悪魔に転生した彼は老衰を望む
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賞金首を倒した俺は、とりあえず街を目指すことに決めた。といっても、周りには木しかなく何処なのか見当もつかない。…父さんめ。

 それにしても賞金首達を問答無用に殺す俺に鬼畜とか言う人が居そうだが、基本俺は自分の敵になる奴には容赦しないのだよ。生き残るためには、何でもする。俺は転生前からエゴイストなんだよ。大体原作と同じ時代ならまだしも、この時代で敵を気絶で済ませるとかありえない。そういう命令なら仕方ないが、そんなことして自分や自分の大切な人が傷つけられたら元も子もないだろ。といっても快楽で殺すようなことはしないけどね。まあ、どっちにしろそんな事出来るのは神に反則的能力貰った奴らだけでしょ。まあこの話はもういいか。

 

 街を目指して歩いていた俺は、複数の気配を感じた。

 

 「もしかして、悪魔か?そいつらに街までの道を聞くか。」

 

 そう言って俺は気配のする方に走っていった。ちなみに気配察知は父さんに無理やり教え込まれた。…トラウマがががg…っは!いや、この話はやめてくれ。

 

 「このあたりだと思ったんだが。」

 

 気配がした場所へ着くと、一人の男が盗賊らしき奴らに囲まれていた。

 

 「ぐっ、ここまでか…」

 「ひゃはははは!流石の当主様もこの人数には勝てねぇようだな!上級レベルの傭兵を雇った甲斐があったぜ。ほら、金ならいくらでも払う、やっちまえ!」

 「悪いが、こちとら仕事だからな。恨むなよ?おら、野郎どもやれっ!」

 

 あー、なんて現場に。しかも盗賊じゃなくて傭兵か。まぁ見つからないように逃げますか。とか思っていたが

 

 「すまんヴォイド、ミレイちゃんと幸せになれよ…」

 

 「ちょっ!父さんの知り合いかよ!」

 

 急いで男に結界を張る。人数が人数なので、三重にしておく。…助けるのかよとか思った奴がいるかもしれないけど、父さんの知り合いを見殺しとか後味悪すぎだろ。

 

 「ッ!これはミレイちゃんの?」

 「何者だ!」

 

 手下共は、攻撃を防がれたことに驚くがすぐにその場から離れる。というか、結界を三重に張っておいてよかった。それにしても、こいつら一人一人が賞金首のリーダークラス以上で、あのボスっぽい奴はかなりの実力者だ。

 

 「大丈夫ですか?」

 「あ、ああ。助かった。ところで君は?」

 「とりあえず後で話します。とりあえずこいつ等を片付けましょうか。」

 「あぁ?テメェみたいな餓鬼に負けるわけねぇだろぉが!」

 「待て!突っ込むな!」

 

 俺の挑発に乗った馬鹿がボスっぽい奴の命令を聞かず突っ込んでくる。そして手元にあった剣で斬りかかってきた。

 

 「そのセリフ、」

 「死ねぇぇぇぇぇぇ!」

 「今日で二回目なんだよ雑魚がぁ!」

 

 俺は滅びの魔力球を10個作り、それを相手に放つ。しかしそれは簡単に避けられるが

 

 「はっ!そんなの当たるわけねぇだろ」

 「最初はね。反転」

 「なにっ!ぐふっ…」

 

 馬鹿が避けた魔力球が俺の命令通り進行方向を反転し、馬鹿の背中に直撃する。滅びを直接喰らったため馬鹿は穴だらけになって死んだ。俺はボスっぽい奴に話しかける。

 

 「…で、まだやる?」

 「ああ、仲間をやられて黙ってられないしな、それに今のはアイツが油断してただけだ。」

 

 戦闘の意思を見せる傭兵たちに、小さく舌打ちを打つ

 

 「チッ(こっちは足手まとい抱え込んでる。しかも、こいつらは賞金首より上だ。…だがやるしかないか。)」

 

 俺は覚悟を決めて、剣を構え魔力球を30個自分の周りに展開する。魔力操作に使っている思考1につき2個の魔力球を操作する計算だ。これが、俺が多対一の戦闘方法だ。魔力球で周りを牽制、または撃破しつつ目標を駆逐する作戦である。この戦闘において目標はボスっぽい奴。しかし、周りの手下達もそれなりの強さを持っているため、まずは人数を減らすことにする。傭兵の手下の人数は10。

 

 「野郎ども、5人は奴の動きを阻害しろ。残りは遠距離、または隙を見て殺せ。」

 『了解!』

 

 かなり連携のとれた動きで、俺と対峙する。まずヒットアンドアウェイで5人が俺の動きを阻害、その隙に魔力球など、遠距離攻撃を仕掛け、残りが俺に斬りかかる。その間も、魔力球を操作しているが、うまく避けられる。俺は手下たちの攻撃を剣で防ぎながら機会を待つ

 最初は防戦一方だったが、傭兵の一人が魔力球に触れ

 

 「ぐ!う、うわああああああああ!」

 

 怯んだすきに魔力球が殺到する。その光景を見せられて傭兵たちが怖気づいたのか、少し攻勢が弱まる。

 

 「おいっ!攻撃を緩めるな!」

 

