IS レジェンドウォーズ 7話 平穏?
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Side一夏

夢をみている。夢だとわかる明晰夢ってやつか。

俺は今、草原にいる。どこまでも、果てしなくつづいている広い草原に。

俺はここを知っている。四年ほど前、記憶も何もなくただ放浪していたとき俺はここに来た。そしてここで

 

「なんじゃ、もうきたのか?」

 

後ろから声が聞こえた。まだ幼い少女の声が。振り返ったがだれもいない。

 

「ふむ。たどり着くことはできたがわしの姿は見えんか」

 

周りを見渡してもやはり誰もいない。

 

「まあよい。今は見えんかもしれんがいづれ見えるじゃろ。かかかっ!それまで楽しみにしておるぞ。わが主様」

 

だんだん視界がぼやけてきた。

なんとなくだが、多分夢から覚めるのだろう。

 

「いずれ、またまみえようかの。今度は、現での」

 

そして目が覚めた。

Side out

 

Side簪

夢、これは明晰夢?

私は湖のほとりに座っていた。ここは私とあの子が出会った場所だ。

「・・・もうきたの?」

 

「だれ?!」

 

どこからか声が聞こえた。とても儚げな声が

 

「・・・まだ完全じゃない」

 

周りを見渡すが誰もいない

 

「・・・いつか、必ず会える。だからそのときは」

 

だんだん視界がぼやけてきた

 

「・・・ちゃんと名前で呼ぼうね」

 

目が覚めた

Side out

 

 

クラス代表決定戦の次の日、山田先生が

 

「では1組の代表は織斑秋人君に決定しました」

 

と言った。

 

「あの〜、なんで僕がクラス代表なんですか?昨日負けましたよね」

 

「あ、はいそれは」

 

「それは、私が辞退したからですわ」

 

そう言ってセシリアが立ち上がった。

 

「まあ、勝負はあなたと引き分けでしたけど、この私と引き分けたことは大変すばらしいことですわ。ですから、私もこの間のことを反省しまして」

 

この間のこととは、一夏が生徒会室に行っている間にあったクラス代表を決める話し合いのことである。この時に推薦されたのが一夏と秋人だった。しかしセシリアはそれに納得いかず異議を唱え、自分こそが代表になるべきだと言い出した。次第にそれはエスカレートしていき、日本に対する差別やあきらかな人種差別まで言い始めた。そこまで言われては秋人も黙ってはおらず、セシリアの発言に『それはイギリスの日本に対する意見ととってもいいのか』と反論、いくら候補生とはいえその発言は祖国の発言ととられてもおかしくはない。しかも、日本はIS発明者と世界最強のIS操縦者の出身国である。そんな国を貶したと捉えられて関係が悪くなったらイギリスは世界で孤立してしまう。そこまで秋人が指摘したときになってやっと自分の発言のせいでどのような事態が招かれるか、クラスの中での自分の立場の悪さに気づき、苦し紛れに秋人に決闘を申し込んだのだ。

 

「秋人さんにクラス代表を譲ることにいたしました。それから、クラスのみなさん。この間はとても失礼なことを言って申し訳ありませんでした。そう簡単に許されるとは思いませんがこの場をお借りして謝罪します。本当に申し訳ありませんでした」

 

そう謝罪するセシリア。その姿には誠意がこめられており彼女の反省している様子がうかがえたので誰も何も言わなかった。

 

「ん?でも僕ら二人に勝ったにい、あ、いや更識はどうなったんだ?」

 

「ああ、俺も辞退した」

 

「なんでだ?」

 

「それは私もになりますわね」

 

「ただ、生徒会の仕事が忙しいからだ。今年はいろいろイレギュラーなことが多いからな。」

 

「そういえば気になっていましたが、いつあなたは生徒会にはいったんですの?」

 

「入学初日にな。」

 

「で、でも生徒会に入っていてもクラス代表と兼任できるだろ?」

 

「まあ、普通ならな」

 

「なら」

 

「だが、それが一人や二人ならの時だけだ」

 

「「え?」」

 

「生徒会のもう一人の副会長は一年四組のクラス代表も兼任しているし、会長や書記もそれぞれ二年と三年のクラス代表なんだ。もし俺までクラス代表を兼任してみろ。いつでも動けるのは残った会計一人になってしまう。だから、俺がクラス代表になるわけにはいかないんだよ」

