狼男のスカイリム冒険記
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金の爪1

 

 

翌日。俺はフロドナに連れられて宿屋スリーピング・ジャイアントを出て雑貨屋のリバーウッド・トレーダーに向かっている。あれからクマの解体をし、ジャルデュルのクマ料理をごちそうになった。とても美味かったと言っておこう。

 

 

そして夕食後に俺はベッドの都合上宿屋に行くことになったんだが、司祭のカサンドラが一緒についてきた。どうやら強姦未遂のことがトラウマになりかけているようで、俺はレイロフに説明を頼んだ後一緒に寝た。事実暗闇の中何度も起きて震えだし、その都度に抱きしめていたんだが、結構やばい。一応助け出していた俺がいると落ち着くようではあるものの、今後どうなっていくかが心配だ。

 

 

そして今朝。一応の睡眠をとれた俺とカサンドラはやって来たフロドナも交えて朝食をとった。久々のマシな客だと宿主のデルフィンが張り切ってくれたおかげで朝食も美味かった。寝る前に一緒に手持ちのタダ酒を振る舞ったのが効いたんだろうか。

 

 

ちなみにフロドナに冒険の話を迫られて寝付くまで話していたおかげか、今ではすっかり懐かれた。レイロフよりも若いためか、『兄ちゃん』と呼んでくれている。そこでクマの毛皮などを買い取ってくれる所はないかと聞くと、進んで道案内を引き受けてくれた。今はカサンドラと共にフロドナを肩車してあまり遠くない道のりを進んでいる。

 

 

「あっ!兄ちゃんここだよ!リバーウッド・トレーダー。色々売ってるし、店主おっちゃんはむさくるしいけど、妹のカミラ姉ちゃんは美人さんだよ」

 

 

何故にその情報がいるのか問い詰めたいが、とりあえずフロドナを下ろしてどこかジト目で見てくるカサンドラを無視して中に入る。あれか、昨日話した冒険で出てくるのが女性が多かったのかいけなかったのか?などと考えていると、中から大声が聞こえてくる。

 

 

「誰かがどうにかしないと!」

 

 

「駄目だと言ったろ!冒険も、芝居も、盗賊を追いかけるのも駄目だ!だから……っと、お客さんだ。この話はここまでだカミラ」

 

 

俺達が入ったのに気づいた店主がカミラという女性を二階に上がらせる。渋々といった具合に上がっていったカミラはフロドナの言う通り、そこらのインペリアルよりも確かに美人だった。体つきも健康的でメリハリがあったし……おっと、思考がそれた。

 

 

「ふむ、狩ったにしてはかなり綺麗な状態の毛皮だな。多少毛が抜けているが、気になるほどじゃない」

 

 

「寝ているところに脳天一突きだったからな。元々の状態のままさ」

 

 

「ほう!それはすごいな!運が良かったのもあるだろうが、気配に敏感なクマに忍び寄れるとは大したもんだ。そんじょそこらの狩人には出来ない芸当だ……ふむ、これなら少し上乗せしても問題あるまい。お前さんの腕前に敬意を表すよ」

 

 

「おぉ、ありがとよ。これで昨日と今日の宿代が浮くってもんだ」

 

 

世間話をしつつも、宿代の分とクマ料理の代金を手に入れることが出来た。その間カサンドラとフロドナは近くの椅子に腰かけて、いつの間にか降りてきたカミラと話している。結構楽しそうに話しているので、俺は店主のルーカンに先程の事を聞いてみた。

 

 

「そういえばさっき口論していたみたいだが、何かあったのか?」

 

 

「あぁ、確かに多少の……窃盗があった。だが売るものは、まだたくさんある。盗賊は一つの物だけを狙っていた。装飾品だ、純金のな。ドラゴンの爪の形をしている」

 

 

だから取り返す取り返さないで口論していたのか。話の流れ的に妹自身が行くとか言い出したんだろうな。そんなこと普通に考えて家族が許すはずもないし、行ったとしても盗賊に負けるか途中の山賊に出くわして連れて行かれるのがオチだろう。

 

 

ふむ、ならばお仕事の時間かな。一応ジャルデュルには二三日ゆっくりしていけと言われてるし、ぼーっとしているよりはマシだ。

 

 

「ふむ、ならその爪を取り返す手伝いをしよう。どうせ今日一日暇なんだしな」

 

 

「おぉ、本当か?最新の積荷に金貨が入っている予定だ。爪を取り戻してくれたらやろう。盗賊を追うなら、町の北東にあるブリーク・フォール墓地へ向かうべきだ」

 

 

「了解。なら今から行くとするか」

 

 

俺は話を聞いていただろうカサンドラとフロドナと共に外へ出る。後ろで何やらルーカンとカミラが話しているが、とりあえず無視して外へ出た。墓地の場所をフロドナに聞けば、結構近いみたいだ。俺はカサンドラに手に入れた金を渡す。

 

 

「話は聞いていたけど、今から行くの?」

 

 

