龍の転生者と魔物達の転生記 一話目
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和洋中…世紀末の魔人達の中で魔法に位置するであろう術を用いて貼った多重の結界の中で少年は木刀を構えながら目を閉じながら眼前の敵をイメージする。

 

イメージするのは記憶の中にある剣士…神速の木刀使い『蓬莱寺(ほうらいじ) 京一(きょういち)』。使う流派は互いに同じ《法神流》。彼のイメージの中で京一が動き出すと同時に結界の中に佇む少年も目を閉じながら、また動き出す。

 

木刀を振るいながら少年が剣舞を舞う。だが、イメージの中では神速の剣士と何度も剣を交える。

 

暫くの間それを続けながら少年の手の中の木刀が落ちると同時にそのまま地面に倒れる。

 

「…負けたか…」

 

目を開けながら夜空に浮かぶ月を眺めながらそう呟く。龍斗に与えられた魔人達の技と術が使えるようになってから、前世の記憶に目覚めてから、何度か記憶の中の彼等と《力》を扱うトレーニングとして戦っているのだが、戦闘力で下位に位置するメンバーを除いて、今まで一度も勝てた試しがない。

 

一部の例を上げると、玄武の忍びには忍術に翻弄され、二人に分裂した空手家には力と数でねじ伏せられ、白虎の格闘家には此方の攻撃は全く通じず一撃で倒された。

 

「あー…この世界が『魔法先生ネギま!』の世界に似た世界だって分かったから、事件が起こる前に、せめて一撃くらい与えられるくらいにはなりたかったって言うのに」

 

それを理解したのは前世の記憶に目覚めてから…特徴的な巨大な大木とこの学園の『麻帆良』と言う名前で確信を得て、初等部に入学した時に知り合った後に2-Aの関係者になる友達に出会った時にピンポイントで英雄の息子が来る時期である事を理解した…。それが前世の記憶からの情報で、ここが『ネギま!』の世界だと告げていた。

実際にこの世界で起こるかどうかは疑問だが、それでも、人を殺せる力を持った者や化け物達が居る以上、魔人達の力を磨くのは間違いではないだろう。本来、彼らの力は誰かを護る為の物なのだから。

 

「やっぱり、圧倒的に経験の差か…」

 

純粋に『凶星の者』を倒した後の魔人達の実力を考えるのなら、勝てる訳が無いと言うべきだが…それでも、一撃くらいは当てたかったと言うのが彼の弁だ。

 

だが、並みの達人が一生の中で経験できるか出来ないかと言うレベルの命懸けの戦いを十代後半の年齢で一年間に渡って潜り抜けて来た彼等を相手に簡単に一撃も当てられる訳が無い。寧ろ、下位レベルのメンバーにさえ彼が勝てた時点でかなり成長していると言えるだろう。

 

一般生徒として入学した以上極力魔法使いには関わる気は無いが、自分の《力》を鑑みて見ると関わらずに居てくれる訳が無い。

万が一自分の力の一端でも知られてしまったら、万年人手不足らしい学園としてはなんとしてでも《裏》に関わらせようとするのは目に見えている。

 

抵抗する為の力とする為、理不尽をねじ伏せるだけの力を得る為に努力している訳なのだが、魔人達の様々な闘法を一度に会得するのは無理と判断し、無手の陰陽の古武術、剣術、忍術、そして、癒しの術を初めとする和洋中の術の会得を中心に行っている。

時折、遠距離の武器として風の銃使いや最強の五人の一人の弓使いや、巫女姉妹の妹の技も会得しようとしているのだが、そちらは後回しになっている。

 

「あとは…こっちか…」

 

ポケットの中から取り出したカードの束。異界王に渡された《バトルスピリッツ》のカードだ。その中には全属性と多種多様の種類のカードが揃っているが、その中の五十枚ほどをデッキとしている。

 

魔法と偽れるマジックは兎も角、流石にスピリットやネクサスを簡単に使っては…主にドラゴン等を呼び出してしまっては目立つので、残念ながらこれは使う時が来たらぶっつけ本番で使うしかない。

 

「まあ、それはそれとして…今日もやってみますか、『謎の忍者』ゴッコ」

 

そう呟いて取り出すのは青い忍び装束と『鬼の面』。骨董品店の店主の玄武の忍びの力と技術を利用しての魔法先生や魔法生徒、そして、侵入者達を相手にしての実戦訓練も兼ねた『謎の忍者ゴッコ』と言う名の鬼ごっこ。

…極力関わらないようにしていると言うラインから外れる気がしないでも無いが、イメージトレーニングだけでは限界が有ると判断した結果である。時折侵入者に警備の人員よりも先に接触できて戦闘経験は得られるから。

 

どうせタダ働きならば好きに使われるよりも、自由に動ける方が良いだろうと言う考えもある。

 

その忍者ごっこのかいが有ってか、記憶の中の龍の継承者『緋勇 龍麻』と玄武の忍び『如月 翡翠』の技と忍術には遠く及ばない物のそれなりに技術は上がっている。

 

