真恋姫無双 〜蜂蜜姫の未来〜 第13話
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この作品は恋姫無双の二次小説で袁術ルートです。

オリ主やオリキャラ、原作キャラの性格改変やオリジナルの展開などもあります。

 

そういうのが許せない、特定のキャラが好きな方はスルーしてください。

※一刀アンチ作品ではありません。

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第13話

 

袁紹たちとの出会いから一夜明け、仕事もそこそこに切り上げ皆が集まったのは城の中庭。これから呂範と文醜の試合が始まるという事で、袁術軍の武官連中もこぞって観戦に来ていた。

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大地視点

 

昨日、八重が俺に文醜の事を話してくれた。なんでも、あの猪を叩きのめしてほしいとのことらしく話に相当熱がこもっていたような気がする。

 

文醜は力という点で見れば八恵より上なのだが、いかんせん戦法が力押しなので、技術面では八恵に劣るんだそうだ。そのため八恵と文醜の戦績は、八恵の22戦21勝1敗というもの。ちなみに1敗は、前回の手合わせの最中に八恵の目にゴミが入ったらしくその不意を突かれてのものだったらしい。それまでは八恵の連勝記録更新中という結果だった。八恵としてはどうもその一敗が非常に悔しいようだが、俺に当たるのは違うだろう。絡まれる俺の身にもなってほしい。

 

ていうか、目にゴミが入って集中力が落ちなきゃ勝てない文醜もどうなんだ?とは思うが。

 

まぁ、なんにせよ文醜の力が強いらしいという事は分かった。まともに打ち合うのは避けて、カウンター狙いが妥当か。

 

「おい!とっとと始めようぜ!」

いい加減何の行動も示さない俺に痺れを切らしたのか、向かい合っている文醜の機嫌はよろしくないようだ。しかしそこに僅かでも喜色が見て取れるのは、武人の性というものなんだろうか。

 

「そうですね。それでは八恵さん、立ち会いをお願いしても?」

「ええ、任せてください」

俺の問いに二つ返事で八恵が了承し、俺と文醜の間に立つ。それと同時に俺は体内で気を練り始める。

 

「それでは、始め!」

八恵の合図とともに、俺たちの試合が幕を開けた。

 

視点アウト

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呂範との間合いを測っていた文醜が目を見開く。なんと呂範が得物を地面に突き刺したのだ。そして、あろうことか素手で文醜へと駆けだした。

 

そんな呂範の行動に、文醜は自分が舐められていると感じ自らの獲物である大剣・斬山刀を振りかぶり大きく横一閃に薙ぎ払う。

 

「うおぉりゃぁぁぁ!!」

 

呂範は確実に自分の間合いに入っていた筈だった。

しかし、呂範は文醜の行動を読んでいたのか攻撃のモーションが見えた瞬間、試合が始まる前に練っていた気を足へと送り込む。そうして強化された脚力で後方へと逃れたことにより、横一閃の一撃を難なくかわしたのだった。

 

感じるはずの手ごたえはなく、剣は虚しく空を切る。

 

「ちっ!」

 

文醜はそこで状況を瞬時に理解し、すぐさま剣を体へ引き寄せ次の動作へと移せるよう構え直す。

 

だが呂範はその動きで生じる隙を見逃さなかった。瞬時に、強化されている脚力を最大限に利用し初速を得る。その勢いのまま文醜の鳩尾へと掌底を叩き込んだ。クリーンヒットだ。暫くは動けないはず。

 

「……っ!?」

 

瞬間

 

呂範は背筋がゾクリと粟立つのを感じた

 

ザッ!!

