仮面ライダークロス 第三十二話 燃え尽きるC/神に近付きすぎた者の末路
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光輝はアンリミテッドフォースを使って翔太郎が受けた恐怖と照井が負った傷を治し、どこかへ行こうとする。一真は訊いた。

「光輝。今日君は、フェイトさんとのデートのはずだろう?どうして来たんだ?」

「…さっき言った通りだ。奴との決着は、僕自身の手でつけなければならない。だから、デートを抜け出して来たんだよ。」

次に訊くのはバージル。

「奴は…園咲琉兵衛は、お前がそこまでして倒さなければならない相手か?大切な恋人との約束を犠牲にしてまで…」

と、光輝ではなく、ダンテが答えた。

「愚問だぜバージル?あいつはコウキにとって、両親の仇だ。コウキから、全てを奪ったんだよ。何を犠牲にしてでも倒そうと思うさ」

「…ごめん。僕はフェイトのところに戻るよ」

光輝はフェイトとのデートに戻っていく。一方、翔太郎は頭を抱えていた。

「フィリップ…」

 

 

 

 

 

「んっ…」

フェイトは目を覚ます。側には光輝がいた。

「目が覚めた?」

「うん。あれ?私、いつの間に寝ちゃったんだろう?」

「フェイトのことだから、今日のデートを考えてて、昨日は眠れなかったんじゃない?」

「うーん…そうかも…」

「じゃあ、デートを再開しようか。」

「うん!」

二人は歩き出す。光輝は自分が琉兵衛と戦いに行ったこと、そして負けたことを悟られぬよう、あくまでも平静を保っていた。ちなみに、はやて達は眠らせたままであった。

 

 

 

 

 

その日の夜、園咲家のとある一室で、フィリップは目を覚ました。どこからか聞こえる笑い声を頼りに部屋を出るフィリップ。たどり着いたのは、園咲家の大広間。

「遅いぞ来人。今日は、若菜の門出だ。家族全員で祝おうじゃないか!」

笑顔でフィリップを迎える琉兵衛。フィリップが部屋中を見渡すと、そこには若菜、冴子、シュラウドの姿までがある。

(僕の家族が…揃った!)

 

 

 

 

 

フェイトは光輝に礼を言う。

「今日はありがとう。」

「こっちこそ。楽しいデートだったよ」

光輝も礼を言った。今日のデートは、これで終了だ。だが、実は明日もデートである。

「じゃあ、また明日。」

「うん。おやすみ」

二人は明日また会うことを約束し、別れた。

 

光輝の姿が見えなくなってから、慌てた様子のはやて達が現れる。

「どうやったんフェイトちゃん!?私ら途中から寝てもうて、何がどうなったのか」

「はやてちゃん!」

「…あ…」

なのはが慌て、はやては自分から尾行していたことを暴露したことに気付き青くなった。

「…やっぱり…」

もはやわかりきっていたフェイト。照山が言う。

「悪ぃな。こいつらもなんだかんだで、お前らのことが心配なんだよ…」

「…うん、わかってる。私も、光輝のことが心配。私の見てない所で、無茶してるんじゃないか、って…」

フェイトは、光輝の身を安じている。そこで、ヴィータが本題を訊いた。

「それで、どうだったんだ?楽しかったのか?」

「もちろん楽しかったよ。明日も楽しみ」

「そうかぁ!なら、はい!」

はやては一枚の紙をフェイトに渡す。紙には、最高の思い出をつくるためのデートスケジュールパート2と書いてあった。

「主はやて…」

シグナムははやての抜け目のなさをひそかに嘆いた。

 

 

 

 

 

「がふっ!!ごほっ!!ごほっ!!」

風都ホテル。

木林影斗は突然むせた。手で口を押さえ、それから手を見る。

 

彼の手は、血で濡れていた。

 