 

一夏の説明に全員が納得した。確かにそれならクラス代表になるわけにはいかない。もしなって生徒会の仕事に支障が出たら大変である。

 

その後、秋人の訓練の相手についてセシリアと箒が言い合いを始めたがすぐに織斑先生に沈められ

 

「よし、ではクラス代表は織斑秋人。異存はないな」

 

『はい』

 

そうして授業が再開された。

 

Side一夏

授業中、俺は今朝見た夢のことが頭からはなれない。俺だけでなく簪も似たような夢を見たらしい。

 

「ISには意識に似たようなものがあります。操縦時間に比例してIS側も操縦者を理解しようとします。それによって相互的に理解し、よりその性能を引き出せるようになります。ですので皆さん、ISは道具ではなく、パートナーとして扱ってくださいね」

 

パートナーね。ISには人格がある。これは桜花さんも解明している。だからおそらくこの黒龍閃にも人格があるのだろう。

 

(もしかして)

 

あの声は黒龍閃の人格なのか?子のISは桜花さんオリジナルのコアが使われている。もし桜花さんがコア人格が出てきやすいように設計したとすれば

 

(あり得ない話じゃないな)

 

確証はないが俺はそんな気がした。

『織斑君クラス代表就任おめでとう!!』

 

ぱんっ、ぱぱーん

 

「あ、ありがとう」

 

授業が終わり生徒会の仕事も終えて簪、本音といっしょに食堂に来たらクラスメートによってこの『織斑秋人クラス代表就任パーティー』に参加させられていた。

 

「織斑、なんだこの状況は、十文字以内で簡潔に説明してくれ」

 

「いや、僕にもさっぱり、ってゆうか十文字じゃ無理だ!」

 

「冗談だ」

 

どうやら女子の間で勝手に企画されていたらしい。

 

「いやーほんとよかったよ。これでクラス対抗戦も盛りあがるねえ」

 

「ほんとほんと」

 

「ラッキーだったよねー同じクラスになれて」

 

「ほんとほんと」

 

さっきから相づちを打っているのは二組の女子だよな。まあ、四組の簪もいるからべつにいいのか?

 

「人気者だな、秋人」

 

「ほんとにそう思うか?」

 

「ふん」

 

篠ノ之は不機嫌そうだな。大方織斑がちやほやされるのが気に入らないのだろう。

 

「はいはーい、新聞部でーす。話題の新入生織斑秋人君と一夏君にインタビューしに来ました〜!!あ、私は新聞部部長の黛薫子でーす!はい、名刺」

 

「はあ」

 

「でわ織斑君、クラス代表になった感想をどうぞ」

 

「とりあえず、誰が相手でも勝ちに行きます!」

 

「おお〜さすが男の子だね〜」

 

「うん、でもクラス対抗戦での優勝は無理かな〜」

 

『!!!』

 

突然、義姉さんの声が聞こえてきたのでみんなびっくりしている。

 

「おお〜たっちゃんじゃん!相変わらずすごいね〜」

 

「ふふ、いつでもあなたの隣にいる生徒会長ですから」

 

そりゃ義姉さんが気配を完全に隠したらほとんどの人がわからないって。

 

「あ、あの〜あなたは?」

 

「ふふ、はじめまして織斑秋人君。IS学園生徒会長の更識楯無です」

 

「え!?」

 

「生徒会長!?」

 

「あの人が」

 

義姉さんの自己紹介にみんなが驚く。

 

「それより、さっきの言葉はどういう意味ですか?!」

 

篠ノ之が若干怒気をはらませながら食い掛かる。

 

「そのままの意味よ。優勝は四組よ」

 

「なぜそう言い切れますの?」

 

オルコットも問いかける。

 

「だって四組の代表は私の自慢の妹の簪ちゃんだから♪」

 

『えええっ!』

 

全員が簪に視線を向ける。

 

「お、おねえちゃん!いきなり何言うの!」

 

「だって本当のことじゃない♪簪ちゃんだってまけるきはないでしょ」

 

「そ、そうだけど」

 

するとオルコットが近づいてきて

 

「あなたが、四組のクラス代表ですか。初めまして、イギリス代表候補生のセシリア・オルコットです」

 

