死にたがりの第六十話 死にたがりは突然に
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あらすじ

 

 

やったねアニス!タイムリミットが伸びたよ!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「……はぁ……」

 

 

どうも、アニスです……。

単刀直入に言います……。

 

 

「……死にてぇ……」

 

 

そうなんです、プチうつ病にかかりました……。

て言うか、プチ死にたがりです……。

 

 

「はぁ……」

 

 

一人でいると、こんなことを考えてしまうあたり。

もうそろそろ来る頃だろう……。

 

 

「はぁ……仕方ない……」

 

 

俺は自分の部屋を出て、リビングに行く。

リビングにははやてとアンクと、守護騎士の皆が居る……。

 

 

俺はアンクの前に立ち、こういう。

 

 

「アンク……」

 

 

「どうした?そんな顔して、何かあったか?」

 

 

「……俺を……縛ってほしいんだ」

 

 

「……はぁっ!?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「……ったく、最初から訳を言えよ訳を!」

 

 

「ホンマやで、とうとうアニス君がそっちの方向に目覚めたかと思ったで」

 

 

「……むー……」

 

 

つう訳で、再度こんにちは。

さっきアンクに縛ってくれ宣言をしたら、皆に吹かれたのち、諭された。

 

 

シグナムからは。

 

 

「お気を確かに主!い、いや……ですが、主がそう言うプレイを御所望であれば、私は……私は!」

 

 

お前が気をたしかに持て。

そして俺はそんなものを所望せんは。

 

 

ヴィータからは。

 

 

「アニス、目を覚ませ!さらに変態の道を突き進む気か!」

 

 

……いや、突き進む気は毛頭ないけども……。

それに、さらにってどういう事!?

 

 

シャマルからは。

 

 

「ドMは男の娘……ありね……」

 

 

……とうとう来たか、シャマル。

だが違う、無しだ、大いに無しだ。需要的な意味で。

 

 

ザフィーラからは。

 

 

「……………………」

 

 

お前何か喋れよ!?

何?無口キャラ貫こうってか!?出番これ位しかないんだから一言くらい発せよ!?

 

 

とまぁ、事情を不覚知らない守護騎士達には、こんな反応をされた。

まぁ、仕方ないね……。

 

 

て言うか……。

 

 

「流石にこの縛り方は無いんじゃないかなはやてちゃん」

 

 

「ん?何がや?」

 

 

おいこらテメェ。

しらばっくれてんじゃねぇよ。

 

 

「いや……亀甲縛りとか良く出来たね?でも言いたい事はそうじゃないんだ、どうして縛るのにわざわざこの縛り方を選んだか問い詰めたいんですけど」

 

 

「まぁまぁ、でも前よりはましやと思うよ?」

 

 

「前の方がましだコノヤロー!」

 

 

ちくしょう!

誰か止めろよ!て言うかこいつら亀甲縛り分かってる奴すくねぇ!?

 

 

絶対俺とはやて位しか知らないだろ!?

くそ、こいつら純粋すぎる……。

 

 

「それじゃあ、下噛まへんように、タオルまくで?」

 

 

「……キツク、しないでね?」

 

 

「……シグナム……」

 

 

「……何だ?」

 

 

「……襲っても悪くないとウチは思うんやけど……」

 

 

「……同感だな……」

 

 

ガスッガスッ!

 

 

はやてとシグナムは要らん事を言ったので、アンクからの|ゴッドハンドクラッシャー《げんこつ》が下された。

うわぁ、痛そう……。

 

 

「う〜……何も殴る事はないでしょう……アンクさん……」

 

 

「お前が馬鹿な事を言うからだ」

 

 

「それにしても……何と言う威力……」

 

 

シグナムも若干涙目になっている。

大人おも半泣きにしてしまうアンクの拳骨って一体……。

 

 

「それじゃ、タオルまくで?」

 

 

「ほーい……」

 

 

結構軽い口調だけど、案外ギリギリなのよね……。

今すぐ首を吊って死んでしまいたいくらいだよ……。

 

 

「……ふむぅ……」

 

 

て言うか、食い込むんですけど……。

痛いし、キツイんですけど……。

これは流石にやり過ぎじゃないかな?

 

 

「……むー……むー……」

 

 

「……八神、何か言ってるが分かるか?」

 

 

「……いや、何も分からへんねんけど……」

 

 

そりゃ口をタオルで巻いてリャ分からないよね!

て言うか……ヤバい……だんだん意識が……。

 

 

……えっ……これ、二ページ目もあるの……?

 

 

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主は力なく体を傾ける。

そして、主が居る場所の空気だけが変わる……。

狂気とも取れるその空気は、死を受け入れているような感じさえした。

 

 

「な……んだ、これは……」

 

 

声を発するのもきつくなる。

これが、本当に主なのだろうか?

