再・恋姫†無双〜紅色の向こう側〜第一節
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「アシュタロスは高速接近中です!! 射程内に入るまでもう時間がありません!『出撃!!』」

 

『了解!! これが―――』

 

『((最終決戦|ファイナルバトル))よ!!』

 

 

 

 

 

 

 

”魂の結晶”、そして”コスモプロセッサ”を破壊してアシュタロスの野望は消え去った。

 

だがそれは、

 

ルシオラ、

 

彼女の唯一の復活の可能性を、

 

俺のこの手で、

 

打ち消した瞬間でもあった。

 

 

 

神魔界への霊界チャンネルを封じていた妨害霊波は止まり、後は力の大半を失ったアシュタロスを倒すだけだった。

 

だが奴は隠していた究極魔体を繰り出して世界そのものを破壊しようと動き出した。

 

 

やらせるかよ!!

 

そんな事をさせたらアイツは、ルシオラは何の為に・・・

 

 

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究極魔体が放つ弾幕を掻い潜り、一斉攻撃を仕掛けたが魔体にはかすりもしなかった。

どうやら魔体の周りに張り巡らされたバリヤーは別の次元に繋がっていて攻撃自体、魔体には届かないらしい。

 

逆に究極魔体の攻撃を防御するのにすべての力を使い尽くしてしまった。

 

 

「どうすりゃいいのよ?これじゃ手の出しようがないじゃない!!」

「落ち着いて〜、令子ちゃん〜。怒っちゃいや〜」

「でも美神さんの言う通り、あのバリヤーがある限り私達からは何も出来ません」

「くそっ!! バリヤーを”通り抜ける”事さえ出来れば!!」

 

 

 

 

”通り抜ける”?

ピートのその言葉が頭を掠める。

 

そしてその言葉は俺の頭の中で一つの作戦に至った。

 

今の奴は歩く砲台、その巨体もありったけの魔力を詰め込んだ火薬庫みたいな物だ。

ならばあのバリヤーを【通/過】して、あの巨体を【爆/裂】させれば……

 

 

 

その考えに至った以上、悩む必要など俺には無かった。

美神さんとの同期合体を解くと、二文字文珠に【飛/翔】と込めて飛び上がる。

 

 

 

「ちょ、ちょっと横島クン、何処に行こうって言うの。…何をするつもり?」

 

 

 

美神さんが呼び掛けて来る。

振り向いてその顔を見ると驚いている様な、怯えている様な、そんな顔だった。

 

 

「横島くん〜」

「横島さん!」

「横島・さん」

「横島さん!」

「横島さん!」

 

 

冥子ちゃん、

ピート、

マリア、

ヒャクメ、

魔鈴さん、

 

皆も美神さんと同じ様な顔をしている。

俺がやろうとしている事が解っているみたいだ。

 

 

 

「アンタ一体何をしようって言うのよ!? ちょっと降りて来なさい!!」

 

 

美神さんは降りて来いと怒鳴りながらもその目からは涙を零していた。

冥子ちゃんやピート達も同じで、マリアの目も何処となく潤んでいる様にも見える。

 

ああ、俺なんかの為に泣いてくれる人が居たんだな。

 

 

 

「すみません美神さん。ほら、俺って馬鹿っスからこんな方法しか思い付かないんスよ」

 

「何言ってんのよ!! 普段から死にたくない死にたくない、死なないですむならウンコだって食べられるって公言してるのは何処の誰よ!? いいから戻って来なさい!丁稚の分際でこの私の言う事が聞けないって言うの!?」

「ダメ〜〜!! 横島クン〜〜、行っちゃダメ〜〜!!」

「横島さん、止めてほしいのねーー!!」

「そうです横島さん、止めて下さい!!」

「行ったら・横島さん・死ぬ確率・100%・だから・行かないで」

「落ち着いて考えましょう横島さん。きっと、きっと何か他に方法が…」

 

「あったとしたってもう時間が無いだろ、ピート」

 

 

俺はそう言い残して究極魔体に向けて飛んで行く。

背中越しに俺を呼ぶ声が悲鳴のように聞こえて来る。

 

 

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何とか究極魔体までたどり着き、バリヤーを【通/過】して二文字文珠に【爆/裂】と込め、魔体に向けて投げ付ける。

 

文珠を投げ付ける際に走馬灯って奴なのか、今までの色んな思い出が過ぎって来る。

 

 

美神さんと出会って、時給250円の薄給でこき使われて。

まあ、後で5円上がったけどな…。

これからはがめつさはなるべく控えて下さいね。

 

