万華鏡と魔法少女、第十八話、後悔と忍
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俺はいつも自分の生きてきた道に後悔してきた

 

 

心を鬼にし無ければ生きてゆけない忍の道

 

 

沢山の同胞の血を流して生きながらえている俺はなんなのだろう

 

 

そう、ふと一人で考え込む事がよくあった

 

何も無い全て失った自分が最後に出来る事、

 

 

自分の意志を継いでくれる者の手でその人生に幕を降ろすのが最も最善だと考えた

 

 

サスケ…お前になら、木の葉を護る事が出来るとそう信じて…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

荒れ狂う戦場…

 

 

瓦礫や爆発音があちらこちらから鳴り響きその戦いは激化の一途を辿っていた

 

 

魔法少女、フェイトテスタロッサは力を振り絞りデバイスを構えながら眼の前に立ちふさがるイタチを息の根を止めようと懸命に戦う

 

 

しかし、そんな彼女の表情には疲れの色が見えていた

 

 

それは、うちはイタチの持つ写輪眼…

 

 

彼女が攻撃に入る前にそれに見極められ、攻撃のモーションが完全に読まれているのだ

 

 

幾らスピードが早いとしてもこれは厳しいものがある

 

 

だが、彼女もただで力を無駄に消費している訳ではない…

 

着実だが、イタチに対しての攻撃手段の幅が時間が経つにつれて的確なものに近づきつつもあった

 

「はぁ!」

 

 

キィンと金属同士が接触し合う高い音が部屋中に響き渡る

 

彼女の振り下ろすバルディッシュを苦無で綺麗に受け流すイタチ

身体を受け流された彼女は目標を失いバランスを失う

 

 

だが、彼女はすぐさま身体を反転させ、素早い動きで崩れた体制から魔法を放つ

 

 

「…っ!」

 

 

その放たれた魔法はイタチの頬を掠め彼の後方にある壁を破壊する

 

 

魔法を掠めた頬から赤い血が流れる…

 

イタチはそっと地面にへと着地すると、彼は軽く自身の頬に手を添える

 

 

勿論、その手には頬から裂けて流れ出た赤い血が付着している

 

 

そんなイタチの様子を見ていたフェイトは彼にこう問いかける

 

 

「…痛いですか…?」

 

 

表情が見えない様に顔を俯かせたままイタチに訪ねるフェイト

 

 

バルディッシュを構えたまま、頬から血を流すイタチに彼女は話をゆっくりと紡ぎ出す

 

 

「…貴方が傷つけた人達はこれ以上の痛みを貴方から受けさせられたんです…」

 

 

そう語る彼女の声は震えていた

 

自身の身内があれだけ酷い仕打ちをこの男からされたと思うと当然な反応だろう

 

 

兄と慕った彼はもう彼女の中には無い、眼の前に立っているこの男は只の悪人である

 

 

イタチは頬から流れ出る血を暫く手で流れで無いように抑えていたが、何時の間にかゆっくりとその手を肌から離していた

 

 

そうして、震えた声で自分に問いかけるフェイトに冷淡な声でこう返す

 

 

「…痛み…か、こんなものは痛いという内に入らない」

 

 

イタチは放置した頬をから血を流しながらゆっくりと足を前にへと踏み入れる

 

 

その姿は次の瞬間、まさに疾風の様に彼女の前から消え去る

 

 

気を緩めていた彼女の懐にとてつもない衝撃が走る

 

 

「…がぁ!!」

 

 

思わずその腹部に加えられる衝撃に声を上げて吐血するフェイト

 

 

その衝撃の原因は彼女の腹部に食い込むイタチの繰り出した肘打ちだった…

 

彼女の身体は大きく後方にへと吹き飛び、二転三転と地面を転がる

 

 

そうして、彼女の身体は壁にへと力なく叩きつけられた

 

 

「…うぐぅ…」

 

唸る様に痛みが支配する腹部を抑えたまま声を溢すフェイト

 

 

痛い…もう彼と戦うのが辛い

 

 

肘打ちを受けたフェイトは挫けそうな弱音を心の内でつぶやきながら沈黙する

 

 

静寂した時間が再びこの二人だけの空間を支配する

 

 

そんな中、フェイトを肘打ちで吹き飛ばしたイタチは静かに瞳を閉じ淡々と語り出す

 

 

「…本当の痛みとは失って始めて分かるモノだ。お前は俺に少し傷を付けただけ、こんなものは悪いが痛みとは言えない…先程お前はそれを身を持って体験した筈だが?」

 

 

イタチはそう彼女にそう訪ねるとゆっくりと壁に叩きつけた彼女の方にへと歩を進め始める

 

 

その眼は漆黒の様に深く冷たい闇をフェイトに感じさせる

 

 

怖い…、フェイトは咄嗟に迫り来るイタチを見て改めてそう感じた

 

 

その場からすぐさま身体を起こして立ち上がろうとするが、恐怖心のせいか身体が言う事を聞かない

 

 

フェイトは只々、叩きつけられた壁から、後退る様に近づいてくるイタチから遠ざかろうとする

 

