超次元ゲイム ネプテューヌmk2 〜Blue Wind〜(~BIRTH~)
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リンダの目前に姿を現したのはソニックに瓜二つのハリネズミ。

しかし、その胴体は黒に近い紫色で片耳が無かった。手袋と靴には凍りついて出来たかのような結晶が付着している。腹部には不気味に目玉が埋め込んであり、冷徹さを醸し出すようなコバルトブルーの眼光が鋭くこちらを睨みつける。

「………誰?あんたも犯罪組織の一員なの?」

その姿に戸惑いながらもアイエフは一本だけのカタールを構える。

そう、犯罪組織の一員ならリンダのピンチに駆けつけてきたと考えても不思議ではない。

「チ………!」

片腕を押さえつつリンダが立ち上がる。

「だ……誰だ……てめぇは……!?」

「えッ?」

アイエフは思わず聞き返す。

 

(――――犯罪組織の一員……じゃない?)

 

先程のリンダの発言からしてそうしか考えられなかった。

 

スッ――

 

ハリネズミは徐に腕をあげる。

まるで、リンダに「逃げろ」と合図するかのように―――

「お、おいてめぇッ!俺の質問に―――」

 

キッ!

 

ハリネズミは突如リンダを睨んだ。

 

ゾクッ!

 

その眼光にリンダは思わず背筋が寒く感じた。

「―――チッ!」

 

ダッ!

 

リンダは踵を返すとそのまま走り去っていった。

「あいちゃん、あの人は……!?」

「ええ、どうやら犯罪組織の一員ではないようね。」

 

スッ―――

 

ハリネズミは徐に腕をあげる。

しかし、何故か人差し指が突き出ていた。

「「?」」

アイエフとコンパは警戒しながらも疑問を感じた。

 

ドンッ!!

 

「「!!?」」

 

パリーンッ!!

 

ハリネズミの人差し指が一瞬光った――――

そしてその刹那、ガラスが割れるような音が響く。

「な……ッ!?」

アイエフは音の発信地を振り返る。

「あッ!?」

振り返るや否や、コンパが声をあげた。

「ゲイムキャラがッ!?」

そしてアイエフも。

先程リンダから守ったゲイムキャラのディスクが粉々に砕け散っていたのだ。

 

 

 

―――カッ!!!

 

ハリネズミは目を見開く。

その視線の先にあったのは―――

 

 

「ネプギア!大丈夫か!?ネプギア!?」

 

 

ソニックの必死の呼びかけが聞こえていないのかネプギアは未だに震え続けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――メ――

 

 

 

 

 

 

 

――ガ―――

 

 

 

 

 

 

 

――ミ―――

 

 

 

 

 

 

「えッ!?」

今ハリネズミが初めて口を開けて何か言葉を発していたが何を言ったか分からずアイエフは聞き返す。

「あいちゃん!来るです!」

 

ドンッ!

 

ハリネズミは一気に肉薄してきた。

 

ブンッ!

 

そして瞬く間に拳を作りアイエフに繰り出してくる。

 

ガキッ!!

 

アイエフは何とか拳をカタールで受け止める。

(速いッ!?)

何とか受け止めたものの、そのスピードは計り知れなかった。

しかも物凄く重い一撃だった。油断していたら簡単にカタールは吹っ飛んでしまうだろう。というものの、今アイエフのカタールが吹っ飛ばなかったのは奇跡だった。

「えいですッ!!」

 

ドドドドドドドドドドッ!!

 

コンパが再び弾を発射する。

「あいちゃん、私が少しの間時間を稼ぎますです!今のうちにもう一本を取るです!」

「悪いわねコンパ。ソニック!カタールを投げて!」

 

バッ!

 

アイエフは跳躍する。

「All right!!」

 

ジャキッ!

 

ブンッ!

 

ソニックは一度ネプギアから手を離しカタールを引っこ抜くと空中のアイエフ目がけてカタールを投げた。

カタールはクルクルと宙を舞い、アイエフの手に綺麗に収まった。

 

スチャッ!

 

アイエフはそのまま着地する。

 

―――だが

 

「きゃぁぁッ!!」

 

ドサッ!