「俺も、もう限界か…」

なぜ自分が突然吐血したのか、理由は簡単である。今までベルセルクメモリなどという強力なメモリを使った、そのツケが回ってきたのである。いくら人体に可能な限りの強化を施されたとはいえ、その強化自体が問題だった。無理をさせすぎたのだ。そして、さらにタイラントメモリを追加した反動で、影斗の肉体は限界を迎えつつある。タイラントメモリを使えるのは、恐らくあと一回だろう。

「…上等だよ。」

しかし、影斗はそれを笑い飛ばした。

「限界ギリギリの決戦!俺はずっと、こういうのを待ってたんだ!!」

 

 

 

 

 

「ただいま。」

帰宅する光輝。待っていたのは、当然一真。

「おかえり光輝。デートは楽しかった?」

「うん、すごく楽しかったよ。」

「ならよかった。ご飯できてるから、一緒に食べよう。」

「うん。」

食卓につく光輝。だが、空気は気まずかった。やがて、一真は尋ねる。

「…今日の戦い。もし決着がついていたらどうするつもりだったんだ?園咲琉兵衛を倒せば、君は消えるんだよ?」

「…わかってる。でも、奴との決着は、絶対につけなきゃいけない。父さんと母さんの仇を取るっていう意味もあるけど、これは僕自身のけじめでもあるんだ。譲るわけにはいかない」

光輝の決意は固い。だからこそ、今回の戦いは苦渋の決断だったろう。

「…わかった。そこまで言うなら、俺は止めない。」

一真も折れるしかなかった。

「ありがとう。一真なら、わかってくれると思ってた。」

「でも、どうやって奴を倒すんだ?」

問題はそれである。改良型ガイアプログレッサーと融合したテラー・ドーパントは、アンリミテッドフォース無効化能力を備えており、テラー自身の能力も数十倍に高まっているため、アンリミテッドフォースなしでは、まず勝てない。

「…一つだけ…一つだけ奴を倒す方法があるんだ。」

「それ、本当!?どうやるんだ!?」

「…それは…」

光輝は方法を教える。

「…君が言う通り、その方法を使えば確実に勝てるかもしれない。でも、それを使ったらどうなるか、わかっているね?」

「わかってるよ。だから、僕も迷ってる。でも、本当にこれしか方法がないんだ。」

 

 

 

 

 

翌日。

ダンテとバージルは、無人の荒野に呼び出された。相手はもちろん、影斗だ。

「待ってたぜ、お前ら。」

「最近俺達、お前に呼び出されてばっかだよなぁ?どういう風の吹き回しだ?」

「決着をつけたいということだろう。ならば、受けて立つ!」

 

〈SLASH!〉

 

スラッシュメモリを起動させるバージル。

「話が早くて助かるぜ!」

 

〈BERSERK!〉

 

影斗もベルセルクメモリを起動。

 

「…」

 

〈BLAST!〉

 

ダンテもブラストメモリを起動させ、

「「変身」」

「変身!」

互いに変身。両者はぶつかり合った。

 

 

 

 

 

光輝は一真に言う。

「じゃあ行ってくるね。」

「…ああ。いってらっしゃい」

一真も光輝を送り出す。フェイトとの待ち合わせ場所に向かう途中、光輝は呟いた。

「…フェイトと会えるのも、今日で最後か…」

 

一方、光輝を送り出した一真は、

「…!!そうだ!思い出したぞ…イーヴィルテイルの正体!」

急いで翔太郎に連絡した。

 

 

 

 

 

園咲家。

ガイアゲート『泉』の入り口にフィリップを立たせ、琉兵衛はフィリップに計画の内容を説明する。

「風都の住人達をドーパントに変えて集めた膨大な量のデータが、この制御装置にある。その地球の記憶全てを、若菜に流し込む。お前はそのための制御プログラムとなるのだ」

こうすることで、若菜は生きたガイアメモリ製造機となる。これこそが園咲家の計画、ガイアインパクトの実態だった。だが、その代償としてフィリップは…。

「消えるんですね、僕は…あなたはそれでもいいんですか?実の息子が消えても…」

「私もつらい。だが、お前は一度死んだ。もはや私には…いや、誰にも救えない。無限の使徒にすら、な…」

「僕は…あなたを救いたい。」

「……二度目のお別れだな。」

琉兵衛はフィリップの肩を掴み、

 

