IS~音撃の織斑 九の巻:試合乱入
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九の巻:試合乱入

 

Side: 一夏

 

さてと、ようやくこれで俺の専用機が完成した。正真正銘俺の物だ。((一次移行|ファーストシフト))はまだ残念な事に完了していない初期設定のままだが、ぶっつけ本番で((形態移行|フォームシフト))させてやる。一戦目は・・・・おいおい、あのツインテールちびか。篠ノ之よりもうるさそうだから出来れば二戦目か三戦目で当たりたかったが・・・・まあ仕方無い。俺の目の前に立ちはだかってグダグダと世迷い言をほざくなら倒すまでだ。俺はカタパルトでアリーナの上空に射出された。

 

「先に言っておくぞ。コイツはまだ初期設定のままだ。その間に俺を倒す事をお勧めする。出なければお前は負ける、確実に。それにコイツは俺が組み上げた物だから、武器の特性、長所、短所、全てを把握している。時間が無いぞ?」

 

ブザーが鳴ると同時に俺は四肢にビームクロー、((閃爪刃|せんそうじん))を展開し、一気に((瞬時加速|イグニッション・ブースト))で近付いた。そして地面に叩き落としてからも追撃の手を緩めず、相手が離れようとすれば直ぐに食らいついて離さなかった。

 

「ああ、もう!!鬱陶しいわね!!」

 

「ほらほら、どうしたどうした!?代表候補生がズブの素人に負けてちゃ駄目だろう?後三十秒もすればコイツは((一次移行|ファーストシフト))を完了させる。早くしないと、お前の敗北が決定するぞ?!」

 

そう煽りながら俺は右手の閃爪刃をしまい、俺の武装を取り出した。やはりいくらやっても((拡張領域|パススロット))に空きが出来ない為、俺は武器が様々な形態を取れる様に改造に改造を、試行錯誤を繰り返して作り上げた武器だ。名は((万化無型|ばんかむのかた))。現在はまだ((一次移行|ファーストシフト))していないから他のモードは使えないが。基本形態は刀の形をした((祟羅神|たたらがみ))だ。そして遂に・・・・

 

『((最適処理|フィッティング))が終了しました。』

 

「((一次移行|ファーストシフト))、完了だ。これでお前の敗北は決定した。」

 

祟羅神が俺の意思にあわせて六つのパーツに分裂、再連結して、銃の形になった。万化無型のフォームの一つ、慟哭だ。

 

「な、嘘?!武器の形が変わった?!」

 

「驚くのは良いが、避けた方が良いぞ?」

 

慟哭はビーム、実弾と切り替えが可能で、蝉からフルオートへの変更も可能だ。威力も申し分無い。どんどん鳳鈴音のシールドエネルギーが減少して行く。その時、予期せぬ事が起こった。

 

Side out

 

 

 

Side 三人称

 

一夏が鈴音に更なる追撃を仕掛けようとした瞬間、遮断シールドが突破され、アリーナの中心に何かが激突した。そしてそれは咆哮を上げ、もう一つの何かを殴り始めた。一つは巨大な体で長い髪を振り乱した恐ろしい巨大な人型の化け物。もう一つは片腕と片足を潰された全身黒の人型のロボットだった。そのロボットの腕と両肩から放たれるビームを化け物は物ともせず、その機械の頭を捩じ切って捨てた。

 

(クソッ!こんな時に魔化魍か?!しかもあれはヤマビコ。それもかなり成長している。こんな所で暴れられたら遮断シールドなんか何の意味も成さなくなる!

