マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START 五話 生と死の砂漠
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マブラヴ オルタネイティヴ RETURN OF START

 

 

五話 生と死の砂漠

 

 

 

アスカ SIDE

 

 

シチリアから移動して現在はアリジェリアのサハラ砂漠にいた

砂漠は乾燥と熱いというイメージがあるがそれは日中で今は真夜中だ

このサハラ砂漠は冬の時になると氷点下まで下がるときもあり、ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠などの比較的高度にある地域は−20度以下になると言われている

 

「くちゅ!うう〜温度差があると寒い…」

 

「アスカ、大丈夫?アスカ、大丈夫?」

 

「パイロットスーツの体温調節がなければ体を壊していた」

 

この2日間は砂漠に廃棄されていた戦術機関連のパーツを調べていた

管理者から貰った知識で悩むことなく解析しているが改修・修復となるとまともな設備が必要になる

まずはトレミーと合流して廃棄されたパーツを回収、そのあとに集めたパーツを使い修復させるしかない

 

「合流前に一眠りするから、ハロ周囲の警戒と操縦よろしく」

 

「了解!了解!」

 

 

アスカ SIDE END

 

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欧州連合 SIDE

 

 

暗闇の中で月に照らされている二機の戦術機が待機していた、細部は違うがトーネードADV

トーネードが向いている先には砂漠の真ん中に幾つものプラントが立ち、サーチライトが施設内を照らし出している

 

『CPよりグーフォ、フェニーチェ各小隊に告ぐ!デルタチームが潜入を開始した各小隊は作戦プランに従い待機せよ!通信は傍受されないように三重もプロテクトしておくこと』

 

「作戦が始まったか・・・」

 

『・・・・・気が乗らないな』

 

「レンツォ、ブリーフィングの時に話しただろ、ターゲットは難民支援センターに偽装した国連未承認のBETA研究施設」

 

『裏では原理主義や恭順主義の資金が流れ込んでいるのを知りながらアフリカ連合は黙認して裏取引をしているっと言ってたな』

 

「ああ、連中が異星種間合成生物・βブリットの研究をやっているから攻撃対象の第一層に格上げした」

 

『βブリット、BETAが人間と同じ炭素生命体だから様々な合成実験を行なっている研究ね・・・』

 

「なにか不満がある言い方だな?」

 

『不満だってあるさ、もし仮に連中がBETAに対抗できるものを作り出していたら?』

 

「・・・いいかげんなこというな」

 

『毒を以て毒で制す、第五計画はいい例だ、BETAに対抗できる生物兵器や奴らにしか作用しないウィルスを連中が精製している可能性がゼロと言い切れるのか?』

 

「・・・正気か!?連中は自分たちの研究のために動物以外にもBETAから逃げてきたユーラシアの難民たちを実験に使っているんだぞ!」

 

『暢気に手段を選んでいる場合か!?月と同じように地球からBETAどもを一掃できるなら、何であろうが大歓迎だッ!』

 

「―ふざけるな!組織的な非人道行為はBETAの虐殺と同じだ!」

 

『ほう――じゃあ俺たちは違うのか?目の前で親を見殺して脱出、今は神に与えられた他人の命を奪うのが非人道行為なのか?』

 

「それは・・・」

 

『ここで言い争っても埒が開かない、今は任務に集中する』

 

「・・・分かった」

 

突然、彼がモニターリングしていたプラントから爆発を起こし煙が上がった

その爆発から数秒後、地響きなりセンサーが反応した

モニターにはCODE:991と表示され警報音が鳴り止まない

 

『――こちら、デルタ1ッ!研究員とデータの確保は失敗ッ!!繰り返す研究員とデータの確保は失敗ッ!!』

 

『――どうやら一足遅かった!敵はこちらの動きを直前に察知した模様、ターゲットは一人も残っていない』

 

『CP了解、サブプランFに移行し、施設の爆破を遂行せよ』

 

『−だめだ、地下施設は、逃げ際に奴らが放った小型種がひしめいてる!セカンドプランに移行する!』

 

施設に突入していたデルタ1の声は緊迫させ、彼ら追い込むように施設からの反応が増して要撃級が姿を現した

 

『CPよりグーフォ、フェニーチェ各小隊に告ぐ!至急所定座標に移動し回収ポイントを確保、デルタチームの脱出を支援せよ!』

 

「フェニーチェ1了解!」

 

事態が二転三転変わる中、トーネードは回収ポイントを確保すべくBETA群に向かって攻撃を始めた

 

(急襲作戦が事前にばれた?)

