灰色の立派な魔法使い(マギステル・マギ) 第三夜 |
え〜と、何でこうなったんでしょうか?
ノアに殺されたかと思ったら、森の中に居て壊された筈の左腕が治ってたり、女の子が戦っていてピンチになっていたからイノセンスを使って鬼(?)達を倒して助けた女の子に、
「助けてもらった事に関しては感謝しますが、貴方が私の敵ではないという事にはなりません。」
いきなり剣を突き付けられてホールドアップ状態って・・・本当に前途多難だ。
邂逅の夜
一体どれくらい経っただろうか。軽く10分ほどこのままの状態な気がします。彼女を見ると、座ったままの状態で剣と言うより神田の持っている刀と同じ形な事に気付いた、それより服に目が入った。白いワイシャツに茶色のベスト、同じく茶色のネクタイにチェック柄のミニスカート。
どう見ても戦うための服とは思えなかった。僕の教団の服も特殊な加工をして破けない等の加工がしてあるのに、彼女の服にはそんな加工はされてないような気がした。それに見た事の無い紋章も施してあった。やっぱり彼女はエクソシストなのだろうか?いろいろと考えていると彼女が声を掛けて来た、
「あなたは何者ですか。さっきの腕は一体なんですか。・・・そして何処の所属ですか・・・」
行き成り幾つか質問されても困るけど言い返すと何言われるか分からないので、僕は素直に答える事にした。
「えっと、僕の名前はアレン・ウォーカー、エクソシストです。さっきのは僕のイノセンスで、所属は黒の教団です。」
そう答えると彼女は不思議そうに首をかしげた。何か変な事を言っただろうか?そして次に彼女が発した言葉に、僕は驚愕した。
「・・・イノセンス?・・・黒の教団?・・・誤魔化さないで下さい。そんなもの聞いた事ありません。」
イノセンスを・・・黒の教団を・・・知らない!!
そんなはず無い!あんな力を使えて、イノセンスを・・・教団を知らないはずが無い!真偽を確かめるため彼女から聞き出した。
「じゃぁさっきの衝撃波は何ですか!?イノセンスの力じゃないんですか!?貴方はエクソシストじゃないんですか」
「さっきのは気の力です。イノセンスとやらの力ではありません。それに私は京都神鳴流剣士です。」
僕は足場が無くなった様な感覚に捕われた。膝を付いて項垂れるしか出来なくなってしまった。まるで今までしてきた事を全否定された気持ちだ。
一体全体何がどうなっているんだ、僕は一体・・・どうなってしまったんだ・・・
さっきから動かない僕を見ていた彼女が声をかけて来てくれた。
「あの、大丈夫ですか・・・もしかして何所か怪我しているのですか?」
今はそんな言葉でもうれしく、僕は顔を上げて、
「・・・ありがとうございます。あなた、優しいんですね。」
そう言うと彼女は顔を伏せてしまった。
えっと、何か不味い事を言ってしまったのだろうか?だとしたら不味い!今も立場が悪い以上、これ以上悪くなったら不味い!
そう思っていると、いきなり顔を上げて、
「とっと、とにかく貴方をこのまま野放しにする訳にはせん!ここの責任者に会ってもらいますから私と来てもらいます、いいですね!」
一息で言い切った。唖然とするしかリアクションが取れなかったのはしょうがないでしょう。でも地獄に仏だった、今は頼れるのは彼女とその責任者しかいない気がした。
僕が頷くと彼女は立ち上がろうとしたら、すぐに座り込んでしまった。
「え、だっ大丈夫ですか!?」
「く・・・平気です・・・」
とても平気には見えない。僕は彼女が左足首を押さえているに気が付いた。僕は彼女が怪我をしていると気づき、しゃがんだまま背中を彼女に向けた。
「さっきので怪我したのでしょう。よかったら乗ってください。」
「・・・・・・いいのですか?」
「えぇ・・・どうせ他に行く所も無いですから、今頼れるのは勝手ですけど貴方しか居ません。だから僕に少しでも不審な所があれば切り捨てて結構です。」
コレは賭けだった。もし彼女が少しでも信用してくれていたら、僕は助かる可能性があるが、もし信用してくれていなかったら・・・このまま後ろからバッサリ・・・なんてこともありえる。
少し経ってから後ろで少し物音がした。やっぱり駄目だったかなぁ・・・と思って覚悟を決めたそのとき、背中に重みを感じて後ろを向くと、
「あっちに向かってください・・・真直ぐ行けば舗道に出ます。」
彼女が背中に乗って指を指していた。僕は無性に嬉しくなってしまった。彼女は少しでも信用してくれたから、正直泣きそうになってしまった。それを堪えて彼女を落とさないように立ち上がった。
「しっかり掴まっていて下さいね、いきますよ」
「は・・・はい・・・」
彼女は少しキョトンとしていたが、ちゃんと掴まってくれたので僕は指を指された方へ歩き出した。
しばらく歩いていたら舗装された道に出た。でも土やブロック石ではなく、コンクリートのようだった。少し珍しい気もしたが、あまり気にもせず遠くに明かりが在る方に向かった。その前に聞きたい事があったので彼女に聞いてみた。
「あの言いたくなかったらでいいんですけど、ここは何処なんですか?」
「??・・・ここは日本の麻帆良学院ですが、まさか知らないであそこに居たんですか?」
「えぇ・・・気づいたあそこに・・・って、ここ日本なんですか!?じゃぁもしかして近くに江戸も・・・って・・・へ?」
ここが日本だという事にも驚いたが、もっと驚いたのがそのマホラの町の風景だった。
大きな橋に、所々に見えるレンガ式の建物。囲うように存在する湖、遠くに島も見える。そしてとどめに大きな巨木・・・一体何処の国ですか・・・
「えぇ〜ともう一度聞きますけど、ここ本当に日本ですよね・・・イギリスとかフランスとかじゃなくて・・・」
「始めての反応はそんな感じですよね・・・この麻帆良学院は西洋魔法の日本支部みたいな所ですから。」
軽い気持ちで聞いていたのだが、少し気になった単語が入っていた。
「ん・・・へ?い、今・・・まっ魔法!?魔法って・・・っ!!」
橋の中心辺りまで来た時にいきなり数発の矢のようなものが空から降ってきた。とっさに後ろに飛び避けてかわしたがその矢は橋にぶつかると氷のように砕けてしまった。
僕は矢が飛んできたほうを見るとそこには・・・
「フッ流石にこの程度は避けるか、まぁ貴様を殺すには十分だ。なぁ侵入者?」
…飛んでいる緑の髪の女性と、その肩に乗った金髪の女の子だった。しかも女の子の方はとてつもない殺気を出していた。
僕の夜はまだ続くようだ・・・
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第三夜 邂逅の夜 | ||
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