IS〜彷徨いし剣の担い手〜プロローグ
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その日は雨が降っていた。

 

 

 

 

 

 

「なんでだ?……なんでなんだよ!!」

「まだ……そんな事を言うんだね。」

 

雨が降り注ぐ中、一組の男女が…………片方は泣き出しそうな表情で怒声をあげ女を問い詰め、片方はすべてを諦めた表情をして何かを覚悟したような声で男に返事を返す。

 

「私が居る限り……アレは産み出され続ける。」

 

その言葉に応じるように彼女の影から黒い異形―――――ダークローチが複数現れこの場から離れるように飛び去って行く。

 

「それを止めたいのなら……」

「…お前を……封印するしかない。」

 

そう言って男性は取り出した機械―――――ブレイバックルに1枚のカード―――――スペードスートのカテゴリーAが封印されたプライムベスタのラウズカードを差し込みベルトの形に装着された。

 

「そうだよ。」

 

その様子を見て―――――どこか嬉しそうな表情を顔に宿して―――――彼女はいつの間にか装着されたベルト―――――カリスバックルに1枚のカード―――――ハートスートのカテゴリーAが封印されたプライムベスタのラウズカードをその手に握りながら…………

 

 

 

…………そして2人は迷いを断ち切るように叫んだ。

 

 

 

「「変身!!」」

 

【CHANGE】

【TURN UP】

 

そして゛偽りのバトルファイト゛最後の戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

【西暦2005年1月23日】―――――その日は1人の少年にとって忘れられない日となった。

 

 

 

 

 

 

††††††††††††††††††††††††

 

 

 

 

【S・LIGHTING SONIC】

【WILD】

 

 

 

 

2つの機械音がその場に響くと共に金の放つ飛び蹴りと朱の醒弓から放たれた白の光線がぶつかりあい……

 

 

 

 

……白の光線が金の飛び蹴りを弾き飛ばした。

 

 

 

 

 

「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

衝撃で地面に激突した俺は2・3回弾き飛ばされ近くに生えている樹の4・5本にぶつかりその動きを止めた。

 

「駄…目……か………」

 

俺の諦めの言葉と同時に目の前に現れた金色のオリハルコン・エレメントが俺を通過しブレイドの変身が解除された。

 

「ごめんなさい……」

【SPIRIT】

 

電子音のした先に視線を向けて……そこには涙を流し続ける自分の恋人の姿があった。

 

「なんで……謝るんだよ…」

 

お前は悪くないんだぞ?悪いのはなにも出来なかった俺なのに……

そう言おうとして突然抱きしめられた。

 

「ごめんね……」

 

そう言ってアイツは俺の右腰にあるラウズバンクを開き、何かを取り出してから、俺を離して2、3歩後ろに下がった。

 

「待て…よ……」

 

なんでコモンブランクのラウズカードを手に持っているんだ?そう聞こうとして……

 

 

 

 

「……ありがとう。」

「…せ……」

 

 

 

 

顔に笑みを浮かべるアイツを見て分かってしまった。アイツが何を考えて、行動に移そうとしているのかを……

 

 

 

 

「私はね……」

「…め……ろ………」

 

 

 

 

止めようと動けない体を無理矢理にでも動かそうとして…………

 

 

 

 

「……貴方と一緒に居られて……」

「やめろおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

…………動かせなくて――――――叫ぶしか出来なかった。

 

 

 

「……私は幸せだったよ『一夏』。だから……」

 

 

 

 

―――――私のことは忘れていいよ―――――

 

 

 

顔に笑みを浮かべそう言い―――――そして目の前に緑色の光が現れ……ジョーカーであり俺の恋人だったアイツの姿が消え、俺の足元に1枚の・・・ジョーカーが封印されたコモンブランクのラウズカードが落ちていた。

 

 

 

††††††††††††††††††††††††

 

 

 

私が・・・織斑千冬がその光景を見たのはアイツが小学五年生の時……第二回IS世界大会『モンド・グロッソ』の決勝戦当日に誘拐された一夏を助けに行った時だった。

 

「なんだ、((コレ|・・))は……」

 

目の前には・・・どう調べても身元不明の結果しか分からないと思うほどに酷く損傷した数人の死体が地面に横たわり・・・目の前に体が宙に浮いている一夏と18個の光―――――それは良く見ると動物の様に見える絵が彫られた赤や青、緑を始めとした6色のメダル―――――が一夏の周りを護る様に浮いているように見える光景が其処に在った。

 

 

 

やがてその光は1つずつ、一夏に吸い込まれるかのように、一夏の中に消えて行った。

 

 

 

余りの事態に呆然としていたが、宙に浮いていた一夏が地面に落下するのを見て慌てて駆け寄り、地面に落ちる前にその身を両腕で抱えた。その後、一夏は1週間程意識が戻らなかったが精密検査の結果特に異常は見られずその事に安堵した。

 

 

 

だが後に、私はこの時の事を振り返り、こう思う事になる。

 

 

 

何故、あの時にもっと詳しく調べなかったのかと・・・・・・そして何故『あの時』に一夏を1人日本に残してドイツに行ってしまったのだろうと・・・・・・

 

 

 

そしてその日を・・・『男性がISを動かした』と言う内容のニュースが世界中に発信された日を私は迎えた。

 

 

説明
IS〈インフィニット・ストラトス〉の発表と『白騎士事件』で世界は変わった。変わりゆく世界の中でごく一部の者しか正確に知る事のない存在が有った。これはかつてその存在であった少年、織斑一夏の物語。

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