300年間幽霊のまま一人ぼっちだったおキヌちゃん。

人間として生き返って、友達も増えて、

もう一人ぼっちじゃないよな。

 

パピリオ、せっかく長生き出来る様になったんだ、皆と仲良くやれ。

俺が言う事じゃないけどベスパやルシオラの分も幸せになれよ。

 

冥子ちゃんもプッツン癖治して、エミさんももうすこし美神さんと仲良くして下さい。

 

小鳩ちゃん、仮の結婚式だったけど結構ドキドキしてたんだぜ。

貧、お前はもう福の神なんだから小鳩ちゃんをしっかり守ってやれよ。

 

マリアもボケ老人の世話は大変だろうけど頑張れ。

 

魔鈴さん、時々奢ってくれた料理、美味かったですよ。

 

小竜姫さま、貴女からもらった((力|霊力))で皆を護れそうです、有難うございます。

 

((駄目神|ヒャクメ))、覗きは控えろ、経験者からの忠告だ。

まあ、世話になったな。

 

愛子、卑怯な言い方だけど俺の分も青春してくれ。

 

お袋、親父。親不孝してごめんな。

 

ピート、タイガー、がんばれよ。

 

唐巣神父、髪を信じて。

 

カオス、長生きし……不老不死なんだったな。

これ以上老け様は無いんだろうが。

 

雪乃丞、結局勝負は俺の勝ち越しじゃ。ザマーミロ。

 

西条、美神さんを支えてやれよ、あ・く・ま・で・も・兄貴としてな。

美神さんに手ー出したら呪っちゃる!

…後、ハゲろ。

 

 

なんてな。

まったく、俺らしくねーなこんなの。

本当なら『死ぬ前に一発ーー!!』ってな具合に美神さんに飛び掛って行くんだけどな。

 

だけどしょーがねーよな、このままじゃ世界そのものが無くなっちまうんだから。

 

そうそう、ここは開き直ろう!

俺は世界の美女・美少女の味方。

まだ見ぬ綺麗なねーちゃん達を救う為に戦うんじゃ!

ピートや雪乃丞といった男連中?まあ、あいつらはついでだついで。

 

 

だから、無駄死にじゃないから。

せっかく貰った命だけど。

いいよな、ルシオラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《駄目よ、ヨコシマ!死なせない、絶対に!》

 

【爆/裂】の文珠で究極魔体は吹き飛び、迫り来る爆炎の中で俺はルシオラの、彼女のそんな声を聞いた気がした。

 

 

ああ、ルシオラ――

もう一度あの夕陽、一緒に見たかったな。

 

 

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美神達の、

仲間達の願いも虚しく、横島忠夫の姿は吹き荒れる爆炎の中へと消え去って行った。

 

 

「よ、横島さん?……横島さぁーーーんっ!!」

「「「嫌ぁーーーーっ!!」」」

 

 

ピートの叫びは冥子達の叫びを呼び、

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「そ、そんな…。嘘、嘘ですよね、横島さんが、そんな…」

「生憎じゃが、マリアに嘘を吐く機能は…無い」

 

マリアからの通信を受けたカオスは拳を握り締めながら事の真相を伝える。

 

「あの馬鹿、何一人だけでカッコつけてるワケ!?」

「嘘ジャーーッ!! きっと何時もみたいに死ぬかと思ったと言いながら帰って来るんジャーーッ!! そうに決まってるんジャーーッ!!」

「結局”また”勝ち逃げと言う訳か。…卑怯者!」

「神は…いや、我々は彼を救えなかったんだな」

「ごめんなさい横島君。ごめんなさい…」

「横島…、あの馬鹿野郎が……。馬っ鹿野郎ぉぉぉーーーーっ!!」

 

 

助ける事も、力になる事も出来なかった彼らはただ、泣く事しか出来ず。

 

 

「横島クン、横島クン、横…島……、横島クーーーーーンッ!!」

 

 

意地っ張りだった彼女も、彼の名を呼びながら泣き叫ぶ事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

後の世で”魔神大戦”と呼ばれるこの戦いはこうして終わりを告げた。

一組の男女の悲恋とその命と引き換えに。

 

魔体を焦がすその炎は夜空を紅く染める。

皮肉にもその夜空に映える((紅色|くれないいろ))は、まるで彼等が一番見たがっていた…

 

 

 

 

 

真っ赤な夕陽の様だった。

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「もしもーし。起きて下さーい」

 

 