 ボスっぽい奴の命令も時すでに遅し、この隙を俺が見逃すはずもなく

 

 「結界→形状変化→形状、鎖→形状変化完了。縛れ。」

 

 結界で鎖を形取り、傭兵たちを縛る。動けなくなった手下たちに向かって、巨大な魔力球を放つ。

 

 「くらええええええええ!」

 

 当たる前に鎖は砕けたが、逃げ遅れた数名に当たった。しかし最初の奴と違い魔力による強化をしていた為、完全に消滅しなかった。それでも重症といったところだろうか。

 それにしても、滅びの魔力強すぎだろ。使っているの俺なんだが。

 

 「す、すごい。」

 

 空気になっていた、父さんの知り合いが呟く。

 

 「……おい、負傷した奴らを担げ、引くぞ。」

 

 ボスっぽい奴が撤退を決めたようだ。それに貴族っぽい奴が反応した。

 

 「お、おい。話が違うだろうが!いくらで雇ったと思ってるんだ!」

 「それはこちらの話だ、こんな奴がいるなんて聞いてない。金額分の仕事はしたし、仲間が一人死んだし大損だ。元々俺らはこの仕事に乗り気じゃなかったんでね。じゃ、頑張ってくれや。」

 「待て!待ってくれ!おいっ!」

 

 …どうやら、交渉決裂みたいだな。ま、とりあえずこいつを尋問するか。

 

 「縛れ。さて、何のためにこの人を襲った?」

 

 鎖を作り、殺気を出しながら脅す。

 

 「ひ、ひぃ!こここ、こいつが、こいつが!」

 「…こいつが?」

 

 要約すると

 コイツの好きな人結婚するらしい!

 その相手が、コイツの気に食わない相手だった!

 地位も顔も実力も、全然勝てない!

 じゃあ傭兵雇って殺しちゃえ!

 

 …こいつは。

 

 「お前、そんな下らねえことで殺すのか?」

 「ひいいいい!」

 

 俺は殺気を込めて睨む。

 

 「お前みたいなクズは、死n「待ってくれないか?」…なんだ?」

 「そいつは殺されたら困る。」

 

 俺の言葉を遮ったのは俺が助けた男だった。

 

 「そいつは貴族の息子でね。しかもかなりの悪さをしてる貴族だから、今回の事を使ってご退場願いたくてね。」

 「…なら仕方ねぇか。」

 

 俺は貴族の息子を気絶させて、鎖で縛って渡した。

 

 「それにしても、その空間操作に彼の面影。もしかして君の両親はヴォイドとミレイという名前では?」

 「そうですよ。あなたの思っている通り、俺の父さんはヴォイド、母さんはミレイですよ。」

 

 男の質問に俺は答える。すると男は何かを思い出すような顔をした。

 

 「彼らの息子か。ご両親に似て鬼畜な強さだね。滅びを使ったのは吃驚だけど。ああ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は、アイン・シトリー。シトリー家の現当主さ。」

 「…カインです。」

 「ははは、彼に似て敬語は苦手そうだね。いつも通りでいいよ。」

 「…じゃあ、遠慮なく。」

 

 男、ここからはアインと呼ぶが、シトリー家の悪魔、しかも当主だとは思わなかったので、父さんにそんな交友関係があるなんて、と驚きながらも会話を続ける。

 

 「で、単刀直入に言うが、アンタはどうしてここまで来た?罠だって気づかなかったか?」

 

 これが疑問だった。大体当主が抜け出せる訳ないでしょうが。

 

 「ああ、罠だとは思ってたけど、こいつの家が不正をしてたんだけどね、なかなか尻尾がつかめなくて。それで、罠に自分から引っかかって責任を取らせつつ、そのまま尻尾を引っこ抜くつもりだったんだけど。」

 「予想以上の戦力に死にかけた、と。」

 「はは、面目ないね。それにしても、よく助けてくれたね。言っちゃなんだけど、君そういうことするような奴には見えないからさ。」

 

 …この短時間で本質に感付くとか、マジ怖いんだが。さすが当主なだけある。

 

 「ああ〜、本当は立ち去ろうかと思ったんだ。けどアンタの口から父さんと母さんの名前が出たからね。さすがに両親の知人は見殺しにしたら気分が悪いし。」

 

 正直に話すと、彼は笑い出した。

 

 「くくく、あははははは!当主を目の前にして大した度胸だね。くくっ、さすがは二人の息子だよ。あ、逆に聞くけど、君はどうしてここに?」

 「…話せば長くなるが。」

 

 俺は訳を話した。するとまた彼は笑い出して

 

 「君は僕を笑い死にさせる気かい?まぁ、いい。僕が、街まで案内してあげるよ。」

 

 と、言ってくれた。おーありがたい。

 

 「じゃあ好意に甘えさせて頂きますか。」

 

 ようやく俺は街に行けるようだ。

 そういえば、今思い出したんだが、父さんってグレモリー家の人だったな。いつもがアレだから忘れてたよ。

 

 「カイン君、どうしたんだい?」

 

 下らないことを考えていたせいで、アインと少し離れてしまっていた。

 

 「ああ、今行くよ。」

 

 そのことに少し反省しながらも、アインに追いつくように歩きを速めた。

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