 

アイエフは目を離した間、コンパが吹っ飛ばされソニック達の隣に不時着した。

「コンパ!」

ソニックは思わず叫ぶがコンパは気を失ったらしく返事をしなかった。

「……!アイエフ、前だ!!」

「え!?」

ソニックの声にアイエフが前に向き直すとハリネズミが腕を上げていた。

 

バキッ!!

 

「きゃぁぁッ!!」

 

ズザザザザァァァァァァァッ!!

 

アイエフの体が吹っ飛ぶ。

「アイエフ!!」

ソニックは叫ぶが、アイエフはそのまま意識を失った。

「くそッ!」

 

ギュンッ!!

 

ソニックは震えるネプギアをその場に座らせるとハリネズミと対峙する。

「Hey!やってくれるじゃないか!今度は俺が相手だ!」

ソニックは目前のハリネズミを指差し口の端を上げる。

「…………」

しかしハリネズミは動じない。

「Ready……Go!!」

 

ギュンッ!!

 

ソニックは一気にハリネズミに肉薄する。

 

ギュンッ!!

 

しかしハリネズミは紫色の光となり空中に姿を消す。

「逃がすかッ!」

 

ギュンッ!!

 

ソニックも同じように青い光となりハリネズミを追う。

 

バギンッ!!

 

バギンッ!!

 

バギィィンッ!!!

 

二つの光がぶつかり合い、火花が飛び散る。

「ハァッ!」

 

ギュンッ!!

 

両者は更にスピードを上げ、光すら確認できなくなる。

 

ドドドドドドドガガガガガガガガガガガガッ!!!!ドッドッドッドドドドド!!!!!!バギィンッ!!バギィンッ!!!!

 

虚空で幾度も巨大な衝撃波が生じる。

音速を遥かに超えた両者がぶつかり合うその力によるものだった―――

 

バキッ!!

 

「ぐあッ!」

ソニックは回転を利用した鋭い蹴りをくりだしたがかわされて逆に追撃を喰らった。

 

ヒュウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ――――

 

 

 

ドガ―――――ン!!!

 

そして勢いよく墜落した。

「チッ……!」

ソニックはすぐに体勢を整えるとハリネズミを睨む。

「!?」

ソニックが目を見開く。

ハリネズミは両手を前に出し掌に紫色の雷を蓄えていた。

しかし、狙いはソニックではない。

自分と少し距離があるネプギアに照準を合わせていた。

「ネプギア!おい!攻撃が来るぞ!」

ソニックは叫ぶ。

しかし、ネプギアは未だに胸を押さえて震えている。

「ネプギア!しっかりしろ!!おいッ!!」

 

バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂィッ!!!!!!!

 

ハリネズミの掌の紫色の雷が大きくなり、今にも放出されそうだった。

「くッ……!!」

(踏ん張れ、俺の足ぃッ!!)

 

ダッ!

 

ソニックは歯を食いしばりネプギアの方へ駆け出した。

 

バヂバヂバヂバヂバヂバヂ――――

 

 

ドンッ!!!!!

 

 

 

ハリネズミの掌から紫の電流が放出された。

しかし、それにさえ気づいていないのかネプギアは動かない。

 

 

(間に合え――――ッ!!!!!!!!!!!)

 

 

バッ!!

 

 

ソニックはネプギアの前にかばうように立ちはだかった。

 

 

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!!!!!

 

 

電流がソニックを包み込む。

 

 

「うあああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!」

 

 

 

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怖い。

 

 

私の頭を完全にこの単語が支配していた。

 

 

あの時の恐怖―――

 

 

目の前で大切な人が倒れる―――

 

 

思い出す度に頭がショートしそうだった。

 

 

私が何も出来なかったから―――

 

 

私が―――弱いから―――

 

 

 

-3ページ-

「うああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!」

 

「ッ!?」

何かが吹っ切れたかのようにネプギアが顔を上げる。

だが、事態が把握できなかった。

「ソ………ニック………さん…………ッ!?」

何故ソニックが目の前で電撃を食らっているのだろう。

思わず口を押さえる。

ソニックだけではない。

周りにはアイエフとコンパも倒れている。

その光景に思わず涙が出る。

 

 

――――どうして、私の前で誰かが倒れるのだろう。

 

 

