IS-W<インフィニット・ストラトス>  死を告げる天使は何を望む
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試合が終わった後、ヒイロは放課後、皐月を呼び出すために2組の教室まで行った。

ヒイロが2組の前まで行くと2組の女子は大声を発した。

 

『きゃあああああああああああああああああああああああ!!ヒイロくんよ!!』

『ほんとだわ!!どうして2組に!?』

『ああ…寡黙なところがかっこいい〜〜〜』

 

と暴走気味の女子たちを無視してヒイロは眼鏡をかけたおとなしそうな女子に

 

「すまん…早瀬 皐月を呼んできてほしい」

 

と言った。

女生徒は顔を真っ赤にさせ返事を返した後、皐月を呼びに行ったのだった。

もちろんその時『なんであの子だけ呼ばれるのよ!!』とヒステリックな声が響いていたが彼女が倉持技研の人間っだという事を知っていたのでそこまで問題にならなかった。

 

 

 

皐月を呼び、ヒイロは自分が寝泊まりしている研究室に行った。

皐月は目を輝かせながらついてきている。

 

「…・ゼロのシールドエネルギーによるシールドの自動展開の調整をしたい。頼めるか?」

 

と歩きながらヒイロは言った。先ほどのセシリア戦でヒイロは避けたつもりの攻撃がギリギリのかわし方でウイングゼロのシールドが勝手に発動したのだ。しかし、ヒイロはいままでシールドエネルギーの調整をしたことがない。なので皐月を頼ったのだった。

皐月はそれを聞いて笑顔で答えた。

 

「ウイングゼロはISと同じ部分とGコアによる新規の部分の二つを兼ね揃えてる機体だと3月の調査で分かったからね。ほとんどGコアの部分で構成させて最近やっとできるようになったけどシールドエネルギー関係だったらISと同じだからすぐにできるよ」

 

と答えた。3月から行われていたウイングゼロの調査。ただし、世界のバランスを変えかねないGコアとエネルギージェネレーターだけは調査しなかった。

ヒイロは皐月の様子を見ていた時、ふと思い出した。

 

「スマン…この指輪…誰のか分かるか?」

 

と言ってヒイロは皐月に見せた。それはこの間ヒイロが拾った指輪だった。

それを見て、皐月は驚く。

 

「こ…これって!!」

『あ…あの…』

 

後ろからものすごく控えめで、聞き逃しそうな声が聞こえた。

ヒイロたちが振り返ってみると、そこには水色のセミロングヘヤーで、内側に少しはねており、長方形のメガネをかけていて、雰囲気が暗いとか、薄幸少女とかいう言葉を連想させる。そんな女の子がいた。

少し、ビクビクしている感じにヒイロはとらえたが…

 

「お前は…」

 

ヒイロもこのタイミングで思い出した。彼女は初めてこの研究室に来たときぶつかった女の子である。

 

「……((更識|さらしき)) ((簪|かんざし))さん…ですね」

 

皐月が真顔でそう言ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このたびは、我が社が起こしたことでご迷惑をおかけしました事、申し訳ございません」

 

とあの後、研究室の奥にある研究員用の簡易宿直室 (ソファー、シャワールーム、簡易冷蔵庫、簡易ベット、ロッカーしかなく、寮の部屋とは大違い)のソファーで皐月は簪に頭を下げた。

実はヒイロが拾った指輪は、簪が日本代表候補生である自分の専用IS『打鉄弐式』だったのだ。なのでずっとどこにやってしまったのか…簪は探し回っていたようだ。

そして皐月は倉持技研を代表して謝った理由…それは一夏の専用機になった白式の調整のため、倉持技研で開発していた打鉄弐式の開発が止まってしまったのだ。本来なら別の人員を割くのだが、倉持技研は『Gプロジェクト』も行っていたのでそんな人員はいなかった。

 

「……い…いえ、あの……謝らないでください」

 

簪は慌てて手を振りながらそう言う。そこで皐月は顔を上げて真顔で話を続ける。

 

「それで、私たち『Gプロジェクト』のメンバー…と言ってもしばらくは私だけなんですけど、『打鉄弐式』の開発をするように本社から言われています。これで完成させられると…」

「ま…待ってください…お願い。一人で作らせてください……」

 

