仮面ライダーエンズ 第十二話 計画と予想外とお宝争奪戦
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第三神羅博物館。

ルパン対策の警備として派遣されたアンジールとジェネシスは、銭形警部に会っていた。急な仕事とは、博物館の警備だったのである。

「ソルジャー・クラス1stのアンジールです。」

「同じくクラス1st、ジェネシス。」

「ICPOの銭形であります。今日は何とぞ、よろしくお願い致します。」

挨拶するアンジールとジェネシス。銭形は敬礼で応えた。アンジールは訊く。

「早速ですが、我々はどこを警備すればよろしいので?」

「警備する部屋は、展示室と制御室の二ヵ所です。」

展示室は代行者の碑文があるため、一番警備が重要視される部屋だ。制御室はその名の通り、監視カメラ等のセキュリティや冷暖房などを管理するための部屋なのだが、この博物館は毒ガスや催眠ガスの対策用に、全ての部屋に非常に強力なエアクリーナーを設置してある。これも管理しているのだ。なので、こちらは展示室の次に重要視される部屋である(当然補助電源は設置済み)。銭形の予想では、展示室と制御室への襲撃を行う、両面作戦が展開される可能性があるとのこと。

「あなた方はクラス1stですから、どちらか片方に一人ずついれば、それで十分でしょう。どちらがどちらの部屋の警備に行くかはそちらの自由です」

銭形からそれを聞いて、アンジールがジェネシスに言う。

「俺は制御室に行こう。お前は展示室に行ってくれ」

「わかった。」

というわけで、アンジールは制御室。ジェネシスは展示室を警備することに。銭形は展示室を警備するらしい。

「しかし、ずいぶんと酔狂なやつなんだな。まさか神羅の管轄にある博物館にまで手を出すとは…」

展示室。ジェネシスは銭形に言った。展示室の真ん中には、問題の代行者の碑文が安置してある。碑文を入れてあるガラスケースはバリアで守られており、ケースそのものも防弾ガラス製で、電流も流れていて触れたら即感電。他にも、様々なトラップが発動する仕組みとなっていた。

「ルパンは目的の品がある場所なら、どこへだろうと忍び込む男です。油断なさりませんように」

「わかっている。それと、敬語はよせ。俺も使わない」

「は、はぁ…」

たじろぐ銭形。彼はソルジャー、それもクラス1stと接触するのが初めてなため、少し緊張していた。何せ神羅自体が、国家にも匹敵、あるいは超えるレベルの巨大組織なのだ。いかにルパンを逮捕するまでは死なないと豪語している銭形とはいえ、正面から立ち向かって勝てる可能性は、ないに等しい。絶対に敵に回したくない相手だ。なので、あまり失礼なことはしたくない。

と、ジェネシスは突然、何かの本を取り出した。銭形は尋ねる。

「それは?」

「『LOVELESS』。俺が愛読している古典叙事詩だ」

「警備の最中に読書など!」

「犯行予告の時間まではまだ少しある。それより、お前は今回こそルパンを逮捕できるように専念しろ。」

「ぬぅ…」

銭形は黙らされた。ジェネシスの方が立場も実力も口も上なので、反論できない。そこへ、銭形の部下がやってきて、銭形に耳打ちする。

「なんか、すごいですねソルジャーって。」

「わしも見るのは初めてだ。しかし、ソルジャーのクラス1stというのは全員こうなのか?」

「悪かったなまともじゃなくて。」

どうやら耳も上らしい。

「他者からの基準はどうか知らないが、アンジールはわりとまともな方だぞ。」

ジェネシスはそう付け足しておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルパン、次元、五ェ門の三人は、少し離れた場所から、あらかじめ博物館に仕掛けておいた隠しカメラを使って、博物館内の様子を見ていた。

