IS《インフィニット・ストラトス》 駆け抜ける光 家族との思い出と先輩との出会い |
「久しぶりの我が家だぁ!」
「久しぶりよりも懐かしいかな。どこか変わった所ってあるの?」
「ん〜、光輝が最後に家に来たのが2年前か。特には無いと思うぜ?」
夏休みも終盤のこの頃、僕と夏兄は我が家に戻っていた。僕にとっては本当の家という訳ではないけど……。
「そういやアムロさんはどうしたんだよ?」
「寮の部屋にいるよ。何かを感じるらしいんだけど……よく分からないんだって」
「そうなのか。やっぱり人数が多い方がいいのにな〜。まぁアムロさんは人と言うよりISか!」
いろいろ話したかったんだけどなぁ、と冷えたお茶を飲みながらの夏兄。アムロさんの過去を聞いた後、夏兄はみんなを守る為に更に強くなると決め、アムロさんにいろいろとアドバイスを受けるようになった。僕もそれを見て実際にやったのだけど、アムロさんの説明は分かりやすく、受ける身からしてみれば非常に助かるのだ。
「そろそろ千冬姉が来ると思うんだけど、遅いな」
「何か急な仕事が入ったとかかな?」
そう話していると玄関が荒々しく開ける音が聞こえ、リビングの扉が勢いよく開く。
「す、すまない。ちょっとした仕事が残っていてな、遅れてしまった」
「いいって千冬姉。じゃあ行こうぜ二人とも」
こうして夏兄の言葉に僕達は家を後にすることに。家の外に出ればやはり日が照って暑い……。どうにかならんかねこの暑さは……。
「それにしても家族全員で出かけるなんて何年ぶりぐらいだ?」
「さぁ……けっこう前だったような気がするけどね。でもこうして全員がいるだけで僕は嬉しいな♪」
「学園で一応は毎日会っているが、身内だとしても生徒と教師だからな。こうしてお前らと普通にいれるのは落ち着くよ」
家を出て、僕達はレゾナンツに来ています。特に何か買うと言う訳ではないけど、何処かに出かけると言うだけで僕は充分です。レゾナンツ自体大きいし、何か買う物がありそうかな?
「ふむ……お前ら、ちょっと服を買いたいんだが付き合ってくれるか?」
「お、いいぜ。さっそく行こう!」
お母さんの服を買うために女性専用の服売り場に来たのだけど……やはり男が入れるような雰囲気じゃない。う〜ん、ここは勇気を振り絞って行こうか!
「二人とも何を緊張している? 他の客に何か言われたら私が言い返す。だから気楽になれよ?」
僕と夏兄の考えを感じたのか、お母さんはそう言った。女尊男卑のこの世の中は男性が女性にぶつかっただけで女性は批難の言葉を言う。それが人為的なものではないとしてもだ。もし、女性を殴ればすぐに警察にお世話になってしまう。男性を見下す女性も多い。それに耐えなければならないのだ。
「とにかく千冬姉に着いていこうぜ光輝。千冬姉自体、あんまり服とか買わないからな。俺達も千冬姉に合いそうな服を探そう」
「う、うん。でもお母さんってどういうのが好きなのかな?」
「言われてみればよく分からないな……。つか、光輝の方が千冬姉といた期間が長いんだから分かるんじゃないか?」
「夏兄はそう思うかもしれないけど、お母さんってほとんど簡単な服装なんだよ。例えばジーパンにシャツとか……スカート姿とか見たことないしね……」
今でもお母さんの服装はジーパンにカッターシャツなのだ。この時期にカッターシャツってどうかと思ったり……。
「そ、そうなのか? でも言われてみれば千冬姉にスカートは似合わない気がするなぁ。今日は俺達がいろいろ提案していこうか」
その意見に賛同します。お母さんはいろいろ服を手にとって見ているがなかなか決まらないのか取っては戻すを繰り返している。さて、お母さんに似合いそうな服を探そうか。
「こ、これは……足がスースーするな……」
「たまにはこんな服も良いと思うよ。それに似合ってるし」
「そうだって! 千冬姉って簡単にし過ぎだと思うぜ?」
服売り場を出て歩いている僕達だけど、お母さんの顔が赤い。今のお母さんの服装は黄色のワンピースだ。爽やかな感じがして凄く綺麗なんだ! 元々スタイルが良いからどんな服も似合うんだよね。エリスさんにファッションの事を教わった甲斐があったね!
