超次元ゲイムネプテューヌ 3dis Creators_004
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序 章:インサート・コイン

 

 

 

 

 

C004:謎の戦士

 

 

 

 

 

 

○プラネテューヌ・トキネの林

 

    ネプテューヌがスライヌA,B,Cと言われた通りに対峙している。

    ネプテューヌ、カッコつけてNギアから木刀を実体化させ構える。

 

ネプテューヌ「もー! スライヌのくせに生意気! どうせやられるんだから後でも先でもいいじゃない!」

 

    スライヌ達、ぴょんぴょんとびはねて反論する。

 

スライヌA「そーいう問題じゃねえんだよ!」

スライヌB「おめーらが冒頭と出会いイベントで変に時間使うから後が押してんだよ!!」

スライヌC「シーンカットをほぼしない事をいいことにな!!」

 

ネプテューヌ「なッ! 会議シーンはカットしたもん!! スライヌなんかにストーリーをどうこう語られる筋合いなんかないよーだ!」

 

    スライヌ達はこの発言に激怒し、一斉に襲いかかる。

 

スライヌA,B,C「なにおーーーーー!!!」

 

    ネプテューヌに飛びかかろうとした時、何者かが遠距離攻撃を仕掛け、破裂音と共にネプテューヌとスライヌ達の間の地面に火花が散る。

 

ネプテューヌ「おわぁッ!?」

 

    スライヌ達、すかさず攻撃元の方角を向く。

    ネプテューヌも戸惑いながら、その方角を向く。

 

スライヌA,B,C「ぬ!?」

ネプテューヌ「え……?」

 

 

コンパ「ねぷねぷ、そろそろチュートリアルの時間です」

ネプテューヌ「コンパ!!」

 

    コンパが構えた注射器を下ろしながら言う。

    ネプテューヌ、すかさずコンパの元へと走る。

    コンパ、ネプテューヌに向けて笑顔を送る。

 

ネプテューヌ「なんでここがわかったの?」

コンパ「そーいうのは後です。ねぷねぷ、”ゲイム”のルールは忘れてないですね?」

スライヌA「ようやく盛り上がってきたじゃねえか」

 

    遠くからネプギアの声が聞こえて来る。

 

ネプギアの声「お姉ちゃーーーん!」

 

    ネプテューヌ、コンパ、振り向き、ネプギアが走ってくる姿を確認。

 

ネプテューヌ「ネプギア!」

 

    ネプギア、到着するとすぐNギアからビームソードを取り出し構える。

 

スライヌC「そろったなぁお前ら」

ネプギア「す、スライヌがしゃべってる……!?」

 

    目を白黒させて剣を構えたまま硬直するネプギア。

    ネプテューヌ、ネプギアの背中をポンと叩き硬直を解く。

 

ネプテューヌ「それ今突っ込んでほしくないんだってさっ!」

スライヌC「それじゃあ」

スライヌB「楽しいゲイムを」

スライヌA「始めようかぁッ!!」

ネプギア「ゲイム……」

ネプテューヌ「スタートッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

○バトル説明

 

──ガチンコウォーズについて説明します。

  ガチンコウォーズは今までのシリーズ同様のチームバトルです。

  ただし、今回から細かくルールが変わります。

  プレイヤーは前衛と後衛それぞれ4人ずつまで、最大で8人のチームを編成しますが、今回はチームごとでワンセットのターンになり、

  毎ターンごとに前衛と後衛を自由に入れ替えることができます。

  他にも、ターン開始時にはキャラクターごとに作戦を決めることになり、戦うか、フォーメーションを決めるか、フォーメーションを待つかが選べます。

  戦うを選べば全員の作戦が決まり次第、これまで通り単独で自由に行動することができます。

  フォーメーションを決めるを選べば、そのキャラクターが持つフォーメーションの種類から選ぶか、

  スペシャルスキルから『コラボレイド』という合体技を選ぶかができ、フォーメーションを待っているキャラクターと一緒に行動します。

  また、作戦を素早く決めると、その分だけタクティカルポイント(TP)が多くたまります。

  TPは今後戦闘に使うことになるので、ためておくと便利です。

  前回とは違い、時間によって戦況が左右されるので油断せずに臨みましょう。

 

