死にたがりの第四十九話 どうあっても魔法は使えって事ですね
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「さて、どうしたものかな」

 

 

ただいま雨ザーザーなのです。

それにしてもよぉやるわ。あんな事……。

 

 

《凄い無茶しますね、ホント》

 

 

「そうだね」

 

 

《そして管理局の対応は……全く駄目ですね》

 

 

流石合法犯罪集団。

正義だからって、人一人の命を無駄に晒す事はしちゃいけないじゃん。

全く、これだから馬鹿どもは……。

 

 

「それにしても、どんどん雨脚が強くなっていくな……」

 

 

《まぁ、あそこのジュエルシードの原因もあるかですね。それで、どうします?出ますか?》

 

 

「まぁ、出るよねここは。フェイトちゃんを見殺しにできないし。それに……」

 

 

何より、管理局にあのまま好きかってさせるかっつぅの。

俺はやっぱ管理局嫌いだわ。絶対あんなところに入るもんか。

絶対だ。

 

 

「さて、んじゃ……なのは達が出てくるまで大人しくして様かな」

 

 

《今すぐには行かないんですか?》

 

 

「別に俺が手伝っても良いんだけどもさ。せっかく二人が仲良くなれるイベントを潰す程、俺も野暮じゃないよ」

 

 

《どうだか……》

 

 

グシャッ!!

 

 

《あぁん!キタァ!》

 

 

こいつ……マジで目覚めたんだな……。

救いようがない……。

 

 

はぁ、捨てようかなこれ……。

デバイスがマゾヒストとかマジ勘弁。

 

 

「少し近づくよ?」

 

 

《り、了解しました……》

 

 

かなり息が荒いデバイスって、きっとこいつだけなんだろうな〜……。

はぁ、マジ勘弁……ホントに……。

 

 

「さて、魔眼を使って空気を変換させて歩けるようにしなきゃなっと」

 

 

俺は空気を変換させて固めていく。

ほら、見えない床の完成だ。

 

 

「よっと」

 

 

俺は木の枝から飛び移る。

そして一段一段上げていく。

 

 

「よっほっはっふっよいしょっ」

 

 

……何だろう、結界師を思い出したよ。

確か結界師にもこんな光景があったような気がする。

 

 

結界を作って上に移動する方法だったはず……。

つうか、気が付いたら結界師終わってたんだよね……。

 

 

友達に何時終わったんだって聞いたら、かなり前に終わったべって……。

何で気づかなかったんだろうね?

 

 

「よし、到着っと」

 

 

余り目立たない所に着いた俺は、少しだけどフェイトの事を見ていることにする。

なのはー、サッサと出てこーい。

 

 

「あー、寒い……」

 

 

風邪引いちゃうよ……。

それに、服透けちゃってるよ。やん、恥ずかしっ♪

 

 

ビシャァッ!!

 

 

「ひゃぁっ!?」

 

 

《落ち着いてくださいマスター、今のはフェイトさんの魔法の音ですから》

 

 

そ、そうだよね……。

それにしても……雨が……止んだ……来るな。

 

 

俺は雲の隙間から漏れている光の方を向く。

そこにはバリアジャケットを纏い、フライアフィンで飛んでいるなのはが現れた。

 

 

「フェイトの邪魔をするなぁ!!」

 

 

アルフはそれを見て瞬時になのはに攻撃を加えようとする。

だけど、その攻撃はユーノの防御魔法によって阻まれる。

 

 

「違う!僕達は君達と戦いに来たんじゃない!」

 

 

「ユーノ君!!」

 

 

《良くやった!淫獣!》

 

 

「うん、ユーノもお前にだけは淫獣って言われたくないと思うよ?マゾデバイス」

 

 

お前より遥かに下回ってるからね。

あいつの変態度。

 

 

「先ずはジュエルシードを止めないと大変な事になる!」

 

 

そう言ってユーノはさらに高く飛び立つ。

ひゅう、カッケェ。

 

 

「だから今は、封印のサポートを!!」

 

 

そして、そのまま魔法を発動させる。

チェーンバインドか……。

 

 

「フェイトちゃん!手伝って!ジュエルシードを止めよう!」

 

 

そして、なのはは竜巻の近くに居るフェイトの元に行き、手伝いを要求する。

……ふむ、ここまでは原作通りやね。

 

 

「しょーがない……俺も少しだけサポートしてやるかにゃー」

 

 

俺は懐から三枚の封印符を取り出す。

ジュエルシード級の魔力を押さえつけるんだ、ここは俺の最高傑作を使おうじゃないの。

 

 

「働け馬鹿共。お前らの専売特許だよ!」

 

 

ビシュッ!

