全ての終焉 14
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第14話『魔法の教えと約束』

 

〜エヴァの家〜

 

 

 

僕たちはマスターの家へ来て座れる場所に座った。

何で別荘じゃないの?と疑問はあったがマスターの表情を見て言うのをやめた。

疲れた表情が見えたから思ったネギ。

 

「別荘は面倒だからここで十分だ」

「別荘ちゃうんや……」

 

「ここでも十分ですよ。今までの話をまとめましょうか」

「そうだな」

 

茶々丸さんがジュースを持ってきてくれた。

のどかさん、夕映さん、木乃香さん、明日菜さんと回ってきて僕。

配り終わった茶々丸さんはペコリと頭を下げて後ろに下がった。

何でマスターの分が無いんでしょうか?気にしてないようだから気にしません。

 

 

「エヴァンジェリンさんがここにいるのは父さんの呪いの影響でここにいます。僕の血を吸う事で封印を解こうとしていたみたいですね」

「それで解けるん?」

「解けませんよ? だって、僕の血は父さんより母親より何ですから」

「何だと!?」

 

やっぱり、この頃は知らないんですね。

色々と可笑しい事に気付いたのは魔法世界。

 

「僕から血を吸っても呪いなんて解けません」

「でも、今は解けてるんでしょ?」

「僕が解いたからです。後はエヴァンジェリンさんの自由でどうぞ」

「いいの?」

「制御は既にエヴァンジェリンさんに権限を移行させてますから」

 

確かにもう僕に権限はないが、再度発動させる事が出来る。

 

「ほう、ここから出られる訳だ」

「まあ、学園から出て行けるのは学校行事ぐらいでしょうね」

「……確かにそういう約束だったな」

 

約束なんてしたっけ?

 

「エヴァちゃん、私と木乃香に魔法を」

「近衛木乃香はわかるが、なぜおまえが?」

「私はネギのパートナーとして強くなりたいの」

「情が移ったのか?」

 

それを言われた明日菜さんが頬を赤く染めて僕を見る。

助けを求める様な視線だったため、僕がマスターのある部分を責めた。

 

「良いじゃないですか。あの時に了解したじゃないですか。

それに、エヴァンジェリンさんも暇だと僕は思います」

「誰も拒否などしていない。聞いただけだ」

 

そうなのか、聞いただけなんだ。

 

「のどかさんと夕映さんをどうしましょうか」

「私とのどかを?」

「僕が教えますか。初歩的な事なら教えられますので」

 

教えるという単語で木乃香さんと明日菜さんの表情が青くなった。

 

「アレが初歩なん?」

「どう見ても鬼そのものだと思ったけど」

「水晶の中で2日間寝ないで鍛えたぐらいかな?」

 

「やりすぎだ」

 

マスターはこう言うけど、僕の時は7日間ぶっ通しで魔法の練習をしてました。

この時間に帰る前は暇だったから時間を忘れて修行したら20年以上経ってた。

それを聞いていたのどかさんと夕映さんが青ざめていた。

 

「大丈夫ですよ、木乃香さんと明日菜さんの時はエヴァンジェリンさんに鍛えてもらうための前提の修行メニューしてましたから」

「前提やったん!?」

「道理でキツい筈だわ」

 

「それより、ネギ君、前に言った事覚えてる?」

「前?」

「ほら……デートの事や」

 

木乃香さん、いきなりですか。

そんな約束したかな……と記憶を探っていると

 

「「え?」」

 

のどかさんと夕映さんが驚きの声を上げる。

 

「覚えてますけど本気だったんですか?」

「キスまでしてんのに……」

 

わざとらしく頬を染めて体をくねらせる。

木乃香さんはこの状況を楽しんでいるように見えた。

 

「あの、ネギ先生?」

「何ですか?」

 

夕映さんが僕を視線で殺せるような視線で見てきた。

おかしくないですか? 何で夕映さんの気配がこんなにある?