 

「さらばだ来人。」

 

 

泉に落とした。溢れ出す膨大な量のデータを見て、

「エックストリィィィィィムッ!!!」

叫ぶ琉兵衛。データは別の場所にいる若菜、いや、クレイドールエクストリームへと流れ込む。

「感じる…地球を…来人を…!!!」

クレイドールは緑色の鮮やかな光に包まれながら、歓喜した。

 

 

 

 

 

光輝とフェイトは喫茶店で休憩していた。光輝は、昨日の戦いのことをいつ打ち明けようか、迷っている。

「…」

「それで、なのはがね…」

「…」

「…光輝?」

ずっと黙っている光輝を不審に思うフェイト。そして、

「フェイト、ごめん。」

光輝は意を決した。

「…何が?」

「…実は僕、昨日戦いに行ってたんだ。フェイトは途中で寝ちゃったでしょ?あれは、僕がフェイトをアンリミテッドフォースで眠らせたからだ。」

「そうだったんだ…でもどうして?」

「…そのまま行ったら、フェイトに止められそうな気がしたんだ。」

それは当然だろう。何せ琉兵衛を倒せば、光輝は消えてしまうのだから。

「これは僕自身のけじめでもある…絶対に、僕の手で決着をつけなくちゃいけないことなんだ。だから…」

絶対に止められる。光輝はそう思っていた。

 

 

だが、

 

 

 

 

「…バカだなぁ、光輝は。」

 

 

 

 

「フェイト?」

「…止めるわけ…ないじゃない。」

フェイトは光輝の予想外の答えを返した。

「私は光輝の彼女なんだよ?なら、彼氏の意見は何よりも尊重します。光輝が絶対にやりたいことなら、私は止めない。」

「フェイト…」

「…行ってらっしゃい。その代わり、必ず勝ってね?光輝の負けた姿なんて、見たくないから…」

「…ごめん!」

席を立つ光輝。突然の出来事に驚く周囲だが、彼は気にしない。

「必ず…必ず勝つから…!」

光輝は今度こそ全てに決着をつけるべく、園咲家へ向かう。

「…頑張ってね。光輝…」

フェイトは静かに言った。

 

 

 

 

 

 

 

イーヴィルテイル。一真から告げられたその実態は、魔除けだ。一真は様々な世界を旅しており、その途中で見かけたのだという。イーヴィルテイルとはハケであり、ここに自分の名前を書いて祈ることで、家族全員がいつまでも、ずっと一緒にいられる。そういう魔除けだ。琉兵衛は目的達成のためなら家族さえ犠牲にするが、全く平気というわけではなかった。琉兵衛がガイアインパクトにイーヴィルテイルを必要とした理由…それは、自分を鼓舞するためだったのだ。家族を失うことを恐れる自分を、偽るために…。

 

 

 

園咲家に突入した翔太郎と亜樹子(照井は一度署に戻っている)。翔太郎はWに変身することで、クレイドールの体内にあるフィリップの意識のデータを取り出すことに成功する。これによりメインプログラムを喪失したのと同じ状態…つまり、バグったクレイドールは苦しみ、ガイアインパクトは失敗してしまった。

 

 

怒り狂うテラーはテラーエクストリームに強化変身。クレイドールからフィリップの肉体のデータを取り戻し、サイクロンジョーカーエクストリームに強化変身して立ち向かうWだが、歯が立たない。

「愚か者どもが…無限の使徒すら超えた私に、君達ごときが勝てると思うかね?」

「クソ…ここまで来て倒せねぇのか…!!」

悔しがるW。その時、

 

 

 

「僕を超えただって?それは早計じゃないのかな?」

 

 

 