 

 

───START GATCHINKO WARS───

 

 

 

○プラネテューヌ・トキネの林・木陰広場・昼・<ガチンコウォーズ>

 

  プレイヤーチーム/前衛:ネプテューヌ、ネプギア  後衛:コンパ

  相手チーム/スライヌ3体

 

    林の奥の方に出来た広場でネプテューヌ達がそれぞれ戦闘配置につく。

    同時に、実況とアナウンスがONになる。

 

実況「さぁやって参りましたガチンコウォーズ!」

ネプテューヌ「タイマン張らせてもらうぜぃ!」

スライヌB「どこがタイマンだバカやろー!」

ネプテューヌ「固定台詞なんだからいちいち突っ込まないでよ! めんどくさいスライヌだなぁもう!」

実況「各戦士、戦闘配置につきました」

アナウンス「Ready...Set...Fight!」

実況「まずは両チーム、作戦を練る!」

 

 

──作戦タイムが始まりました。

  まずは前衛と後衛の配置をしましょう。

 

   これに置いては特に変更なし。

 

──次に前衛キャラクターの行動を決めましょう。

 

   ネプテューヌ、ネプギア→たたかう

 

──前衛キャラクターの行動が決まったら、次は後衛キャラクターの準備です。

  今回から後衛のキャラクターにも一定の行動権利が与えられることになりました。

  「グー」、「チョキ」、「パー」のじゃんけんの手をどれか一つ決め、対象の前衛が相手に攻撃されようとした時、

  セットした手が相手の攻撃が持っているじゃんけん属性に勝っている場合、相手の最初の攻撃だけを無効化し、

  逆に後衛キャラクターがダメージを与える「カウンター」が発生します。

  強力な攻撃が来た際に発動できれば一発逆転のチャンスです!

  また、手を選択せずカウンターを次のターンまで保留しておくことで、最大5回の攻撃までカウンターに対応できるようになります。

  上手く活用してください。

  今回は試しに「パー」をセットしてみましょう。

 

   コンパ、「パー」

 

──作戦が決まりました。

  今回は使うことはないでしょうが、TPがチャージされます。

  さぁ、行動開始です!

 

 

実況「さぁバトルのスタートだ!!」

 

 

 

 

 

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    両陣営、実況の試合開始の合図があったにもかかわらず、全くもって動かない。

    各々、敵に対し睨みをきかせるばかりで、何が起こる気配もない。

    ネプテューヌの頬に汗が垂れる。

 

 

ネプギア「……お姉ちゃん?」

実況「おぉっと!? どうしたネプテューヌ! その場から一歩も動きません!」

 

 

ネプテューヌ「あれ? わたしのターン!?」

ネプギア「そうだよ!」

スライヌC「おいちゃっちゃとしろよ!」

 

    ネプテューヌ、東京タワーのポーズをしたり、Cの字にジャンプしたり、力士がする張り手のポーズをしたりと色々動いてみる。

 

ネプテューヌ「よっ! はっ! どすこいっ」

 

    動けることを確認し、自分のターンであることを認識する。

 

ネプテューヌ「……ほんとだ。あれぇー全然わかんなかった。ごめんごめんっ!」

 

実況「気を取り直して! ネプテューヌ、モンスターに向かっていく!」

 

    スライヌCに接近し、目の前に立ち意地悪な笑みを浮かべる。

    スライヌC、冷や汗は見えないがかく。

 

スライヌC「……なんだよ」

ネプテューヌ「どーしよっかなー……よぉし、ネプテューヌ! もちつき行きます!」

スライヌC「ぼーりょくはんたーいっ!!」

ネプテューヌ「もんどーむよー!! おーきな声で数を数えてみよーー!!」

 

    ネプテューヌ、木刀を思い切り振り上げもちつきの要領でスライヌを連打し始める。

    木刀の殴打に合わせて変形するスライヌ。

    ただし、4回目は回避。

 

