こんな、横島忠夫はどうでショー!1
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※にじファンから来られた方が結構居られる様なので此処で『こんな、横島忠夫はどうでショー!』をうpる事にしました。どうぞよろしく。

 

「夕陽が照らす部屋の中で」【元ネタ・GS美神】

 

 

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ヨコシマクンがシンダ……

 

カレはモウドコニモイナイ……

 

カレへのオモイはモウトドカナイ……

 

 

そんなに強い魔族ではなかった……

 

ただ、狡猾だった……

 

劣勢と見るや人質を攻撃した……

 

人質は三人の子供……

 

横島クンはとっさに飛び出した……

 

止める隙もなかった……

 

二人を両手のサイキック・ソーサーで……

 

一人を自分が盾になって……

 

前の中級魔族との闘いで文珠を使い切っていたのが痛かった……

 

いや、それ以前に文珠に頼りすぎなければ……

 

彼はあの時から死を極端に恐れるようになった……

 

自分の死より他人の死を……

 

そして私達は結局彼の心も命も救えなかった……

 

頭に浮かぶのは後悔だけ……

 

笑顔ってなんだっけ……

 

あの時から私達の時間は止まったまま……

 

時々思い出したように冷たい涙が頬を流れるだけ……

 

 

ヨコシマクンがシンダ……

 

カレはモウドコニモイナイ……

 

カレへのオモイはモウトドカナイ……

 

 

 

 

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「ヨコシマの両親?」

「ええ、明日此処に来るそうよ」

「…先生の葬儀にも出ずに、なぜ今頃……」

「横島さんのお母さんは出産直前だったの」

「横島クンを驚かせようとして隠してたらしいんだけど突然の訃報で倒れたらしいわ。

それが原因でかなり危ない出産だったんだって」

「そうでござったか…」

「小竜姫とヒャクメにパピリオ、そして老師も来るって連絡があったわ」

「……なんて言えばいいんでしょうね?…」

 

おキヌの疑問に答えられる者はいなかった。

なにも言えない、いや言う資格さえない、

どんなに怒られようが、どんなに詰られようが、

身を引き裂かれるような罵詈雑言さえも甘んじて受けるしかないのだから……

 

 

 

「私、お夕飯の買い物に行ってきます…」

「私も付き合うわ」

「…いってらっしゃい……」

 

 

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「ほい、おキヌちゃん、大根2本で三百万円だ!なんてな、はははは…はは…、……なあおキヌちゃん、無責任な言い方かもしれねえがいつまでも泣いてたって何にもならないしただ辛さが増すだけじゃないのかな?いきなり笑えとは言わねえが少しは前を向かねえと…」

「そうだよ、それに病は気からというしこのままじゃ本当に病気になっちゃうよ、そうなったらあのお兄ちゃんだって心配するよ?」

「!!……よ、横島さん?……」

「お、おい!かあちゃん、あの兄ちゃんの事は口にしちゃダメだって!」

「あ、ゴ、ゴメンね、おキヌちゃん?」

「ふ、ふええ…よこ、横島さん…ふええ、ふえええ〜〜〜ん!」

 

 

商店街から帰る途中、ふと空を見上げると真っ赤な夕陽が空を染めていた。

その赤い色を見ながらおキヌはかつて、横島が教えてくれた言葉を思い出していた。

 

「…昼と夜の一瞬の隙間…短い間だから余計に綺麗……」

「それって、ルシオラって女性の?」

「ええ、横島さんが本気で愛したただ一人の女性…」

「……どんな女(ひと)だったの?」

「最初は敵だった、横島さんを連れ去ってこき使ってたって。でも、だんだんとその優しさに魅かれて、あとは私達と同じ、いつの間にか好きになってたんだって」

「私は…別に……」

「日が暮れちゃう、急ぎましょう…」

「うん……」

 

 

「あ、おキヌちゃんにタマモちゃん」

「…ピートさんに神父様……」

「横島くんのご両親が来られるらしいね、私達も行かせてもらうよ」

「それからワルキューレさんやジークさん。小竜姫様達も来ると連絡が来たよ、ぼくもタイガー達と一緒に行くから」

「…はい…」

 

 

 

事務所への帰り道、薄らいでいく夕焼けを横目で見ながらタマモは思いに更けていた。

 

 

 

 

何時からだろう?誰も笑わなくなったのは?

 

何時からだろう?涙が氷のように冷たくなったのは?