 

『おいおい、敵の防空システムはどうなっている?!システムが破壊されてないと回収出来ないぞ』

 

「あれ以上の爆発がないとすると・・・いや、飛べばわかる、ミサイルが来るなら迎撃・回避すればいいことだ」

 

『おまえな無茶なこと――ッ!?』

 

施設敷地から爆発を起こし、爆発で穴が開いた中から溢れんばかりに突撃級が突出した

 

「連中、大型種までも解き放っただと!?後先考えていないのか?」

 

『これが形振りかまわねえヤツの強さだ、生き残るヤツがもつ強かさだよ』

 

「自分たちが生き残るなら、ここまでやるのが強さだと!……だったらその目論見を挫くまでだ!」

 

 

欧州連合 SIDE END

 

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アスカ SIDE

 

 

「…キ…キュ……ジ…………セイ!!」

 

「…なにゃに〜ハノ〜?」

 

「アスカ、オキロ!アスカ、オキロ!」

 

「…ふわぁ〜〜なにかあった?」

 

「外見ル!外見ル!」

 

目覚めていない意識の中、コクピットを開けるとかすかに炎と煙が見えた

 

「……キャンプから離れている、ここまで見えるなんてただの火災じゃないな」

 

「BETA出現、戦闘中!」

 

はぁ〜BETA!?どうしてアルジェリアにいる?奴らは欧州かアラビア半島にいるはず?

アフリカはまだ侵攻されていないことが裏目に出たのか?

それともBETAを研究のため持ち込んだのが、何らかの理由で出てきたのか?

 

「ハロ、BETAの予想進路及び軍の動きを見てくれ!」

 

「了解!了解!」

 

前者なら軍が動いているはず、後者は不味いことになるBETAは無限に行動できるわけじゃない活動エネルギーが無くなればハイヴに戻って補給する可能性がある

ハイヴと奴らの進路上に都市や難民キャンプがあれば問答無用に破壊される

ラジエルを起動するべく、パネルを操作始めた

 

「GNドライブ、アイドリングモードから通常モードへ移行、外壁部迷彩解除!」

 

「準備完了!準備完了!」

 

ラジエルを浮上させBETAに向けて移動する

モニターに予想進路を表示され余すことなく見ると、考えたくなかったハイヴに進路をとっていることが分かった

そしてBETAの進路上に3つの都市がある、さらに3つの都市の前には施設に隣接して難民キャンプがある

BETAが難民キャンプに到達するまえに撃墜できればいいのだが、ガンダムに問題がある

今のGN粒子がどのくらい戦場に混乱を招くか分かっていない

 

「つまり黙って見殺すか、混乱させ殺してしまうか、二者択一かよ!」

 

いや、考えろ!別な方法があるはずだ

軍が動いてくれれば、こちらも…

 

「アルジェリア軍、待機!アルジェリア軍、待機!」

 

「ッ!?そうきたか・・・ハロ、3つの都市と難民キャンプに設置されているアラームを盛大に鳴らしてやれ!BETAの後ろから突くぞ!」

 

「了解!了解!」

 

どいつもこいつも自分の都合ばかりで、いやになる!

 

 

アスカ SIDE END

 

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欧州連合 SIDE

 

 

シルヴィオらはBETA群の中で戦っていた

だがBETAの数はシルヴィオに対応出来ないほど不利だがBETAはトーネードを無視して北を目指していた

 

「くそっ、このままではBETAが難民キャンプを横断するッ!」

 

『バカ野郎、余計なことを考えるなッ!どのみち俺らの頭数じゃ何もできゃしねえッ!』

 

「イタリアを脱出した時と同じように欧州の難民たちやこの国の人たちが、目の前でBETAに蹂躙されるのを黙って見ていろというのか?」

 