「あぁ。まぁ夕方には帰ってこれるだろうよ。おそらく山賊が多いだろうからカサンドラはここにいろ。罠も多いだろうし、遺跡に不慣れだと本当に危ない」

 

 

「はぁ……わかったわ。でも、すぐに帰ってきなさいよ?私からレイロフには伝えておくわ。いってらっしゃい」

 

 

「おぅ、行ってくる。フロドナ、カサンドラのこと、頼んだぞ」

 

 

「任せといてよ兄ちゃん!お土産よろしくね!」

 

 

胸を張って答えるフロドナとカサンドラに見送られ、俺はブリーク・フォール墓地に向かって歩き出す。距離的にはそう遠くないし、門を出たところの橋を渡って山を道なりに進んでいった先にあった。途中狼や山賊が出たものの、手間取ることなくぶち殺した。奴らの手持ちと毛皮は降りたときにまたルーカンに換金してもらう事にしよう。

 

 

「テメエのゴールドを数えるのが楽しみだぜェばふぁっ!」

 

 

「逃げてみろよ!背中からぶっすりいぃぃぃぃっ!」

 

 

そうして登り切ってみると、やけに薄着の装備で三下セリフの山賊と辺り一面を雪で覆われた遺跡を発見した。外から見たのと外観が同じなので、これがブリーク・フォール墓地で間違いないだろう。俺は両手剣を握りしめたまま、ゆっくりと扉を開けていった。

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ヴィンセントが山途中の山賊から身ぐるみ剥いでいるころ、カサンドラはフロドナと共にレイロフの元を訪れていた。家には仕事に出ているホッドを除いてジャルデュルもいる。レイロフはカサンドラの話を聞いて、小さく笑った。

 

 

「って、笑いごとじゃないでしょう兄さん!ブリーク・フォール墓地には今イカれた山賊が住み着いているのよ?あれだけの重装備をしているとはいえ、危ないわ!」

 

 

「はっはっは、ジャルデュル。あいつにはそんな心配はいらないさ。たかが山賊ごときにやられるあいつじゃない。いくら奴らが群れようが、無駄な事さ」

 

 

ジャルデュルがいくら止めてくるように説得しても、レイロフは笑うだけで動こうとしない。それどころか土産は何かなと言い出すほどだ。甥っ子と戯れる兄の姿を見て唖然とするジャルデュルを見て、カサンドラは苦笑しながらジャルデュルの隣に立った。

 

 

「本当にあの人は大丈夫だから心配しなくても良いわ。多分、宝箱でも背負いながら帰ってくるんじゃないかしら?」

 

 

「な、なんでそんなに落ち着いてるのよ!あれだけの数は傭兵や衛兵が徒党を組んで、しっかりと計画を立ててから倒すのよ?それをなんの準備もなく真正面から突っ込んでいくなんて……」

 

 

確かに、十を超える数がいる山賊に対して真正面から突っ込んでいくなど素人目から見ても愚の骨頂である。普通なら同じくらいの数の傭兵や衛兵を雇って計画を立てつつ倒すものだ。ましてや険しい山道は奴らのテリトリーでもあり、地の利は向こうある。しかしそれでも、カサンドラやレイロフには彼が倒れる姿が考えられなかった。

 

 

レイロフは昨日ヘルゲンでドラゴンにと帝国に立ち向かい、仲間を助けたあの背中を。カサンドラは同じくヘルゲンでの戦いっぷりと、昨日の夜に彼が話したことがその考えに確信を持たせていた。たった一日の仲なれど、二人の中で彼の規格外の強さは十分知れているのだ。それをジャルデュルに話すと、彼女は目を丸くして頬をひきつらせた。

 

 

「え……うそでしょ?」

 

 

「本当みたいよ?お酒の席だったけど、あの鎧と体中の傷跡が何よりの証拠。彼があのデイドラハンターのリーダーみたい。それにトロールを素手で殴り倒したとかなんとか言ってたわ」

 

 

「そ、それは俺も初耳だな……」

 

 

「兄ちゃんすごぉい!」

 

 

デイドラハンターの話は近年になってシロディール中のデイドラ崇拝者を震撼させ、現在多くの民に新たな英雄の一つとして語られている。ここ数年のうちに彗星の如く現れた彼らは、黒檀装備のリーダーに率いられ、数多くのデイドラとその崇拝者達を狩ってきた。少しでも噂を聞きつければ闇の一党よりも早くどこからともなく現れて、デイドラ討伐にしてはやけに少ない報酬で民草を苦しめるデイドラを一掃するという。しかもその間の死者は一切出さないというまさに英雄と言える存在だ。

 

 

しかし最近ではその活動も少なくなり、依頼されたことでしか受け付けなくなったものの、その腕前はステンダールの番人よりも上であるとかないとか。そして発足当初以降はリーダー以外のやる気がほとんど感じられなかったなどさまざまな噂がある。レイロフは話の真相を聞いているために、このことに関して言葉を濁らせた。英雄が実は単に装備を作りたくて乱獲していたなどと、目を輝かせている甥っ子の前では口が裂けても言えなかった。

