第二十二話 死と隣り合わせととある騎士の覚悟
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アニスサイド

 

 

「はぁっ……」

 

 

どうも、アニスたんだお。

何か……もうため息ついてないとやってられないよ……。

 

 

「ん?どうしたアニス、そんなに疲れ切った顔して。まだ朝だぞ?」

 

 

「いや……まぁ、色々とあるんだよ……それより、今日の夜儀式あるから……」

 

 

「あぁ、そうか………って、はぁっ!?何だそれ!」

 

 

「むぅ、俺ってそう思ったよ……さっき、馬鹿神から連絡あったんだ」

 

 

〜回想〜

 

 

そう、俺はちょうどご飯を食い終わって部屋でウダウダやっていた時だった。

急にデバイスが光りだしたのだよ。

そう、まさにあの時みたいに。俺がいつ儀式をやるのか悩んでた時、神が通信して来た時みたいに。

 

 

《ハロハロー、神様じゃよ。ー元気にしとったかー?》

 

 

「……帰れ」

 

 

《ハッハッハ、冗談がへたじゃのうお主も》

 

 

「いや、マジで帰れよ……」

 

 

《ほっほっほっ、なんじゃいなんじゃい。せっかくお主に忠告と知らせがあるのに……聞かんくてえぇのか?》

 

 

忠告と知らせ?

はぁ、またしょうもない事だと思うのは、仕方のない事だと思う。

 

 

「……ちっ、教えろコノヤロー」

 

 

《おぅ、何故上から目線なのか気になるが……ま、まぁ良いじゃろう……。まずは良い忠告と悪い忠告、どっちが良い?》

 

 

「……んー、じゃあ悪い忠告からで」

 

 

《分かった。……お主、このまま魔法を使ったら、間違いなく死ぬぞ?》

 

 

なん……だと……。

 

 

「どういう事だよそれ!」

 

 

《お主も、薄々気づいとるじゃろ……闇の書の呪いじゃ……》

 

 

「……はぁ、まぁ、感づいては居たけどさ〜……。じゃあ、やっぱあれか?猫二匹と戦い終わった時の胸の痛みも」

 

 

《その通りじゃ。お主の呪いは心臓じゃ。しかも、そこには魔力の核となるリンカーコアの近く、じゃから魔力。魔法を行使したら心臓に負担がかかり、激痛が走る……》

 

 

マジか〜。それは結構キツイな……。

じゃあ何か、斬魄刀も使えないって事か?

 

 

《そうなるな》

 

 

「心読むなコノヤロー。それで、どうすんだよ?このままだと、俺はいずれ死んじまうぞ?」

 

 

《率直に言おう。収集をするのじゃ》

 

 

……はっ、今なんて言ったこの馬鹿神は……。

収集しろって言ったか?

 

 

《そう言ったが?》

 

 

「お前ふざけてるのか!それは、シグナム達を犯罪者にしろと同義だぞ!」

 

 

《仕方ないじゃろ……お主をここで死なす事は出来ぬ。お主は神の加護を受けし人間。その人間がその呪いで死ぬ事は、我ら神とて良しとせぬのじゃ》

 

 

「何でだよ!あいつらを危険な目にあわせろってか!?」

 

 

《……分かっとくれ、それ以外に、お主を救う手だてが無いのじゃ。それに、お主が死ねば、あ奴らも消えるぞ?》

 

 

はっ、消えるか……。

ならそれで良い。俺が死ねば闇の書はランダム転移で次のマスターの元に行く。

そうなれば、死ぬのは俺一人だけだ。

 

 

《……お主は大事な事を忘れてはおらぬか?》

 

 

「……なに?」

 

 

《……八神はやて……》

 

 

「!!」

 

 

あぁ、そうか……クソッタレが……。

俺が死んだら、はやてが一人になっちまうじゃねぇか……。

アンクもどうなるか分からない……。

 

 

《……期間は、お主の呪いが進行する前じゃ……》

 

 

「……絶対に他の手段を見つける……」

 

 

《……そうか、頑張れよ。んじゃ、次は良い報告じゃ》

 

 

「……この空気で良い報告を聞いてもな……」

 

 

はぁ、もう最悪なテンションだよ。

つか、良い報告って何よ……。

 

 

《お主に魔眼をくれてやる事にしたよーん》

 

 

「……魔眼ねぇ……何?魔法が行使できないから魔眼をくれてやるってか?……浅はかだな〜」

 

 

《うぐっ……な、何じゃい。もう少し良い反応をしてくれてもえぇじゃろうに……》

 

 

「……はぁ、んで?どんな能力さ?」

 

 

《まぁ、有体に魔眼と言ってものぅ。どうせなら写輪眼とか複写眼とかがえぇか?それとも、直死の魔眼、キュベレイなど。どれでもえぇぞ?》

 

 

……おいおい、写輪眼は魔眼なのか?

複写眼とかは魔眼ぬ分類されてるから良いけど……もしかして輪廻眼とかオーケー?