 

「一旦戻るぞ。」

 

「はあ?!何言ってんのよ?!私は戦うわよ!」

 

「馬鹿を言え。死にたいのか?アイツが遮断シールドを突破出来たのは、さっきのロボットみたいな奴が放ったビーム攻撃のお陰もある。つまり遮断シールドを突破出来る程の威力を持っているんだ。そして奴はそれを物ともしなかった。その威力を下回る兵器で太刀打ち出来ると本気で思っているのか?お前の死亡は確実だし、機体もコアごと破壊されるのがオチだ。」

 

冷静に理由を述べられ、鈴音はやむなく撤退した。そして生徒達が避難している間、一夏は全員がいなくなるのを見計らい、音角を引っ張り出して指で弾き、額にかざした。緑色の炎が竜巻の様に立ち上り、帯電するかの様にスパークしている。それを振り払い、荊鬼はピットから飛び出し、両足に雷を纏わせた雷撃蹴を顔面に食らわせた。

 

『グオオオオオオオオオオ?!』

 

痛みに顔を押さえ、ヤマビコは膝をついた。そこで荊鬼は両手に音撃棒白蓮を構え、黄緑色の鬼石に火が灯った。その火は更に伸び、緑色の輝く刃を持つ剣に変わった。それで両足を切り裂き、両腕の肘から下を切断した。

 

「さてと、止めだ。」

 

腰の音撃鼓、炎零天をヤマビコの背中に押し当て、それを音撃棒で叩き始めた。

 

「(ヒビキさん、技、お借りします!)音撃打、一気火勢の型!」

 

響きから伝授された技を使い、ヤマビコに清めの音を打ち込んで行く。ヤマビコは苦しんで暴れるが、荊鬼は全く動じずにバランスを取りつつ清めの音を打ち込んで行き、最後の一打でヤマビコが爆発した。塵になって消えたのを確認し、荊鬼は腰からアニマルディスクを取り出して起動した。アカネタカを術で巨大化させ、遮断シールドに開けられた穴から外に出た。そして事前にあらゆるポイントでディスクアニマル達に隠させた着替えを来て何食わぬ顔で教室に戻った。

 

side out

 

 

 

Side 千冬

 

なんて圧倒的な才能を持っているんだ、一夏は。初期設定のISにも拘らず代表候補生である鳳を圧しているだと?

 

「五十嵐君、本当に強いですね。とても初心者の動きには見えません!」

 

山田君ははしゃいでいるが、私は全くそんな気にはなれなかった。一夏の隣にいたあの男の事が頭から離れない。アイツは何者だ?そして一夏を弟子と呼んだのは何故だ?

 

「織斑先生?大丈夫ですか?」

 

「ん、ああ・・・・?!何だあれは?!」

 

突如遮断シールドを突き破って何かがアリーナの中心に激突した。土煙の仲でも二つの影が戦っているのが見える。一つはどこかゴツゴツした人型の機械、もう一つは・・・・もっとハッキリと生き物の形をしているが、やはり人型で、長髪だった。その長髪の化け物は機械の頭を捩じ切って捨てた。あの破壊されたあれは、ISなのだろうか?

 

「山田君、あの黒い機械は・・・・?」

 

「解析しましたけど、あれは所属不明のISです!それに、生体反応が全くありません!こんな事、あり得ません!ISは人が乗らなければ動かない筈なのに、無人機だなんて。」

 

いや、私はそのあり得ない事をやってのける一人の天才を知っている。だが、本当にアイツの差し金なのか?模しそうなら、あのもう一体のあれは何だ?鳳と一夏が避難をしている間、その巨人は暴れ回った。遮断シールドのレベルをマックスに上げている為、まだ破壊されてはいないがやはりそれも時間の問題だ。

 

「あ、あれは・・・?!」

 

みると、暗緑色のボディーに差し色として赤が入った三本の角を持った人物がその化け物に両足でドロップキックを食らわせて地面に膝をつかせた。そこで今度は腰背面から二本の棒を取り出し、そこから何と緑色の眩い刃が伸びたのだ。それで足を切り裂き、更に腕も人立ち入れると、仰向けになったその露出した背中に飛び乗った。そしてそこにバックルを取り外して背中に設置すると、巨大化し、そいつはそれをまるで和太鼓でも叩くかの様な動きを見せ、それを一頻り続けた後、化け物は爆散して土塊になった。

 

「凄い・・・・あっさりとあの化け物を倒しちゃいました。あれは、IS・・・ではありませんね。一体何なんでしょうか?」

 

「分からん。だが少なくとも、奴の目的はあの化け物の殲滅だったと言う事だ。あの無人機を回収して地下の保管ブロックに移送する。(何なのだ・・・・?最近は色々あり過ぎて混乱する・・・・)」