ネプテューヌ「いーち! にー! さーん! し、あーよけられた! ごー!!」

実況「ネプテューヌ! 剣を杵に見立て叩く叩く! モンスターがコシの強いモチになるー!!」

 

    最後にひときわ大きく振り上げる。

 

ネプテューヌ「らぁぁあすとおぉぉぉ!!」

 

    しかし攻撃をしようとしてもできず、引っかかるように止まる。

 

ネプテューヌ「って、あれ? AP切れちゃった?」

実況「APを使い切りターンエンド! 快調な滑り出しだー!」

 

    ネプギアのターンで、スライヌAに近づく。

 

ネプギア「わたしの番ですね! 覚悟してください!」

 

    剣を後ろに構え、居合の型。

 

ネプギア「せいやーっ!」

 

    刹那、素早く振り抜いてスライヌAを吹っ飛ばす。

    フィールドの端に叩きつけられ、元の場所へワープ。

 

スライヌA「どーした! それじゃまだワンナウトだぜ!?」

 

    ネプギアを挑発し、次の攻撃を誘発させようとするスライヌA。

    ネプギアはここで行動終了。

 

実況「ネプギア! APを温存しここでターンエンド! モンスターチームの攻撃だ!」

 

    スライヌB、ネプギアに接近しタックル。

 

ネプギア「んあ!」

実況「ヒット!」

スライヌB「普通の奴よりかはいてぇだろ?」

 

    スライヌC、ネプテューヌにそのままタックル。

    スライヌCの攻撃が「グー」属性。

 

スライヌC「くらえぃッ!」

 

 

        『コンパ・カウンター』

 

アナウンス「Counter!」

 

 

コンパ「させないですよ〜!」

実況「ここでカウンター発動!」

コンパ「えいっ!」

 

    コンパ、遠くから注射器でスライヌCを射撃。

    スライヌCのダメージは大きく、ここでリングアウト。

    ゲイムから除外された。

 

スライヌC「おみ……ごと……」

実況「モンスター! カウンターでリングアウト! 残り2体となった!」

 

    続いてスライヌA、ネプテューヌにタックル。

 

ネプテューヌ「のわっ!?」

 

    よろけるネプテューヌ。

 

実況「ネプテューヌ! 多少よろけた! モンスターの追加攻撃が入ります」

ネプテューヌ「うそぉ──ねぷっ!」

実況「しかしダメージは小さい! モンスターがこれでターンエンド! プレイヤーチームの攻撃だ!」

 

 

──次に、フォーメーションを使ってみましょう。

  ネプギアさんに考えがあるようです。

  このターンは何もせず、APをチャージしておきましょう。

 

ネプギア「お姉ちゃん、次のターンまで待って」

ネプテューヌ「うん! わかった!」

実況「ネプテューヌ! ここはAPを温存か!? ネプギアも同じ様子です! さぁ間もなくモンスターチームの攻撃だ!」

 

   ネプテューヌ→なにもしない。

   ネプギア→フォーメーションをつかう→コラボレイド→『レーシング・ストライク』

   コンパ、指定なし。

 

    このターンはモンスターの攻撃でネプテューヌがダメージを受けて終わる。

 

実況「ネプテューヌ! 立て続けにダメージを受ける! さぁプレイヤーチームはどうでるのでしょうか!」

ネプテューヌ「のわっと……いけるよ!」

 

   ネプテューヌ→フォーメーションを待つ

 

    コマンドを選択し終えると範囲攻撃の範囲指定に入る。

    スライヌA,Bを巻き込み攻撃に入る。

 

 

        『レーシング・ストライク』

 

    ネプテューヌ、木刀をホームラン宣言のように掲げる。

 

ネプテューヌ「もらったぜ!」

 

ネプテューヌ、ネプギア「最終コーナー!!」

 

    ネプテューヌがスタートダッシュを決め、ネプギアが剣のグリップをバイクアクセルのように回転させエンジンをふかす。

    ネプギア、8ビットを思わせるチープな音を出しながら光った剣で、左右2回に分けて衝撃波を放つ。

    衝撃波はバイクの走行音と共にヘアピンカーブをしてスライヌ達を襲う。

 

 

ネプテューヌ「レーシング・ストライクッ!!」

 

 

    その後ネプテューヌが最終コーナーを攻め込むように180度カーブし、スライヌ達をオーバーテイクするかのごとく横に一閃する。

    急ブレーキでスライヌ達から離れるように地面を滑った後、爆発する背景を背に左手で片手うぃっしゅ! ポーズ。

 

 

ネプテューヌ「ふぃにーっしゅ!!」

 

    スライヌA,B、リングアウト。

 

アナウンス「KO!」

実況「コラボレイドが決まった! ここでKO!!」

 

○VICTORY!