今のソニックの姿がギョウカイ墓場で目の前で倒れた姉の姿に重なって見えた。

ネプギアは電撃から解放されてこちらにゆっくりと倒れてくるソニックを抱き止める。

「ぐ………ッ!」

「ソニックさん……ッ!」

ネプギアはポロポロと涙を零しながら苦痛に顔を歪めるソニックの顔を覗き込んだ。

「………!」

ネプギアは顔を上げると目を見開く。

少し離れた場所で無言でこちらの様子を伺っている姿に―――。

「ソニックさんが………二人……!?」

もう、何がなんだか分からなくなりそうだった。

「ネプギア……ッ!」

ソニックが必死にその名を呼ぶ。

ネプギアが顔をソニックに向き直す。

「……くッ!………簡単に……状況を説明するぜ……!まず……下っ端には逃げられた………んでもって………今度は……奴が現れた………んでもって…………奴に……『ゲイムキャラ』が壊された……!」

そっと、ソニックがハリネズミを指さす。

「……奴のパワーは………桁違いだ……ッ!……あいつは……お前にしかッ………倒せない……ッ!女神化して………奴を……倒すんだ………ッ!」

ソニックの言葉の中の1単語で思わず耳を塞ぎたくなったがぐっと堪えた。

「………でも、私は……女神化が怖いです……ッ!女神化をしたら、またあの時のことを思い出して……怖いんですッ……!」

 

グッ!

 

「ひゃぅッ……!」

ソニックがネプギアの両頬を押さえ、しっかりとその目を見つめる。

「ネプギア………何が怖いのか………ハッキリ言うんだ……ッ!!俺が………その怖さを………全部受け止めてやる………ッ!!」

ソニックの言葉にネプギアはさらに顔を歪め、嗚咽を漏らす。

「………ヒック……三年前、私の目の前で……ヒッ………お姉ちゃんが……ッ!お姉ちゃんの仲間達が……ッ!目の前で倒れて………ヒック………そしたらあの人が……ヒック………赤い髪の人が……ッ!もう……もう、目の前で人が倒れるのは……見たくないですッ………!!」

「分かった………ッ!ネプギア………くッ!………怖かったな……よく………頑張ったな………ッ!」

ソニックは少しだけ顔を綻ばせる。

だが、また苦痛に顔を歪めながらもキッとネプギアの目を見つめる。

「だがな………恐れているばかりじゃ………前に進めない………お前は……姉貴を……ゲイムギョウ界を……救いたいんだろ………ッ!?」

眉が八の字になっているネプギアは小さく頷く。

「だったら………ッ!!もう何も恐れるな………ッ!!目的を果たすまで……恐れるなッ!お前のその恐怖は………姉貴を助け出すまでは………心の奥に……閉じ込めるんだ……ッ!姉貴を助けたら………その恐怖を………姉貴に……受け止めてもらうんだ……ッ!恐怖なんかに……束縛されるな………ッ!」

「ソニックさん……ッ!」

「………ぐッ!分かったか……?」

涙に顔が濡れながらもネプギアは笑顔を作る。

「……はいッ!ごめんなさい、ソニックさん!」

「へへッ……!やっと………笑顔を見せて………くれたな……!Nice………smile……!」

ソニックも笑顔を作り、どこからかカオスエメラルドを取り出す。

「こ………これを……ッ!」

ネプギアはそっとカオスエメラルドを受け取る

「これは……カオスエメラルド?」

「あぁッ……これは……俺達の……『約束の…………印』……Promise……mark………right?」

カオスエメラルドを受け取った刹那、ネプギアの心はスッキリしたように感じた。

まるで沿岸に満ちていた潮が引いていくかのように―――

「ソニックさん……私、何だか行ける気がします!」

「へヘッ………その意気さ……!」

 

ぐッ!

 

ソニックがネプギアの頭を寄せる。

「……え?」

ネプギアも思わず声を発する。

 

―――フッ

 

 

お互いの唇に何かが触れる。

 

カッ!