光輝が現れた。テラーは鼻を鳴らす。

「ふん…また君か。今私は非常に機嫌が悪くてね…加減はできないぞ!」

「そんなもの、しなくていい。」

 

〈CROSS!〉

 

「変身」

 

〈CROSS!〉

 

光輝はクロスに変身。

「お前は僕に倒される。」

 

〈ETERNAL!〉

〈INFINITY!〉

〈CROSS/ETERNAL/INFINITY!〉

〈UNLIMITED!〉

 

そのままクロスアンリミテッドに強化変身した。

「言ったはずだ。私にアンリミテッドフォースは通用しない!君が私に勝つことは、不可能なのだよ!」

確かに、テラーにアンリミテッドフォースは通用しない。だが、

「…一つだけ、お前を倒す方法がある。」

ある方法を使えば、アンリミテッドフォースが通用するようになるのだ。クロスは、それを実行する。

「はあああああああ!!!!」

クロスはアンリミテッドフォースを解放し、白一色のまばゆい光に包まれた。そのまま、テラーに殴りかかる。

「学習能力のない…!」

テラーはテラーエクストリームフィールドで壁を作った。テラーは、これでクロスの拳を止められると思っている。

 

 

しかし、

 

 

「ごはあっ!!!」

 

 

クロスの拳はテラーエクストリームフィールドを貫通し、テラーを殴り飛ばした。

「ば、馬鹿な!!魔界の技術や宇宙科学までも総動員して生み出した改良型ガイアプログレッサーを融合しているんだぞ!?なぜ…なぜ無効化できなかった!?」

うろたえるテラー。だが、テラーはなぜクロスの拳を止められなかったのか、すぐに気付く。

「ま、まさか…真覚醒を!?」

「!!」

「なんだと!?」

これにはWも驚いた。

 

 

クロスが先ほど行ったアンリミテッドフォースの解放は、ただの解放ではない。神帝への覚醒を行うためのものだ。

 

無限の使徒は、一定の領域まで真覚醒が近付くと、時を待たずして意図的に真覚醒を行うことができる。そして、神帝として覚醒した無限の使徒が操るアンリミテッドフォースは、いかなる手段をもってしても無効化できない。これこそ、クロスの秘策だった。だが、その代償は大きい。今のクロスは神帝となっており、テラーを倒せば消えてしまうのだ。

「光輝!お前…!」

「言わないでください翔太郎さん。もう…決めたことなんです。僕の全てを懸けて、園咲琉兵衛を倒すと!!」

一度神帝として覚醒した以上、もはや後戻りはできない。彼にはもう、琉兵衛を倒す以外の道は残されていないのだ。倒しても消えることは確定しているが…。

「おのれクロスゥゥゥゥゥッ!!!!」

逆上したテラーは、テラーエクストリームドラゴンを分離させ、クロスを襲わせる。だが、

「ウェイッ!!」

ジョーカーフォームに強化変身したブレイドが割り込み、ジョーカーソードで弾き飛ばす。

「こいつの相手は俺に任せて、君は琉兵衛を倒すんだ!!」

「一真!!」

「うおおおおおおお!!!」

テラーエクストリームドラゴンに向かっていくブレイド。そこへ、アクセルガンナーと合体したアクセルも登場。

「白宮は命を懸けて琉兵衛を倒そうとしている。同じライダーである俺が命を懸けないで、ライダーを名乗れるか!!」

支援砲撃を行う。だがテラーエクストリームドラゴンにアクセルガンナーを噛みつかれ、空中で振り回される。アクセルはすかさず分離、すぐ近くにあったリボルギャリーのハードタービュラーのユニットと下半身を合体させ、ブレイドとともに空中戦を挑む。

「光輝!」

加勢しようとするW。しかしクロスはそれをやめさせ、

「これは僕の戦いです。手を出さないでください!」

一対一の勝負にこだわる。

「これが僕の最後の戦いだ。園咲琉兵衛!さぁ、暗黒に沈め!!」

全てを懸けて戦いを挑むクロス。勝利と敗北、どちらに転んでも彼に救いはない。だが、それでも彼は選ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーとしての道を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソウガとベルセルクは激戦を繰り広げていた。