「あ、四組のクラス代表で日本の代表候補生の更識簪です」

 

「あなたが日本の代表候補生だったのですか。同じ候補生どうしよろしくお願いいたしますわ」

 

「は、はい」

 

「それで、なぜ秋人が負けるのだ?」

 

簪とオルコットが挨拶をしていると篠ノ之が割り込んできた。

 

「だって簪ちゃんの実力は一夏と同じかそれ以上だもの」

 

『!!!』

 

「ううっ」

 

全員が義姉さんの言葉に驚愕し簪に視線が集中する。

 

「そうそう。だってこの一週間いっちーのIS訓練の相手をしていたのってかんちゃんだしね」

 

「し、しかし更識には専用機があるのだぞ。その更識より強いなd「あ、簪も専用機もちだぞ」な、なに!」

 

「しかも、俺のISとおなじ製作元だ。多分スペックは同じくらいだったけ?」

 

「うん、『鋼』は黒龍閃とちがって遠距離主体だけど」

 

その言葉に何も言えなくなる篠ノ之。

 

「ま、だからもし優勝する気なら、それはあきらめたほうがいいかもしれないわよ」

 

そういって去っていく義姉さん。

その後も何とも言えない空気になり、俺たちはさっさと自室へ戻っていった。

次の日の一限目授業

「今日は一組と四組の合同で授業を行う。まず、ISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。織斑、オルコット、更識、更識妹。試しに飛んでみろ」

 

織斑先生に言われて前に出る。

そうして、ISを纏う。

 

「あれが、更識さんのIS」

 

「結構、重装備だね」

 

「更識君と同じく強そう」

 

「うう、はずかしい」

 

昨日のパーティーのせいか一組の生徒に注目される簪。

 

「よし全員展開したな。だが、織斑もう少し早く展開できるようになれ。お前が一番遅いぞ」

 

「はい、わかりました」

 

「よし、飛べ!」

 

一斉に飛び立つ。

 

「くっ、早いですね。お二人とも」

 

「まあ、おれのISは高機動型だからな」

 

「私の鋼もかなりスピードが出るから」

 

「みんなすごいな。どんなイメージで飛んでるんだ」

 

「イメージはしょせんイメージ。他人のイメージよりも自分のやりやすいイメージを探すほうがよろしいですわよ秋人さん」

 

「でもそれの参考にしたいんだ」

 

「そうですかならば私は」

 

『ねえ、一夏』

 

プライベートチャンネルで簪からの通信が来たのでそれに答える。

 

『なんだ?』

 

『セシリアって織斑君に?』

 

『ああ、惚れてるな』

 

『やっぱり』

 

ま、あの態度を見てれば誰でもわかるな。篠ノ之といいたらしだな織斑。

 

「秋人!いつまでそんなところにいる!はやくおりてこい!」

 

突然、篠ノ之の声が響き渡った。したをみてみると山田先生のインカムを奪った篠ノ之が見えた。うん、嫉妬だな。あ、織斑先生にはたかれた。

 

「四人とも急降下と完全停止をやってみろ」

 

「でわ、お先に」

 

まず、オルコットが不機嫌になりながらも地上に向かっていった。

どうやら成功したみたいだ。

 

「うまいなあ、よし次僕が言ってもいい?」

 

「ああ」「うん」

 

そう言って織斑も向っていった。

 

何とか成功したようだがノルマは達成できなかったらしく織斑先生になにかいわれている。

あ、篠ノ之とオルコットが言い合いを初めて、織斑先生に注意された。まあ内容はなんとなくわかるが。

 

「さて、俺達も行くか、簪。簪?」

 

「・・・・・・」

 

返事がないので簪のほうを見てみると、何かを探している?

 

「どうした簪?」

 

「何か、来る」

 

「え?」

 

「鋼のハイパーセンサーが何かがあらわれるって反応している。鋼のセンサーは普通のISより高いみたいだから、っ!!」

 

「!!」

 

「おい!どうしたふたりとも!?」

 

織斑先生の声がするが俺たちは答えることができなかった。

なぜなら、俺たちが見つめる先には、穴があいていた。

青い空にぽっかりと空いた電子的な粒子が織りなすゲート、デジタルゲートが!