 

「木乃香さんとキスしたんですか?」

「パ、パクティオーですよ」

「ああ!」

「それですか……」

 

のどかさんと夕映さんが考える素振りを見せた後、頷いていた。

だが、木乃香の言葉で

 

「仮契約外でもキスしとるよ?」

 

この場が凍った。

 

「ほう? やるじゃないか、ぼうや。さすがナギの息子なだけある」

 

皮肉を言いながらこの状況を楽しみながら笑みを浮かべるマスター。

茶々丸さんも何か観察する様な目を向けてきた。

 

「私もされたわね」

「ウチらが寝てる間、ネギ君にキスされたもんな」

「そうね」

 

記憶にないって!

もしかして、寝ぼけてる時か?

そもそも、いつしたんですか

 

「あの時の?」

 

あの時とは両側に明日菜さんと木乃香さんが寝ていた時の事。

それを思い出した僕は天井を見る。

 

「記憶にないんですが……」

「寝ぼけてたから覚えてる訳ないわ」

「ウチの胸を触ってた」

「木乃香、嘘を吐かないの!」

 

ちょっと怖い表情で明日菜さんが木乃香さんにハリセンで叩く。

どこから出したのか謎のハリセンに叩かれた木乃香さんが笑って誤魔化す。

 

「あはは……」

「あははじゃない!」

 

状況に飽きてきたマスターが呆れた表情で2人に伝える。

かなりしんどくなってきてる声色だからわかる。

 

「弟子に関してだが修学旅行後でいいだろ」

「そんなに遅いん?」

「今からだと思っていたのか? 準備もあるだろ」

 

下準備か、というかマスターは修学旅行の準備をしたいだけなんじゃ?

僕はマスターの事を理解していた。

学園の外に行けなかったからわかるけど。

 

 

「別にウチらはないんやけど?」

「うんうん」

「私がだ! これだから天然とバカレッドは」

「エヴァちゃん」

「誰がバカレッドだあああ!!」

 

ムッとなる木乃香さんが俯き、魔力と気の同化を使う明日菜さんが吠えた。

吠えると言うより叫ぶが正解。

それを感じたマスターが顔を顰めて直視する。

 

「咸卦法?」

「違うわよ、これはその咸卦法より負担がかかりにくい初心用だって」

「そんなものがあったか?」

 

魔力と気の同化は誰でもできる後の魔法です。

後でも未来に該当するから未来の魔法と言った方が良いよね。

 

「ありますよ」

「咸卦法より実はこっちの方がいいんです」

「気と魔力の同化、魔力と気の同化と呼び方はどっちでもいいです」

「効果は一緒だからな」

「それってめんどくさくないですか? 言い方が」

 

夕映さんが溜息を吐いていた。

言い方が紛らわしいと使いにくい魔法もありますね。

 

「統一すればいいと思います」

 

正当な回答をのどかさんが言う。

前もその回答を聞いた気がしたけど、面倒だから2つの言い方で良いじゃん。

と言う事で2つの言い方が世間に知れ渡った。

今からで言うと未来だから知れ渡る事になる。が正しいかも。

 

「のどかさんの言う通りですね。では、どっちにします?」

「咸卦法は気と魔力の合一と言うが」

「では、魔力と気の同化でいいと思います」

「魔力と気の同化ね」

「別名はないのか? ぼうや」

「咸卦法ジュニアとか軽量型咸卦法、ミニアルテマアーマーですね。

他にもありますが多いです」

 

他も色々あったが、ほとんどがどうでもよく没ばっかだ。

それほどつまらない名前が世界に広まっていた。

その世界は数年で滅んだけどね。

明日菜さんが頬を掻きながら呟く。

 

「言いにくい名前ばっかねえ」

「あれ? 明日菜の使う魔力と気の同化って咸卦法より弱いん?」

「使い手によるかも知れません」

 

ちなみに、僕が咸卦法を半分ぐらいの出力で使うと周りが迷惑になる。

反発し合って爆発を起こすからやりたくない。

ネギの魔力と気は6;4だからそうなるだけらしい。

 

「咸卦法を習わすか」

「魔力と気の同化じゃ駄目なの?」

「明日菜、咸卦法の方が強いんやで」

「だって……」

 

切なそうな表情の明日菜さんが僕を見る。

なぜ?