 

ネプテューヌ「10年、いや、2万年早いぜぃ!」

 

 

 

───GATCHINKO WARS END───

 

 

 

 

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○プラネテューヌ・トキネの林・昼

 

ネプテューヌ「そぉりゃあ!」

 

    ネプテューヌ、ジャンプして木刀をスライヌAに叩きつける。

 

スライヌA「ぬかったあああああっ!」

 

    そのままワイヤーでつられたように上に飛んでいく。

    ネプギア、コンパ、ネプテューヌに寄ってくる。

    ネプテューヌ、軽く伸びをして来た道を戻ろうとし、はっとする。

 

ネプテューヌ「よっし、チュートリアルも終わったし……あっ!」

 

    ネプギア、前かがみ気味に。

 

ネプギア「どうしたの?」

 

    ネプテューヌ、再度ネプギアの方を振り向く。

 

ネプテューヌ「そうだあのね! わたしアイデン村の人とコミュニケーションとれたよ!」

 

    ネプギア、コンパ、ネプテューヌに詰め寄る。

 

ネプギア「とれたの!?」

コンパ「お話聞けたですか!?」

 

    ネプテューヌ、両手でOKサインを出す。

 

ネプテューヌ「多分ばっちり!」

 

    飛び跳ねて180度ターンする。

 

ネプテューヌ「こうしちゃいられない! わたしさらってくる!」

コンパ「さらっと危ないこといってるです〜!」

 

    そのまま走り出すネプテューヌ。

 

 

ネプテューヌ「!? おひょぉ!?」

コンパ「ひゃあ!」

ネプギア「わぁっ!?」

 

    三人、どこからともなく放たれた数個のボールに当たる。

    ボールの勢いについガードしながら後ずさるネプテューヌ。

 

ネプテューヌ「な、今度はなぁに!?」

 

    今度は三人の背後からボールが放たれる。

 

ネプギア「しゃがんで!」

 

    ネプギアの合図と同時に三人が出来るだけ低くしゃがむ。

    コンパ、自分の視界に転がる野球ボール(やや軟球)を見つける。

 

コンパ「野球ボール……ですか?」

 

    ボールを見ていると、目線の先から三体分の光る目が見える。

    何かに気付いたコンパはすかさず注射器を構え、光る目に向けて射撃。

    ネプテューヌとネプギアもコンパの行動に気付きその方向を向く。

 

コンパ「えいっ!」

 

    一体に射撃は命中。

    しかしまだ軟球を撃ってくる。

    コンパを残し左右に散るネプテューヌとネプギア。

 

ネプテューヌ、ネプギア「逃げろっ!」

コンパ「あーっ! ぴいぃー!」

 

    コンパは何とか軟球弾幕の合間をすり抜ける。

    その隙に素早く左右二体の敵の懐に潜り込む二人。

 

ネプギア「ていやぁっ!」

ネプテューヌ「そぉれっ!」

 

    二人とも剣を振り下ろすが、攻撃が通らない。

 

ネプテューヌ「あれっ!?」

 

    よく見ると、工事用のヘルメットが攻撃を邪魔をしている。

    ヘルメットの下には小型の砲台、その下には戦車キャタピラー。

 

ネプギア「こんなモンスターいたっけ!?」

 

    二人、砲台を顔に向けられ、軟球を連続発射される。

    ネプテューヌは口に当たり、ネプギアは鼻に当たる。

 

ネプテューヌ、ネプギア「いたたっ! いたたたたたっ! いたい! いたい!」

 

    コンパの元に戻る二人。

 