まぁ、どうでもいいや。

 

 

「要らないよ、魔眼なんて。んな物騒なもん目ん玉に入れんじゃねえやコノヤロー」

 

 

《なっ!お主正気か!?これが無いと本当に死ぬぞ!》

 

 

「はっ、だから言ってんだろ?他に手段を見つけるって。んなもんに頼るよりも、自分の力を信じてやりたい」

 

 

《……この馬鹿者が!お主は何を考えているのじゃ!……あぁ、もうえぇ!こっちで勝手に決めてやる!!拒否権は無い!》

 

 

ちょっ!?

そんな横暴な!?

 

 

「ふざけるな!要らないって言ってんだろ!」

 

 

《えぇいうるさい!もう決まったわい!お主に与える魔眼は宝石・隷属の魔眼じゃ!受けとれい!》

 

 

「何だよその魔眼!って、いてててててて!!両目が痛いって!!」

 

 

俺は慌てて両目を抑える……ちくせう……魔眼なんて要らないって言ってんのに……。

あぁ、だいぶ収まってきた。

 

 

「っつぅ〜……何すんだよ!」

 

 

《えぇいうるさい!黙っとれ!そして説明じゃ!その魔眼の能力は遠距離からの「分解・吸収・放出・変換」を同時に行う事の出来る魔眼じゃ!魔法を分解したり、吸収したり、その吸収した魔法を放出したり、変換したりできる!そして最大の強さは、物質、非物質を隷属させる事が出来る!本当は大地からマナを取り込み、体内でオドに変え、魔力という枷にはめ、詠唱によって意味を加え、魔術として放出するという魔術の大原則に則ったものなのじゃ!その効果を「視界内全ての存在」に適用させるのがこの魔眼の効果じゃ!じゃがお主には魔力が使えんし、魔術も使えん。じゃから魔法の分解、吸収、放出、変換は、敵の魔法を封じるための手段じゃ!》

 

 

……それって……何てチート?

つうか、使いたくねぇ〜……そんな強い魔眼、要らねえって……。

 

 

《そして、その魔眼は人間には効かんからの。人間は、神の加護ほどでは無いが、多種多様な加護を受けていて対象にすることは出来ん。そして、その魔眼を持ってるのは、人間ではお主が一人目じゃ。それは神しか持ちえない、最悪の魔眼と言われておる》

 

 

そんな魔眼をホイホイと俺にくれてんじゃねぇよ!

何でだよ!

 

 

《そして最後に、良い知らせじゃ!今夜儀式じゃ!分かったら準備でもして待っとるんじゃな!!》

 

 

ブツッ……。

 

 

……最後まで馬鹿神の奴、怒ったままだったな……。

それにしても、今夜儀式か〜……あれ?マジで?

 

 

〜回想終了〜

 

 

「てなわけだってばよ〜……」

 

 

「……お前、死ぬかもしれないのにどうして断ったりしたんだよ……」

 

 

「だって、要らないじゃん?今のままでも良いとこまで行けてるし、それにもう力なんて要らないよ。後は自分で伸びたいしね」

 

 

「ふざけんな!!いい加減お前は自覚しろ!死んでもらっちゃ俺が困るんだよ!それに八神も!守護騎士達も!!」

 

 

「だ……だから、他の手段を見つけて呪いを解こうって……」

 

 

「それが無いから今回神が通信してきたんだろうが!!どうして分かんねぇんだ!!お前は魔力が使えないのに、この先どうやって戦うんだよ!魔法を使ったら死ぬんだぞ!?呪いはもう後戻りできない所ま出来てるじゃねぇか!」

 

 

「むー……アンク、耳が痛い痛いなのです……。まぁ、まだ時間があるし、十分抗える。それにね、アンク……俺は家族を犯罪者にしてまで、生きながらえようとは思わないよ?それだけは覚えておいてね?」

 

 

俺はアンクを見据えて言う。

確かに、死にたくないと思ってるし、まだ生きたいと感じている。

だけど、俺の生き死にのせいで家族が犯罪に手を染めちゃ駄目なんだ。

それだったら、喜んでこの身を差しだそう。

 

 

「……ちっ……。……今日の儀式終わってから、考えんぞ……」

 

 

「……うん!!」

 

 

とにかく、アンクはツンデレなのですな。ニヤニヤ

だが、俺は気づかなかった……この話を聞いていた者が居た事に……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ヴィータサイド

 

 

本当に、たまたまだった。

この話を聞いたのは、本当にたまたまだった……。

私は何の気なしにアニスの部屋の所を通ったんだ。その時、少しドアが開いていたので声が聞こえてきた。

 

 

アニスとアンクが話をしている。

私は部屋の中に入ろうとした。アニスと少し話がしたかったからだ。

だけど、私はアンクの言葉で動きを止める。

 

 

「ーーーーーどうして分かんねぇんだ!!お前は魔力が使えないのに、この先どうやって戦うんだよ!魔法を使ったら死ぬんだぞ!?呪いはもう後戻りできない所ま出来てるじゃねぇか!」

 

 

……は?

何……言ってるんだよアンク……アニスが……死ぬ?

魔法を使ったら……死ぬ?呪いで……死ぬ?