「アンジールにジェネシス、か…1stの中でも特に名の知られたソルジャーだな。まさかこの二人が派遣されてくるとは…」

二人のことを知っていた五ェ門。

「それだけ俺達が警戒されてるってことさ。」

あまり深く受け止めていないルパン。

「のん気なこと言ってる場合か。例の情報は本当に確かなんだろうな?」

やっぱり乗り気じゃない次元。それはそうだろう。最低ランクの3rdでさえ、五ェ門と同じことができるのだ。それを遥かに上回る1stの相手など、絶対にしたくない。

「ああ。もうすぐ、『連中』が行動を起こす。そしたら、作戦開始だ。」

ルパンは、ある集団が今夜、碑文を狙って博物館を襲撃するという情報を知っていた。間違いなく、大混乱が起こる。彼らは、その混乱に乗じて碑文を横取りしようと考えていたのだ。

 

そしてそれは、予告時間きっかりに起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…外が騒がしいな。」

まず異変に気付いたのは、ジェネシスだった。

「外が?」

銭形は首をひねった。実はこの展示室。博物館の中央にあるため、外の様子は容易には把握できない。しかし、ジェネシスは外の様子がおかしいと言うのだ。

その時、

「警部!大変です!」

無線で銭形に連絡が届いた。

「どうした!?」

「突然謎の一団が…う、うわああああああああああ!!!」

「おい!どうした!?応答しろ!!」

断末魔とともに途切れる無線。

「い、一体何が…」

「…」

ジェネシスは携帯電話を出し、アンジールに連絡した。

 

 

 

 

 

 

 

アンジールは制御室のモニターから、外の様子を見た。なんと、博物館は今、奇妙な集団から襲撃を受けていたのだ。しかも、その集団の戦力がおかしい。明らかにアンドロイドなのである。

「まさか…奴らは…!」

アンジールにとって、アンドロイドによる襲撃を行う相手など一つしか思い当たらない。

「ブラックドッグか…!!」

そこへ、ちょうどいい感じにジェネシスから連絡が来た。

「アンジール。今外で何が起きている?」

「ブラックドッグだ!ブラックドッグが襲撃をかけてきた!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブラックドッグだと?まさかあのテロリストどもが?」

ジェネシスとしても、それはかなり意外だったようである。銭形も驚く。

「ブラックドッグが!?」

「今外のソルジャー達が交戦しているらしい。」

そこへ、ジェネシス達と一緒に警備を行っていたソルジャーの一人が来た。

「ジェネシスさん!俺達はどうしたら!?」

ジェネシスは少し考え、命令する。

「お前達は行って、外の防衛に参加しろ。ここは俺と銭形がいれば十分だ」

「はっ!」

「ちょっ、何を…」

銭形が止めるのも聞かず、ソルジャー達は外の防衛をするために出て行ってしまった。部下数名とともに残される銭形とジェネシス。

「どういうつもりだ!」

銭形は当然問い正すが、ジェネシスは再びLOVELESSに目を戻し、ひどく落ち着いた様子で言う。

「ルパンの目的は、恐らくこの混乱に乗じて碑文を盗むこと。ならばなおさら、メインの戦力である俺とお前がここを離れるわけにはいかない。」

「まさかルパンは、連中の襲撃を知っていたと!?」

「そうでもなければ、ここに忍び込もうなどとは思わないはずだ。奴らもまだ命は惜しいだろうからな」

「な、なるほど…しかし、ブラックドッグの目的は一体…」

「決まっているだろう。連中もまた、碑文を欲しがっているんだ。」

代行者の碑文からは、常に膨大な量のエネルギーが放出されている。これをアンドロイドにでも組み込むつもりなのだろうというのが、ジェネシスの予想だ。

「確かにその可能性は十分に…」

「お前も部下をブラックドッグの迎撃に当たらせろ。どうせルパンと渡り合えるのは、俺とお前しかいない。」

その言葉を聞き、銭形は自分の部下達をブラックドッグの迎撃に向かわせた。銭形はジェネシスに対して、密かに戦慄する。

(知能だけでも凄まじいというのに、実力はどれほどだというのだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皇魔達は、ブラックドッグの襲撃から少し遅れて、博物館に到着した。

