ストライクウィッチーズBLACK第5話「過去」
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ブラック

「今の奴で最後か…」

 

ブラックが塵となって消え去ってゆくネウロイを見ながら

静かにため息をつく

 

ネウロイとの戦い…それは決して楽な戦いではなかった

自分を遥かに上回るスピードで攻撃を仕掛けてくるネウロイ達にブラックはかなりの苦戦を強いられたのだ

 

今回の相手は大型が一体に、小型が二体…

もしこの中に飛行速度に特化したネウロイがいたら、塵となったのは自分のほうかもしれない

 

ブラック

「(無断で出てきてしまったし…とにかく一度戻らないとな)」

 

ブラックは体の501の基地の方へと向け、彼が出せる全力の速度で帰還する

 

 

 

 

 

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ミーナ

「では、これより軍法会議を行います」

 

坂本

「なに、軍法会議といっても主な内容はミーナの説教だ。では、心の準備はいいな?」

 

ブラック

「はい……」

 

本日の第501統合戦闘航空団のミーティングルーム

 

そこでは、黒いバッタ男がまるで母親に叱られる子供のように佇んでいるという

 

光太郎がこの世界に来て2度目となる、世にも奇妙な光景が広がっていた

 

ミーナ

「まず、あなたはネウロイの出現に際し、無断で出撃した…これに間違いはありませんね?」

 

ブラック

「間違いありません…」

 

ミーナ

「……はぁっ」

 

ミーナが深々とため息をつく

 

ミーナ

「…どうしてウチの子はこうも命令違反ばっかり……宮藤さんと同じ事をしたときに嫌な予感はしてたのに……」

 

ブラック

「あの…ミーナ中佐?」

 

顔に陰を作りながら、なにやら小声でブツブツと愚痴っぽいことを言い出したミーナにブラックが恐る恐る声をかける

 

ミーナ

「…失礼。では、南中尉。次に貴女はどうやってネウロイの位置を特定したのかを話してもらいます」

 

ブラック

「それは……」

 

話してしまうべきだろうか?

光太郎の脳内をそんな疑問が埋め尽くした

 

共に戦う以上、いずれは話さなければならないことだ

自分が…改造人間であるということを…

ならば、ちょうどいい機会だし全て話してしまおうか?

 

ブラック

「(いや…こんなのはただの言い訳だな…本当は…)」

 

本当はただ誰かに話したいだけなのだ…

誰かに哀れんでもらいたいわけじゃない

だが、誰かに思いっきり弱音を言いたい

 

――たとえそれが、人間の真似事でしかないとしても…

 

坂本

「どうした?そんなに話したくないのか?」

 

茶化すように、坂本がブラックに言う

 

ブラック

「はい…話したくないというか、多分これを聞いたら2人に不愉快な思いをさせてしまうというか…」

 

坂本

「なにっ?」

 

予想もしなかった答えに、素っ頓狂な声を上げる坂本

 

ブラック

「世の中、見聞きしないほうが良かった、知らないほうが良かったと思える事が…

…たまにあるものです。それでも聞きたいですか?」

 

心持ち、ブラックの声に凄みが出ている気がして、坂本は思わず息を呑む

 

ミーナ

「…分かりました。では、覚悟をした上で聞きます。

…貴方は何者ですか、世紀王ブラックサン?」

 

覚悟を決めた声で切り出すミーナ。

おそらく、あまり気持ちのいい話ではないのだろうが、好奇心の方が勝ったようだ

 

ブラック

「坂本さんは?」

 

坂本

「無論。聞かせてもらう」

 

ブラック

「……。…分かりました。では、他のみんなも集めてもらって構いませんか?」

 

ミーナ

「分かりました。美緒、お願い」

 

坂本

「了解した」

 

 

 

 

 

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やがて、30分もしないうちに501のメンバー全員がミーティングルームへと集められた

 

変身を解いた光太郎は先ほど2人にした『南光太郎の正体を知りたいか?』という質問を1人1人にぶつけて言ったが、

ミーティングルームを出て行く者は1人もいなかった

 

エイラ

「デ?お前の正体ってなんなんダヨ?わざわざ呼び出しといてクダンネーことだったら承知しないからナ!」

 

エイラがいかにも不服そうな声と共に光太郎を睨みつける

 

サーニャ

「エイラは光太郎さんの話を聞いてなかったの?聞きたくないなら帰っていいのよ?」

 

エイラ

「Σ(・口・)」

 

