『愚者』
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あの頃の

 

腐った自分を蔑んだ先にあったのは

 

結局

 

絶望という名の現実だけだったのかもしれない

 

 

 

時には傍観者

 

時には被害者

 

時には加害者

 

 

 

意味不明な

 

その場ごとに発生する各々の役割

 

そしてそのどれもが滑稽で

 

何も生み出しはしない

 

 

 

そこに自分など存在せず

 

何もかもをその場の反射で生きることの絶望を

 

ただ

 

味わってただけだった

 

 

 

反射で生きることをやめても

 

積み上げた宝の山を

 

悪意無く壊される絶望がそこにはあった

 

 

 

どんな生き方でも

 

絶望はなくならないことをようやく理解しても

 

いつかまた壊されであろう宝物を積み上げる

 

 

 

まるでバベルの塔のように積み上がる宝の山は

 

悪意ない絶望に何度でも破壊され続ける

 

 

 

壊されるごとに

 

再び宝物を積み重ねる行為は

 

周りにとって

 

ひたすら滑稽でしかない

 

 

 

己の宝物など

 

己にしか価値が分からない

 

だからこそ周囲は壊す行為を悪ではなく善と捉える

 

そこに罪しかなくとも罪だとは思わない

 

いつか自分の宝が壊されなければ

 

自分の行為の残酷さに気付くまい

 

 

 

無知は罪

 

 

 

己の罪を理解できない幸福者という名の愚者たちは

 

今日も他人に悪意無い絶望を与え続けるのだろう

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