「何だ?もう始まってるぞ?」

日向は襲撃者の正体がわからず、ルパンの仕業だと思っている。しかし、ザックスは敵の正体を即座に看破した。

「あいつら、ブラックドッグのアンドロイドだ!」

「まさか旅行先でも連中とかち合うとはな…。」

クラウドはブラックドッグと鉢合わせたのにうんざりしている。アンドロイドの相手なら、一度きりで十分だ。

「でも、これは好都合だわ。」

しかし、ゆりにとってこの状況は、行幸だった。普通に考えれば、『警備に協力しに来ました〜』なんて言っても、追い返されるだけだ。本来ならレスティーの超能力でなんとかしてもらおうと思っていたところだが、その手間が省けたのである。

「どうするの?」

ゆりに作戦を訊くかなで。ゆりは作戦を伝えた。

「アンドロイドを排除しつつ、代行者の碑文を防衛。可能なら、ルパン一味を倒す!」

これが作戦の内容だ。

「音無さん!背中は任せてください!」

「抜け駆けすんな!音無の背中を守んのは俺だ!」

「お前ら!こんな時に喧嘩すんなよ!」

「大丈夫。結弦はあたしが守るわ」

「そういう問題じゃねぇよ!」

次々とボケる(当人は本気)直井、日向、かなでに対してツッコミを入れまくる音無。

「行くわよ!」

ゆりが自分の銃を抜くと、他の者も戦いの準備を整え、突入する。

「だから余は嫌だったのだ!!」

しかし皇魔は突入せず、悲鳴のような声をあげた。もう面倒事の匂いがプンプンするので、当然と言えば当然だが。

「大丈夫よ皇魔。」

しかし、嘆く皇魔をレスティーが慰める。

「何が大丈夫だというのだ!!」

「私にはセルメダルの自己増殖機能があるって言ったでしょ?今回私を楽しませれば、それだけ私の中のセルメダルは増える。だから私を楽しませてよ」

確かに、今回はメダルを一枚も手に入れられない状況だ。ならば、レスティーが唯一の補給源となる。

「…乗せられているようにしか聞こえんが…」

「いいのいいの!はい!」

レスティーはエンズドライバーとメダルを渡す。

「一応ね。」

「ふん…変身!」

 

〈クレアボヤンス!ヤリ!ホノオ!ク・ヤ・ホ♪クヤホク・ヤ・ホ♪〉

 

皇魔はエンズに変身し、レスティーとともに、先に突入したゆり達に続いていった。

 

一方、ルパン達はそれを目撃しており、次元はルパンに訊いた。

「おいルパン!こいつもお前の計算の内か!?」

「まさか。だが、やることは変わらねぇ。手筈はわかってるな?」

「うむ。」

「ちっ!しょうがねぇ…ここまで来たら、覚悟を決めるか!」

ルパンの確認に応じる五ェ門と次元。

「よし、じゃあ行くぜ!」

突入するルパン一味。

 

 

 

 

こうして、代行者の碑文を巡るお宝争奪戦が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かなで?入るぞ?」

仕事を終えて戻ってきたセフィロスは、かなでの班の部屋に入る。しかし、かなではいなかった。かなでだけではなく、ゆりとレスティーも。

「かなで?仲村?レスティー?」

部屋の中を捜すセフィロス。と、なぜかセフィロスは、今日査察に訪れた第三神羅博物館のことを思い出した。そういえば今日、あの博物館はルパンから予告状が来たとかで、厳戒体勢が敷かれていた。一般客の来訪はもちろん、ウチの生徒の来訪も禁じられていたはずだ。

「…まさか…」

妙な胸騒ぎを覚えたセフィロスは、窓を開けてホテルから飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先陣をきって進むザックスとクラウド。すると、早速アンドロイドが数体現れ、マシンガンを撃ってきた。