桃色の髪に白い羽飾りを着けている女性は森の中で寝ている青年をつつきながら話し掛ける。

 

 

「こんな所で寝てると風邪を引きますよー」

 

 

「ルシ…オラ…」

 

 

其処に寝ていた青年、横島忠夫は愛しい彼女の名を呼びながら頬に一筋の涙を流す。

 

 

「泣いてるの?何だか…、とても悲しそうな涙」

 

 

女性は横島の頬に流れた涙をその指でそっと拭う。

 

 

「桃香様ーー、何処ですか桃香様ーー!」

「あっ、此処だよ、凪ちゃーん!」

 

 

桃香と呼ばれた女性は自分を探しに来た女性を呼び寄せ、凪と呼ばれた女性はその声を頼りに駆け付けて来る。

 

 

「こんな所に居たのですか、あまり心配させないで下さい。何処に賊が隠れているのか解らないのですから」

「そっか、心配かけちゃったんだね。ごめんなさい」

「いえ、解っていただけたのなら。…!! な、何者ですかその男は!?」

 

 

駆け付けて来た白髪で全身に傷跡を付けている女性、凪は桃香と呼んだ女性の傍に倒れている青年、横島を見据えると彼女を庇う様に背中に隠し、倒れたままの横島に手甲を着けた拳を構える。

 

 

「ちょ、ちょっと凪ちゃん!行き成り何するの?」

「何をも何も、この様な怪しげな格好をした者に迂闊に近づいては危険です!」

「大丈夫、大丈夫だよ」

「何を根拠にその様な事を?」

「だって…」

 

 

桃香は横島に近づくと、その頬を濡らしている涙をハンカチで拭き取りながら頭を抱え膝に乗せる。

 

 

「と、桃香様」

「悪い人だったらこんなに悲しそうな涙、流せないよ。きっとこの人も何か大切な誰かを失ったのかもしれないよ」

「そうなのでしょうか?」

「きっとそうだよ、私達と…おんなじに」

 

 

桃香はそう言って、涙を零し続ける横島の頭を優しく撫でる。

 

 

「凪ーー!」

「凪ちゃ〜ん!」

 

「真桜、沙和」

 

 

其処に二人の女性が駆けて来る。

真桜と呼ばれた紫色の髪を両脇で束ね、腰に色々な工具を引っ掛けた巨乳でビキニの女性。

沙和と呼ばれた三つ編みをポニーテールにしたメガネの女性。

 

 

「桃香様は見つかったの〜?」

「ありゃ?誰やその兄ちゃん?」

「あっ、ちょうど良かった。真桜ちゃん、沙和ちゃん、この人を邑まで運ぶの手伝って」

「運んでって言われてもやな、知らん奴やけど…ええんか凪?」

「桃香様がこう仰られるんだ、仕方ないだろう。もしもの時は私が全力でお守りする」

「もー、凪ちゃんったら。大丈夫だって言ってるのにー」

「なら、さっさと運ぼか。沙和も手伝ってーな」

「わー、この人の服の生地見た事も触った事も無いの。後で調べさせてもらうのー」

 

 

運ばれて行く横島を見ながら桃香はそっと呟いた。

 

 

「もしかしたらあの人…、でも天の御使い様は幽州に降り立ったっていう噂だし。それでも何だか、何故だろう?胸がどきどきする」

 

 

 

桃香、それは「真名」といい、この世界ではまさにその者自身を表す真の名前。

そして彼女が普段名乗る名前は……

 

姓を劉、名を備、字は玄徳。

歴史にその名を残す三国志の英雄と同じ名前である。

 

 

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此処は外史と呼ばれる世界。

 

人々の想念によって生み出された正史とは異なる世界。

 

 

嘗て、北郷一刀という青年が迷い込んだ三国志を土台として生み出され、恋姫無双と呼ばれた世界で彼は劉備玄徳の立ち位置で数々の戦いを潜り抜け、遂には三国統一を成し遂げた。

 

だが、正史への影響を恐れた外史管理者達によって彼の世界は終端へと追い込まれた。

その際に北郷一刀はその想念と外史世界の要であった大銅鏡の力で幾多もの恋姫外史を分岐・生み出していた。

 

外史世界で共に歩み続けて来た三人の少女達。

関羽・愛紗、張飛・鈴々、諸葛亮・朱里。

それぞれの少女達を選んだ三つの外史。

外史世界で出会った恋姫達全てと共に歩む事を選んだ外史。

 

新たなる出会いと共に、蜀・魏・呉のそれぞれの勢力に降り立つ事となる三つの真なる外史。

 