容赦ないサーニャのツッコミがエイラの胸に突き刺さる

 

エイラ

「ダ…ダッタラ、サーニャも一緒に出て行こウ!」

 

サーニャ

「駄目よ…。私は光太郎さんの話、ちゃんと聞いてあげたいから」

 

エイラ

「Σ(T▽T;) …ソンナバカナ…」

 

バルクホルン

「こいつのことはいいから始めろ、南」

 

呆れ顔のバルクホルンに促され、光太郎は前に立ち

やがて、静かな口調で話を始める

 

光太郎

「えっと…今日はこの場を借りて、みんなにブラックサンの力について説明しようと思う

まず、俺は………俺は…」

 

光太郎が大きく息を吸う

 

光太郎

「俺は、人 間 で は な い ん だ」

 

501全員

『…は?』

 

光太郎流の冗談だろうか?

それにしては光太郎から発せられる剣呑な雰囲気のオーラが尋常ではない

 

サーニャ

「それ…どういうことですか…?」

 

沈黙しきった部屋の中で最初に口を開いたのは、以外にもサーニャだった

 

光太郎

「…みんなはもう、ゴルゴムという組織については聞いているね?」

 

501の面々が光太郎の問いに対して無言で頷く

 

光太郎

「俺は、そのゴルゴムに誘拐され、改造手術を受けたんだ…そしてゴルゴムの創生王候補

『世紀王ブラックサン』へと改造されたんだ…」

 

エイラ

「オ、オイオイ…なんだよ、ソレ…?つまりお前もゴルゴムだったって言うことカヨ…?」

 

光太郎

「違うッ!!俺は脳改造…つまり洗脳を受ける前に義父に助けられ逃げ出したんだ…

…一緒に捕まっていた親友を…信彦を見殺しにして…1人で逃げ出したんだ!!」

 

…おかしい。

何故俺は信彦のことまで話しているんだ?

ここまで話すつもりなんてない…やめろ…やめてくれ

 

光太郎は我が身を疑った。何故口が勝手に動いたのか?

内心で戸惑う主を放って、口唇が再び言葉を紡ぐ

 

宮藤

「そんなのって……それじゃ、その親友の方は…お父さんはどうなったんですか!?」

 

芳佳の声はほとんど悲鳴だった

父親という存在に人一倍強い思いを抱く彼女には、光太郎の話はあまりにショックの強いものだったのだ

 

光太郎

「父さんはゴルゴムのメンバーだったんだ…そして、俺を助けたせいでゴルゴムの裏切り者として俺の目の前で殺された…」

 

宮藤

「…そんな…ひどい…。どうしてお父さんゴルゴムなんかに……」

 

光太郎

「…父さんは俺の本当の父親の親友で、2人は同じ時期にゴルゴムにスカウトされたんだ…

そして、父さんはゴルゴムに逆らうということは、死を意味することだと知った」

 

エーリカ

「…どーいう事だよ、それ?」

 

光太郎

「俺の本当の両親もまた、ゴルゴムに仕組まれた飛行機事故によって死んだんだ…

ゴルゴムに入るのを拒んだために…。だから父さんは俺と、実の息子の信彦だけでも生き延びさせるために

ゴルゴムのメンバーとなり、俺たちがゴルゴムの怪人となるのを受け入れたんだ」

 

一同に再び戦慄が走る

リーネや芳佳、サーニャに至っては涙目だ

 

バルクホルン

「…そしてお前は死んだ2人の父の遺志を継ぎ、ゴルゴムと戦ったというわけか」

 

光太郎

「ああ。俺は仮面ライダーBLACKと名乗り、愛機のバトルホッパーや義妹の杏子、信彦の恋人だった克美さんと共にゴルゴムと戦ったんだ」

 

坂本

「ん?ならどうして今はブラックサンと名乗っているんだ?」

 

坂本の何気ない質問が光太郎の胸に深く突き刺さる

やはり…話さなければならないのだろう

 

光太郎

「それは…俺に、仮面ライダーを名乗る資格なんてないからさ…」

 

坂本

「なに…?どういうことだ?分かりやすく説明しろ」

 

それは坂本個人ではなく、501全員の疑問だった

辛い境遇にもめげず、命がけで人々の平和を守った彼がどうして自分を卑下する必要があるのか…

 

光太郎

「俺は長い間ゴルゴムと戦い続けた…そして、俺は真実を知った」

坂本

「真実?」

目を閉じると、光太郎は静かに目を開け、言った

 