コンパ「二人ともひどいです!」

ネプギア「ごめんなさいコンパさん……」

ネプテューヌ「何なのコレ!? 地味に痛い!」

 

    近づいてくるメット戦車。

    ネプテューヌ、ダッシュして一つを蹴っ飛ばす。

 

ネプテューヌ「うりゃー! とんでけー!」

 

    少しだけ吹っ飛ぶ右のメット戦車。

    ネプテューヌ、蹴っ飛ばした足を痛める。

 

ネプテューヌ「痛ったぁーー! まだ序盤だっていうのに面倒なのに絡まれてない!?」

 

    残りの二体、構わず軟球を乱射。

    なすすべなく当たる三人。

 

ネプテューヌ「なーーーっ! みんな逃げる! 逃げるーー!!」

 

    逃げ”ろ”じゃないのか。

 

ネプギア「あーお姉ちゃん待って!!」

 

    ネプテューヌの後を追う二人だが、逃げようとした矢先に同じような砲台の群像がにゅっと出て来る。

    砲台の群像は広げて、そしてネプギアの身長を超えるくらいに積み上げられている。

    それに驚き、三人が後ずさりする間もなく軟球を乱射してくる。

 

ネプテューヌ「うわぁーー!!?」

 

    反対方向に逃げても、右に逃げても、左に逃げても同じような目にあう。

    四方八方から軟球が飛んできてどうしても当たる。

    林が軟球だらけになりプールを形成仕掛けた所、ネプテューヌが苛立って立ち上がる。

 

ネプテューヌ「だーーーー!! もーーーいや!!」

 

 

    ネプテューヌが腕を交差し、思い切り開く。

    その瞬間周囲の情景が一斉にスローになる。

    軟球の運動スピードが非常にゆっくりとなり、空中遊泳しているように見える。

 

    エレクトロビートを奏でながらネプテューヌの周囲に、ネプテューヌの身長より大きい立方体のフィールドが描かれる。

    立方体のフィールドはボクセルに分割し、どんどんと細かくなっていく

    ボクセルにドット上のシルエットが2次元→3次元に形成されネプテューヌと重なっていく。

    シルエットは人の形を成し、そこで描画が止まる。

 

    ネプテューヌ、ポーズをとるとボクセルドット上のシルエットがそれに合わせて動く。

    ネプテューヌ、ポーズをとり終え叫ぶ。

 

 

ネプテューヌ「ぶっとばーーーすっ!!」

 

 

    叫び終えた瞬間、ネプテューヌの姿は((PH|パープルハート))のものとなり、腕を振り払うような動作をすると衝撃波が走り、

    風圧で軟球とメット戦車達が吹っ飛んだ。

    風圧に耐えようと身をかがめ、踏ん張るネプギアとコンパ。

 

 

    木の葉が吹き荒れ、舞い散る風の中、PHは堂々と立つ。

 

 

    ネプギア、風が治まりそうになるのを確認しPHに釘をさすように言う。

 

ネプギア「お姉ちゃん! 今のシェアだと多分一分も持たないかもだから気をつけて!」

((PH|パープルハート))「その件なんだけどネプギア……」

ネプギア「え?」

 

    PH、そのまま堂々とした姿勢で気まずそうな表情をする。

 

PH「不覚にも……変身した瞬間麻痺になってしまって……解けない」

ネプギア「えぇーっ!?」

 

    コンパ、風圧に耐えようする姿勢を解こうとした姿勢のまま固まり、申し訳なさそうに。

 

コンパ「わたしもですぅ〜……」

ネプギア「コンパさんまで! え、でも今まだゲイムエンカウントしてないんじゃ……」

 

    色違いのメット戦車がかたかたとネプギアの近くまでやってくる。

 

ネプギア「!」

 

    ネプギア、メット戦車の様子が少し違うのを感じ、戦車を見据えて身構える。

    戦車が止まり、だれたような音声が流れる。

 

 

戦車音声「たった今、ゲイムエンカウントを成立させたでしゅ。バックアタックの形で」

ネプギア「えっ!?」

 

 

    驚いて一瞬油断するネプギアを余所に話を続ける戦車。

 