「いらっしゃいませー!」

ザックスはバスターソードを振って銃弾を防ぎながら駆け抜け、大きく跳躍。

「ロストグラウンド学園二年A組、ザックス参上!」

そのまま敵陣の真ん中に飛び込む。アンドロイド達の両腕からはかなでのハンドソニックのような刃が飛び出し、すぐにザックスに斬りかかっていくが、ザックスの方が強いので、返り討ちだ。と、ザックスの背後から襲いかかろうとしていたアンドロイドを、クラウドが斬った。

「同じく二年A組、クラウド。」

「サンキュークラウド!」

「突出しすぎだ。もっと周りを見ろ」

「りょーかーい♪」

二人はそれぞれの得物を振るい、アンドロイド達を片付けていく。

「先に行け!」

道を切り開いたクラウドは、ゆり達に叫んだ。

「ありがとう!」

「頑張って。」

「気を付けろよ!」

「任せたぜ!」

「頼むぞ。」

「お願いね。」

ゆり、かなで、音無、日向、直井、レスティーはそれぞれ言って駆け抜け、エンズは何も言わずに走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…」

アンジールは背負っているバスターソードを抜くと、目を閉じながらその側面に額を当てて、何かを祈り始めた。

そこへ、

「願掛けか?礼儀がなってるな。」

次元が現れる。アンジールはそれを聞き、バスターソードを背負い直した。

「そのバスターソード…使わないって噂は本当らしいな。」

アンジールは、バスターソードを使わない。それは、アンジールの家族に関係があった。

アンジールの家は貧しく、それでもと彼の父が必死で働いて、このバスターソードを購入し、アンジールはそれを受け継いだのだ。アンジールにとって、いや、アンジールの家にとって、このバスターソードは誇りなのである。形状こそザックスが使っているものと同型だが、込められている想いが違っていた。だからこそ、滅多なことでは使わない。彼がバスターソードを使うとしたら、それは自分にとって最も大切なものを守る時だ。次元はアンジールがバスターソードを使わないという情報を知っており、ゆえに一人で来たのである。剣を使わないソルジャーが相手なら、次元の勝率は一気に高まるからだ。

「どういう理由があるかは知らねぇが、俺相手にも使わないつもりか?」

「甘く見てもらっては困る。お前ごときに使う剣などない!」

言うが早いか、アンジールは次元に殴りかかった。次元は音速を超える速度で繰り出される拳をかわして距離を取り、愛用のリボルバーでアンジールの顔面を撃つ。しかし、アンジールはそれを、首を軽く動かすことでかわした。

「さすがは1st、だな。剣なしでもそれくらいはできるか…」

「…お前に誇りはあるのか?」

「?」

いきなり問いかけてきたアンジール。

「お前にも誇りがあるのなら、それを見せてみろ!」

アンジールは再び殴りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相変わらずLOVELESSを読みふけっているジェネシス。

