ストライクウィッチーズの世界へ〜(とある傭兵と戦闘機)第一話
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  回想

 

気がつくと周りの町は炎の海だった

 

空爆された後のように、家々は燃え盛り、所々に壊れた生活物資、割れた窓ガラス、子供のぬいぐるみなど

 

様々なものが道端に散乱していた

 

民間人の悲鳴や、子供が泣き叫ぶ声も、瓦礫が崩れる音や爆発音などで掻き消される

 

とにかくここから離れたい

 

その一心で、俺は石畳でできた道を走った

 

すると道のど真ん中で少女が泣き叫んでいるのが見えた

 「うわ〜ん、おとーさん、おかーさぁ〜ん!!」

 

俺はその少女に近づこうとしたとき、空から白い破片のような物が少女に向かって落下していくのが見えた

 

 「まずいッ・・・間に合ってくれっ」

 

俺は全力疾走で少女に駆け寄り、少女を担いでその場を離れた

 

 ガッシャァァンッ!!

 

間一髪、少女がいた場所には白い破片がガラスの割れる音とともに降り注いだ

 

地面に刺さる破片の一部を見て、助けなかったらどうなっていたかと思うと寒気がした

 

 「・・・まずここを離れよう」

 

そう少女に言った俺は少女を背負って町から脱出を図った

 

 「うぐ・・・ひっく・・・」

 

少女はずっと俯いて、私のジャージにしがみついていた

 

涙を堪え、必死に、必死にジャージを握っている

 

 「大丈夫だ、大丈夫・・・」

 

両親を失ったのだろうか、でも俺には少女を慰める言葉を投げかける事ができなかった

 

10分ほど道を走ったら町から出る道を見つけた

 

街灯の無い、ただひたすらに暗い道を必死に走った

 

そこから町を出て避難したと思しき人々の集まりを見つけた

 

そして俺はその近くの一本の木の下に少女を下ろした

 

 「ぐすっ・・・お姉ちゃん・・・だれ・・・?」

 

と、目を擦りながら不安な顔して聞いてきた

 

 「お姉ちゃん?、お姉ちゃんは・・・」

 

言いかけたところで目眩がしてその場に倒れる

 

 「お姉ちゃんっ、どうしたの?」

 

心配したのか、少女が声をかけてくる

 

 「嫌だよ・・・みんな・・・居なくならないでよ・・・」

 

せっかく拭った涙を再び流す少女

 

 「泣くなって・・・」

 

頭を撫でながら、心配させないようにと声をかける

 

 「クリス〜!!」

 

 

遠くからそんな声がしたのを聞いて私は現実に目覚めた

 

 

 回想終了 

 

 

 「私は、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐よ」

 

 「私は、坂本美緒少佐だ」

 

空母と通信を終えた後、俺は近くにあった基地に誘導され、パイロットスーツのまま拘束と尋問を受けていた

 

 「俺は・・・」

 

気がつけば自分の本当の名前を忘れていた

 

タグを確認すればいいのだが、そのタグは以前に紛失してしまって以来申請していない

 

つまり、俺は今身分証明というものを持ち合わせていない

 

傭兵に名前は意味をなさない

 

コードネームで呼ばれる事が多いからだ

 

そして、軍に正規の戦死者として扱われないのが傭兵だ

 

 「どうした?」

 

 「俺は・・・名前を覚えていません」

 

ヘルメットに搭載された変声機を通して声を変える

 

こうしないと、俺みたいなパイロットはこの空でやっていけないからな

 

 「どうして?」

 

 「・・・・・」

 

沈黙するしかなかった

 

 「まぁ、覚えてないなら仕方ない。仲間にはなんと呼ばれていた?」

 

 「仲間には・・・サイファー・・・」

 

そう、このTACネームこそ俺の名前だ

 

ガルム1と呼ばれる事もあればそう呼ばれる事もある

 「じゃあサイファーさん、あなたは何処から来たのですか?」

 

 「アメリカ合衆国のヴァレー空軍基地」

 

目の前の二人は少し困惑気味だ

 

表情が少し強張るのを確認して俺は続ける

 

 「でもこの世界にアメリカなんて国はないんでしょう?」

 

 「そうよ」

 

 「たぶん俺がいた世界とは違う世界だと思う」

 

 「なぜそう思う?」

 

俺は俺のいた世界とこの世界との違いを述べた

 

単純に、大まかに

 

 「つまりあなたはこの世界とは別の世界から来たと」

 

 「馬鹿げてる話だが、そうでもしないと話があわない」

 

自分でも、こうなった原因は分からない

 

 「お前の話は納得がいく、あの航空機もこの世界では見たことも聞いたこともないのだからな」

 

 「分かりました、あなたの拘束を解きます。そしてあなたはこの基地で働いてもらいます」

 

中佐はそういうと縄を解いてくれた

 

 「それと、艦隊と仲間を助けていただき、ありがとうございます」

 

 「いえいえ」

 

 「後で、ブリーフィングルームまで来てください。仲間を紹介します」

 

 「これからよろしくな!!」

 

 「よろしくお願いします」

 

握手を交わし、この場は解散となった

 

 「思ったより優しかったな」

 

捕虜とかならもっと拷問とかそのあたり、もしくは銃殺あたりが妥当なんだが

 

しっかしなんかWW2みたいな世界だな・・・そう信じれる俺は本当にどうかしてる

 

俺は自分の機体を確認しにハンガーへ向かった

 

 

 

 

 

説明
とある傭兵はその日、基地に着陸しようとした時、急に意識を失ってしまい・・・管制塔もレーダーから傭兵を見失ってしまう。そして傭兵は人々が人ではない物と戦う世界へ?その最前線を守る少女達と出会い、その戦いは傭兵を否応なしに巻き込んでいく・・・はたして傭兵の運命は?
にじファンからの転載になります


H25.2/1   本文改稿しました
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タグ
傭兵 戦闘機 戦い ストライクウィッチーズ 

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