「さぁ、悦楽タイムの始まりだ!」

「「さぁ、泣き叫べ!」」

 

〈TYRANT!〉

〈PANDEMONIUM!〉

 

互いに強化形態に変身し、

 

〈DREAD・MAXIMUM DRIVE!〉

〈BURNING・MAXIMUM DRIVE!〉

 

「ドレッドバースト!!!」

「ジャックポット!!!」

「バーニングエリミネート!!!」

強化された必殺技をぶつけ合う両者。

 

〈MURAKUMO・MAXIMUM DRIVE!〉

〈LIGHTNING・MAXIMUM DRIVE!〉

 

「ヴァリアブルスラッシュ!!!」

「ジャックポット!!!」

「ライトニングエクスキューション!!!」

再び技をぶつけ、

「「デッドエンド!!」」

 

〈SLASH/BLAST・MAXIMUM DRIVE!〉

〈BERSERK・MAXIMUM DRIVE!〉

 

「「オーバーキラーシュート!!!」」

「ベルセルクストライカー!!!」

また必殺技がぶつかり、大爆発が起こる。しかし、双方とも無傷だ。

「はははははは…ははははははははは!!!楽しい!!!楽しいよ!!!今までで一番楽しい戦いだ!!!!」

狂喜するベルセルク。

「相変わらず、気持ち悪いやつだ…」

嫌悪感をもよおすダンテ。すると、バージルが尋ねた。

「…貴様、死ぬつもりだな?」

「何!?」

驚くダンテ。

「ほぉう、よく気付いたな。悪魔の勘ってやつか?その通り。ベルセルクメモリやタイラントメモリなんて強力なメモリを使いまくったツケが回ってきてな、この戦い、勝とうが負けようが俺は死ぬ。ったく…何が強力なメモリにも耐えられる改造だよ…たった二つ使っただけで、もうもたないんだぜ?」

軽めに話すベルセルク。しかし、ダンテは怒った。

「てめえ…そこまでなるのに…何で止まれなかったんだよ!!いつだって止まれたはずだろ!?」

「…バカだな。楽しいからに決まってんだろ?それに、俺は後悔してねぇ。残りの命全てを懸けるに値する相手に、巡り会えたんだからな!!!」

 

〈TYRANT・MAXIMUM DRIVE!〉

 

ベルセルクはタイラントメモリのマキシマムを発動。

 

〈PANDEMONIUM・MAXIMUM DRIVE!〉

 

ソウガもパンデモニウムメモリのマキシマムを発動し、

「タイラントブリンガァァァァァァァァァァッ!!!!」

「「パンデモニウムハリケーン!!!!」」

巻き起こる旋風。破壊の嵐。圧倒的な力と力はぶつかり合い、せめぎ合う。ぶつかりながら語るベルセルク。

「俺は今から数年前、ミュージアムに拉致されて、強化戦士の実験台にされた。どんな強力なメモリのパワーにも耐えられるようにってな!!」

「くっ…!」

若干ベルセルクのパワーが勝り、少し圧されるソウガ。

「あの時は自分の運命を呪ったさ。だがな、おかげで俺は、今こんなに充実してる!!さぁ、もっと楽しもうぜぇ!!!」

さらにパワーを増すベルセルク。だが、

「ならば、俺達は全力で応えよう!!!」

「受け取りな!!俺達の力を!!!」

ソウガはそれをさらに上回るほどのパワーを発揮。

 

そして、

 

 