 

 

それからやいのやいのと話は盛り上がっていき、カサンドラが一夜を過ごした感想を聞かれて慌ててからかわれるなど色々とあったが、それをヴィンセントが知るのはもう少し後の話。

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中に入ると、盗賊と大型のドブネズミであるスキーヴァーの死体がいくつも転がっていた。日にちがそう経っていないように見えるので、爪を奪った盗賊の仲間だろうか。なんて考えつつも、どちらにせよ殺すことには変わりないので先に進もうとすると、先に二人の盗賊が火に当たっているのが見えた。二人はまだこちらに気づいていない……弓で仕留めるか。

 

 

「はぁー……見張りってのも暇だよな」

 

 

「まぁね。でも一番楽な仕事には変わりないよ。こんな辺鄙な山奥まで来ようとする奴なんてそうそういないだろうし、いたとしてもここまでにいる仲間にやられてるさ」

 

 

いや、全部殺して身ぐるみ剥ぎましたが……まぁ、いい。俺はデイドラの弓に鋼鉄の矢をつがえ、しゃがみこんでから一息に放つ。一人はその一矢が頭に的中して即死。もう一人の女の方がビビりながらも剣を抜き放つが、こちらに気づいてないので意味はない。俺は特に焦ることなく脳天に的中させた。

 

 

「あぁ〜あ。結構巨乳ちゃんだったな……こんなに柔らかいのに、もったいねぇ」

 

 

うぅむ、両手に収まりきらないこの感じがなんとも……はっ!いかんいかん。最近色々ありすぎて溜まってるのか、無意識に揉みしだいてた。死体相手にするなんて、俺も相当やばい人になるところだった。ホワイトランに行ったら女を買おう。うん。決定。

 

 

巨乳ちゃんに拝んでいくつかゴールドを頂戴し、近くの宝箱を漁ると40ゴールドに巻物、休息の薬(小)が入っていたのでもちろん頂いておく。そしてその先の通路を進んでいく。木の根っこだらけだが崩れていたりしたのでほぼ一本道だ。警戒しながら進み、ある程度行くと階段の下に松明を持った山賊を発見した。

 

 

まだばれていないのでそのまましゃがんで見ていると、先の柵の降りている部屋にあるレバーを何も警戒せずに引くという馬鹿をしでかした。もちろんそいつは四方八方からの矢によって蜂の巣にされて息絶えた。遺跡探索初心者だったんだろうか……。

 

 

「まぁなんにせよ、罠の存在が知れたのはありがたい。手間も省けたし……さて」

 

 

部屋に進み周りを見ると、部屋は明るく照らされて右手に階段があり、その上には固定された柱がある。そこには左から蛇・空き・魚が彫られていて、真ん中の崩れているところは下に落ちていた。紋章は蛇。部屋の左手には回転出来る蛇・鷲・魚の三種類の紋章があって、それが三つ並んでいる。そして真ん中にレバー。遺跡では典型的な仕掛けだ。

 

 

俺は左手の柱を上の固定柱の紋章と同じ紋章になるように回していく。手前側から蛇・蛇・魚だ。回すのが面倒だが、そうしないと進めないんだから仕方がない。間違うと矢の雨が降り注いでくるから、分からないときはレバーにロープをくくりつけて遠間からやったりもする。今回は簡単なものだからしないけど。

 

 

「よっと、正解だな」

 

 

ガシャン、と音を立てて開く鉄格子。先には宝箱が見えるものの、それに真っ先に飛びついて死んだ奴も大勢いるので変わらず両手剣を構え、伺いながら進んでいく。床にも気を配るのを忘れない。圧力床トラップなんて珍しくもないからな。

 

 

左に螺旋階段、右は壁、前には宝箱で罠もない。が、下からスキーヴァーの鳴き声が聞こえたから、先にそっちを処理して宝箱に向かうとするか。後ろから噛みつかれるなんてごめんだ。俺は壁にあったレバーで鉄格子を閉め、一応の盗賊対策をしつつ螺旋階段へ向かった。

説明
帝国タムリエルは窮地に立たされていた。Skyrimの王は殺害され、王位継承のために同盟が形成されていった。内紛が起こる中、長い歳月閉ざされていたElder Scrolls(エルダー・スクロールズ)へ通じる道がタムリエルへと開かれ、太古の邪悪な生物たちが蘇った。Skyrimの未来は、唯一ドラゴンに立ち向かうことのできる救世主“ドラゴンボーン”が現れるという予言を待ち望みながら、生死の淵を彷徨うしかなかった……。―――――――べゼスダゲームの傑作・スカイリム二次創作です。なるべく原作のセリフや言動を崩さないようにやっていきますが、どうしてもほころびが出ます。ご容赦ください。ある程度の原作崩壊(キャラ生存・死亡、主人公設定など)はありますので、それがお嫌いな方はご注意ください。主人公最強・ご都合主義・ややエロ(?)などを含みます。主人公は原作未プレイです。
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転生 ドラゴン チート ウェアウルフ skyrim 

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