IS〈インフィニット・ストラトス〉 転生者は・・・
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「☆U☆MI☆DA☆!!」

 

 

 おい、誰だ。お前は今すぐこのバスから落としてやろう。どうだ、嬉しいだろ?

 

 ……と、まあ、よくわかんない女子生徒が騒いだが、たぶん臨海学校ということでテンションが崩壊してるんだと思う。いや、そうじゃなきゃ困る。

 俺たちが乗っているバスがトンネルを抜けると、窓の外には一面の蒼い海。そうするとさっきみたいなテンション崩壊なのが出てくる。

 

 とりあえず臨海学校初日、天候は最上級の快晴。窓の外の海は日光を反射してキラキラと煌いて、岸には穏やかな波が打ち寄せていた。

 

 

「おー。やっぱり海を見るとテンション上がるなぁ」

 

 そう言ったのは前の席の一夏。

 

「う、うん? そうだねっ」

 

 そしてその隣はシャルロット。様子がおかしいのは……

 

「それ、そんなに気に入ったのか?」

 

「えっ、あ、うん。まあ、ね。えへへ」

 

 終始笑顔で話すらろくに聞いていないシャルロット。その視線の先は手首のブレスレットに。一夏が臨海学校のための買い物に付き合ってくれたお礼としてプレゼントしたらしいが……このたらしめ。

 ちなみに俺が買い物行くときに楯無も誘ったが、『出かける用事があるの♪』とかで一人だった。……なんだか寂しいな。

 

「うふふっ♪」

 

 ご機嫌を二乗。さらにトランザムを発動させて、ツインご機嫌で三倍を超越したご機嫌ぶりのシャルロット。

 

「まったく、シャルロットさんたら朝からえらくご機嫌ですわね」

 

 一夏たちの席の通路を挟んだ反対。俺の左前の席に居るセシリアが若干むくれた顔で言う。

 

「うん。そうだね。ごめんね。えへへ……」

 

 何だ? そろそろ怖くなってきたぞ?

 流石のセシリアもシャルロットに何か言う気は無くなったみたいだし。

 

「昨日、途中で二人だけで抜けたと思ったら、まさかプレゼントとは……不公平ですわ」

 

 まあ、実際世の中そんなもんだけどな。

 

「あー……まあ、その、なんだ。セシリアにはまた今度の機会にな?」

 

 本気で一発殴れば、この鈍感が直るか? それだったら嬉々として神力まで使った本気の一撃を叩き込むのに。

 

「や、約束ですわよ」

 

「おう。あんまり高いのは無理だけどな」

 

 ……さて、後十分もすれば目的地に着くな。音楽でも聴いてよ。

 イヤホンを付けて、ウォ○クマンを操作。どれにしようかなーっと。

 よし、これでいいか。選曲は『UVERw○rld/シャカビーチ』夏だな ……あんまり伏字になってない? 気にするなよ。

 

 ♪〜♪♪〜♪〜♪〜♪♪〜……

 

 

 

 

 

「そろそろ目的地に着く。全員ちゃんと座れ」

 

 さすが千冬さん。音でかくしてノイズキャンセリングまで使ってるのに聞こえたぜ。

 とりあえずイヤホンと本体は仕舞って、と。

 

 その通りほど無く宿舎の旅館に到着。

 クラス一台、計四台のバスからわらわらと生徒が出てきて整列した。

 

「それでは、ここが今日から三日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」

 

「「「よろしくおねがいしまーす」」」

 

 おおう、百人単位が同時に言うとそれだけで迫力あるなぁ。

 そんな俺たちを出迎えてくれたのは、ここの女将さんだった。

 

「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね」

 

 歳はどのくらいだろう? ……いや、そういうのを詮索するのは悪いな。

 でも、しっかりとした大人の雰囲気は感じられた。

 

「あら? こちらが噂の……」

 

 ふとこちらを向いた女将さんが織斑先生に尋ねる。

 

「ええ、まあ。今年は男子が居るせいで浴槽分けが難しくなってしまって申し訳ありません」

 

 織斑先生の敬語聞いたの、初めての電話以来だな。

 

「いえいえ、そんな。それに、いい男の子達じゃありませんか。しっかりしてそうな感じを受けますよ」

 

「始めまして、俺は玖蘭拓神です。よろしくお願いします」

 

 え? いつもの俺のキャラと違うって? 

 ……だいたい見ず知らずの大人に会うときはこんなもんだ。

 

「ご丁寧にどうも。清洲景子です」

 

「はぁ……。しっかりしてるのはそっちだけです。ほら、お前も挨拶しろ、馬鹿者」

 

 ぐっ、と一夏の頭を押さえつける織斑先生。

 そしてその状態で挨拶する一夏……どう見ても間抜けだぞ?

