ぶ。

僕は考えていた事を頭の奥にしまい、明日菜さんに話を続けさせる。

 

「いえ、続きをどうぞ」

「わかったわ。着せられると言っても気絶させられてるからしょーがないんだけど、

木乃香達も攫われ、何か水みたいな液体の中に閉じ込められてるの。

私は両手首と両足首に拘束するような道具で縛られてた。

その後、いきなり話が飛んでネギに……キスされるの」

 

最後の言葉に顔が赤くなる明日菜さんを見た後、考える。

ヘルマンの時の状況そのものだけど、小太郎いや、狼小僧がいないし、

助けた後は明日菜さんに近づいてもキスなんてしてない。

う〜ん、ますますわからなくなったぞ?

 

「それって只の夢やないん?」

「それはそうなんだけど、気になってね」

「どうしてですか?」

 

明日菜さんの言葉に気になった僕は問いかけてみた。

難しく表情を硬くした明日菜さんが答える。

 

「ネギが来る前も似たような夢を見たのよ」

「似たような?」

「その辺は覚えていないけど、髪型がネギに似てるぐらいしか覚えてない」

 

髪型が僕に? 父さんがいるときの夢?

僕が来る前にその夢か……。

意味はあるんだろうけど、

 

「そうですか、お話ありがとうございます」

「何か意味があるんやろうか?」

「あまり気にする必要はないですよ? 夢ですから」

 

「そうね」

「そうやな!」

 

そう返事をした二人が明るくなっている。

そんな2人を見て、僕もその問題をどうでもいいランクにしておこう。

本当にそれでいいのか?ネギ。と言われても気にしない。

今の僕は僕の目的に動くだけだ。

 

「そういえば、魔法を教えてくれるんじゃないの?」

「それで、どこでするん?アイテムがあるって」

「ああ、それはですね、これです」

 

懐のポケットから水晶を取り出した。

中には建物があり、森や砂漠や氷河があった。

それしか確認ができない。

 

「この水晶の中に入ってもらいます」

「どうやって入るの?」

「入り口用の常時展開したいんですけど、どっかないですか?」

 

マスターも地下にずーっと貼っていた。

何のために貼っているか聞いたら「その方が便利だから」と答えてくれた。

別にずーっと貼らなくても良いけど、後が面倒とか。

木乃香さんはう〜んと唸った後、何か閃いたのか僕に

 

「ネギくん、テーブルどかすん手伝ってくれへん?」

「いいですけど……えい!」

 

僕は木乃香さんの言われたテーブルを魔力の風だけで2Mぐらい浮かせた。

でも、こんなところに貼るのは無理な気が。

そう思っていると、木乃香さんが地面を10回ほど擦るとボタンが出てきた。

 

「これを押すと不思議な事に地下があるんや」

「「えええええええ!?」」

「って何で、明日菜さんが驚いてるんですか?」

「私も知らなかったのよ!!」

 

明日菜さんだけが知らなかったのか。

地下の部屋ってどうやって作ってるんだ?

明らかに面積が違うだろうけど。

 

「どうやって地下なんて作れたのよ」

「魔法やろ?」

「あ、そういえば、そうとしか考えられないわね」

「それにこの部屋は元からウチが住む事になってたからおじいちゃんやろうな〜」

 

ああ、やっぱり、あの箒頭、妖怪長の仕業か。

前は無かったのになぜ?

自分の過去なのは確かなんだけど……。

自分の知らない裏事情などを知って戸惑っているネギだった。

 

「とりあえず、スイッチ押してみいへん?」

「駄目よ!」

 

楽しそうに言う木乃香さんを止めようとする明日菜さん。

どうせ、わかってるのに止める明日菜さんは心配性だな〜。

 

「スイッチ押しますね」

 

ポチっとな!

すると、魔法陣とは違う模様がスイッチを中心に展開する。

そこから奥へ続く階段があった。

奥を見るとちゃんと部屋並みの領域があると把握できる。

 

「これなら大丈夫でしょうけど、どうせなら踏まないようにテーブルがほしいですね」

「いつでも入れるようにするんやろ? それならいるもんな〜」

「テーブルなんてもうないわよ?」

「僕が盗……買ってきますよ?」

「今、さりげなく聞いてはいけないような単語を聞いたような〜」

「気のせいですって!」

「じゃあ、今度の休みに買物行こ〜」

 

今度の休み?

委員長の別荘に行く約束がある。

だぶってしまうからまずい。

 

「あの、木乃香さん、今度の休みに委員長さんの所に行く予定なので」

「ああ! そうや、委員長に貰えばいいんや!」

「それ、いいわね!」

 

どうやら、木乃香さんも明日菜さんも行く気満々のようだ。

それもテーブルを貰うだけの用事ってどこまで歪んでるんですか?