 

そして何かを感じ取ったのか、呂範はすぐさまその場を離れ文醜の状態を確認し、後悔した。

 

意識などあるはずはない。打撃の位置、タイミング共に完璧だったのだ。

 

しかし目の前には隕石でも落ちてきた後のようなクレーターが出来上がっていた。おそらく文醜が原因だろう。しかし当の本人はこの現状を見ても、微動だにしていない。

 

呂範は八恵に確認を取ろうとしたのだが、それを何者かの声に阻まれた。

 

「呂範さん、今は文ちゃんに集中してください!じゃないと……」

切羽詰まった表情で叫ぶ顔良の言葉は文醜の攻撃と轟音によってかき消された。

 

呂範はこの状況に疑問を覚える。

 

自分は一体何をしたというのか?考えたところで答えは出ないが、今の文醜は明らかにおかしい。そして顔良は『集中しろ』と言っていた。

 

ならば、導き出される答えは至極単純なものだ。

 

「文醜を倒す」

呂範はその答えをはっきりと口にした。

 

文醜は静かに呂範を見据えている。その瞳に意思の光は見えず、虚ろな目だけが呂範を見つめていた。唐突に口角を釣り上げ、歪な笑みを浮かべる。まるで最上の得物を目の前にした獣のような笑み。だが呂範はその表情に若干の違和感を覚えた。そこに恐怖が垣間見えるのだ。獣の笑みの中に僅かにチラつく恐怖。まるで何かを恐れているようなその笑み。

 

どうすれば……

 

呂範は頭に浮かんだその迷いを振り払うかのように、文醜へと駆けだした。

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八恵視点

 

一体何が起きている?

 

勝敗は決した筈だ。それは私を含め、この場にいた者たち全員が納得することだろう。なのに、何故まだ試合が続いているのか?

 

そんな取り留めもない事を考えていた私は、斗詩がすぐそばに来ている事に気付かなかった。

 

「八恵さん。私がこれから話す事は何があっても口外しないで頂けますか?」

「え?」

「すいませんが今は時間がありません。“はい”か“いいえ”で答えてください」

有無を言わせぬ口調。普段の斗詩からは想像できないそれは、私に正常な思考を取り戻させるのには十分だった。

 

「分かりました。ですがその話は後で聞かせてもらうとしましょう。今は猪々子を止めるのが先ですから」

「そう、ですね」

「幸いにも、大地殿が相手をしてくれているのは救いでしょう。あなたならあの状態の猪々子を止められるのでしょう?ならば私はあなたの補助に回ります」

「助かります」

そうと決まれば、まずは大地殿と合流しなくてはいけない。連携というのは、相手との意思疎通ができなければ形にはならないのだ。

しかし大地殿はこちらに全く意識を向けず、それどころか試合開始と同時に地に突き刺していたはずの大剣を持ち、正眼に構えていた。

 

「なっ!?」

するといきなり剣の形が変化しはじめた。

鈍色の光を放っていた筈の刀身は鮮やかな翡翠色へと変化し、剣に刻まれていた模様や剣自体の造形までもが一新される。

 

大地殿の剣は一体?

 

これは私と七乃で大地殿を問い詰める必要がありそうですね。

 

八恵視点アウト

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大地視点

 

倒すと言っても実質的には戦闘不能に追い込めばいいわけで。

 

その考えに辿りついてからの大地の行動は早かった。まずはレイヴを回収し、そこから封印の剣ルーンセイヴへと形態を変化。

 

「これを他人に使うのは初めてだ。だが心配するな。俺は何ともなかったから」

果たしてそれは誰に向けられた言葉か。

 

俺は向かい合う文醜めがけ、ルーンセイヴを思い切り振りぬいた。

 

刀身はそのまま体を貫通する。と同時に悲鳴のような声が聞こえたが、別に大騒ぎするようなことは起こっていない。

 

実際、血の一滴も飛んではいないのだ。何処の世界に相手を刺して血が出ない武器があるというのか?