戦車音声「おみゃーさん達が進化しないまま、だらだらだらだらアホみたいに時間を無駄にしている間に、ゲイムギョウ界はマッハで廃れていっているでしゅ」

ネプギア「何者ですか!?」

戦車音声「ゲイムギョウ界の未来を憂いている”預言者”でしゅ。今日はおみゃーさん達に挨拶をしに来たでしゅ。これからおせわになってやるんでしゅからね」

ネプギア「まさか……」

戦車音声「深読みは自由でしゅけど、ゲイムはもう始まってるでしゅよ?」

 

 

 

○同・<ガチンコウォーズ>

 

    またも戦車が大勢やって来て、軟球の一斉射撃を始める。麻痺のために無条件で当たってしまう二人。

 

ネプギア「くぅっ!」

実況「モンスター! 激しい猛攻撃!! このままプレイヤーチーム、なすすべなしかー!?」

 

    射撃が終わり、ネプギアのターンが来る。

    同時に、PHが胸を押さえて苦しみ出す。

 

PH「うッ……くぅ……」

ネプギア「お姉ちゃん!」

PH「……まだ……大丈夫」

 

    PHを案じつつも前方の戦車に向かっていくが、そこで立ち往生。

    心ない実況が響き渡る。

 

実況「どうしたネプギア! この不利な状況で一向に攻撃をする気配がない!」

ネプギア「……ダメ……今のわたしには範囲攻撃がない……」

 

    あくまでだれている戦車の音声が更にネプギアを追い詰める。

 

戦車音声「早くどうにかしないと危ないんでないでしゅか?」

ネプギア「……くぅっ……」

PH「ぐッ!? ぐぁっ……くフゥッ!! ぅぅ……っ!」

 

    PH、ついに立ってられなくなり、膝をつき、うずくまって苦しむ。

 

ネプギア「! ……っ!!」

 

    ネプギア、PHの苦しむ姿に苦悩しながら何もできない。

 

実況「プレイヤーチーム! 敗北してしまうのかー!?」

戦車音声「ゲイム……オーバーでしゅ」

 

 

 

 

 

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○同・上空・<ガチンコウォーズ>

 

    何者かが猛烈なスピードで落下してくる。

 

○同・地上・<ガチンコウォーズ>

 

    上空から突如何かが降ってきて、地面に激突する。

    砂煙を舞いあがらせ、視界をふさぐ。

    ネプギア、後ずさりし、せき込む。

 

ネプギア「……けほっ、けほっ」

 

    PH、以前うずくまったまま。

 

PH「う……ぐぅ……ぁ」

 

    コンパは動けない。

 

コンパ「で、デジャブです〜?」

 

    少しだけ後ずさっただけで何ら反応もない色違い戦車。

 

 

    砂煙が治まると、見たこともない、女神のような格好の戦士が左膝と右を拳にして立てて着地していた。

    薄い赤紫色のロングヘアーをPHとコンパが見る。

    上半身には二等辺の逆三角形を思わせ、両肩が出張っているアーマー。

    若干だが赤みがかった白をベースに赤、青、金の色がそれぞれバランスよく入ったライン。

    右手には手をつないでいるような形の銀の腕輪をしている。

 

 

PH「……?」

コンパ「な、なんですか?」

 

    ネプギア、謎の戦士の姿を見つめる。

    謎の戦士、顔を上げ、メットを被った戦車だらけの情景を目にする。

    静かに立ち上がり、辺りを見回す。

 

 

 

???「……どうなっている?」

 

 

 

    凛とした低音が響く。

    ネプギア、状況を把握しきれていない様子の謎の戦士に話しかける。

 

ネプギア「あの!」

 

    謎の戦士、ネプギアの方を向き、やはり女神のそれと同じ電源ランプマークの青い瞳で見る。

 

???「……はい」

 

    返事をした矢先、謎の戦士に軟球が当たる。

 

???「っ……?」

戦車音声「何者でしゅ?」

???「……そこから話しているのか?」

 