その時、場の空気が固まった。

ISを自分で作る…ただでさえ研究者たちでも難しいことなのにそれを15歳…しかも皐月と違い、研究者関係ではない人間がだ。無謀にもほどがある。

皐月は無理と言おうとしたとき、ヒイロが手を皐月の口元にかざし、止めた。

 

「理由を聞かせてもらう。…普通に考えると無謀に思える」

 

ここで初めてヒイロがしゃべったので簪は驚いたが、ヒイロの目が怖いけど自分を試していると気づいた。

 

「え、う、んと………。私の……お姉ちゃん。この学園の、…生徒会長。そ、それで…、お、お姉ちゃん…も、専用機……持って……る。で、でも、…お姉ちゃん。専用機、一人で…作った、から」

「生徒会長…楯無さんか…お姉ちゃんと同じように自分も一人で作り上げてみせたいと」

「う、うん。だから、…あの」

 

皐月の返事に簪はそう言う。

ヒイロは目をつぶってそれを聞いていた。そして…

 

「それは…お前の心がそうしたいと願っているのか?」

 

と質問に対して簪はうなずいた。その目はどこか子供がする目だったが…それでも…あの一夏と同じ強い意志を感じた。

 

「……感情に従うことに異論はない。お前の好きにやればいい」

「ヒイロさん!!」

「皐月には俺から頼みたいことがある。ツインバスターライフルの出力制御装置の開発を大至急してくれ」

 

皐月が反対する前にヒイロは皐月に仕事を与えた。確かにヒイロとしてもできるだけ早くツインバスターが使える方が今後の事を考えるとよかった。そしてそれはものすごく時間がかかること…なにせその気になればISを装備した人間も蒸発できるほどの威力を持つものを調整するのだから。

皐月はそう言われて溜息をつくと…

 

「…わかりました。じゃあ…それまでの間、保留で」

「あ……ありがとう…ございます」

 

簪が頭を下げ、そろそろ戻らないといけないそうなのでソファーから立ち上がり去って行った。

この日、簪はヒイロに兄のような感情を抱いていた。今まで、簪がすることは無謀で周りはずっと止めてきた。今回もそうだった。だがヒイロは違った。

『お前の好きにやればいい』

その一言が簪はうれしかった。

この人なら相談したら私の感情も踏まえて助言してくれる。助けてはくれないけど、見守ってくれる…そう思われてしまった。

そのことが原因でのち、一人のシスコン大将とヒイロは戦う羽目になるのだった。

 

 

その後、ヒイロは皐月とウイングゼロのシールドの設定をした。それによりできるだけギリギリでなおかつ翼には判定をなくした。これで明日の試合に臨む。

 

 

そしてそれは一夏も同じだった。

ヒイロの試合を見た後、剣道場で竹刀を振っていた。

ヒイロに勝つための方法を槇村から教えてもらったが、その方法は今回…しかも一回しか通用しない。失敗は許されない。

ゆえに精神を研ぎ澄ましていた。その様子を箒は見る。箒は感じていた。一夏の強い意志を…そしてその姿に再び惚れ直したことを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…運命の最終戦…

 

白き騎士とゼロの名を持つ天使。二つの影が競技場にたたずんでいる。

観客は大勢入っている。男子同士の戦い

 

「来い…一夏。お前が俺に見せたその目に宿る強い光。…それをこの場で示せ…」

 

ヒイロはそう言ってビームサーベルを抜く。

そう言われて一夏も雪片弐型を展開する。そして一呼吸した後…

 

「行くぞ…ヒイロ!!」

 

と言って試合の合図がなった。

最初に動いたのは予想に反してヒイロだった。ウイングゼロは翼を羽ばたかせ、一気に白式に接近する。一夏はそれを迎え撃つように構える。

ヒイロがビームサーベルを一夏から見て左上から斬りかかってくる。それを一夏は受け止めるように剣を振る。

そして受け止める瞬間…一夏のIS、白式が金色のオーラに包まれ、雪片と接触した瞬間ビームサーベルのビームがかき消された。そしてそのままヒイロを斬りかかる。

 

(俺は!!この力で俺の大切なものすべてを…………守る!!)