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」

パンデモニウムハリケーンはタイラントブリンガーを打ち破り、

「ぐああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

ベルセルクはドライバーを破壊されて変身を解除。地に落ちた。

「あっ…がっ…!!」

苦しみながらも近くの岩にたどり着き、もたれかかる影斗。

「はぁ…はぁ…はぁ……ははは…はははははは……」

苦痛の喘ぎは、突然笑いに変わる。

「あーあ…最後の最後で負けちまったか…けど、最高の気分だぜ…」

メモリの副作用が頂点に達した影響で、徐々に光となって消えていく影斗。

「ありがとな…俺の相手をしてくれて……頑張れよ……仮面ライダー………ソウガ…………」

そして、ついに影斗は消えた。その場に、ベルセルクメモリとタイラントメモリを残して。

 

ソウガは変身を解除し、

「…馬鹿野郎が…」

ダンテは静かに悪態をつく。

「そう言ってやるなダンテ。奴の運命は、ミュージアムに拉致された時点で決まっていた。俺達は、奴を戦いの宿命から解放してやったのだ。」

「…そうだな…これで…よかったんだよな。」

因縁の相手との戦いに決着をつけたダンテとバージル。二人の勇士は、戦いに生きた誇り高き戦士を弔うため、墓を作り始めた。

 

 

 

 

 

 

テラーエクストリームドラゴンに吹き飛ばされ、着地するブレイド。

「やっぱり簡単にはいかないか…」

その時、

「一真さん!」

「大丈夫ですか!?」

キュアテンペストとキュアブレイズが現れた。

「君達は!?」

「私はキュアテンペストこと神名遙。」

「私はキュアブレイズこと江神麗華です。あなたのことは、ブロッサム達から聞いています。」

「もしかして、プリキュア!?」

「「はい!」」

ちなみに、ブレイドはこの二人を知らない。それはそうだろう。なぜならテンペストとブレイズは、ブレイドが彼女達の世界を去ったあとに来たのだから。

「助けに来ました!」

「ありがたい!でも、あいつはそう簡単に倒せないよ。」

三人が見ている前では、テラーエクストリームドラゴンがアクセルを圧倒している。

「任せてください!行くよ、ブレイズ!」

「ええ!」

「「プリキュア・エクス・イクイップ!!」」

テンペストとブレイズは、エクスキュアテンペストとエクスキュアブレイズにパワーアップした。

「なるほど、パワーアップできるのか…そうだ!」

ブレイドは作戦を思いつき、それを二人に伝えてからアクセルのもとへ。

「照井さん!俺が合図をしたら、同時に攻撃を!」

「わかった!」

すると、テラーエクストリームドラゴンは口からテラーエクストリームフィールドを吐いた。ブレイドとアクセルはそれを回避する。

 

ブレイドが伝えた作戦はこうだ。テラーエクストリームドラゴンが口からテラーエクストリームフィールドを吐くのを見計らって、XテンペストとXブレイズが攻撃でテラーエクストリームフィールドを破る。怯んだ隙に、自分がアクセルと一緒に必殺技を喰らわせる。

 

そして、時は来た。

 

「「プリキュア・テトラブレスター!!!」」

XテンペストとXブレイズが光線を放ってテラーエクストリームフィールドを貫き、テラーエクストリームドラゴンが怯む。

「今だ!」

「よし!」

 

〈ACCEL・MAXIMUM DRIVE!〉

〈JOKER ROYAL STRAIGHT FLASH〉

 

「絶望が…お前のゴールだ!!!」

「ラァァァァァイッ!!!」

アクセルはアクセルメモリのマキシマムを発動させ、エンジンブレードを構えて突撃。ブレイドも五枚の黒いカードを突き抜けて斬り込み、テラーエクストリームドラゴンを叩き落とした。

 

 

 

 

 

 

アンリミテッドフォースの無効化がなくなり、テラーを圧倒するクロス。

「貴様さえ…貴様さえいなければ!!」

テラーは怒り、空中にテラーエクストリームフィールドを収束。

「グランドフィナーレ」

 

〈CROSS/ETERNAL/INFINITY・MAXIMUM DRIVE!〉

 