シルヴィオはBETAの侵攻を止める方法を模索すべく、戦域マップをさらに拡大させる

戦域マップにはエネルギープラントが表示された

エネルギープラントを爆発させれば、8割以上のBETAを排除でき沿岸部の3つの都市は助かる

シルヴィオはエネルギープラントに向かおうとするが躊躇した

 

(施設に隣接している難民キャンプはどうする?エネルギープラントを爆発すれば難民たちが巻き込まれる)

 

『シルヴィオッ!!』

 

「・・・ッ!?」

 

シルヴィオが気づいたとき、要撃級の前腕が振り下ろされてトーネードの右足が無残にも破壊されその場に倒れ込む

トーネードは立ちあがろうともがき、要撃級はさらに攻撃すべく接近するが体中に穴が空けられ倒れた

シルヴィオの目の前を一機のトーネードがエネルギープラントに向かって跳躍ユニットを吹かした

 

『バカ野郎、何ほうけてやがんだッ!エネルギープラントを破壊するんだろ!』

 

「なに!?どうしてそれを!?」

 

『データリンクでモニターしてたのさ、おまえにしちゃまともなプランだな』

 

「―まて……それじゃあ……難民は……!!」

 

『遅かれ早かれ難民はBETAやられる……だったら沿岸部を確実に救うべきだ!おまえは回収座標に戻って指揮を執れ!』

 

「……だめだ……やめろ……レンツォ」

 

『―わるいな…この手の仕事は俺が適任だ、そしてこれが俺の戦いなんだよ!!』

 

「・・・レンツォ・・・やめてくれ、レンツォォォォ!!!!」

 

レンツォの乗るトーネードはエネルギープラントを射程にとられていた

突撃砲の銃口が十字架をきるように動いた

 

『主よ・・・なまぐさな我を赦したまえ……』

 

「やめろおおおぉぉぉッ!!?」

 

『吹っ飛びやがれ火星カニどもッッ!!!!』

 

レンツォはこれから犯す罪を懺悔しながらトリガーを引いた

砲撃は真っ直ぐエネルギープラントに直撃して、周囲を昼間の如く明るくさせ衝撃波と爆発音が全てを巻き込んだ

 

 

欧州連合 SIDE END

 

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アスカ SIDE

 

 

「爆発確認!爆発確認!」

 

「・・・えっ?」

 

突然モニターが砂嵐になるがすぐ回復して爆心地を拡大して見た

爆心地はクレーターのように地面が抉られ、周囲は無残にも吹き飛ばされて至る所にBETAの死骸が散乱して不気味さを物語っていた

 

「なんだよこれ・・・」

 

「プラント爆発、大型種壊滅!」

 

「難民は・・・ここにいた難民はどうした?」

 

「生存者確認、BETA襲撃!」

 

「この爆発で、まだBETAが…」

 

BETAから人を救うべく、ハロが表示した方向に行くと・・・そこは地獄絵図だった

 

『・・・・・・たべ・・・ない・・・で・・・』

 

『・・・だれ・・・か・・・』

 

『・・赤ん・・・坊・・だけ・・・は・・』

 

兵士級が人を食べていた・・・

食料を食べるか如く、あたりまえのように生きている人を食い殺していた

 

「・・・ゲホッ!ゲホッ!」

 

「アスカ、シッカリシロ!アスカ、シッカリシロ!」

 

胃が急に締め上げられ、思わず吐いた

体が冷たくなるのを感じ、手足が麻痺を始め動けなくなり、目の前の光景が歪んで見えている

 

「・・・ハァ、ハァ」

 

「アスカ、大丈夫カ?アスカ、大丈夫カ?」

 

大丈夫じゃない、人が目の前で死んでいく・・・

月でBETAを倒したとき、なんとも思わなかったが、これは殺しているじゃない捕食している

BETAは人間を生き物としてみていないのか!?

