魔法少女リリカルなのはStrikerS00(仮)−−01 光を目指して−−
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導入部一話目。

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−−光を目指して−−

 

私が見る夢はいつも真っ暗だった。

怖くて、寂しくて、我慢できなくて声を出す。

 

ママ!助けて!!

 

でも、その声に答えてくれる人はいなくて。

いつも泣いていた。

目が覚めても真っ暗だった。

自分がいる場所がわからなくて、それが怖くてまた泣きながら声を出す。

 

ママ!どこにいるの!!

 

やっぱり、それに答えてくれる人はいない。

私は、いらない子なのかな?

 

そんな毎日が続いたある日。

また、いつもの夢。

真っ暗な中に一人取り残される夢。

でも、その日は違った。

 

ママ……。

 

小さく呟いた。

 

「…………」

 

え?

 

誰かの声が聞こえた。

聞いたことのない声。

誰なのかは分からない。

何を言ったのかも分からない。

でも、確かに聞こえた。

 

ママ……いるの?

 

返事はない。

 

ママ?

 

もう一度、呼んでみる。

今度はいつもと同じで、答えてくれる人は誰もいない。

いつもと同じ、真っ暗で怖い夢。

でも、一度だけの確かに聞こえた声が、今日は不思議と安心して眠ることができた。

 

 

次の日も、その次の日も声が聞こえた。

何を言っているのかは分からない。

でも、女の人の声というのはわかった。

優しいそうな女の人の声。

もしかしたら、ママかもしれない。

離れているから聞こえないのかもしれない。

夢の中で上手く足が動かない。

それでも、足を必死に動かして声のする方へ走る。

 

ママ!

 

走りながら呼ぶ。

 

「…………」

 

ママ!!

 

さっきよりも大きな声で呼ぶ。

 

「…………!」

 

やっぱり、何を言っているのか聞こえない。

でも、ママはいる。

きっと。

 

 

初めて声が聞こえた日から何日たったのかな。

あれから、私は真っ暗な中を毎日走っていた。

まだ、何を言っているの分からない。

でも、わかったこともあるよ。

二人いるの。

もう一人も、女の人。

優しい声をした女の人。

ママが二人いるのかな?

 

ママ。

 

「…………」

「…………」

 

 

あれから、また何日かして、同じ夢を見る。

 

ママ。

 

今日は聞こえない。

昨日までは聞こえていたのに。

 

ママ。

 

もう一度、呼ぶ。

 

「…………」

 

昨日までの優しい女の人の声じゃない。

男の人の声が聞こえた。

ちょっと、怖い感じがする。

でも、優しい感じがするの。

ひょっとして。

 

パパ?

 

「…………」

 

何?

何を言っているの?

 

「…………」

 

聞こえないよ。パパ。

 

「…………」

 

今度は、一番最初に聞こえた女の人の声が聞こえた。

 

聞こえないよ。ママ。

 

私は、走るのをやめた。

どんなに走っても。

どんなに大きな声を出しても。

見えないし、何を言っているのか分からない。

 

だから、走るのをやめた。

きっと、会えないんだ。

どんなに頑張っても。

だから……。

 

 

『ヴィヴィオ!』

 

 

!?

男の人と女の人の叫ぶ声が同時に聞こえた。

今度は、ちゃんと聞こえた。

「ヴィヴィオ」と。

私の名前を呼ぶ声が。

 

パパ!

ママ!

 

『ヴィヴィオ』

 

さっきとは違う穏やかな声。

私は、もう一度走り出す。

 

パパ!

ママ!

 

『ヴィヴィオ』

 

声は聞こえるけど。

姿は見えない。

 

どこにいるの?

パパ、ママ。

 

「ヴィヴィオ」

「もう少しだよ」

「頑張って!」

 

パパとママに早く会いたい。

でも、足が動かないの。

疲れて、胸が苦しくて、その場にしゃがみこんで。

 

うう。

 

また、泣いちゃった。

 

「ヴィヴィオ」

 

パパはヴィヴィオを迎えに来てくれないの?

 

『ヴィヴィオ』

 

ママ達はヴィヴィオに会いたくないの?

 

「もうすぐ会えるよ」

「だから」

「立って!」

 

パパ。

ママ。

 

立って。

涙を手で拭いて。

真っ暗な先を見つめて。

 

「そうだ」

 

ゆっくり。

 

「一歩ずつ」

 

しっかりと。

 

「自分の足で」

 

歩く。

 

もうすぐ会えるんだよね?

パパ。

ママ。

だから、私がんばるね。

まだ、顔も見たことないけど。

でも、この声はヴィヴィオのパパとママ。

 

待っててね。

必ず会いに行くから。

 

 

真っ暗な中を今日もゆっくり歩く。

一つの小さな光に向かって。

説明
再び魔法少女の世界へ降り立ったガンダムマイスター刹那・F・セイエイ。イノベイターへと変革した刹那に訪れる再会と新たなる出会い。魔法少女リリカルなのはA's00〜とある日常〜(仮)の設定を踏まえたクロスオーバー作品です。読みづらい、誤字脱字等の至らないところが多々あると思います。作者の原作知識は、それほど高くありません。また、オリジナル設定が含まれておりますので、原作を大切にされている方はご注意ください。コメント欄にはご自由にお書きください。注)本小説は、某サイトにて投稿していたものを移したものです。
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魔法少女リリカルなのはStrikerS 機動戦士ガンダム00 クロスオーバー 刹那 なのは フェイト 

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