 

ヒイロもビームサーベルが消えた瞬間、マズイと判断したがすでに遅く、ボディーに少し傷が入り、シールドエネルギーがなくなってしまった。本来なら戦闘続行できる損傷だが、ISバトルはシールドエネルギーがなくなった方が負け…つまり…

 

『勝者、織斑 一夏』

 

と言うアナウンスが流れたのだった。

一夏は息をゼイゼイ言わせていた。その数秒だけだがヒイロに外られないように全神経をタイミングを見極めるために使ったからだ。そう…『零落白夜』を使うタイミングを…

 

 

 

 

 

 

 

『今回だけしか使えないが君の腕でも勝てる可能性がある戦法を教えよう。それは…零落白夜だ』

『零落白夜』

『白式の((単一仕様能力|ワンオフ・アビリティー))だ。本来なら((二次移行|セカンド・シフト))で得られるかもしれない能力なんだが、これはそういう風にできているんだ。簡単に言えばバリアー無効化能力を持つ雪片弐型の全力攻撃。そしてそれは時にビーム兵器を無効化する』

『え!!ビーム兵器を!!』

『そう。ヒイロはまだそのことを知らない。そこを突けばビームサーベルとぶつかる瞬間に零落白夜を使えばいい。そうするとサーベルの刃は消え、そのまま攻撃が入る。ウイングゼロもシールドを突破されると絶対防御は発動しないがエネルギーは大幅に減る。と言うかなくなる。だからそこを突けば勝てる…ただし、問題はタイミングだ』

 

 

 

とこれが昨日、槇村との会話の内容だった。

そう、この作戦はタイミングが問題なのである。早すぎるとヒイロに感づかれ、遅すぎると反撃するタイミングが失うことになる。一夏はこの一瞬のタイミングを見極めたのだった。

 

「…一夏」

 

ウイングゼロを展開した状態でヒイロは一夏に近づいた。そして…

 

「お前の強さ…確かに確認した」

 

そう言うと一夏は笑いながら地上に降りた。

そしてこれによりクラス代表決定戦は終了したのだった。そして、槇村も倉持技研に帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜこうなった…次の日の一夏の心の声の第一声がそれだった。

 

「では、一年一組代表は織斑一夏くんに決定です。あ、一繋がりでいい感じですね!」

 

もう一度言う。なぜこうなった。

と繰り返し、心の中で思う一夏。

 

「先生、質問です」

「はい、織斑くん」

「俺はなんでクラス代表になってるんでしょうか?」

 

そう勝敗は全員、一勝一敗である。なのになぜか一夏が選ばれた。

そのわけは…

 

「それは――」

「それはわたくしが辞退したからですわ!」

 

山田先生が理由を言おうとしたらその本人が理由を述べた。相変わらず様になっている腰に手を当てるポーズ。そう、セシリア・オルコットである。

 

「まぁ、勝負はあなたの負けでしたが、しかしそれは考えてみれば当然の事。なにせわたくしセシリア・オルコットが相手だったのですから。それは仕方のないことですわ。…・それで、まぁ、わたくしも大人げなく怒ったことを反省しまして…………“一夏さん”にクラス代表を譲ることにしましたわ。やはりIS操縦には実戦が何よりの糧。クラス代表になれば戦いには事欠きませんもの」

「いやあ、セシリアわかってるね!」

「そうだよねー。せっかく男でISを使える人が二人も居るんだから、同じクラスになった以上持ち上げないとね!」

「私たちは貴重な経験を積める。他のクラスの子に情報が売れる。一粒で二度おいしいね、二人とも」

 

他の女子たちもセシリアに賛成し始める。セシリアの辞退により、ヒイロに勝った一夏が代表にされたということなのだ。

結局、その意向で返られず、一夏は代表、ヒイロはその補佐と言う形になった。

ヒイロとしてもその方が一夏の行動が把握できてよいからだ。

その後、だれが一夏にISを教えるか…箒とセシリアで争い始めたが千冬の出席簿アタックが炸裂…沈黙したのだった。

 

 

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あとがき

 

投稿が遅れてすみませんでした.最近忙しいので遅くなるかもしれませんが今後ともよろしくお願いします

説明
第07話 織斑 一夏の力
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タグ
再構築 ヒイロ・ユイ ガンダムW IS インフィニット・ストラトス 

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