 

『…………………離れろ……』

 

「―――ッ!?」

 

突然外の声を拾っているスピーカーから男の人の声が聞こえ、恐怖に蝕まれた体が何事も無く自由になる

声がしたほうにモニターを映すとこの世界のパイロットスーツとされている強化装備をきた男性が拳銃を構えていた

 

『――その人から離れろォォォォッッ!!!!』

 

「拳銃だけで立ち向かうなんて無謀だ!ハロ、GNプロトビットを!!」

 

「人ニ、当タル!人ニ、当タル!」

 

「ビット自体を体当たりすれば問題ない!オートからマニュアルしてくれ!」

 

「了解!了解!」

 

ビームだと地面で爆発を起こし周りを巻き込む、遠隔誘導兵器はアルヴァトーレで使い慣れてセファーのビットは俺用に調整されている

今の惨劇を止めるのは自己満足かもしれない、それでも……

 

「いっけーGNプロトビットッ!!」

 

セファーラジエルに装備していた二機のGNプロトビットが兵士級に一直線に向かっていく

兵士級はビットの体当たりに問答無用に粉々になる

次の兵士級を狙おうと手足のようにビットを動かし胴体にぶつける

 

「人間を・・・人間をこれ以上食べるなぁぁぁ!!」

 

兵士級を倒すなか、一瞬“なにかが外れる”感覚があり、ビットの動きがさらに繊細になり、兵士級の頭だけを吹き飛ばした

 

「・・・一体何が起きたんだ?」

 

「軍接近中!軍接近中!」

 

さっきの感覚はなんだったんだろう?研ぎ澄まされた感覚で意識が先を見ていた

いや今はここから離れるか

やっと軍は重い腰を上げたし、兵士級は全滅させた、負傷者のことは軍に任せれば大丈夫だろう

 

「退避ルート確保!退避ルート確保!」

 

「わかった、ハロ・・・」

 

バーニアを最大出力にして西を目指した

 

 

アスカ SIDE END

 

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欧州連合 SIDE

 

 

急襲作戦から三週間後、シルヴィオは軍病院で寝かされ彼の体は左目、左腕と両足が失っていた

 

「・・・・・・ッ・・・ここは、どこだ?」

 

「無事とはいかないが地獄の淵から奇跡の帰還を歓迎する、シルヴィオ・オルランディ中尉」

 

シルヴィオは声の主に顔を向けると椅子に座っている欧州連合情報軍ゴールドメン局長がいた

 

「ゴールドメン局長、俺は一体何が起きたのですか?」

 

「それを聞きたいのは我々のほうだ、アルジェリア軍の目を掻い潜り君を発見した時、小型種はすでに全滅した」

 

「小型種が全滅・・・?」

 

「君がいた場所には爆発の影響かレーダー・通信障害が続いてレコードでも分からなかった、そのおかげで収容するときは軍の目を欺くことが出来た、それと爆発前に突如都市と難民キャンプのアラームが鳴り被害は抑えられたみたいだ、何か心当たり無いかね?」

 

(偶然で片付けられるか?いや違う誰かが大掛かりなことを?)

 

「……いえ、一心不乱でした」

 

「・・・わかった、それとレンツォ・フォンディ少尉は残念だったよ、彼の遺体が発見に至らず優秀な人材を無くすとは・・・」

 

「・・・・・・レンツォ」

 

「落ち込むのはいいが、失ったモノは戻ってこない、生きている者は前へ進む責任がある」

 

ゴールドメン局長は懐から封筒を取り出した

その封筒から1枚の紙が取り出されシルヴィオは残った右手で受け取ると書かれている内容を見た

 

「君は知ってのとおり五体満足な状態でもない、退院したのち除隊することができる、現場に復帰を希望するならその紙に書いてある衛士強化計画を受けてはどうかね?」

 

シルヴィオは考えた

自分が進言した作戦が失敗に終わり、BETAの襲撃で難民に被害を出し、唯一家族と呼べる存在であったレンツォを自分のあまい考えで亡くした

こんな自分がただ一人だけ淡々と生きていてどうかと疑問に思った

 

「無理に復帰しろとは言わない、逝った者のためにも自分のなすべきことをするのではないのかね?」

 

(……するべきこと、それはBETAを討ち、俺たち((故郷|イタリア))を取り戻すことだ。そしてあの時わが身かわいさにBETAを放った者をこの手で捕らえる)

 

「・・・どうやら決まったようだね」

 

「ゴールドメン局長、衛士強化計画に志願します」

 

説明
再誕の序章ですが教会の話は無しで
ファルソと呼ばれる男にアスカにアレが使える前兆あり
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タグ
駄作 クロニクルズ ガンダム00 00 マブラヴ 

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