 

「なるほどな、だが坊やの言った通り、魔力と気の同化はミニアルテマアーマー。

咸卦法は究極技法だぞ」

 

魔力と気の同化は究極技法を負担を低くした長期戦用に変えている。

僕の知っている知識では、咸卦法は長時間不可能と言われている。

それを僕は明日菜さんに説明してあげたら、さらに悩む。

 

「長期戦の方が良いと思うけど、咸卦法は時間が短いけど強くなれるって事か」

「バカレッドにしては理解が良いのです」

「夕映……ネギ君の修行で魔法に関してだけは良くなってるだけや」

「滅茶苦茶失礼ね、木乃香」

 

失礼な事を言われた明日菜さんが顔を引きつっていた。

確かに学校の事じゃなく魔法の事だけ上昇した。

 

「魔法の射手の説明に入りますか」

「私も気になったわ」

「教えてくれへんかったな〜」

「魔法の射手とは?」

「サギタ・マギカは基本的な魔法攻撃」

「数が多いほど相手をボコボコにできる矢かな?」

「上級には効かないぞ」

「効いてるじゃないですか」

 

僕は目を細めて効いた人物をじーっと見た。

その人物でもあるマスターがちょっと悔しそうに顔をヒクヒクさせていた。

 

「だから矢なのですか」

「ぼうや、魔法の矢とか言ってたがあれは……」

 

「じゃあ、説明しますね。

これはあくまで僕の解釈ですから実際は違うかもしれませんがいいですか?」

「ふん、聞いてやろう」

「お願いします」

「ぜひ」

 

全員が頷いた。

未来知識じゃなく初歩的だけならいいよね?

一応、僕の魔法は未来の知識を含んでいるから。

一部の知識を除外して説明を始める。

 

「魔法の矢は魔法の射手より弱い段階のものです。

ぶっちゃけ、僕が編み出した呪文でもありますから、ほとんどの人は知りません」

 

威力が弱いから普通の人では扱いにくい説明だ。

 

「気になったんだけど光速詠唱短縮って何?」

「そのままの意味です。光速で詠唱を短縮するだけです。それをする事により短縮されます。

無詠唱じゃないから詠唱した時と同じ効力ですね」

「そんな簡単に無詠唱ってできるん?」

 

「普通はできない」

「技量が無いとできません」

「技量あってもできるか!」

 

当然、マスターの突っ込みが入る。

予想通りの突っ込みをしてくれたお礼として見せよう。

 

「じゃあ、僕が証拠見せてあげます。雷の暴風で」

「ネギ、止めて!」

「エヴァちゃんの家ぶっ壊す気なん?」

「何だと!? それほどの威力なのか?」

 

「エヴァちゃんも聞いたやん」

「詠唱時の雷の暴風じゃないのか!?」

「無詠唱で学園消し飛ぶって言ってませんでしたっけ? 

言ってなくてもわかると思ったのですが」

 

「そんなもん、わかるか!!」

 

大声で狼のように吠えるマスターがいた。

 

「1発撃ちましょうか!」

 

魔力をバカみたいな出力を掌に集まっていく。

 

「ネギ!」

 

明日菜さんの手が僕の溜めた魔力の塊に触れると消滅した。

消滅させた本人はポカーンとしていた。

 

「何が起こった!」

「エヴァンジェリンさんはご存知が無いんですか? 明日菜さんは……」

「ん?」

「魔法無効化能力者ですよ?」

 

疑問の答えをマスターの耳元で小さく呟く。

 

「はあ?」

「何、どうしたの?」

「本人は自覚してるのか?」

「全然してませんが」

「はあ……あのじじい、黙ってたのか」

「どうかしたん? エヴァちゃん」

「ん、待てよ?」

「どうしました?」

「どうやって鍛えるんだ?」

 

まず、そう思うよね。

僕も最初は迷ったけど別荘で鍛えてる時、

マスターが明日菜さんを氷漬けにさせてたっけ?