    謎の戦士、音声の聞こえた色違い戦車をしゃがんでまじまじと見る。

    戦車からもう一発軟球が発射され、謎の戦士の顔に当たる。

 

???「いたっ……なにをするんだ」

 

    ネプギア、謎の戦士に呼び掛ける。

 

ネプギア「あのっ! あなたは女神なんですか!?」

???「……女神? 一体何の話です?」

戦車音声「どっちでもいいでしゅ。そこをどくでしゅ。遊びたいなら別でしゅが」

PH「ぐぁっ!! ぐぅぅっ!!」

 

    謎の戦士、苦しむPHの方を向いて立ち上がる。

 

???「さっきから何を言っているのかさっぱりだ。そなたたちはここで一体何をしているのだ?」

 

    色違い戦車、また軟球を謎の戦士に向けて発射。

 

???「っ……」

戦車音声「答えるのが面倒でしゅ。おみゃーもゲイムに混ぜてやるでしゅ」

???「ゲイム?」

 

    色違い戦車を筆頭に、その場にいるメットを被った戦車が一斉に軟球を発射してくる。

    面喰い、被弾する謎の戦士。

 

実況「モンスター! 一斉攻撃を仕掛けてきた! 謎の戦士! 抵抗する間もなく被弾した!」

???「なんだ……っ! なんなのだ一体……!?」

 

    攻撃が止み、ターンがプレイヤーに回る。

 

実況「さぁプレイヤーチームのターンだ!」

 

    ネプギア、謎の戦士にことを説明する。

 

ネプギア「今は重要なことだけを話します! 今あなたはゲイムっていう戦いの中にいます。戦いに参加する人はみんな定められているルールに逆らえないんです。今はわたしが動ける状態です。わたしのターンが終わったら次は多分あなたが動けます。どうかわたしと一緒に、あの戦車モンスターを退治してください!」

 

    ネプギア、返事を聞く間もなく戦車の方へと赴き、攻撃を加える。

 

???「退治ですって!?」

ネプギア「やぁっ!! せいやぁっ!!」

実況「ネプギア! モンスターに対し一心不乱な猛攻! 自分のターンを終えた!」

 

    謎の戦士、足の枷が急になくなったようになり、つまずく。

    動けることを確認すると、戦車達を見据える。

 

???「……」

 

 

 

 

──最後に、闘争心ゲージについて説明します。

  闘争心ゲージは、自分と相手のキャラクターの闘争心を示しています。

  通常の攻撃を受けたり、自分の攻撃を外したりするとゲージが上がり、

  ある特殊な攻撃を受けたり、ターンが経過したりすると下がります。

  ゲージが満タンになると「レイジ」の状態となり、攻撃力が1.5倍になりますが、プレイヤーの操作を一切受け付けなくなります。

  逆にゲージをゼロにすると「戦闘離脱」になり、その戦闘を離脱したまま戻ってきません。

  敵全員を「戦闘離脱」させた場合、通常の経験値やアイテムに加えて、離脱させた場合にしか手に入らないアイテムが手に入ります。

  敵に対しての優しさが、時には全体の利益となることもあるのです。

  ためしに、闘争心ゲージを下げるスペシャルスキルを使ってみましょう。

 

 

        『フレンズ・レクト』

 

???「その気を静め、悔い改めよ……」

 

    謎の戦士が右手を掲げると、腕輪から光が放たれ、リングを形成する。

    そして右手を左から右へと撫でて光を広げるように移動させる。

    光は戦車達全てに降り注ぐ。

 

    光が治まると、戦車達は勝手に帰っていった。

 

戦車音声「あれ? あれ? ちょいと? まぁいいや……」

 

 

 

    その光景に唖然とする一同。

    謎の戦士、自分の腕輪を見る。

    ゲイムが終了し、状態異常以外の縛りがなくなった。

    とはいえ、ぎこちなくだが動けるようにはなったPHとコンパ。

    しかしPHは依然苦しんでいる。

    コンパ、麻痺を治すために右手に麻痺治し薬品をプログラムし、PHに触れる。

    PH、プログラムをダウンロードしながら謎の戦士に話しかける。

 

 