「いい加減にせんか!こんな大変な時に!」

ついに激怒する銭形だったが、ジェネシスはLOVELESSに目を向けたまま、銭形に言う。

「そこに立っていると危ないぞ。」

「?」

次の瞬間、目の前にあるドアの向こうからマイクロミサイルが飛んできて、銭形に直撃した。

「うおわあああああああああ!!!」

銭形はミサイルを抱き抱えるような形で背後の壁まで吹き飛び、ミサイルの爆発を受けて気絶した。

「ル…ルパ〜ン…逮捕だぁ〜…」

完全にダウンしている銭形。と、

「深淵のなぞ それは女神の贈り物 我らは求め 飛びたった」

ジェネシスは突然、LOVELESSの朗読を始めた。

「さまよい続ける心の水面に かすかなさざ波を立てて」

「LOVELESS第一章、だな?」

破壊されたドアの向こうから、バズーカを持ったルパンと、五ェ門がやって来る。

「ほう…お前達のようなこそ泥でも、こういったものは読むらしいな?少し意外だ。」

ジェネシスは朗読をやめ、LOVELESSをしまう。

「まぁ、大人のたしなみってやつだな。」

ルパンはジェネシスの背後にある台座、そこに安置されている代行者の碑文を見てから、言った。

「そのわりには、盗みなどという大人らしくないことの常習犯らしいな。」

ジェネシスは自分の武器である刀身の赤い剣、レイピアを抜く。

「痛いところを突くねぇ〜。」

ルパンはそれを見ても軽口を崩さない。ジェネシスも余裕を保ったままだ。

「お前達に憧れを抱く犯罪者は多い。つまり、ここでお前達を仕止めておけば、今後の犯罪の抑制にも繋がる。」

「俺達が簡単に捕まると思ってんのか?」

「逆に聞こう。俺に勝てると思うのか?」

「まぁ苦戦は強いられるだろうなぁ。お前はソルジャーで、こっちはただの人間だし。」

「なら、痛い目を見る前に降参するべきだと思うが?」

ソルジャーと普通の人間では、モノが違う。ルパン達は他人より能力が高いだけのただの人間であり、人間以外の敵との戦闘を想定して生み出された存在であるソルジャーと戦えば、まず苦戦は避けられない。

しかし、

「そいつはできねぇ相談だ。俺にだって、意地があるからな。」

ルパンに退く気はなかった。五ェ門も自分の武器、斬鉄剣に手をかける。

「ソルジャー・クラス1stジェネシス!いざ尋常に勝負!!」

「…いいだろう。」

ジェネシスは軽く笑い、レイピアの刀身を撫で、魔力を込めた。すると、刃が光り輝く。

「少しは俺を楽しませろ。」

ジェネシスは斬りかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガードスキル・ディストーション」

かなでが呟くと、かなでの身体を一瞬光が包んだ。一斉射撃を行うアンドロイド達。しかし、かなでに向けて放たれた銃弾は、直撃する前に全てあらぬ方向へ飛んで行ってしまう。これぞ、かなでのガードスキルの一つ、ディストーションだ。ある一定レベルの威力までの遠距離攻撃を歪曲させ、無効化してしまう能力である。ゆり、音無、日向、直井はかなでを盾に射撃を行う。

「おおおっ!!!」

エンズは銃弾をもろともせずメダジャベリンを振ってアンドロイド達を倒していき、レスティーも念動バリアで攻撃を防ぎつつ、たまに衝撃波を出して反撃する。

「しかし何体いるんだ?キリがねぇぞ!」

倒しても倒しても現れるアンドロイド達に対し、危機感を覚える日向。するとそこへ、どこからともなく大量のコウモリが飛来し、それが一ヵ所に集中して、アーカードになった。

「なかなか面白そうなことになっているな。」

「アーカード!?」

驚く音無。アーカードはカスールとジャッカルを抜いて、アンドロイドの頭部だけを正確に撃ち抜き、倒していく。

「ここは私が引き受けよう。お前達は行け」

「アーカードさんナイス!」

ゆりは迷うことなく駆け出し、展示室へ向かった。

「おいゆり!」

慌てて追いかける音無。その後ろを迷うことなくついていくかなで。

「音無さん!待ってください!」

直井も続く。

「ちょっ、お前ら…ああくそ!すまねぇアーカード!」

日向は仕方なく、アーカードにこの場を任せた。アーカードはエンズとレスティーにも言う。

「お前達も行け。」

「えっ!?でも…」

「ならば任せよう。」

「皇魔!?」

「この男がそう簡単に死ぬか。行くぞ」

エンズは渋るレスティーを無理矢理つれて、この場を離れる。

「ククク…それでいい。」

全員が行ったのを確認したアーカードは、一人でアンドロイド達を相手にする。例のごとくアンドロイド達の攻撃は避けようともせず、全ての攻撃を受けながら、それでいて何の問題もなく反撃、カスールとジャッカルのリロードを繰り返す。

(さて…どこにいるか…)

 

 

 

 

 

 

 

 