 

分かっている、きっとあの時から。

 

ヨコシマが消えたあの日から……

 

ヨコシマの傍は暖かかった。

 

ヨコシマの周りではみんなが笑っていた。

 

だから私も何時の間にか自然に笑っていた。

 

……そっか、そうなんだ。いつの間にかなんだ…

 

いつの間にかヨコシマを……

 

冷たい涙が頬を流れた。

 

 

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翌日、私達は事務所に集まっていた。

小竜姫様と老師様、ヒャクメ様、パピリオちゃん、ベスパさん

ワルキューレさん、ジークさん、

神父様、ピートさん、タイガーさん、雪之丞さん、

エミさん、冥子さん、魔鈴さん、

小鳩ちゃん、貧乏神さん、愛子ちゃん、

カオスさん、マリアさん、西条さん、

そして美神隊長にひのめちゃん、ひのめちゃんは隊長に抱かれて眠っている。

 

『美神オーナー、横島さんのご両親が見えられました』

「そう、ここにお通しして」

『了解しました、…どうぞそのまま、この部屋です』

 

ガチャッ

 

「!!・・・・・・」

 

横島さんのご両親が遂に来た、お母さんは女の子の赤ちゃんを抱いていた。

 

「この度は私達の力の無さで息子さんを…すみませんでした」

 

二人は険しい表情のまま私達を見つめている。

そしてお父さんが口を開いた。

 

「あいつの、忠夫の最後は……、最後はどうだったんですか?」

 

「はい、人質を取られて苦戦しましたがなんとか追い詰めることに成功しました、しかし相手は私達の隙を突いて人質の子供達を攻撃しました。横島ク…息子さんは子供達を守ろうとして自分を盾に……」

 

「……そうですか、私達より先に死んで親不孝者と怒るべきなのか人質の子供達を救った事をよくやったと褒めるべきなのか、私達はどうすれば……」

「褒めてやって下され!」

「シロ!」

「……君は?」

「拙者は横島先生の一番弟子の犬塚シロと申します」

 

 

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最初の出会いは空腹に耐えかねて先生の食事を狙った時。

その時に見た霊波刀は見事でござった。

すぐに先生に弟子入りをして父上の仇を取ろうとした。

その後犬飼に返り討ちにあい大ケガをした拙者を美神殿と先生が霊波で治療してくれて目が覚めた時には超回復によって拙者の体は大人になっていたでござる。

その頃は先生の事は師匠でありどことなく兄上といった感じであった。

でも、だんだんと自分が女なんだと自覚してくるとその気持ちが変わって来たのがわかった。

 

ああ、拙者は先生が好きなんでござるな。

 

しばらくの間修行のため人狼の里から出れなくなった。

あのアシュタロスの事件の時も里に妖共が襲って来て里を守るので精いっぱいでござった。先生のことは信じていたからあまり心配はしてなかったのでござるよ。

美神殿の所にタマモと居候することになった時にも先生はいつもの通り元気であった。

 

いつも笑っていて……だから気付かなかったでござるよ………先生の傷に……

 

「シロ……」

 

 

 

 

シロは泣いていた。私もいつの間にか泣いていた。

超感覚で私にも分かったのだ、シロが何を感じているのか。

 

ヨコシマのバカ………。

私達をこんな気持ちにさせといて、自分はさっさと居なくなって………

 

 

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「ふあ……」

「あっ、まずい。ひのめが目を覚ました!」

「まずいって、その子がどうかしたの?」

 

百合子が不思議そうに訊ねてきた。

 

「ひのめは横島君に、息子さんに一番懐いてまして、目を覚ますとすぐに横島君の姿を捜すんです。そしていないとわかるといつも大泣きして…」

 

そう言っているとひのめはいつも通りに横島の姿を探し始めた。

そして、百合子が抱いている赤ん坊を見つめると。

 

「…ふあ、だああ♪」

「!! ひのめが笑った!?」

 

呆然としている皆をよそにひのめはその赤ん坊に手を伸ばして呼びかけた。

 

「にーに、にーに♪」

 

「……にーにって……もしかして…この赤ちゃんって…横島クンの……」

 

「ヒャクメッ!この赤ちゃんの霊視を」

「わかったの、やってみるの!」

 

赤ん坊の霊視をしていると、ヒャクメの目からぽろぽろと涙が零れてきた。

 

「よ、横島さん…横島さんなの!…この赤ちゃん、横島さんの生まれ変わりなの!」

 

どことなく虚ろだった皆の瞳にだんだんと光が戻ってきた。

 

「な、何だって!この子が……、この子が忠夫の生まれ変わりなんですか?」

「間違いないの、この子の霊波は横島さんのと全く一緒なの!!」

 