クロスもマキシマムを発動。

「エンドレスレジェンド!!!」

「はあっ!!!」

空中でぶつかり合うエンドレスレジェンドとデスゾーンボンバー。だが、クロスは容易くデスゾーンボンバーを貫通し、テラーを蹴り飛ばした。

「ぐわああああああああああああ!!!!」

テラーは屋敷の前まで吹き飛んでメモリブレイクされ、同時にテラーエクストリームドラゴンが屋敷に落ちた。

「ぐっ…わ、若菜…」

ダメージをおして、炎上する屋敷に突入する琉兵衛。変身を解除して全てを見届けていた翔太郎とフィリップ。フィリップは父の身を安じて一緒に飛び込みかけたが、危険だからと翔太郎が止める。

「…やっと父さんを救えたのに…」

悔やむフィリップ。

 

 

屋敷を、離れた所から見ている者がいた。冴子である。彼女は昨夜、若菜と戦って敗北し、ナスカメモリをブレイクされて逃げていた。

「お父様…若菜…」

呆然と呟いた冴子は、そのまま幽鬼のような足取りで、そこから離れた。

 

 

 

 

 

「若菜…若菜…!」

必死に娘を捜す琉兵衛。そして、琉兵衛は見た。緑色の光に包まれ、いずこかへ浮遊していく若菜の姿を。園咲家最大の計画、ガイアインパクト。失敗はしたものの、地球の記憶の引き継ぎ自体は成功していたのだ。

「地球の記憶は、若菜へと受け継がれた!はっはっは!踊ろう母さん!あの日のように!!」

喜び、炎の中で一人、踊り始める琉兵衛。

 

 

だが、琉兵衛は誰かに手を掴まれ、踊りを止めた。

 

 

 

 

 

 

琉兵衛の手を掴んだのは、光輝だった。

 

 

 

 

 

光輝は瞬間移動し、琉兵衛とともに屋敷の外へ。琉兵衛は訊く。

「なぜだ…なぜ私を助けた!?」

「…」

光輝は黙っている。

「憎いはずだろう!?君の両親の命を奪ったこの私が!なのになぜ「勘違いをするな。」!?」

さらに問う琉兵衛の言葉に、光輝は割り込んだ。

「憎いに決まっている。でも、それだけじゃ何も終わらない。お前を生かし、罪を償わせる。それが僕の復讐だ!」

光輝は、琉兵衛を殺したいほど憎んでいた。だが、彼はあえてそれをせず、罪を償わせる道を選んだ。

「…どうしろと言うのだ…ガイアインパクトは君達に阻止されてしまった…もはや私には何も…」

弱音を吐く。そんな琉兵衛に対し、

「お前が何をしようとしていたのかは知っている。だが、それは無駄なことだ。」

「知ったような口を…!」

「…見ろ。」

光輝は自分の手を見せた。光輝の手は、一瞬半透明になってから元に戻る。これはすなわち、自身の消滅が近いという意味だ。

「これが、神に近付きすぎた者の末路だ。園咲若菜も、こうなっていた。」

「そ、そんな…!」

「…とにかく償い続けろ。お前には、やるべきことが山ほどあるはずだ。」

光輝は琉兵衛に背を向けて去っていく。琉兵衛は、それを黙って見送ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

歩いていく光輝。その先には、はやて達を連れたフェイトがいる。

「フェイト。それにみんな…どうして?」

「光輝を迎えに来たの。その様子だと、勝ったみたいだね。」

「うん。でも…」

その時、一瞬光輝の身体が光り、元に戻った。

「…時間が…来たみたいだ。」

「…光輝!」

フェイトは光輝に抱きつく。

「消えないで…お願い…こんなのやだ…!」

泣きじゃくるフェイト。光輝は、そんなフェイトの頭を優しくなでた。

「泣かないで。フェイト」

「光輝…」

「僕はフェイトに、笑顔で見送ってほしいんだ。言ったじゃないか、僕の頼みは何より尊重するって。だから、ね?」

「…うん…うん…!」

フェイトは溢れ出る涙を必死でぬぐい、光輝から離れて笑顔を作る。

「行ってらっしゃい。神帝の仕事、頑張ってね。」

「うん、ありがとう。」

少しずつ透明になっていく光輝。

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

「……さようなら……フェイト………」

 