 

 

「むー……アンク、耳が痛い痛いなのです……。まぁ、まだ時間があるし、十分抗える。それにね、アンク……俺は家族を犯罪者にしてまで、生きながらえようとは思わないよ?それだけは覚えておいてね?」

 

 

アニスはいつもと変わらぬ口調でアンクと話す。

何でだよ……死ぬって分かってるなら……どうして私達に収集を命令しないんだよ!

……家族を犯罪者にって……私達は……マスターに命令される為のプログラムだ……。

それなのに……アニスは私達の事を思ってくれている……。

 

 

 

そう思っているアニスを見てるのが、私は堪らなく辛かった……。

出来る事なら目を背けたくなってしまう……。

だけど、背けることが出来なかった……。私は、ただ純粋に嬉しかったからだ。

自分が呪いに掛かって苦しんでるのに、私達を家族と呼んでくれる、思ってくれているアニスが……。

 

 

 

「……ちっ……。……今日の儀式終わってから、考えんぞ……」

 

 

「……うん!!」

 

 

……儀式?

……何の儀式をすんだ?

私はそう思いながら、アニスの部屋のドアを開けて、中に入り……。

 

 

「……なぁ、儀式って……何だよ?」

 

 

アニスサイド

 

 

抜かった……。

まさか、ヴィータが聞いていた何て……思いもよらなかった。

 

 

「ん?どうしたのヴィータちゃん。儀式って何の事かな?アニス分かんなーい」

 

 

「誤魔化すなよ!もう、聞いちゃったよ……アニスが呪いで、魔法を使えないって……使ったら死ぬって事も……」

 

 

……そこまで聞かれちゃってたか……。

まぁ、自分が悪いか。注意が散漫過ぎたね。

 

 

「……アニス……命令しろよ……私達に収集を命令しろよ!!私達はアニスを守る守護騎士だ!!どんな事だって、どんな命令だってやるよ!アニスが収集して、自分を助けろって言えば、私達は何時でもやってやる!!……だから……頼むよ……」

 

 

「……ヴィータちゃん……」

 

 

……ヴィータちゃんの覚悟は分かった……。

だけど……それじゃ駄目なんだ……。

 

 

「ヴィータちゃん……その言葉はとても嬉しいよ。だけど……それは断るよ」

 

 

「!?何でだよ!」

 

 

「だって、家族を犯罪者にしてまで生きながらえるのってさ……ズルくないかな?」

 

 

「そ……そんな理由で……」

 

 

「ううん、そんなじゃないよ。俺にとって、ヴィータちゃん達は大切な家族何だもん。それに、どんなちっぽけな理由だと思われても、どんなにくだらないと思われても、俺はこの信念を曲げはしないよ」

 

 

「……アニス……」

 

 

「だから、ヴィータちゃんがそんな事気にする事は無いよ?でも、ありがとね?俺、嬉しかったよ」

 

 

そう言った瞬間、ヴィータは俺に駆けより、抱きしめる。

 

 

「嫌だ!!アニスが居なくなるなんて、絶対に嫌だ!!」

 

 

「うぉお!?ヴィ、ヴィータちゃん、苦し……ぃ……」

 

 

「アンク!お前からも何か言ってやれよ!!」

 

 

「……はぁ、こいつに何を言っても無駄だ……それに、こいつは一度決めた事は途中でやめたりしないから厄介なんだ。……だから、俺とお前で支えてやるぞ」

 

 

「……支える?……私と……お前が?」

 

 

「あぁ。こいつは今、魔法が使えない。使ったら死に近づくからな。そこで提案だ。お前、今日からこいつの儀式手伝え」

 

 

「はぁっ!?アンク!お前何言ってるの!?ふむぐっ!?」

 

 

俺はヴィータに手で口を塞がれる。

ちょっ!?離せ!苦しいって!?

 

 

「……やる!アニスを支えれるなら何でもやる!」

 

 

「……決まりだな……。ははっ!良いなぁ、その欲望!!気に入った!その欲望、解放しろ」

 

 

そう言って、アンクは何処からか銀色のメダルをヴィータに投げつける。

そして、その銀色のメダルはヴィータの額の中に入って行く。

 

 

「うわっ!?今何か入ったぞ!?」

 

 

「慌てんな。お前の中にセルメダルを入れた。まぁ、グリードは生まれないが、少し身体能力と魔力が強化された筈だ」

 

 

「……そう言えば、魔力量が上がった気がする……」

 

 

「当たり前だ。俺の魔力を蓄えてあるメダルだからな。そんじょそこらの強化と訳が違う。さて、これで俺とお前は、利害が一致した仲間だ。よろしく頼む」

 

 

アンクは不敵な笑みを浮かべながら右手を突き出す。

 

 

「……お、おぅ……よろしく、頼む」

 

 

そして、ヴィータは少しオドオドしながらアンクの右手を握り、握手を交わす。

……どうでも良いけど。

 

 

 

「もがもがぁー!(早く手を退けてぇぇぇぇ!)」

 

 

何時になったらこの口にやられてる手は離されるのだろうか……。

説明
タイトル厨二乙
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タグ
アンク ヴィータ みなさんキャラ崩壊 騎士 

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