「こういう服は慣れないな……お前らはこういう服が好きなのか?」
「好きというかこれが千冬姉に似合ってそうだからかな。でもゆったりしてていいんじゃないか?」
「確かにゆったりはしているが……どうもなぁ」
「もしかして嫌なの?」
「い、いや! そんなことないぞ! 一夏も光輝もそんなに暗い顔をするな! 大切な家族に決めてもらった服だ。これでまた一つ思い出が増えたんだから、嬉しいさ。ありがとな二人とも」
切なそうな瞳で僕達を見つめるお母さん。お母さんが前に言ってたね。一つ一つの出来事は人生で一度しかない事。それが嬉しいことでも悲しいことでも思い出として大切にすることが自分にとって強さになると――。
「あの、もしかして織斑先生……ですか?」
後ろから、女子のオドオドした声が聞こえたので僕達は振り向いた。膝ほどのある栗色のロングストレートに藍色の瞳が印象的で、身長は僕と同じくらいだろうか? もしかして学園の生徒なのかな?
「坂本か。進級してからは全く見てなかったが調子はどうだ?」
「う〜ん、まぁまぁでしょうか。二年生になって勉強もISも追いつかなくなりそうです」
坂本先輩(進級がどうやら言ってるから先輩なのは間違いない)と言われる先輩はお母さんとけっこう仲がいいみたいだ。もしかして先輩の一年の時の担任がお母さんだったのかな?
「まさかこんなところで会うとは思ってなかったぞ。一人なのか?」
「そうですね。先生は家族連れですか?」
「まぁ、な。二人ともこいつは二年の坂本紗英と言ってな。去年、私のクラスの生徒だったんだ」
「へぇ、そうだったのか。千冬姉の弟で織斑一夏です。よろしくお願いしますね、坂本先輩」
「織斑光輝って言います。よく言われるんですがこんな容姿でも列記と男子ですから。間違わないで下さいね……」
「先輩だなんて、そんな丁寧にしなくていいんだよ? せめて苗字じゃなくて名前で呼んでくれるといいな」
坂本――じゃなくて紗英先輩がニコッと微笑んでくれる。なんというかちょっとドキッとしちゃったな……。
「何を顔を赤くしているんだ、全く。坂本、お前も私達と一緒に来るか? 先輩として、こいつらにいろいろと話をしてもらいたいしな」
「大丈夫ですよ♪ 織斑家の皆さんにご一緒出来るなんて光栄です。それに、普段のイメージからは信じられない服を着ている先生を見れるのはレアです♪」
「お前……! このことは出来るだけ他の生徒には言うなよ? ガキどもがまたうるさくなる」
お母さんをここまでからかえるのはそれ程親しいということか。う〜ん、この二人がちょっと気になるよ……。それに紗英先輩から他の感じが――。
「そうだっ。この近くに有名なカフェがあるんだけど、今から行かないか?」
「ふむ、一夏が言うなら確かだろうな。そこに行くか。坂本もいいか?」
「構いませんよ♪ 今日は先生に着いていく気でいますから。あら? どうしたの光輝ちゃん? あたしの顔に何か着いてる?」
「い、いえ! なんでもありません!」
しまった……そりゃずっと見られてたら不審に思うよね。気をつけなければ……!
でも、この買い物は夏休みの家族との思い出……こうして家族全員でってことがなかったから今日は嬉しいになりました。先輩とも出会えたしね。でも、先輩には秘密があったんだ。
[この感じは、なんだ? 唯とユリのような感じがする……。それにこの子のISもガンダムなのか?]
光輝の自室で何かを感じた俺は、ずっとここにいる。光輝達は今頃楽しんでいるだろうか? 夏休みも残りわずかだし、家族で楽しんでほしいものだ。
俺には家族はいなかったが、恋人はいた。チェーンも今では離れ離れになってるが……正直なところ寂しい気持ちはある。だが、この世界に来て希望が持てた。
女尊男卑のこの世界で人の可能性が潰れてしまったように感じたがそんなことはなかった。光輝のような心の光を伝えたい者や一夏のように大切な人を守りたいという気持ちを持った者達がいる。僕はそんな者達の助けになれたらいいと思う。
シャア……光輝達は確実に光を広げているよ。
説明 | ||
夏休み編最後です。短いですが……。 今回からウッソ・エヴィン様が考えてくださったオリキャラを出します! PS ウッソ様、オリキャラの名前を一部変えました。すいません。 |
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