 

 

「ア……アン……ク……」

 

 

「何だ、シグナム」

 

 

「……こ、これは、本当に、主、なのか?」

 

 

「あぁ、正真正銘のアニスだ」

 

 

アンクは顔色も変えずに言う。

 

 

主の顔には生気がなく、いつもの明るい主とは大違いだ。

それに、笑みを絶やさなかった主の今の笑みは、狂った感じの笑みだ……。

 

 

「これがアニスの、厄介なところなんだ」

 

 

アンクはこの空気を物ともせずに、主が今置かれている状態の説明をする。

主のこれは、生まれつきの物で。

 

 

これを直すためには、試練を行わなればならない。

でも、もしかしたらその試練を全てクリアしても、治らないかもしれない。

 

 

「何で……その話を、今……」

 

 

ザフィーラが重々しく口を開く。

そうだ、何故我々には相談をしてくれなかったのだろうか。

 

 

どうして主は、それを隠していたのだろう……。

だが、そんな事は簡単にわかる。

 

 

主は、私達を巻き込みたくなかったのだろう。

故に、何も言わずに居たのだ。

 

 

その時、主から勢いよく魔力が流れ出す。

 

 

「なっ……こいつ、魔力流せば死ねるって考えやがったか!」

 

 

やばい、今の主では……自分の魔力に耐えられない!

どうすれば!?

 

 

ドゴォ!

 

 

「…………………」

 

 

「チッ、手間取らせやがって……」

 

 

アンクは、主を思い切り殴り、気絶させた……。

な、何て無茶苦茶なやり方を……。

 

 

「……悪いな、これが俺のやり方なんだよ」

 

 

そう言って、アンクはスタスタと部屋から出ていく……。

……何なんだ、あいつは……。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

……こんにちは……。

何か、起きたら体がかなり痛い、アニスたんです……。

 

 

それにしても、まだ若干残ってるな……。

死にたい……はぁ、どうしてこう、軽々し置く口に出せるかね、この言葉。

 

 

嫌になってくるよ本当に……。

さて、感傷に浸ってる場合じゃないや。

 

 

先ずは、この縄をなんとかしないとね。

抜け出さないと、いい加減変な気分になってくる。

 

 

だって……アソコに縄が喰い込んで……。

あぁ……動いたら、擦れ……る……。

 

 

「ふぅ……」

 

 

あぁ……何か……。

死にたがりな気分と変な気分が……曖昧になってきた……。

やばいやばい……。

 

 

「むー!むーむー!!」

 

 

一応、叫んでみる。

口にタオルがしてあるから、声が発せられないけども。

 

 

…………誰も来る気配なし……。

どうしたものかな……。

 

 

取りあえず、ドアまで動こう……。

俺は毛虫みたいに動いてドアに近づく。

 

 

「ふぅ……ふぁ……ふむぅ……」

 

 

動くたびに食い込んで、何かえっちぃ気分に……。

オーケー、落ち着こうか俺……。

縛られて感じるなんて、ただの変態じゃないか……。

 

 

ここは進徳滅却しなければ……。

 

 

……さて、壁に体当たりでもしますか。

ていうか、頭突きだね。

 

 

ゴン!ゴン!ゴン!

 

 

誰かぁぁぁぁぁ!

気づいてぇぇぇぇぇ!!

 

 

俺、正気に戻ったよぉぉぉ!

そして早くこの縄を解いてぇぇぇぇぇぇ!

 

 

俺、目覚めちゃうから!

速くしないと取り返しのつかないことになるよぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

 

ゴン!ゴン!ゴン!

 

 

「むーむーむー!!」

 

 

誰かぁぁぁぁぁぁぁ!

縄を解いてぇぇぇぇぇぇ!

 

 

その時。

 

 

ガチャ。

 

 

ガスッ!

 

 

「ムゴッ!」

 

 

ドアが唐突に開かれ、俺は顔面を強打する……。

……痛い……。

 

 

「おっ?どうしたアニス、そんな所に寝転んで」

 

 

ドアを開けたのはヴィータだった。

コノヤロー!

 

 

「っ〜〜〜……うーうー!」

 

 

「何喋ってるんだか分かんないや。それより、もう正気に戻ったのか?」

 

 

俺は首を思い切り縦に振る。

 

 

「そうか。それじゃちょっと待って、今縄とか解いちまうから」

 

 

ヴィータはそういって、最初に口に巻いてるタオルを取る。

うわぁ……唾液が糸引いて、妙にエロい……。

 

 

「ぷはぁ……ふぅ……いやぁ、どうもねヴィータ」

 

 

「気にしてないから大丈夫」

 

 

ヴィータはそう言い、もくもくと縄を解いていく。

解いてる最中。

 

 

ググッ……。

 

 

「ふぅっあっ……ヴィ……ヴィータ……縄、を……喰い込ませちゃ……駄目ぇ……」

 

 

「へ、変な声出すな!」

 

 

「だ……だってぇ……ひぅ!?」

 

 

アソコに、喰い込んで……擦れてぇ……。

いやぁ……。

 

 

「ハァ……ふぅっんん!」

 

 

「くっ……ア、アニス……そんな声、出すな……」

 

 

「無理……何だもん……」

 

 

は、早く解いて!?

このままだと引き返せなくなるから!

 

 

「い、一気に行くぞ?」

 

 

「う……うん……」

 

 

あぁ……これでやっと終わる……。

 

 

「よいっしょ……」

 

 

シュルッ……シュッ!

 

 

縄の結び目を解き、一気に引っ張る。

ずるずると縄が動き、体の至る所がくすぐったい。

 

 

「あ……擦れてる!縄が擦れてぇぇぇぇ!ひやぁぁぁぁ!」

 

 

「ちょっ、そんな声出すなって言ってるだろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

最後までこんな感じで、縄を解く作業になってました。

久々の死にたがりは、多大な羞恥を残して終わりを告げた。

説明
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