次元は満身創痍だ。アンジールにボコられまくったからである。

「てこずらせてくれる…だが、終わりだ!」

ファイティングポーズを取るアンジール。次元は今のアンジールの位置を見て、薄ら笑いを浮かべる。そして、

「準備なら、こっちも終わったぜ!」

アンジールの背後にあったセキュリティのコントロールパネルを撃ち抜いた。

「何!?」

驚くアンジール。次元はずっとこの時を待っていたのだ。直後、次元はスモークグレネードを使い、煙幕を張って逃げた。

「しくじったか…ジェネシス…!!」

アンジールは展示室に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルパンがバズーカを持ってきたのは、単純にジェネシスの圧倒的な戦闘力に対抗するためだ。しかし、ジェネシスは五ェ門の攻撃を防ぎながら、バズーカから放たれるマイクロミサイルも的確に斬っている。要するに、あまり意味がない。そうこうしているうちにミサイルも尽き、仕方なくバズーカを破棄したルパンは、拳銃で攻撃を始めた。それすらも防ぐジェネシス。

「どうした?まさかそれで終わりじゃないだろうな?」

「くっ…これほどとは…」

「やるじゃねぇか。」

五ェ門には余裕がない。ルパンも平静を装ってはいるが、こちらもあまり余裕はなかった。

 

そこへ、

 

「ルパン!セキュリティを破壊したぜ!」

 

ルパンの耳にかけてある無線機へ、次元からのメッセージが。

「五ェ門!」

ルパンは叫んだ。その一言で全てを察した五ェ門は、

「おおおおおおおおお!!!」

突撃し、可能な限りジェネシスを碑文から引き離す。

「ルパン!!」

「あいよぉ!!」

ルパンは超小型爆弾を取り出し、碑文に投げつけて爆発させ、ケースを破壊。間髪入れずにマジックハンドを出し、碑文を掴んで引き寄せた。

「何だと!?」

驚愕のジェネシス。当然だろう。碑文を守るバリアの制御をしているのは、制御室。バリアが消えているということは、アンジールが負けたということだからだ。実際は負けたわけではなく、コントロールパネルを破壊されただけだが。

「ずらかるぜ五ェ門!!」

すかさずスモークグレネードを出そうとするルパンだが、

 

 

ズダァァァンッ!!!

 

 

ルパンの足元の床を、銃弾が跳ねた。

「碑文を渡してもらおうかしら?こそ泥さん♪」

撃ったのは、ルパンの背後にいるゆりだ。

「…へぇ…なかなかのじゃじゃ馬娘じゃねぇか。」

ルパンは即座に振り向き、射撃を行う。ゆりはそれをかわして近くの柱に隠れる。そのまままた撃とうとするが、銃は弾切れを起こしていた。

「ちっ…!」

ゆりは隠していたコンバットナイフを二本抜いて突撃。ルパンの銃撃を掻い潜って肉薄し、

「はあっ!!」

右のナイフで刺突を繰り出す。ルパンはそれをかわすが、ゆりはすぐに左のナイフを使って応戦。

「やるなぁお前。何もんだ?」

「あなたに研修を邪魔された学生とだけ答えておくわ。」

二人の実力はおおむね互角。ジェネシスと五ェ門は完全に空気であり、五ェ門はジェネシスに訊いた。

「あれもソルジャーの一人か?」

「いや、俺の友人から聞いていた、友人の教え子、だったか?」

ジェネシスはセフィロスから定期的に生徒の情報を得ており、ゆりの情報も聞いている。ずいぶんわがままで自分勝手だが、年相応な面もある女子生徒だと。

 

その時、

 

「ゆり、下がって。」

 

「!!」

声が聞こえて、ゆりは下がる。ルパンは声が聞こえた方向を見た。

「ガードスキル・シャウト」

そこにはかなでがいて、口からルパンに向けて光線を吐いた。

「立華かなで!?」

驚くジェネシスの目の前で、光線はルパンへと飛んでいく。

「うおおっ!!」

間一髪で回避したが、それでも衝撃によって吹き飛ばされるルパン。その拍子にルパンの手から碑文が離れ、宙を舞った。

「碑文が!」

落ちてくる碑文をキャッチしようと走るゆり。ジェネシスと五ェ門も駆け出す。

 