 

まぁ、目の前にある物がまさにそれなのだが。

 

「おい!文醜殿を寝台へお運びしろ!それと顔良殿も共に来ていただきたい」

文醜を刺した瞬間、俺に殺気を飛ばし文醜の傍に駆けよった顔良だったが、刺された本人が安らかな顔をして寝息を立てているのに気がつくと、へなへなと崩れ落ちてしまっていた。そして俺はそんな顔良をシャキッとさせ、共に文醜が運び込まれた部屋へと向かう。先ほど掛けた封印を解かなければいけないからだ。

 

そして部屋へと向かう道すがら顔良は俺に何度か目を向け、ようやく口を開いた。

 

「あの……」

「話していただけるのですか?」

「それは……、申し訳ありません」

「そうでしょうね」

「あ、いえ、呂範さんがどうとか、そういうことじゃないんです……けど」

「ご心配なく。私としても本人から聞いた方がいいと考えますので」

「そう言ってもらえると助かります」

気まずそうに俯く顔良。俺としても文醜本人が話してくれるのを待つつもりだった。ああなった原因は、間違いなく彼女の人生に関わるほどの大事だろう。それを他人である顔良から聞かされるよりも、当事者である文醜から聞いた方が忌避の無いものになるだろう。

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「では顔良殿は少しここでお待ち下さい」

「え、でも……」

「どうかお聞き入れください。お願いします」

「……はい」

渋々ながらも顔良が頷いた事に安堵しつつ、俺は剣を持ったまま部屋へと入った。中では文醜が穏やかな寝息を立てている。その姿に苦笑しながらも、俺は剣を構えた。そして剣を文醜の胸の辺りに突き刺し、先ほど封印した文醜の“感情”を解き放った。

 

あの瞬間、俺は彼女を止めるためにこの原因となったであろう“感情”を封印したのだ。

 

急に豹変した文醜。原因は分からず、彼女を止めるために考えたのは感情か神経の封印という一種の賭けだった。

 

そして俺は自分で試した事のある感情の封印を選択した。

正直、この時点でルーンセイヴを表に出す事はマイナス以外のなにものでもなかったが、そうせざるをえなかったのも事実。八恵が何らかの行動を起こそうとしていたようだが、あの状態の文醜を長時間相手にするのは危険だと思えた。ならば手の内を晒すことになったとしても、すぐに終わらせた方がいい。

 

だから俺は感情を封印することにしたんだ。この件で騒ぎ立てる奴がいるようなら後で記憶の封印もしなきゃいけないかもしれない。

 

さて、一通りのことは済んだ。封印の解除と言ってもそんなに難しい事じゃないからすぐに済む。

 

顔良を部屋へと入れた俺はそのまま部屋を後にする。そこで一息つこうとした矢先、目の前に二人の般若が現れた。

 

「まぁ、来ると思ってたよ」

「そうですか〜。じゃあきっちりかっちり説明してもらいましょうか♪」

「ええ。私も詳しい話が聞きたいです」

俺、今日寝れるのか?ちょっとだけ今回のことについて後悔したが、後の祭りという事でおとなしく従うことにする。

 

二人に両脇をがっちり極められた俺は、そのまま玉間へ一直線で引きずられていった。

 

視点アウト

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あとがき

 

え〜っと、ですね……

 

なんでこうなっちゃったんだろう。

気持ち的には猪々子には『少しだけ暗い過去があって』な事を書くはずだったんですが、出来上がったらこんな内容になってました。

 

一番の変更点はルーンセイヴのお披露目ですね。こんな序盤に出てくるべき能力じゃないのに。

でも、十分許容範囲内ですし、ここからの修正も可能なので問題はないはず。

 

猪々子は某騎士王さんみたいな感じになりつつあるんだろうか?てことはアホ毛の有無で性格が豹変(お淑やか)したりして……。

 

そんなアホなこと言ってないで続き書けよって言われそうですが……

 

ってことで次回は呉サイドのお話です。

 

余談ですが、何気にコードギアスの方も見ていただいてるようでありがたい限りです。

 

でわでわしつれいします

 

説明
どうしてこうなった orz
少し猪々子の過去を匂わせるだけのつもりだったのに、こんな大事になってしまうとは……

それではどうぞ
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コメント
淑やかになったあげく諸葛亮並みの軍師になったりして。(陸奥守)
猪々子がバーサーカーに!? いったい過去に何があった!? 某騎士王みたいにアホ毛でも引っこ抜かれたのか!?(マテwww(量産型第一次強化式骸骨)
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