無効化できる魔法と出来ない魔法が存在する事を知った。

 

「魔法無効化を無効化させるアイテムがありますから、アイテム経由で通せば」

「なるほど……」

 

ヘルマンの持っていたアレもそうなんだよ。

僕はあれから調べてたら作れるって知ったから作った。

幸い、そのアイテムはなぜかポケットの中に入っていたというオチが。

 

「あの……」

「夕映さん?」

「説明は一体どこに?」

 

「そうでしたね、魔法の矢は魔法の射手より弱いが負担が無いため多く撃てる。

エヴァンジェリンさんに撃った真・魔法の矢は魔法の矢の強力版です」

 

魔法の矢は属性ではなく純粋な魔力の矢で属性も可能。

真・魔法の矢は属性を入れる事が可能だが、基本的に純粋な魔力。

効率が良いのはどちらにしろ、魔法の矢だ。

 

「魔法の射手より明らかに強かったわね」

「桜並木の所でクレーター作れるくらいやもん」

「使用者によっては魔法の射手より強力になります。

後、精霊の射手と言う者がありますが、これは物質より生命に効果がありますね」

 

破壊力と言うよりも相手の命を奪う方に有利な魔法。

破壊にも使えるが、魔力が低いと使い物にならない上級向き。

 

「魔法の射手 真・雷の矢は精霊の射手と同等の能力があって生命と物質両方適正がありますね」

「適正じゃなくて適応だと思うが?」

「適正や適応よりもっといい言い方があるえ」

「何ですか、それは?」

「対応や」

 

普通の答えに僕はため息を吐く。

まともな答えなんてこんな話題で出されると困るが。

 

「なるほど……」

「ややこしいな」

 

夕映さんとマスターが頷いた。

まあ、この魔法は未来の知識のだから当然だよ。

むしろ、真・雷の矢は破壊目的の魔法ですよ。

僕は本当の効果を教えなかった。

のどかさんと夕映さんに初心魔法を説明した。

 

「よくわかりました」

「魔法使いの道って遠いですね」

 

説明された二人が感想を述べる。

遠いのは認めるけど、初心レベルから上級になった人もいる。

そういえば、木乃香さんに借りた漫画の本にもあった。

その内容は語ったらイケない気がするからしない。

 

「今日の所は、これでお開きにしませんか?」

「そうだな。私も準備しなきゃいかんし」

「ウチも……な!」

 

僕の方にウインクしてくる木乃香さん。

やっぱりデートする気なんですか……

デートで何の出来事があるか前の状況を思い出した。

そこでフッと思い出した事を言葉にする。

 

「そういえば、明日菜さんの誕生日ですよね? 明日」

「ええ!? そ、そうよ」

 

何か一瞬だけ慌てていた。

誕生日をこの時まですっかり忘れていた。

明日菜さんの誕生日という言葉に反応した木乃香さんが提案してきた。

 

「ネギ君、今から明日菜の誕生日プレゼント選びに行かへん?」

「構いませんよ」

「それじゃあ、ウチ、一度寮に戻るからネギ君は駅前で待っててくれへん?」

「いいですよ」

 

木乃香さんが嬉しそうにマスターの家を飛び出した。

ああ、まだ修学旅行の通知が来ないのは何故?

そう思っていたが、今は木乃香さんと約束した場所へ影のゲートを展開。

 

「では、明日菜さん、夕映さん、のどかさん、気を付けて帰ってくださいね。

エヴァンジェリンさんもあまり行動は控えてくださいね」

「わかったから、早く行け」

「ネギ」

 

明日菜さんは僕を呼んだ。

何の用だろう。

僕はまっすぐ見ているが、明日菜さんが頭を横に振って

 

「何でもないわ。いってらっしゃい」

 

笑顔で言ってくれたので、僕も返す。

 

「いってきます」

 

明日菜さんにそう返した後、僕はのどかさんと夕映さんに手を振った。

のどかさんが小さく手を振ってくれて、夕映さんは頷いただけだった。

この差って何だろうとどうでもいい事を考えていたが、影のゲートに入り込んだ。

 

 

 

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