しかし、碑文が地面に落下することはなかった。

どこからかワイヤー付きのマジックハンドが伸びてきて、碑文をかっさらっていったからだ。

 

全員がマジックハンドが伸びてきた方向を見る。マジックハンドが伸びてきたのは窓。そして、その窓には、

「不二子!」

そう、峰不二子がいたのだ。不二子は碑文を手に、ルパンに言う。

「ごめんなさいねルパン。あなたも次元も五ェ門も、あのアンドロイド達も全員利用させてもらったわ。」

「何ぃ!?」

ルパンは不二子の発言に驚く。彼女がルパン達を利用することは、前にもあった。しかし今不二子は、ルパン達だけでなくアンドロイド達まで利用したと言ったのだ。普通はこの混戦に乗じて横取りするつもりだったのだろうと考えるが、ルパンは長年の経験から不二子の言葉の真意を読み取った。

「まさかお前、ブラックドッグとも手を組んでたってのか!?」

「そういうこと。あと一分でこの博物館に対してミサイル攻撃が行われるから、早く逃げた方がいいわよ?」

さっさと逃げようとする不二子。

「かなでちゃん!!」

ゆりの言葉を聞き、碑文を奪い返そうと不二子に挑むかなで。しかし不二子は素早くサングラスをかけると、手元でフラッシュグレネードを発動。

「!!」

強烈な光を顔面に浴びたかなでは気絶し、まっ逆さまに落ちていく。

 

しかし、別の窓を破って現れたセフィロスがかなでを救出した。

 

「セフィロス先生!?」

「セフィロス!?」

驚くゆりとジェネシス。セフィロスはかなでの顔を見てから、不二子のいた窓を見た。だが、不二子はとっくに逃げてしまっている。ルパンと五ェ門も、どさくさ紛れに離脱したらしい。そこへ、ようやく音無達が到着した。

「セフィロス先生!?」

「どうしてここに!?」

音無と日向は驚き、セフィロスは少し睨む。

「聞かせてもらおうか。なぜお前達がここにいるのかを」

しかし、

「説教ならあとにしろセフィロス。」

ジェネシスが状況を説明した。もうすぐこの博物館は、ブラックドッグのミサイル攻撃によって吹き飛ばされてしまう。早急な離脱が必要だ。と、エンズとレスティーが追いついてきた。ジェネシスは二人にも状況を説明する。

「レスティー。貴様の瞬間移動で離脱するぞ」

エンズは最良の提案をした。しかし、

「これ、使ってみて。」

レスティーはそれに答えず、一枚のコアメダルを渡した。メダルの名は、サイコキネシスコアメダル。念動力が使えるようになるメダルだ。

「それを使って、ミサイルを止めるのよ。」

「なぜそのような面倒な真似を?」

「確かめたいことがあるの。やって」

「…」

仕方なく、エンズはサイコキネシスコアメダルを装填し、ドライバーをスキャン。

 

〈クレアボヤンス!サイコキネシス!ホノオ!〉

 

クレサイホコンボにコンボチェンジした。そのまま跳躍したエンズは天窓を突き破って屋上に着地し、遠くの空を見つめる。夜なので暗いが、クレアボヤンスコアメダルの力を解放することで、数十ものミサイルを確認することができた。エンズは両手をミサイル群に向けると、サイコキネシスコアメダルの力を解放。ミサイル全てを握り潰すのだった。突然の爆発を見たザックスが、

「うお!?花火!?」

と驚いていたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

アンドロイド達が全滅し、

「全く…気付いたのが俺だからよかったものの、他のやつだったらお前達は停学になっていたところだぞ?」

などとセフィロスから厳重注意を受け、皇魔達は帰されることになった。彼らを先に帰し、セフィロスはジェネシスとアンジールに謝る。

「すまなかったな。」

「謝る必要はないさ。むしろ、ルパン一味相手によくやったと褒めてやりたい。」

「それに引き換え俺は…降格ものだな…」

「アンジール…」

落ち込むアンジールを、どうにかしたいと思うセフィロス。

「…大丈夫だ。お前はお前で、教え子達を守ってやれ。」

「…すまない。」

セフィロスはアンジールに一言謝り、帰っていった。

「…さて…」

ジェネシスは何かの端末を取り出す。実は彼は、碑文に超小型の発信器を取り付けていたのだ。これはそれを追うための端末である。当然アンジールはそのことを聞かされており、知ったうえで、未だにのびている銭形を起こしに行っていた。アンジールは銭形に回復魔法をかけ、意識を覚醒させる。