 

だが、後ろは壁…これ以上後退る事など出来ない

 

 

座り込んでいる彼女は伝うように壁際から身体を横にズラし、迫り来る死からどうにか逃れ様とその場から移動する

 

 

恐怖だけがこの時の彼女の心を完全に支配していた

 

 

そんな、彼女の様子を見て戦う力が無いと感じ取れたイタチは悟った様に静かにこう告げた

 

 

「……終わりだ」

 

 

沈黙した彼女の様子を見ていたイタチは冷たい声色でそう静かに呟く

 

 

すると、イタチから遠ざかろうと壁際から伝うように移動していた彼女の手に感触のある何かが当たった

 

 

フェイトは微かに手に触れたそれに視線を向ける

 

 

「…これっ…て」

 

 

彼女の手元に転がるそれは母親であるプレシアの使っていたモノ

 

 

ストレージデバイス…

 

 

そして、フェイトは落ちてあるそれから視線を上にへと向ける

 

 

そこには…傷だらけで血を流しながら虚ろな眼で磔になっている自分の母親の姿が…

 

 

今、自分がここで諦めたら傷を負っているプレシアはどうなるのか

 

 

また、大事な人を目の前で失う事になるのではないか

 

 

そんなのは絶対に嫌だ!

 

 

フェイトは落ちているそのプレシアのデバイスに手を伸ばししっかりと握る

 

 

今、彼女を護る事が出来るのは自分だけなのだからここで倒れる訳にはいかない

 

 

そういった覚悟がフェイトを再びその場に立ち上がらせた

 

 

彼女は磔になっているプレシアを背に手に取ったデバイスをフラフラになりながら構え呟く様にこう告げる

 

 

「…お母さん、少しだけでもいい、力を貸して…」

 

 

立ち上がるフェイトの姿にゆっくりと息の根を止めようとちかづいていたイタチはその足を止める

 

 

強い意志が宿るフェイトの瞳

 

 

彼女は今、自分の恐怖心に打ち勝ち、護るべき人の為に再び立ち上がった

 

 

フェイトは自分のデバイス…バルディッシュとプレシアのデバイスを交互に構える

 

 

眼を瞑り集中力を高めて、自分の体内にへと魔力を蓄積し始めるフェイト

 

 

イタチは彼女のその姿に身構え突撃してゆく

 

 

間違い無く、これは彼女が次に何かしらの攻撃を行う為の蓄え

 

 

下手に時間を掛ければ危険なのは正に明白だ

 

 

イタチはすぐさま、眼を瞑り集中力を高めているフェイトにへと回し蹴りを繰り出す

 

 

だが、眼を瞑ったままの彼女は無意識にイタチのそれをまるで流れる様にかわした

 

 

そうして、接近してきたイタチに閉じていた眼を見開いて、反撃する様に片手に持っていたバルディッシュを突き出す

 

 

身体を反らして突き出されたそれを華麗に避けるイタチ

 

 

これ以上の攻撃は、反撃を受ける危険があると判断した彼はいったんフェイトから距離を取る

 

 

そういったやりとりをしている内にいつの間にか彼女の構えは解け、

 

両方の手にデバイスを持ったまま無言でイタチを見据えていた

 

 

彼女は自分から距離をとったイタチを見据えながらその重い口をゆっくりと開く

 

 

「…これが、私からの精一杯、そして最後の一撃です…」

 

 

イタチに向かい静かにそう告げるフェイト

 

 

その表情は彼を葬り去る事だけを考えている復讐者、そして大事な人を護る為に身を捨てた者の顔であった

 

 

イタチは静かに終わりの時が来るのを静かに肌で感じ取れた

 

 

彼女の身体からは紫電が溢れ出し、バチバチと音を立てて周りを包み込む

 

 

振り上げられたデバイスから発する雷はまるで一つの生命体の様に彼女の元へと降りたった

 

 

自分の今身体中にある全てを掛けた一人の人間を殺す為の魔法

 

 

彼女の元へと降りたったそれはまるで咆哮するかの様に雷の音をその場に響き渡らせる

 

 

その姿は蛇…いや、神々しい龍の様にイタチの目の前に君臨する

 

 

そうして、その場でフェイトは宣言する様に彼に向けて放つ魔法の名前を静かに告げる

 

 

まるで…処刑宣告の様に…

 

 

「…この魔法の名は…」

 

 

彼女は静かに瞳を閉じて魔法で具現化したそれを見上げたまま、神々しい雷の龍をジッと見つめ

 

 

この魔法の名前を静かにイタチにへと語る

 

 

「…麒麟…雷鳴と共に貴方に裁きを下す為に力を貸してくれる雷の神です」

 

 

そうして、出現したその雷の王はフェイトのバルディッシュにへと吸い込まれてゆく

 

避雷針の様に槍状になった鋭利なバルディッシュの尖端から伝うように全体にへと流れ込む雷の魔力

 

 

それを制御する様にプレシアのデバイスがフェイトに流れ込む魔力を抑え込む

 

 

「…く…ぅ」

 

 