 

「お、織斑一夏です。よろしくお願いします」

 

「うふふ、こちらこそよろしくお願いしますね」

 

 俺のときもした丁寧なお辞儀をする清洲さん。

 

「不出来の弟でご迷惑をおかけします」

 

「あらあら。織斑先生ったら、弟さんにはずいぶん厳しいんですね」

 

「いつも手を焼かされていますので」

 

 確かに。主にIS関連でだが。

 

「くくっ、確かに……」

 

 バシィッ!

 

「痛いっ!? 頭が裂けるように痛いッ!?」

 

「……笑うな。そしてお前もだ」

 

 俺も? 特に直接的な迷惑かけた覚えはそんなに無いんだが……?

 いや、手続きとかいろいろと手間をかけてることもあるんだろうな。

 てか、どっから出てきたんだその出席簿。

 そして清洲さん、まあまあ……的な視線送るの止めてください。俺のガラスのハートが……。

 

「お前の心など鋼だろうが。なにがガラスだ」

 

「心読まないでください! そして男子の心は女子と違う意味で繊細なんです!」

 

 だよな? と一夏にアイコンタクト

 

「うんうん、だよなぁ……」

 

 バシィッ!

 

「何が、だよなぁだ。お前の心がそんな繊細であるものか」

 

 実の弟にもヒデェよこの人。

 ほら、一夏がのた打ち回ってるじゃないか。

 

「ふふっ、それじゃあみなさん、お部屋のほうにどうぞ。海に行かれる方は別館のほうで着替えられるようになっていますから、そちらをご利用なさってくださいな。場所がわからなければいつでも従業員に聞いてくださいまし」

 

 女子一同は『はーい』と返事をすると、旅館の中に。

 ……そういえば、俺の部屋ってどこだ? 原作だと一夏は織斑先生の部屋だったけど……俺もそうなるのはイヤなんだが。

 

 

「ね、ね、ねー。たっくん、おりむ〜」

 

 んぬ? この独特なしゃべり方は一人しか居ないぞ?

 

「のほほん、どした?」

 

 ああ、ちなみにこの間の学年別トーナメントでペア組んでくれって言ったら、

『もう組んじゃった〜。それに、たっくんと組んだらお嬢様に嫉妬されちゃうよ〜』

 とのこと。それで、一夏以外の他のヤツと組んでも嫉妬されるってことだよな。って考えになって、俺が一人でエントリーする理由の一つになったわけでもある。

 以上、裏話終わり。

 

「たっくんとおりむーの部屋ってどこ〜? 一覧に書いてなかった〜。遊びに行くから教えて〜」

 

「いや、俺はまだ知らない。……一夏は?」

 

「そういえば俺もだ。廊下にでも寝るんじゃねぇの?」

 

「わー、それはいいね〜。私もそうしようかなー。あー、床つめたーいって〜」

 

「よし一夏。俺とお前が同室だったら、寝るときお前を廊下に追い出してやる」

 

「ちょっ!? ジョークだよジョーク!」

 

 えらい慌て様だな。

 くくくっ、これだから一夏を弄るのは楽しいんだ。

 

「織斑、玖蘭、お前たちの部屋はこっちだ。ついてこい」

 

「あ、はい。じゃな、のほほん」

 

「じゃぁね〜」

 

 うおぁー、やっぱりのほほんって存在自体が癒しだ。

 

「あ、あの織斑先生。俺たちの部屋ってどこになるんですか?」

 

「黙ってついてこい」

 

 一夏が封殺されたぜ☆

 あれ? なんだろう、俺のテンションまで……やっぱりアレか、夏だからだな。この前の朝のだって、あれは……。

 あー……あれは考えるのやめとこ。顔熱くなってきた。

 

 そして、織斑先生について歩いていって着いたのは……

 

「ここだ」

 

「え? ここって……

 

「『教員室』?」

 

 そこの扉には教員室の文字が書いてある紙が張ってある。

 

「最初は個室という話だったのだがな。それだと就寝時間を無視した女子が押しかけるだろうということになってな」

 

 織斑先生は一回だけはぁ、とため息をついて続ける。

 

「結果、織斑は私と同室になったわけだ。これなら、女子もおいそれとは近づかないだろう」

 

「そりゃまあ、そうだけど……」

 

 まあ、だれも自分から鬼の巣には来ないよな……ん? あれ?

 

「織斑先生……"織斑は"? 俺はどうなるんです?」

 

 まさか床で寝ろとか無いですよね? だったらIS使ってでも学園に帰りますよ?

 

「玖蘭、お前はそこだ」

 

 指されるのは教員室の隣の部屋。

 

「さすがにここに三人は少し窮屈なのでな、隣なら問題なかろうということだ。何かあればすぐわかる。うるさかったら指導しに行くからな」

 

「あー、わかりました。……えっと、部屋に入って良いんですか?」

 

「ああ。ほら、鍵だ。今日は自由時間だからな。好きにしろ」

 

 

 鍵を受け取って、とりあえず部屋に。

 

説明
第38話『海に着いたら11時! 〜オーシャンズ・イレブン〜』
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タグ
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