 

 

 

 

光輝は消えた。最高の笑顔を見せて。

 

 

 

 

 

 

「光輝くん…」

「いやや…こんなのいややぁ!!」

光輝の消滅を嘆くなのはとはやて。しかし、フェイトは言う。

「なのは、はやて、泣いちゃ駄目だよ。光輝は笑って、って言ったんだから。」

「なのは…」

「主はやて…」

ヴィータとシグナムは、涙を抑えながらなのはとはやてを慰める。照山は携帯で、バージルに連絡した。

「バージルか?今な、光輝が…」

 

 

 

 

 

一真、遙、麗華もその光景を目撃しており、プリキュア二人は、揃って一真に泣きながら謝っていた。

「ごめんなさい…ごめんなさい…!」

「私達に…もっと力があれば…!」

「君達が謝ることはない。君達はよくやってくれた。来てくれてありがとう」

二人を慰める一真。その後、二人は自分達の世界に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

簡単な墓を作ったダンテとバージル。遺体の代わりに、ベルセルクメモリとタイラントメモリを埋葬しておく。バージルの携帯に、照山から電話がかかる。

「どうした?……そうか……わかった、ダンテにも伝えておく。」

バージルは電話を切り、ダンテに伝えた。

「照山からだ。たった今、光輝が消えたらしい。」

「…そうか。」

「…光輝は…笑って逝ったそうだ。」

「…ならよかった。苦しみ抜いたあいつが、さらに苦しんで逝くなんて、許せねぇからな。」

ダンテは空を見上げる。バージルは、ダンテの右頬に、一筋のしずくがたれるのを見た。

「…泣いて…いるのか?」

「…いや…悪魔は涙を流さない。それに、あいつが笑って逝ったってんなら、こっちが泣くわけにはいかねぇだろ。」

「…そうだな。」

二人はその場をあとにした。

 

 

 

 

 

光輝が消えてから家に帰ったフェイトは、自分の部屋のテーブルの上に手紙が置いてあることに気付いた。光輝からだ。フェイトは手紙を読む。

 

そこには、こう書かれていた。

 

『フェイトへ

 

こんなことになって本当にごめん。この手紙は僕が消えたあと、君の部屋に出現するようにしていたものだ。僕はこの世界から消えてしまったけど、僕は神の世界でも、君だけを永遠に愛し続ける。忘れないで。白宮光輝は、全次元世界でただ一人、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンだけを愛している。さようなら、僕の最愛の人。

 

光輝より』

 

この瞬間、フェイトの心のダムは決壊した。

「光輝ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

止めたはずの涙を溢れさせるフェイト。彼女は一人、最愛の人を想って泣き続けた…。

 

 

 

 

 

 

 

ドナルドは自分の家のポストに入っているものを取り出し、見る。

「やっと申請が降りたか…ここまで時間がかかったなぁ…じゃあ次は、あの人に連絡だ。」

ドナルドは携帯を取り出し、番号を入力する。

「…困るんだよね、光輝君に消えてもらうと。」

やがて電話が繋がり、

「もしもし、ドナルドです。」

と、ドナルドは言った。

 

 

 

 

 

 

 

どこかの施設。

その廊下を、加頭が笑顔で歩いていた。

 

 

 

 

 

気絶した園咲若菜を抱いて。

 

 

 

 

 

 

 

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次回、

仮面ライダークロス!!

 

琉兵衛「若菜が行方不明?」

加頭「まさに、運命。」

井坂「その手を放してもらいましょうか。」

 

第三十三話

残されたU/帰ってきたお医者さん

 

これが裁きだ!!

説明
今回はキラーさんのところから助っ人が来ます。そして、光輝が…。
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