光太郎

「もう一人の創生王候補…俺が見殺しにした親友…秋月信彦。

信彦は脳改造を受け『世紀王シャドームーン』となっていた…

2人の世紀王は殺しあう運命…最後まで俺の声が信彦に届くことはなかったよ…」

 

BLACK

『お願いだ信彦!元の心に戻ってくれ!』

 

シャドームーン

『問答無用!行くぞ、ブラックサンッ!!』

 

親友の本当の死…

それも、自分の手で操られた親友を殺さなければならない…

どれだけ悲しかったのだろうか…

 

シャーリー

「そして…お前はシャドームーンを倒したってわけか」

 

光太郎

「…違うよ」

 

シャーリーの言葉に、光太郎が首を横に振った

 

シャーリー

「違う…?…もしかして、洗脳が解けたのか!?」

 

光太郎

「違う…そうじゃないんだ…。負けたのは俺のほうなんだ…

創生王の策に嵌り、俺はシャドームーンに殺されたんだ…

だが、心優しいクジラ怪人が俺を生き返らせてくれたんだ

…その代償として、クジラ怪人もまた、ゴルゴムの犠牲となってまで」

 

『ライダー!海を守ってくれ…。海をーっ!』

 

海が大好きだったクジラ怪人と交わした、最初で最後の約束

 

たとえこの身がどうなろうと、俺が絶対に守らなければならない約束だ

 

光太郎

「…そして、次に犠牲となったのは俺の相棒…バトルホッパーだ」

 

シャドームーンに操られてなお、俺との友情を胸に抵抗を続けたバトルホッパー…

 

バトルホッパー

『ア……ア……ラ……』

 

BLACK

『何が言いたいんだ、バトルホッパー』

 

バトルホッパ

『ア……アリガトウ……ラ……ライダー』

 

BLACK

『……バトルホッパー……』

 

バトルホッパーは消え行く意識の中、初めて声を出した

 

BLACK

『だめだバトルホッパー、死ぬな…!死ぬんじゃない!』

 

バトルホッパーのヘッドライトの光が消える

 

BLACK

『バトルホッパァ──ッ!!』

 

光太郎

「多くの犠牲を払いながら…結局信彦を救うことも出来なかった…」

 

『だめだ……もう力が入らない……ブラックサン、俺は死ぬ…

…だが、勝ったなどと思うな……お前は一生苦しむことになるんだ…

…親友を……この……信彦を……抹殺したんだからな…

…一生後悔して生きていくんだ……ハッハッハッハ……俺こそ次期創世王だぁ──っ!!』

 

シャドームーンの予言の通りだ…俺はいつまでもお前の夢を見て苦しめられている

おそらく…俺の命が尽きる5万年後まで、ずっと…

 

光太郎

「杏子や克美さんも、ゴルゴムに支配された日本から避難して…今はいない

かつて俺は大切な人を誰一人守る事の出来なかったんだ…」

 

光太郎の話が終わる

いや、話というよりは、ほとんど懺悔だった

 

 

この世界で最も悲しい、無実の懺悔だった…

 

 

 

 

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光太郎の話が終わって、ほんの数分

この数分で部屋の空気が明確に変わってしまった

 

話を聞いているだけで、吐き気を覚えるほどの話だ

光太郎がどんな気持ちでゴルゴムと戦ってきたのか、501のメンバーには想像することも出来なかった

 

しかも、その命がけで守った世界からはじき出され、彼は再び戦いの日々に身を投じている

 

芳佳

「どうして…?どうして南さんだけがそんな目に…!…ひどい……」

 

周りを見れば、一部のものを除いて既にほとんどの者が解散していた

 

この場から動くことの出来ない数人を除いた全員は一言も話さずに部屋を出て行った…

 

光太郎も憔悴しきった表情で自分の部屋へ帰っていった

 

光太郎の話は…ゴルゴムに対する怒りを少女達に植え付けただけだったのだろうか?

 

それとも…

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
ゴルゴムとの戦いを終え、放浪の旅に出た南光太郎
そんな彼を待っていたのは、ネウロイとの戦いだった
1人ぼっちの英雄は、その心の傷を癒すことが出来るのか!?
仮面ライダーBLACK×ストライクウィッチーズです

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コメント
・・・・・コメントしたいけど・・・・しづらい・・・・(FDP)
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シャドームーン 秋月信彦 仮面ライダーブラック 仮面ライダーBLACK 過去 光太郎 ゴルゴム 仮面ライダー ストライクウィッチーズ 

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