 

 

そして、物語の途中で望まぬ終端を迎えねばならなかった彼が心の何処かで望んだ”もう一度”という願いから生み出された再生されし外史。

だが、それ故に初めから終端が約束された進むべき先の”印”が”無”い、まさに”無印”の外史。

 

 

しかし誰もが予測し得なかった出来事によって事態は変わった。

 

究極魔体の爆発に巻き込まれた横島は魔体に張り巡らされていた時空間バリアーに弾き飛ばされ、この再生された無印外史に辿り着いたのであった。

 

この事によって再生されたこの外史世界は前回とは違う道筋を歩みだす事となった。

 

どの様な世界へと変わって行くのか、それともやはり終端へと辿り着くのか?

 

 

そしてGS世界において英雄として最後を迎えた横島がこの外史世界で計らずも出会ってしまったこの世界の劉備玄徳。

彼女はこの世界で横島と共に英雄となれるのであろうか?

 

それはまだ、誰にも解らない事であった。

 

 

 

 

 

再・恋姫無双〜((紅色|くれないいろ))の向こう側〜

 

 第一節「終わりから始まりへ」

 

 

 

 

 

終わりを迎えた彼の物語は、此処に再び始まりを迎える事となる。

 

 

続く。

 

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あとがき

 

「乱と」

「于吉と」

「……左慈の」

 

「「あとがきコーナー!!」」

 

「どうしたんですか左慈?ノリが悪いですよ」

「逆に聞くがなんで手前はそんなにノリが良いんだ!?」

「はっはっは!そんなの愛する貴方が其処に居るからに決まっているじゃないですか」

「けっ!言ってやがれ」

「それにしても乱殿。この横島in恋姫、前回のNT版とは随分と趣が変りましたね。横島忠夫の転移理由も変ってますし、何より今回は天の御使いではないようですが」

「まーな。例のあの事件で投稿出来なくなったんだけど実はに○ファン用に書き換えてたんだ」

「悲しい事件でしたね。こういう風な展開に書き換えていたんですか?」

「いや、書き換えてた時は別の展開だった」

「どんな風に?」

「こんな風に」

 

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とある世界……

 

 

 

東京タワーと呼ばれている赤い鉄塔、そしてその展望台を踏みしめる様に一人の男が立っていた。

 

男の名は横島忠夫、数ヵ月前に起こった「魔神大戦」と呼称される一大決戦において、最大の功績を残した人物である。

 

だが神魔の中にその功績を認めようとしない勢力があった。

 

人間のくせにとその功績を妬む神族。

復讐を狙う旧アシュタロス派の魔族。

 

…そしてデタントの成立を阻もうとする反デタント派の神魔族。

 

それら三派は互いに手を組みながら横島抹殺へと行動を起こした。

神魔正規軍は横島を護る為に動いているがこの騒動は次第に激しさを増し、人間界その物を巻き込もうとしていた。

 

だからこそ彼は悩んでいた、このままでは世界が滅んでしまう。

((彼女|ルシオラ))を犠牲にしてまで護ったこの世界が。

 

自分が死ねばいいのか?

考えに考えた行きつく先は何時もその答えだったがそれだけは出来なかった。

この命は((彼女|ルシオラ))の((犠牲|いのち))の上に成り立っているのだから。

だがこのままでは世界が滅ぶ。

 

 

世界と自分の命、どちらも護り、どちらも失わずにすむ方法。

その事を何度も何度も考えた。

 

 

 

「くそっ!そんな都合のいい話…『無い事も無いぞ』…って、どわあっ!!」

 

 

頭を抱えながら呟いていると突如後ろから声が聞こえ振り向いて見ると、其処に居たのは上着だけの燕尾服にキツキツに絞め上げられた白フンを身に付けた白髪白髭のムキムキマッチョ。

 

そんなモノを見せられて平然として居られる横島では無く当然反発する磁石の様にその場から飛ぶ様に離れる。

 

そして当然こんな場所でそんな事をすれば足場となる展望台から飛び出し、万有引力と仲良しこよしである。

 

 

「どわわ〜〜〜!も、文珠〜〜〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜ〜は、ぜ〜は、死ぬかと思った」

 

 

何とか自由落下を免れた横島は再び展望台の上に這い上り、肩で息をしていた。

 

 

