ISアスラン戦記6
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俺が教室に入ると一夏と数人の女子が話していた。

 

一夏が俺に声を掛ける。

 

「お〜い、アスラン!」

 

その呼びかけに俺は鞄を机の上に置きながら返事をした。

 

「何だ?」

 

「聞いたか? 転校生の話?」

 

転校生? 何とも季節外れの転校生もいたものだ。

 

一夏と話していた女子も俺に語りかける。

 

「そうそう、たしか、その子が2組に代表だって」

 

「そうか、2組は転校生を代表にしたのか」

 

俺はそう考えながら多分2組の代表はセシリアみたいな国家代表候補生だろう事を予測した。

 

何せ、この時期の転入は試験内容が入学以上に難しかったと記憶している。

 

つまりソレをパスするだけの知識と技術があると言う事だ。

 

「まあ、ウチには専用機持ちが3人いるからそんな心配は無いでしょ?」

 

「そうだね〜おりむ〜もセッシ〜もいるし、いざとなれば学年最強のアスにゃんもいるしね〜」

 

本音の言葉に一夏と他の女子も頷いた。

 

「その情報、もう、古いよ!!」

 

何とも元気な声が1組の教室の喧騒を遮断した。

 

全員が黒板側の出入り口を見る。

 

「残念だけど2組は専用機持ちなの。そう簡単に優勝させてあげないわよ!!」

 

何とも気合の入った御嬢さんが現れた。

 

髪は栗色のツインテール。

 

背は小柄だが中々重心が安定している。

 

「あ、鈴?」

 

「そ、中国代表候補生、鳳鈴音。今日はあんた達、1組に宣戦布告しに来たって訳」

 

その言葉と共に教室はざわつく。

 

どうやら一夏の知り合いらしい。

 

一夏はそれにわき目をくれず少女に語りかける。

 

「お前ソレ、似合わないぞ」

 

その言葉に少女は激昂する。

 

何ともシュールなやり取りだ。

 

「な、何よ!? 折角格好よく登場したのにぶち壊しじゃない!!」

 

彼女のカッコよさの基準が解らんが、後ろにはご注意だな。

 

少女は頭を叩かれ、上半身だけ前のめりになる。

 

「イッタ〜、誰よ!?」

 

そう言い後ろを振り返ると織斑先生が立っていた。

 

「いい加減教室に戻れ。邪魔だ」

 

中々きついな織斑先生。

 

「ち、千冬さん……」

 

「織斑先生だ。速く行け、馬鹿者」

 

そう言われ少女、もうめんどくさいので鳳はすごすごと逃げていった。

 

まるで猫が首根っこ掴まれて追い出される感じだ。

 

 

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時間は流れ、学園食堂。

 

多くの生徒が昼食を取る為ににぎわっていた。

 

俺、セシリア、箒、一夏、鈴はここで食事を取る為に集まった訳だが。

 

「しっかし、驚いたぞ。鈴がIS学園に転入してきたなんて、しかも中国の代表候補生として」

 

その言葉に鳳も驚いた様に一夏に言う。

 

「コッチだってニュースみて驚いたわよ。行き成り、試験会場でIS動かして騒ぎになったんだって?」

 

その言葉に一夏は苦笑しながら箸を止め思い出すようにその時の様子を鈴に語る。

 

「あの時は私立の試験会場で試験が行われていたんだ。その時、迷っちまって……係の人に聞いても解らないって言うから廊下をウロウロしてたらISを見つけてな」

 

その時の事を一夏は思い出したらしく遠い目をして語った。

 

「ふ〜ん」

 

鳳が気の無い返事を返した時だった。

 

篠ノ之が二人の所まで歩み寄り勢い良く両手で机を叩いた。

 

ドンと言う音と共に篠ノ之は烈火の如く一夏に詰め寄る。

 

「一夏! ソイツは誰だ!!」

 

その質問に一夏はたじろぎながらも答える。

 

「え、あ、ああ、凰 鈴音、箒が転校して入れ違いで転校してきたんだ。鈴とは中二の頃まで一緒だったぞ」

 

どうやら鳳も篠ノ之が誰か解らないらしく一夏に質問する。

 

「コイツ誰?」

 

一夏は篠ノ之を紹介する。

 

「ああ、俺のファースト幼馴染の篠ノ之 箒」

 

「よろしく、一夏の幼馴染の篠ノ之 箒だ」

 

「此方こそ、一夏の幼馴染の鳳 鈴音よ」

 

何か知らんがさっきから“一夏の幼馴染”と言うフレーズを強調する二人。

 

目から火花を放ちあっていた。

 

偉く苛烈な何かが2人の中で行われている。

 

 

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何時までも戦闘膠着をさせって置くわけには行かず俺とセシリアはヒソヒソと話し合った。

 

「セシリア、あの二人会って早々苛烈な何かを繰り広げたぞ?」

 

「ほおって置いて宜しいのでは? 女の戦いに首を突っ込むのはマナー違反ですし……それに一夏さんが何とか……」

 