 

 

俺は封印符を竜巻の中に放り込む。

……よし、ちゃんと中まで侵入できたか。

 

 

「な、何だ……急にジュエルシードの魔力が、少しだけだけど収まった」

 

 

「これは……まさか……」

 

 

んげ、アルフ気づいちゃったかな?まぁ良いけど。

それにしても……。

 

 

「二人でキッチリ半分こ」

 

 

何か……ここまで原作通りだと……怖いな……。

後々、原作通りに行かない事とか起きなきゃいいけども……。

 

 

《マスター、それフラグや》

 

 

「うっさい、黙ってれ」

 

 

ぐしゃっ!

 

 

《あはん!!》

 

 

「ユーノ君とアルフさんが抑えてくれてる今のうちに!二人でせーので、一気に封印!!」

 

 

フェイト、何か言葉を発しなさい。

なのは一人だけでずるずる話してるじゃないか……。

 

 

《shooting mode》

 

 

なのははレイジングハートをシューティングモードのに変える。

フルパワーのディバインバスターを撃つんだっけ?

 

 

《ceiling mode,setup》

 

 

バルディッシュは出来る子。

流石だね、バルディッシュ。

 

 

フェイトは戸惑いながら、なのはを見る。

なのははそれに気づき、ウインクをする……余裕だなお前。

 

 

「ディバインバスターフルパワー……行けるね」

 

 

《allright my master》

 

 

レイジングハートはやったら凄い子。

というかやり過ぎな子。

 

 

っつうか……あいつらぶっ放す気だなおい。

魔方陣どうしたらそんなに大きくなるんです?不思議でしょうがないよ。

 

 

「せーの!!!」

 

 

「サンダー!!」

 

 

「ディバイーン!!」

 

 

二人の杖に魔力がどんどん溜まって行く。

カートリッジも導入してないのに、ようやるわあいつら。

 

 

「レイジー!!」

 

 

「バスター!!」

 

 

シュゥゥゥゥゥ……ドガァァァァァァァァン!!

 

 

二人の最大魔法が暴走したジュエルシードに放たれる。

これであのジュエルシードの暴走は止まる。

 

 

そう思っていた時期が、俺にもありました……。

 

 

ガガガガガガガガガガガ!!!

 

 

「嘘……あの二人の、あそこまで魔力を貯めて放った魔法が……」

 

 

「……同等の力で、押し合いをしてる……」

 

 

どういう事でしょう……。

あの二人の合体技を、同じ位の魔力で受け止めております……。

 

 

「嘘!?」

 

 

「そんな……」

 

 

二人は驚きながらも、攻撃の手を休めない。

……はぁ、どうやらこの世界は、俺にどうしても魔法を使わせたいらしいね……しゃーない。

 

 

「仕方ない……」

 

 

《マスター?》

 

 

俺は気を引き締めて、なのはとフェイトを見据える。

……やってやる……あぁ、やってやるさちくしょうめ!!

 

 

(なのはちゃん!フェイトちゃん!)

 

 

「「!?アニス(君)!?」」

 

 

(ごめん、驚かせちゃう形で。どうやら苦戦してるみたいだね、その状態、後何秒保つか分かる!)