 

その刹那二人を光が包み込んだ。

 

 

 

 

-4ページ-

 

―――憎悪

 

これが私の全てだった。

 

思考、感情―――

 

行動――

 

すべてが憎悪に支配されていた。

 

歓喜、歓楽―――

 

悲しみ―――

 

そんな物は私の中には存在しない。

 

―――いや、存在を許されない。

 

私は―――

 

 

 

 

―――私が分からないのだ。

 

 

 

 

存在意味―――

 

 

自分の意味―――

 

 

世界の意味―――

 

 

全ての疑問において答えは出ない―――

 

 

だが―――今は一つだけ――――分かることがある――――

 

 

 

 

目の前の私に瓜二つの青きハリネズミ―――

 

 

―――そして―――私の憎しみの発端―――女神―――

 

 

 

二人から放たれた光が―――この場に居るものを―――包み込んだ―――

 

 

そして―――光が治まり――――現れたのは―――

 

 

-5ページ-

「……………」

ネプギアは閉じていた目をゆっくりと開く。

だが、その姿は先程とは違った。

純白の戦闘服を身に纏い、腰まで届くピンク色の長髪。そして雪のように綺麗な肌にまるで青空のような澄んだ色の瞳。

浮遊する彼女のその手には、マルチプルビームランチャー―――M.P.B.Lが握られていた。

そして――――彼女の頬に一つ涙が伝うとハリネズミを睨む。

 

「―――私はもう恐れません。私はプラネテューヌの女神候補生、ネプギア。ゲイムギョウ界を……お姉ちゃん達を……アイエフさん、コンパさん……ソニックさんを………

 

 

 

 

 

 

 

―――皆を助けたいんですッ!!」

 

 

 

 

 

 

バッ!

 

パープルシスターはM.P.B.Lを一振りする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(作者より:試験期間に入るため暫く更新遅れます。)

説明
ソニックはいつものようにエッグマンの計画を阻止しようとしていた。だがそれはエッグマンの罠だったのだ。カオスエメラルドの力で別世界へと飛ばされてしまったソニック。そこはゲイムギョウ界と呼ばれた異世界だった。そしてその世界でネプギアと言う名の少女に出会い―――……ネプギアは姉を助け出すことは出来るのか?ソニックは元の世界へ帰れるのか?これは、ネプテューヌmk2にソニックが居たら――のもしもの物語である。――――
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コメント
>おぜう様 アイエフ「コメありがとう。」ソニック「く……ッ!あと一枚あれば……!(いやお前元々持ってねーから」ネプギア「……(苦笑」ソニック「ま、まぁこれからもよろしく頼むぜ!」(こた)
>ミヤウエ様 コメありがとうございます!残念ながら彼ではありませんでしたねw奴はまだまだ謎の存在ですよ〜!(誰だお前)キスシーンは敢えて飛ばしましたw次回もよろしくお願いします!(こた)
>クリケット様 コンパ「コメントありがとうございますですぅ!」ネプギア「どうしてあの人はあんなにも女神を……?」アイエフ「ちょ、アンタ達何でそんなに私達を目の敵にするのよ…」ソニック「Hun……まぁ、次回もよろしく頼むぜ」(こた)
がすと「リング切らすから…」フロム「常時一枚は持っとけとあれほど…」ネロ「言ってないだろ」がすと「しかしどこでもネプギアは主人公してるですの。」フロム「それに比べてこいつと来たら」主人公(笑)「!?」(リアルではおぜうタイプ@復帰)
頭にメがつくハリネズミじゃなかったね・・・生まれた原理的には似たような感じかな?そういやあいちゃんのキスシーンぶっ飛びましたね。(柏中ロージュ&ミヤウエ)
氷室「同じ女神に恨みを持つ者、か。」 協力するのか? 氷室「馬鹿言え。女神を全滅させるなんて俺たちだけでも十分すぎる。」 エスター「女神候補生、立ち直りやがって。もうちょっと痛めつけといた方が良かったですかね?」 レオン「必要ねえだろ。どうせその内俺たちが死よりも恐ろしい目にあわせてやるんだからよ!」 おまえら一度地獄に堕ちろよ……。(クリケット)
>ツバキ様 コンパ「コメありがとうございますですぅ!」アイエフ「私の役目ェ……」ソニック「アイツではなかったな……」ネプギア「油断はできません。お姉ちゃんを助けるためにあの人を倒します!」ソニック「次回もよろしく頼むぜ!」(こた)
フウ「アイエフさん、役目取られたね」 アリス「しかしあのハリネズミは何者なんでしょうか。彼ではないみたいですし…」 フウ「リンダさんは知らないみたいだけど、あっちの仲間なのかなぁ」 アリス「うーむ、謎は深まるばかりです」(風音ツバキ)
タグ
クロスオーバー ネプギア ソニック 超次元ゲイムネプテューヌ ネプテューヌmk2 

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