武器は持たずに行動している実戦訓練の最大の理由は最も大きな事件が起こるであろう、原作開始の時期…中学二年の三学期までに実戦の中で魔人学園シリーズの主人公の『緋勇 龍麻』の流派『徒手空拳技・陽』の熟練度を上げる事。

魔人達の修行場よりは効率は落ちるだろうが、それ以上に安全性は此方の方が高いのだし、何よりここには『旧校舎地下』は無い。

 

「さてと…行きますか…。取り合えず、高畑先生にエンカウントしませんように…」

 

以前侵入者相手に実戦訓練していた時に出会ってしまった、無事逃げ切れたものの不審人物として捕まりかけたこの学園で上位の実力者の『タカミチ・T・高畑』にだけは当りたくないと祈らずには居られない。

まあ、鬼の面を被った忍び装束の者…どう考えても不審人物だし、この姿も『鬼道衆』の下忍を意識しているし、当然の反応の一種だろう。

 

さて、こうして、この物語の主人公『天凪(あまなぎ) 総麻(そうま)』は動き出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(『生徒が歩けば侵入者に当る』って言うほど多いのか、ここの侵入者は…?)

 

適当に眼前の悪魔を『掌底・発剄』の氣弾を吹き飛ばしつつ、思わずこの学園の未来が心配になる総麻だった。確かにこうして『謎の鬼面忍者』として動き回っている場所が、侵入者が入り込みそうな場所を狙って動き回っているが、こうも頻繁に出会うと流石に心配になる。

 

「巫炎!」

 

後に引いた右手に《氣》を練り上げ、それを炎に変換する。指先に着火した炎を大きく振るい悪魔達を焼き払う。

 

『グォォォォォォォオ!!!』

 

巫炎の炎を抜けて襲い掛かって来た悪魔の一体に掌打を浴びせ、再び手を振り上げ練り上げた氣を開放する。

 

「破ァァァァァァァァァアア!」

 

開放された渦巻く氣が螺旋を描き悪魔の体を打ち抜く、その技の名は『螺旋掌』。

 

(次はこれだな。)

 

初めて使う事となるバトルスピリッツのカードを一枚取り出し、それを前方へと向ける。

 

「マジック、『フレイムテンペスト』!!! ッ!?」

 

使用するのは『赤属性』のマジック『フレイムテンペスト』。

 

体から現れた結晶が砕け散ると同時に酷い脱力感を感じる。恐らく、総麻自身の魔力または気を必要なコストとしてカードゲーム中における『コア』として結晶化したのだろう。…最悪と言うか恐ろしい想像をしてみると、ゲーム中の生命力『ライフ』が削られる事でコアを増やすと言う戦法がある為に、それは生命力という可能性まである。

 

そして、総麻の体から現れた決勝が砕け散ると同時に、カードより発生した炎の渦が周囲の悪魔達を飲み込み焼き尽くす。本来のゲームのルールではフレイムテンペストは『BP3000以下のスピリットをすべて破壊する』と言う効果だが、どうやら、目の前の悪魔達の大半はバトルスピリッツのルールではBP3000以下だったのだろう。酷く納得は行くが。

 

そして、最後の一体、一番の大柄の悪魔の懐に飛び込み、

 

「龍星」

 

洗礼された破壊の為の美しさを持つ上段蹴り『龍星脚』、

 

「昇龍!」

 

対となる陰の流派の技『昇龍脚』、

 

「浮龍!」

 

そして、龍星脚の上位に有る蹴り技『浮龍脚』の連撃へと繋げ、右手の氣を炎に変換し巫炎を、左手に練り上げた氣を『冷気』へと変換させ、『雪蓮掌』を、

 

「雪、炎、巫蓮、連撃!!!」

 

炎と冷気の連撃によって最後の悪魔の体を霧散させる。自分が召喚した悪魔達を葬られた事に慌てているこの悪魔達を呼び出したであろう術者に近づき、最も破壊力のある打撃技の『八雲』を叩き込み意識を刈り取り…………適当な所に埋めておく。

 

「大きくなれよ〜。」

 

まるで植物に接するような態度で鼻から上を除いて全身を埋めながら、地面を踏み固めていると何者かが近づいてくる気配を感じ取る。

 

気配は二人分感じ取れる。二つともある意味、一番多く相手する事になり、随分と慣れ親しんだ気配の主だ。

 

(やれやれ…誰かは検討が付くが、ここは逃げさせてもらうとするか。)

 

曰く、『正義の味方な影使い』のお嬢さんとその従者の女の子だろう。

 

随分と練習相手に(一方的に)なって貰ったが、流石に最近は謎の忍者時の手の内を読まれつつある。あまり手札を表にしない内に逃げるべきかと判断し、すぐにその場を離れる事を選び、総麻はさっさとその場を後にしていった。

 

説明
総麻君の日常(?) いい迷惑な人達も多いです。
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東京魔人学園、バトルスピリッツ、爆丸バトルブローラーズ ニューヴェストロイア、魔法先生ネギま! 

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