「無理だろ。一夏の奴、事態が飲み込めなくて困惑してるぞ?」

 

俺は一夏に目を向けながらそう言う。

事実、一夏は篠ノ之と鳳の間に挟まれ如何すればいいか解らないと言う顔をしていた。

 

「ではどの様に?」

 

俺は溜息を吐いてセシリアに言う。

 

「すまない、先に食べていてくれ。友を見捨てられない」

 

セシリアは俺の言葉に溜息を吐いて答える。

 

「私も行きますわ……流石にあの状況はよろしくありませんもの……」

 

「有難う。セシリア」

 

俺の言葉にセシリアは頬を赤らめながらも頼もしくこう言ってくれた。

 

「アスランさんの為なら戦場にだって飛び込みますわ」

 

其処までしなくてもいいのだが……

 

まあ、今は一夏を救出する事が先決だ。

 

 

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俺とセシリアは一夏に話しかける様に誘導する事にした。

 

「一夏、今日の課題は白式を装備した状態での回避訓練を行う予定だ。放課後空いているか?」

 

俺の問い掛けに一夏は助かったと言わんばかりに頷きながら言う。

 

「ああ、空いてるぜ。素振りはいいのか?」

 

俺はその問い掛けにこう答えた。

 

「素振りをやってからエネルギーを回復して行う」

 

その言葉にヤッパリがっかりして肩を落とした。

 

その様子をセシリアは微笑みながら一夏言う。

 

「基礎は大切ですのよ? 土台がしっかりしてないといい家は建てれませんわ」

 

セシリアは自分も基礎は好きでは無いが、俺の射撃訓練でその基礎の重要性を改めて認識した。

 

自分がいかに雑な射撃をしていたかが目に見えてわかる。

 

時間内に正確に的を射抜く事の重要性と不規則に動くターゲットを捉える難しさは骨身に染みていた。

 

だからこそ、俺の教えは自身の傲慢さを正すいい機会になったと彼女は話してくれた。

 

「そう言うことだ。セシリア。お前には自分も動きながら射撃してもらう」

 

その言葉にセシリアは嬉しそうに答える。

 

「やっと応用編ですのね?」

 

「まあ、基礎には変わりないがな。篠ノ之、お前は今の訓練と平行して剣技の方の速度を上げる訓練だ」

 

「解った」

 

その言葉に毒気を抜かれたらしく篠ノ之は素直に従った。

 

そんな時だった。

 

鳳が俺とセシリアを見ながら一夏に質問した。

 

「一夏、こいつ等、誰よ?」

 

何とも礼儀を知らない問い掛けに一夏は答える。

 

「ああ、同じクラスでダチのアスランとセシリア」

 

「よろしく」

「よろしくですわ」

 

俺達には興味無いのか鳳は気の無い返事を返す。

 

「ふ〜ん、よろしく」

 

そんな言葉を投げかけながら一夏に提案する鳳。

 

「私がISの操縦、教えてあげようか? 私の方が旨く教えられると思うんだけどな」

 

その言葉に箒はもとよりセシリアも切れた。

 

「不要だ! ザラは1組で同じクラスだ。しかもそれだけじゃない」

 

「アスランさんは学年最強の称号を持つお方ですのよ!! 更に2、3年生にも互角に戦える相手はいないと思いますわ。何せ、『IS学園の赤い騎士』『獅子の名を持つ赤い騎士王』『IS学園の赤い彗星』ですもの」

 

何か知らない間に変な異名が増えてる!?

 

その言葉に鳳が俺をマジマジと見つめながら言う。

 

「コイツが!? 動画サイトで変な赤いISが戦う所は話題になったけど。アンタだったの!? 『IS学園の赤い騎士』は!?」

 

そんなに有名なのか?

 

知らなかった。

 

(と言うより機密もへったくれも無いな……動画サイトで俺の戦闘が撮影されるとは……織斑先生め……ジャスティスの秘密が明るみに出たら如何する気だ?)

 

俺はそんな事考えながら如何したものかと思った。

 

「私も訓練に加わるわ!!」

 

その言葉に俺は拒否した。

 

「鳳、一応、クラス対抗戦が終わるまで待ってくれないか。お前は2組だし、敵の手の内を晒すのは懸命ではない。そちらも手の内を知られて戦うより驚かせた方がインパクトはあると思うが?」

 

その言葉に鳳は考え込む。

 

「解ったわ。でも、アンタには負けないから!!」

 

その言葉に、俺は答える。

 

「悪いが戦うのは一夏だ。俺じゃない」

 

その言葉に鳳は目を丸くして驚いた。

 

「何ですって!? アンタが出ないで一体誰が!?」

 

「一夏だ」

 

俺の回答に鳳は一夏を見ながら言う。

 

「なら勝ったも同然ね」

 

その言葉に一夏がムッスとしながら言う。

 

「悪りいけど負けるつもりは更々無いからな」

 

お互いにらみ合い鳳は食堂を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
転校生現る!
アスランの明日はどっちだ!?
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