百合子は腕の中の赤ん坊を見つめながら…涙を流しながら語りかけた。

 

「そっか…忠夫、また私達の子供として帰って来てくれたんだね…」

「は、ははははは…忠夫はおかしいだろ。この子は女の子なんだから…」

 

大樹も泣きながらそう言った。

 

「うう、ふあぁ〜〜…」

「あら、お姫様はお目覚めのようね」

 

百合子の腕の中だ目を覚ました赤ん坊は令子達を一人一人見つめて、

 

「ふあっ♪」

 

そして微笑んだ。

 

 

「皆、抱いてみる?」

 

百合子はそう言ってまずは令子に抱かせた。

 

「横島クン…もうナンパは出来そうにないわね…」

 

次はおキヌに抱かせた。

 

「横島さん…今度は女の子だからお料理、教えてあげますね…」

 

次はシロに抱かせた。

 

「先生…今度は拙者が霊波刀を教えるでござるよ…」

 

次はタマモに抱かせた。

 

「ヨコシマ…もし、ヨコシマをいじめる奴がいたら今度は私が助けてあげるからね…」

 

それからは、小竜姫、老師、ヒャクメ、パピリオ、ベスパ、ワルキューレ、ジーク、唐巣、ピート、タイガー、雪之丞、エミ、冥子、魔鈴、小鳩、貧乏神、愛子、カオス、マリア、美智恵、と一人づつ抱いて声をかけて行って西条の番になりいざ、彼が抱こうとすると。

 

「ふあ〜〜あ…むにゃむにゃ…す〜、す〜」

 

と、美智恵の胸の中で再び眠りについてしまった。

 

そんな赤ん坊を見ながら西条が、

 

「よ、横島君、君ねぇ〜」

 

と、抱こうと差し出したままの手をワナワナと震わしながら呟いた。

 

すると。

 

 

 

「ぷっ…」

「くくくくく」

「ははははははは、も、もうダメだ…はははははははっ」

「あははははははははははははははははは!!」

 

 

 

誰からともなく笑い出し、そして全員が笑い出した。

あの日から久しぶりの笑い声だった。ふと気がつくと事務所の周りには横島にゆかりのある石神や浮遊霊たちが集まっていた、生まれ変わって来た横島を祝福するように。

 

 

 

「あはははははは…(そうか、笑うってこんなに簡単な事だったんだ。横島クンがいれば皆が笑える、横島クンがいてくれるだけで笑顔になれる)」

 

窓の外を見ると何時の間にか空は赤く染まっていて、部屋の中には夕陽が射しこんでいた。

 

 

 

 

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そんな彼らをはるか空の上から見つめている存在があった。

 

『皆、笑っていますね』

『ああ、横っちの魂を逆行させ再びあの両親の子供として転生させる。かなり強引な方法やったけど苦労した((甲斐|かい))があるな』

『しかし、ルシオラの魂も横島さんの中にあるままですからこれからどうなるか』

『まあ、今度は横っち自身が産む事になるさかいあまり問題はないやろ』

『そうですね。しかし私達に出来るのはここまで、後は横島さんが今度こそ健やかな人生を送れる事を祈りましょう』

『せやな』

 

 

そして彼ら二柱は光と共に天へと消えて行った。

 

 

 

「すう、すう、」

「くぅ〜、くぅ〜、」

 

 

百合子さんとママの腕の中で二人の赤ちゃんは寄り添うように眠っている。

 

 

 

横島クンは死んだ。

 

彼はもういない。

 

彼への想いはもう届かない。

 

でも、新しい命を持って帰って来た。

新しい命でこれからの人生を共に生きて行く。

例え隣を歩けなくても同じ世界で生きて行ける。

 

 

 

 

 

 

夕陽が照らす部屋の中に笑い声が響く。

 

夕陽が照らす部屋の中で私達は笑顔を思いだした。

 

夕陽が照らす部屋の中で私達の時間は再び動き出した。

 

 

〜完〜

 

 

と言う訳で書いてしまった横島死亡後の話。

実はこの話、僕が一番最初に思いついたGS美神のSSだったりする。

生まれ変わって来た彼女の名前は((唯緒|ただお))です。

…解ってます、何のひねりもないという事は解っています。

 

頭の中にはネギま!とのクロスに持っていく予定。(あくまでも予定、書くかどうかは未定)

では、この辺で。

 

 

 

説明
僕が一番初めに書こうと思ったGS美神のSS。
結局書いたのはかなり後になってからですけど。

にじファンより移動してきました。
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