 

 

俺は念話を使って二人に話しかける。

結局、こうなるってわけよ……。

最初は魔眼で吸収か分解かしようと考えてたんだけど……。

 

 

吸収したら、あの馬鹿魔力何て俺の体に入れた瞬間死ぬし。

逆に分解しちまったら、間違ってジュエルシードもしちまいそうで怖い。

 

 

故に……魔法しかないやろうね。

 

 

(……20秒も……保たないかもしれない……)

 

 

(私もそれ位……)

 

 

(……分かった……じゃあ、10秒だけ待ってて、俺も加勢するから)

 

 

(えっでも……アニス君……)

 

 

(それじゃ!)

 

 

グチグチ言われるのもアレだったので速効念話を切った。

……それにしても……腹から血が出て来たな……。サッサとやるか。

 

 

「リク・ラク・ラ・ラック・ライラック!|来たれ《ウエニアント・》|氷精《スピーリトウス》|闇の《グラキアーレス・》|精霊《オブースクランテース》!!」

 

 

《マスター!?何を考えているんです!?》

 

 

黙ってろ……気が散る……。

 

 

「|闇を《クム・》|従え《オブスクランティオーニ》|吹《フレット・》|雪け《テンペスタース》|常世の氷雪《ニウアーリス》!!」

 

 

「な、何だい!?この魔力は!?」

 

 

「……もしかして……アニス!?待て!はやまるな!?」

 

 

うるさいぞ……外野……。

さて、間に合ったな……喰らいな。

 

 

「|闇の《ニウイス・テンペスタース》|吹雪《オブスクランス》!!!」

 

 

 

ズバァァァァァァァァ!!!

 

 

俺の手から黒い魔法が放たれる。

そして、口からは血が垂れ流れて来た……。

 

 

「い……け……」

 

 

痛みで声が出ない……。

意識はまだあるけども……時間の問題かな……。

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドド!!

 

 

ジュエルシードの魔力と、なのは、フェイト、俺の攻撃を加えて魔法がぶつかりあう。

……そして……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリィィィィィィィィィィィィィン!!

 

 

ジュエルシードの魔力を打ち破り、そのまま直撃した。

……よし……六個全部封印したな……。

 

 

そして竜巻は晴れて、なのはとフェイトは、俺が見えるようになっていた。

 

 

「アニス君!!」

 

 

「アニス!?」

 

 

「……ケフッ……」

 

 

……見えた物は……顔色を変えてこちらにやってくる、なのはとフェイトの姿だった……。

……ホンット……損な役回りしかしてないな……。

 

 

シュン!!

 

 

《マスター!!ジオルグを!ジオルグを唱えてください!!》

 

 

魔眼で作った空気の床が消え、俺は落下する……。

……はは……正直……キツイ……。

 

 

「……ジ……」

 

 

舌が上手く回らない……。

言葉も途絶え途絶えだ……。

 

 

ははっ……ここで……死ぬんだな……俺。

 

 

《何を笑っているんですか!!こんな時に!》

 

 

ははっ……ジオルグが唱えれたとしても……。

そん時は、もう意識がなくなってるだろう……。

 

 

そんな状況で海に落ちたら……間違いなく溺れて死ぬな。

て言うか、この高さだ……海だってりっぱな凶器になる……あそこから落ちたなら、アスファルトよりも固くなってるだろうな……。

 

 

「オ………」

 

 

それでも、呪文を唱えようとすることだけは止めない……。

諦めてやるもんか。

例え、足掻いても絶望しかなかったとしても……。

 

 

「…………ル………」

 

 

少しでも、助かる確率があるのなら……。

 

 

「…………グ………」

 

 

パアァァァ……。

 

 

試してみる価値は……あるってもんだ!!

 

 

「アニス君!」

 

 

「アニス!!」

 

 

ガシッ!ガシッ!

 

 

「……ケホッケホッ……ナイスキャッチ……だよ……二人とも……」

 

 

俺は、だらんとしながら二人に言う。

……流石……だね……こりゃ。

 

 

《ふぅ……た、助かった……》

 

 

「アニス君!どうしてあんな無茶な事したの!?」

 

 

……説教なら……後で聞くさー……。

だから今は……。

 

 

「ごめっ……ちょい……と……休ませ……て……」

 

 

俺は目を瞑り、完全に意識をなくす……。

あぁ、寒い……。

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