 

「とりあえず、今はこの状態でやるしかないですね」

 

僕は地面に水晶を置き、魔法陣を描く。

魔法陣の色が緑に輝いた。

明日菜さんが魔法陣をじーっと眺める。

 

「こうして見ると、魔法って便利よね」

「回復もできるんやろ? どうして皆に教えへんのかな〜」

 

明日菜さんと木乃香さんの疑問もわかる。

しかし、それを知ったから戦争が起こったと思う。

魔法は確かに便利だけど悪用する連中も世の中にいるから教えないんだと思う。

 

「魔法は便利ですが、犯罪に使われる恐れもあります」

「だからか〜」

「そういう規制がある影響って訳ね」

 

木乃香さんと明日菜さんが僕の言葉に頷いた。

それはそうと、水晶の調節をする。

調整中、水晶が光りだして中身が変わっていく。

その中身を覗く木乃香さんが僕に質問する。

 

「そういえば、この中って時間感覚とかどうなん?」

「確かに気になるわ。この中に入るって事は小さくなるって事でしょ?」

 

時間? マスターのは1時間1日だっけ……。

かなりうろ覚えだから全然覚えていない。

再構成設定は完了しているから、後は時間だけ。

どれぐらいにしようか?

 

「どれぐらいがいいですか? これの元は24時間で外の時間が1時間程度です」

 

明日菜さんと木乃香さんが首を傾げる。

できるなら2倍にはしたい。

ネギ自身、今まで鍛えた修行時間が明らかに今の年齢を余裕で超えている。

それほど苦労して強くなる必要があった。

ピースしてくる木乃香さんがこう言った。

 

「1時間に2日ぐらいでいいと思うんやけど」

「ああ、外の時間を忘れてしまうからそんなもんでしょ」

 

木乃香さんの言葉に賛同する明日菜さん。

外の時間の事を考える事を忘れていた。

でも、最初に考えていた時間と同じだったから

僕は木乃香さんの提案を実行する。

 

「外部60内部4800気象操作フリーダム設定、許可OK……」

 

魔法陣が赤く変わる。

綺麗やな〜。と木乃香さんと優しい表情でそれを見ている明日菜さんがいた。

この設定魔法がえらく面倒過ぎる。

対象の効果を書き換える事もできるけど、

時間がかかるから実戦向きとは言えない。

とか言いつつ、魔法陣の色が緑に戻り、魔法陣の中心に「end」と刻まれていた。

 

「よし、できました。入りましょうか」

「もう入れるん?」

「ええ」

「じゃあ、ネギくん!」

 

癖になってるのか木乃香さんが僕の右手を握り、魔法陣を踏む。

魔法陣が発動し、その場にいる3人が水晶の中へ消えた。

 

 

 

〜ネギの改変型時間の別荘(今後、ネギの別荘に省略)〜

 

 

僕と木乃香さんと明日菜さんがいた場所は木で出来ている家の前。

あれ? 転移場所ミスったか?

そんな事を思っていると、木乃香さんが周りを見回していた。

 

「すごい自然や〜」

「確かにすごいわ……」

 

圧倒されながらも眺めている明日菜さんだった。

中の範囲も広くしたから、強い呪文でも大丈夫。

僕の魔法は、なぜか広範囲へ巻き込んでいくんだよ。

それより、そろそろ魔法を教えなきゃいけない。

 

「明日菜さん、木乃香さん、魔法を教えますので見ててくださいね」

 

僕は杖を取りだそうとしたが、

あれ? 無い、どこに……って思い出した。

明日菜さんの記憶を消そうとした場所に置きっぱなしだった。

 

「ちょっと待ってくださいね」

 

2人の反応を見ずに左腕を上に向けて「杖よ」と呟いた。

杖がどこからやってきたのか飛んで僕の左腕の前に来た。

本当にどこから来たんだろうって前は不思議に思ったけど今になってね。

 

「その杖ってネギ君が背負ってた杖やろ?」

「そうですよ」

「どっからやってきたん?」

 

やっぱり、気になっていたのか。

この杖、僕と相性が良すぎるんだ。

木乃香さんにこの杖の事を説明をする。

 

「僕とこの杖はリンクしてますから、何処にあろうと関係なく呼べば、

持ち主である僕の所に来るって所です」

「リンク?」

「そのままの意味です。この杖に僕の魔力を同調させてます」

 

その件について、おかしい事がある。

僕はこの杖に、同調させる行為すらやってもいない。

逆行してきた時に向こうにあった杖も一緒に流れてきたのか?