 

side out

 

 

 

Side 一夏

 

まったく、万が一の事も考えて音撃武器とディスクアニマルを持って来ておいて良かったぜ。試合中に乱入するとは思わなかったな。けど無闇にディスクアニマルを見張りに立たせる訳にも行かない。数にも限りがあるし、何より見つかってしまったら色々と面倒だ。まあ、大事には至らなかったから別に良いか。

 

「白式、か。」

 

俺は右手首に嵌められたガントレットに目をやった。本当ならこんな物今すぐ地面に叩き付けて破壊してやりたい所だが、自分で作り上げた力で、ようやく使いこなせる様になったのだ。不覚にも少し愛着が湧いてしまった。

 

「あの、一夏さん?大丈夫ですの?」

 

「あ?」

 

みると、最近まで姿を見なかったオルコットがそこにいた。やはり俺に完全敗北した事で心が折れて俺に対しての恐怖心が芽生えたのか、少しびくついている。

 

「何の用だ?」

 

「その、この前の事、本当に申し訳ありませんでした。今思い返してみれば、代表候補生として恥ずかしい限りです。その事をお詫びに伺おうと思いまして・・・・」

 

「そうか。なら用事は済んだろ?以後気をつける事だな。出なきゃまた俺がお前の相手をしてやる。」

 

空いた時間があったので、俺は廊下で携帯を取り出し、師匠に電話をかけた。

 

『おう、一夏。元気か?』

 

「はい。ヤマビコがこっちで出ました。どうにか始末しましたし、まだバレてません。」

 

『それなら良いんだが、どうした?やっぱりまだ過去の事を引き摺ってるのか?』

 

「それだけ辛い事でしたから。でも俺は大丈夫です。大丈夫になってみせます。」

 

『無理すんなよ?』

 

「はい、それでは。」

 

とりあえずこれからが暇だな。対抗戦が潰れちまったし、これで全くやる事が無くなった。部屋で武器の手入れをするか。部屋に戻ると、丁度篠ノ之が自主練から戻って来たのか、道着姿だった。俺は脇目も振らずにベッドの下から直刀を取り出し、一瞬の内に抜刀と納刀を繰り返した。

 

「これは大丈夫だな。」

 

「それは、本物なのか?」

 

「ああそうだ。正真正銘の本物だ。だったらどうした?」

 

「その・・・・見せてくれるか?その様な形状の刀を見たのは初めてでな。少し興味が湧いた。」

 

お前の都合など知るか。これはお前が知っている様な鈍ら刀じゃないんだぞ。俺以外にはこの刀を鞘から抜く事も出来ない。

 

「悪いが無理だ。これはお前が触って良い様な物じゃない。これは師匠が何年もかけて俺の為に直々に打ってくれた刀だ。だから、悪いが無理だ。」

 

それを再びベッドの下に押し込んで盲眼の術を掛けた。

 

「俺は今から寝る。邪魔してくれるなよ。」

 

side out

 

 

 

 

 

Side 三人称

 

一方その頃、どこかで・・・・

 

「うーん、この妙ちきりんなロン毛のジャイアントさんは何者なのかな??束さんのゴーレムを簡単に倒しちゃうなんてー。ぶーぶー、駄目だぞー、あれはいっくんを強くする為に送ったんだぞー?でも、この角の生えた彼も面白いねー。太鼓の達人?」

 

一人どこか御伽話の国から現れた様な服を来て、頭にはウサギの耳を形取ったメカニックなカチューシャを付けた女性が妙に興奮して間延びした声で独りごちる。目の前には大量のモニターと空中投影されたキーボードがざっと十個はあった。

 

「見た目は、ウ?ン・・・・鬼、みたいだね。それにあの巨人さんを倒しちゃう程の力。束さんに分からない事は無い筈なのに?・・・・・」

 

Side out

説明
姉に捨てられ、魔化魍と戦う猛士の鬼、石動鬼に拾われた織斑一夏。鬼としての修行を積み、彼は何を見る? ISと響鬼のクロスです
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誤字?  模しそうなら(yasu)
タグ
インフィニットストラトス 仮面ライダー響鬼 

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