「大丈夫か、お主?」

「大丈夫か?、やないやろ!何なんやおのれは!?」

「おお、自己紹介が遅れたな。儂の名は卑弥呼じゃ」

「嘘だッ!!」

「何を言う、儂は嘘など言ってはおらぬぞ」

「ワイは卑弥呼様とは会った事があるぞ!卑弥呼様はムチムチバイーーンッなお姉ーー様やった!テメエみてーなムキムキヴァゴーーーンッな筋肉魔獣じゃなかったぞ!! 大体何じゃ、そのいかれた格好は!?」

「おのれ!この肉体美が誇る漢女道の素晴らしさが解らぬと言うのか!?」

「解ってたまるかぁーーーーーーーーーーーーっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

「「ぜいぜいぜい…」」

 

 

夕陽が沈み、夜の帳が訪れる頃ようやく二人の言い合いは終わり両者とも肩で息をしていた。

 

横島が壁に背を持たれかかると卑弥呼は立ち上がり横島に話しかける。

 

 

「さて、そろそろ話を本題に戻すが」

「戻すも何も最初からまともな話などしとらんじゃろが」

「お主、別の世界へと行ってみる気はないか?」

「…別の…世界?」

「うむ、「正史」とは異なる「外史」と呼ばれる世界にな」

「外史?…どんな世界なんだそれは?」

「本来の流れを((汲|く))む正しい歴史が「正史」。対して「外史」とは人々の想念によって生み出された別の歴史から成る世界。解りやすく言えば((異世界|パラレルワールド))という奴じゃな」

「で、何で俺がそんな世界に行かなきゃならないんだ」

 

 

横島は怪訝そうな顔で卑弥呼を睨み、卑弥呼は目を細めて真剣な顔で語り始める。

 

 

「その世界は生まれながらにして既に終端の時が定められている世界。それを止める為には物語の流れを変えるファクターが必要なのじゃ。そのファクターとして儂が目を付けたのが…」

「俺という訳か」

「そういうわけじゃ」

 

 

横島は考えてみた。

確かにその方法ならば、自分がこの世界から居なくなれば騒動は収まるかもしれない。

自分は死なずに世界も救えるかもしれない……、と。

 

 

「……で、断ったらどうする?」

「お主にはどうもせんよ。その時は別の誰かを捜すだけじゃ。ちなみにその世界は美少女揃いの「詳しい話を聞こうじゃないか!!」……いい性格をしておるな、お主…」

 

 

横島は座布団に正座をして何処から出したのか、日本茶を卑弥呼に差し出しながらとてもイイ笑顔をしていた。

 

 

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「とまあ、こんな感じだった」

「何故没になったんですか?」

「この後、卑弥呼に色々と事体を教えてもらう訳なんだけど、後の展開が辻褄合わなくなったんだ」

「と、言うと?」

「本来の武将達が美女揃いだと知っていると恋姫外史に渡った瞬間に煩悩全開しちゃいそうで」

「それでこそ横島忠夫なのでは?」

「そうなんだけど、もし此処で横島が桃香に「生まれる前から愛してましたー」と飛び掛っていたら?」

「近くに居た樂進に瞬殺されてましたでしょうね」

「そういう事。そうで無かったとしても桃香の横島に対する評価は最悪だっただろうし、元々NT版で横島の性格が最初暗かったのはそういう展開を避けるためでもあったんだ」

「なるほど」

「まあ、かなり評判悪くて何度か書き直したんだけど」

「けっ!手前に文才が無かっただけの話だろうが」

「…左慈、蜂蜜物語・漢√、パワーアップして加筆修正してやろうか?」

「マジチョーシに乗ってすみませんでしたーーーーっ!!」

「おお、見事なまでの土下座ですね左慈」

「では、次回またお会いしましょう」

「「バイニーー!!」」

「ちくしょう…」

 

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※NT版とは?

 

某投稿サイトに連載していた物でルシオラとの悲恋をTVドラマにされ、世界に絶望していた横島が再生された無印外史を存続させるためのファクターとして卑弥呼に天の御使いとして送り込まれる。

荊州の森の中に降りた横島は其処で桃香・風・凪・真桜・沙和と出会い、天の御使いとして戦う事を決意する。

現在凍結中

 

説明
傷付いた心、消え去った恋人、

世界を護る為、世界に別れを告げる、

そして物語は、新たな世界へ、

横島in恋姫†無双、始まります。
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コメント
横島が恋姫の世界に行く話は、どれも事故なので、一味違う話なので楽しみながら読んでいます。♪(マサ)
これを見てると武者震いが来ますねえ。楽しみです。(ZERO&ファルサ)
タグ
恋姫†無双 (無印がベース) 横島 GS美神 

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