 

「織斑先生!すぐに避難してください!」

 

「な、どういうことだ!?」

 

「いいから!」

 

この非常事態に簪も声を荒げる。

 

「っ!!来た!」

 

 

「「きしゃあああああああ!!!」」

 

「GUOOOOOO!!!!」

 

 

うなり声が聞こえた後ゲートから巨大なクワガタとカマキリ、そして翼をもつ竜、電子の獣、デジタルモンスター、デジモンが現れた!

 

クワガーモン

属性 ウイルス

世代 成熟期

昆虫型

必殺技 シザーアームズ

得意技 パワーギロチン

頭部に巨大な鋏を持つ昆虫型デジモン。強靭なパワーで敵を挟み込んで締め上げる。ワクチン属性のカブテリモンとは敵対関係。強靭なパワーと硬い甲殻に守られており、特に鋏の部分のパワーは超強力で一度敵を挟み込むと、相手が息絶えるまで締め上げる。

 

スナイモン

属性 ワクチン

世代 成熟期

昆虫型

必殺技 シャドウシックル

得意技 シャープエッジ

ウィルスハンターとして研究所で造られた実験体デジモン。カマキリのデータから造られており、正確な機械のようにターゲットを追い詰める。冷たい性格でワクチン種からもデータ種からも恐れられている存在だ。両腕の大鎌は鋭く研ぎ澄まされており、あらゆるものを鋭利に切り刻むことが可能となっている。スナイモンは目を持たないデジモンであるが、頭から生えた赤い触覚がセンサーとなっており、ターゲットの位置を性格に捉えることができる。必殺技は、目にも止まらない超音速の一刀『シャドウシックル』

 

エアドラモン

属性 ワクチン

世代 成熟期

幻獣型

必殺技 スピニングニードル

得意技 ゴッドトルネード

巨大な翼を生やした幻獣型デジモン。空中からの攻撃を得意とし、その咆哮は嵐を呼び、翼を羽ばたかせることで巨大な竜巻を起こす。性格はかなり凶暴だが、高い知性を持っている。しかし、並みのテイマーでは使役することは、まず不可能であろう。必殺技は巨大な翼を羽ばたかせ、鋭利な真空刃を発生させる『スピニングニードル』。

 

現れたデジモンたちの情報を俺と簪はDアークで確認する。

すると、デジモンたちは俺達を敵と判断したのかこっちに向かってきた。

 

「ちっ。簪!とにかくみんなから離れるぞ!」

 

「うん!わかった!」

 

「織斑先生!避難、急いでください!」

 

「あ、ああわかった!」

 

通信越しに聞こえたが、みんなかなり混乱しているな。早く何とかしないと

 

「一夏!」

 

「『スピニングニードル』!」

 

俺が考え事をしていると、エアドラモンの必殺技、『スピニングニードル』の真空刃が飛んできた。

 

「くっ」

 

何とか回避するが

 

「『シャドウシックル』!」

 

今度はスナイモンの『シャドウシックル』が襲ってくる。

 

「ぐあ!」

 

あわてて右腕のドラモンキラーで防御するがダメージを受けてしまう。

 

「くそ」

 

「きしゃああああ!!」

 

体勢を立て直そうとすると今度はクワガーモンが向かってくるが

 

「やらせない!」

 

「きしゃああ!??!」

 

簪が両肩のミサイルランチャーからミサイルを発射し、それが命中。クワガーモンの体制を崩した。

 

「このまま!」

 

簪は追撃をしようとするが

 

「『ゴッドトルネード』!」

 

「きゃああああ!」

 

エアドラモンの巻き起こした竜巻に飛ばされてしまった。

 

「簪!」

 

俺の前に、スナイモンが現れるが

 

「どけえ!『ガイアフォース』!」

 

「ぐぎゃあああ!」

 

ガイアフォースで吹き飛ばす。

でも

 

ガシ!

 

「なっ!?」

 

クワガーモンに捕まってしまった。

 

「きしゃあああ!」

 

「うわああああ!」

 

どごん!

 

そのまま地面にたたきつけられた。

 

(一体一体ならなんとかなるけど同時に来られるときつい)

 

俺はシールド越しに伝わってきた衝撃に耐えながらなんとか起き上がった。

少しでも状況をよくするために

 

 

 

説明
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織斑一夏 生徒会 更識簪 更識楯無 デジモン クロスオーバー インフィニット・ストラトス IS 

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