僕の魔力も一緒に流れるからその影響か?

そんな疑問を考えていると、木乃香さんが僕に迫った。

 

「ネギくん、魔法を教えて〜」

「わかりました」

 

未知の能力を身に付けられるのが嬉しいとはしゃぐ木乃香さんを見る。

もう習いたいという思いが伝わってきたのでそんな考えは無視する事にした。

 

「まずはお2人に杖を渡しますね」

 

30センチぐらいの杖を2人に渡す。

受け取った木乃香さんが杖を持って何か構えたりしていた。

一方、明日菜さんは恥ずかしそうに木乃香さんのマネをする。

明日菜さんの恥ずかしそうな所を見れるなんて思いもしなかった。

 

「簡単な呪文からやりますね」

 

と明日菜さんと木乃香さんは僕の話を真剣に聞いていた。

その後、僕の説明に出た呪文を唱えて練習した。

 

 

「なかなか成功しないわね」

「明日菜、ウチはできるようになったで〜」

 

木乃香さんの言葉に明日菜さんが木乃香さんへ振り向くと、

木乃香さんの杖から火が出ているのを見た。

それを悔しくなり、やけくそで呪文を唱えると、火が噴出した。

 

「ええ!? って危ない」

 

明日菜さん、すごいな〜。

初級の呪文で火が1M以上噴いてた。まさに噴出だ。

その光景を見ていた木乃香さんも何回も繰り返して呪文を唱えた。

 

 

……色々省略して、別荘から一度出る事にした。

 

 

〜ネギの部屋〜

 

 

現実時間でまだ2時間経過しかしていなかった。

地下から階段を上って元の部屋に着いた。

 

「これ、どうすんのよ……木乃香」

「スイッチを長押しすると閉じるんや」

「そうなんだ……」

 

疲れていた明日菜さんがスイッチを長く押し続けると、

地下への階段が閉じていき、そこには初めから何もなかった状態に戻る。

ああ、こういう仕掛けだから誰にも気づかれないのか。

ネギは隠し地下の事をそう理解した。

 

明日菜さんと木乃香さんはあまりの疲れにソファーに寝転んだ。

なぜそんなに疲れているのか?

寝ていないからに決まっている。

2時間=4日間ずーっと修行していたからだ。

トイレやお風呂、食事、休憩時間以外は勉強や実践だった。

そのおかげで、今の明日菜さんや木乃香さんの実力がかなり上がった。

 

明日菜さんは気と魔力の同化を限界まで繰り返しと素振りなど。

木乃香さんは回復呪文を限界まで繰り返しと基本運動など。

 

繰り返しがあまりに多く体に負担が大きいが、実力もかなり上がる。

これで、マスター戦や小太……狼小僧戦は楽になる。

フェイトは実力を知られたくないため、それは後で考える。

とにかく、今後の出来事を狂わせることができるのは確定された。

 

「明日菜さん、木乃香さん、大丈夫ですか?」

「何が大丈夫ですか、よ! 問答無用にした張本人が言わないで」

「ネギくん、こんなに苦労せなあかんの?」

 

ぐったりモードになって、やる気が見えない2人を見る。

ふ〜ん、あれでも軽めだよ?

マスター何かもっとひどかったくらいだしな〜。

よし、ここは、っと僕は2人に忠告してやる。

 

「じゃあ、やめますか? やめるなら記憶を破壊しますが」

 

もちろん、そんな事をやる気はない。

記憶を破壊なんてだれが得すると言うのか?

 

「ウチは止めへん!」

「私もよ! あの夢も現実になったら嫌よ!」

「僕とキスする事ですか?」

 

半分冗談、半分悪戯のつもりで聞いてみる。

明日菜さんの反応が違った。

 

「ち、違うわよ! 別にキスはってそうじゃなくて、

あのおっさんに教わるのが嫌なの!」

「そうですか」

「明日菜、キスに関しては否定もせえへんな〜」

 

明日菜さんの方に近づいて問いかける木乃香さん。

問いかけられた明日菜さんが顔真っ赤にしながら言い訳をする。

 

「キ、キスなんて挨拶みたいなもんでしょ! 

それに、木乃香だって攫われてるじゃない!」

「水牢の中にやろ? 明日菜は変な服を着せられて恥ずかしいポーズやもんな〜」

「はぁ……」

 

明日菜さんと木乃香さんが言い争っている所を見て溜息を吐いた。

こんな調子で大丈夫なのか? マスターの弟子にするのはどうしようかな。

これからの事を企むネギだった。

 

 

 

 

 

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