「はっ!ル、ルパンは!?」

飛び起きた銭形。

「もう逃げました。」

「くそぅルパンめぇ…」

悔しがる銭形。しかし、アンジールは言った。

「しかし、任務はまだ終わっていません。」

「え?」

 

 

 

 

 

 

「あーもう!ホントムカつく!」

ゆりはご立腹だった。ルパンの邪魔はできたが、結局碑文は盗まれてしまったからだ。しかし、そこへアーカードが現れた。

「ずいぶんと荒れているな?」

「うわっ!アーカードさん!」

「相変わらず何の前触れもなく現れるよなぁ…つーかどこ行ってたんだ?突然いなくなっちまうし。」

驚くゆりとザックス。

「そんなことはどうでもいいだろう?それより…ブラックドッグのアジトを知りたくないか?」

アーカードはアンドロイド達と戦っている間、アンドロイド達を指揮しているブラックドッグの隊長を捜していた。読者の皆様は不二子が隊長だと思うだろうが、実はブラックドッグ側も彼女を信頼してはおらず、監視の意味も込めて、隊長を派遣していたのだ。それを見つけたアーカードは、その隊長に対し、吸血を行ったのである。アーカードは吸血した相手が持つ情報を読み取ることができるため、ブラックドッグのアジトの情報も入手できたのだ。隊長は死んでしまったが。

「やっぱりナイスアーカードさん!」

ゆりはアーカードの両肩に全力で手を置き、そして拳を握りしめた。

「リベンジよ!!」

「「「…はぁ…」」」

クラウド、日向、直井は同時にため息を吐いた。

 

 

 

気絶したままのかなでをおぶっている音無は皇魔を見た。

「なぁ、なんかお前…息上がってないか?」

皇魔は、明らかに息が上がっていた。しかし皇魔は、

「気の、せいだ…」

と強がる。音無は、かなり戦ったから、そのせいだと思っていたが、

「…」

レスティーは違った。

彼女が確かめたかったこととは、皇魔が自分のコアメダルのパワーに耐えられるかどうかである。実は彼女のコアメダルは、コレク達の数倍近いパワーを秘めており、コレク達のコアメダルを使うより負担が大きいのだ。今までクレアボヤンスコアメダルのパワーに耐えてきたのだからもしかしたらと思ったが、やはり一枚増えるとなると違うらしい。

(この分だと私のコンボを使うのは、まだまだ先になりそうね…)

レスティーがそう思っていると、

「レスティー。」

皇魔が尋ねてきた。

「貴様、確かめたいことが、あると言っていたが…何だったのだ…?」

「…」

レスティーは真実を告げようかどうか少し迷い、結果、

「ううん、何でもないわ。」

言わないで、ごまかしておくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

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次回、

仮面ライダーエンズ!!

 

ゆり「大サービスで見せてあげるわ。」

 

かなで「お父さん…」

 

スパイダーマン「悪の絡繰を粉砕する男!スパイダーマン!!」

 

皇魔「コレク。貴様の力、貸してもらうぞ。」

 

第十三話 リベンジと天使と武装コンボ

 

 

ガードスキル・シャウト

 

かなでが遠距離攻撃用に生み出したガードスキル。口から光線を吐く。

 

 

サイコキネシスコアメダル

 

レスティーのコアメダル。エンズの腕をサイコキネシスアームに変化させる。

 

強力な念動力を使うことが可能。

説明
いつもそうですけど、ラストが支離滅裂です。
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