膨大な魔力を抑え込むフェイトは思わずその辛さに声を溢す

 

 

膨大な魔力が流れ込んできたせいで身体中が悲鳴を上げているのが肌でわかるのだ

 

 

だが、そんな彼女の身体を何かが支えてくれているような気がした

 

 

それは、魔力を抑え込む為に使っているプレシアのデバイスからだ

 

 

まるで、自分の片手に誰かが優しく手を添える様な暖かさを感じさせられた気がした

 

 

(…お母さん、今…助けるからね…)

 

 

そうして、雷の衣を纏った彼女はバルディッシュをゆっくりと構えて一点に集中する

 

そう、狙うはこの一撃で仕留められる眼の前にいる男の急所…

 

 

二人の間には沈黙が漂いその瞬間を訪れるのを待つ

 

 

そうして、彼女は構えから技にへと移る

 

 

「…これで、終わりです!」

 

 

そう告げた瞬間、彼女の姿がイタチの眼の前から消えた

 

 

彼は反応出来なかった、規格外のその彼女の速さに

 

 

いや、正確には把握していたが予想外だったと言う事が恐らく妥当だろう

 

 

イタチに向けて、彼女の駆ける跡からは紫電が飛び散り、通過した地面に火花を散らしている

 

 

彼女は確信した、これは完全にイタチの裏を掻いた攻撃だと

 

 

だが、彼女はこの時違和感を感じた

 

 

何故、自分が攻撃を行うまでの魔力を蓄える時にイタチがもっと攻撃を加えてこなかったのだろうと…

 

 

やろうと思えば、先程使った忍術を駆使して阻止で来た筈だ

 

 

深く考え過ぎだろうとは思うが、最早ここで引き返すつもりはない

 

 

結果的に自分はこうして攻撃に身を移せた後はこの一撃を彼の身体に向かい突き刺すだけ

 

 

猛進した彼女は吠える様に雷を纏った一撃の名を叫ぶ

 

 

「…一撃必殺」

 

 

彼女は真っ直ぐにイタチの懐に飛び込むと、勢い良くそのまま真っ直ぐに手に纏う雷を解き放つ

 

 

イタチはこの時、彼女のその姿が一瞬だけ自分が大切にしていた者と重なった

 

 

かつて、自分と対峙したそいつが自分を葬り去る為に出した全力の技

 

 

…雷を手懐け、まさしく裁きを下す雷神

 

 

イタチは静かに眼の前に迫り来る雷神の一撃に何かを悟った様に静かに自分の瞳を閉じる

 

 

…わかっていた、最初から…

 

 

自分の結末など、こうなることさえも…

 

 

何かを悟り、静かに瞳を閉じたイタチはゆっくりとその両手を左右にへと開く

 

 

その姿は何かを受け入れる様に実に安らかな表情だった

 

 

閃光の様に切り裂く刃が轟音を立てて、身体にへと迫り来る

 

 

ーーーーそうして…

 

 

 

「…麒麟一閃!!」

 

 

 

フェイトの突き出したそれは、その名と共にイタチの身体を貫く

 

 

見事に彼女が狙った通りの場所

 

 

雷鳴が轟き、イタチを貫いたバルディッシュに蓄えられた雷撃がイタチの身体にへと全て開放される

 

 

だが、フェイトは止まらない…彼女はバルディッシュでイタチの身体を貫いたまま猛進する

 

 

「…はぁぁぁぁ!!」

 

 

イタチの身体から肉を抉る音、そうして骨や身体を破壊する音がフェイトの耳に確かに聞こえた

 

 

だが、バルディッシュでイタチを貫いた彼女は壁にそれを突き刺すまで猛進を止めなかった

 

 

それは怖かったからだ、イタチの見せた残虐な行為にその犠牲…

 

 

そして、あの漆黒の様な冷たい眼を見て彼女は内心で怯えていたのだ

 

 

その恐怖に打ち勝つ為にこの一撃に彼女は全てを掛けた

 

 

これでこの一撃で終わらせる為に…

 

 

イタチの力無く宙に浮く身体に、フェイトのバルディッシュは深々と貫通したまま直進する

 

 

 

この戦いを終わらせる為に…

 

 

 

だが、この時の彼女はまだわかっていなかった

 

 

 

自分の起こした最大の過ちに…

 

 

 

こうして彼等の話は結末にへと続いてゆく、

 

 

 

 

悲劇と言う名の哀しみを残してーーーーー

説明
沢山の血を流し、同じ一族を手に掛けた一人の男


彼は唯一の弟と対峙して命を散らせた。


愛する人も友も家族でさえ手に掛け、たった一人の愛する弟の為に命を賭した


そして、死んだ筈だった彼は自分自身が居た世界では無く、

気がつけば違う世界の中に存在していた

そんな彼の前に現れた一人の金髪の魔法少女


彼女と出会った彼はどの様な結末を迎えるのだろうか…



NARUTO、うちはイタチとリリカルなのはのクロスオーバー作品です未熟者ですが、宜しくお願いしします
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タグ
クロスオーバー ダークシリアス リリカルなのは うちはイタチ 

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