PH「あなた……どこの女神? 名前は……?」

???「モコ……モコ・ド・ア・ラ・モードで、女神……かどうかは存じませんが、私は村の人間です」

PH「村!? ぐっ……!!」

ネプギア「お姉ちゃん! 早く変身といて!」

 

    PH、ネプギアに支えられながら立ち上がり、腕を交差しそれをまた開く。

    謎の戦士、それをまねして同じ動作をする。

 

    情景がまたもスローモーションになり、立方体フィールドとボクセルが形成される。

    ボクセルに変身を解いた後の姿がドット式に描画され、完了すると一瞬でなり変わり、双方のボクセルが崩れ去って消えていく。

 

 

 

 

 

-5ページ-

 

 

 

 

ネプテューヌ「はーーっ、久々に苦しかったぁーーー!」

 

    変身を解いたPHと謎の戦士。

 

???「あ! もどった!」

 

ネプテューヌ「ん? あーーーーーっげほっ! げほっ!!」

 

    謎の戦士の正体を見て驚き、そのあまりにせき込むネプテューヌ。

 

ネプギア「お姉ちゃん!? あー! って?」

 

    ネプギアに支えられてゆっくりと立ち上がり、深呼吸をする。

 

 

 

ネプテューヌ「すー、はーっ……はぁ、さっきの店の店長さん!?」

 

    謎の戦士の正体は、『mode house』の店主。

    つまり彼女がモコ・ド・ア・ラ・モード。

 

モコ「あっ!? ねぷちゃん!?」

 

ネプギア「……知り合い?」

 

コンパ「ですか?」

 

ネプテューヌ「なんで!?」

 

モコ「え、えーと、なんかね! 持ってたこれをいじってたらね!」

 

    モコ、自分の赤いスマホのような機械を取り出す。

 

モコ「したらね! なんかぴかーって光って、なんか、なんか出てきてかちーんってくっついてパニックになってたら、なんかびよーーーんって飛んじゃって!」

 

    慌てふためいたジェスチャーをする。

 

モコ「したらねぷ──」

ネプテューヌ「……店長さん?」

 

    ぶつっという音がしたかと思うと、途端にモコの声が聞こえなくなった。

    ネプテューヌ、モコに応答願う。

 

ネプテューヌ「もしもーし?」

 

    しかしモコ、ジェスチャーだけして何も聞こえない。

    自体の異変に気付いたのか、その場をきょろきょろと見渡す。

 

ネプテューヌ「メーデー! メーデー! 聞こえますかー!?」

 

    はっと気づいたモコ。

    自分のジャケットの内ポケットから「I」の字のエンブレムの物体を取り出す。

    エンブレムを左手で持ち右手の人差指で長めにタッチ。

 

ネプテューヌ「応答願いまーす!」

モコ「ふぁっ!? あ、聞こえるようになった……!」

ネプギア「ど、どうしたの……?」

 

    モコ、エンブレムを三人に見せる。

 

 

 

 

モコ「これ、おでかけモードにしてなかった」

 

 

 

 

 

 

イストワール(ナレーション)「犯罪組織との戦いから、いくばくかの時が経過し、戦いの記憶は風と共に去っていきました。私達は変わらぬ営みを続けていく中で、どうしても変わってしまう時代の波に、心を奪われていきました……そんな時、3人目の勇者……彼女が現れたのです」

 

 

 

 

説明
序章はこれで終わりです。
こんなテンションでよければ、どうぞお付き合いください。
4/11 脱字を発見したので修正。 事前情報の方にあった前回というのはmk2のことです。誤解を招く表現すみませんでした。
5/23「どっとしき」とひらがなになっていたので修正。
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コメント
コメントどうもー。ここだけの話ネプ姉妹実は無印mk2時代でそれぞれ一回死んで(ブリックじゃなくカラータイマーが消えた的な)エネルギー供給で復活した設定です。セガハードってすごいけど脆いのです。(柏中ロージュ&ミヤウエ)
パープルハート結構危なかったな…。 氷室「……チッ。」 おや? 珍しい、女神の心配なんて。 氷室「死ねばよかったのに……。」 そっちの心配かよ…。(クリケット)
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