IS ラウラが夫!俺が嫁!? 〜第六話 長い長い夜の話〜
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夜中、説教の延長線上。

俺は寝る前に、一夏と一緒に千冬さんのマッサージをさせられてるよ。

ちなみに俺の担当は足の指圧。

 

「うーん、やっぱり難しいなぁ」

「そうか?上手いと思うがな、俺は」

「上手いかどうかは千冬さんが決める事だ。いかがですか審査員の織斑先生」

「痛っ…もう少し優しくしろ」

「ダメですよ。痛いから良く効くんです」

 

指に力をいれながら、そう答える。

だが、まぁ相応にこちらの指も疲れてきた。

 

「じゃ、俺は休憩入りまーす。後はよろしく、一夏」

「はい、了解。」

 

備え付けの簡単なキッチンに向かい、やかんに水を入れコンロのつまみを捻る。

 

「〜?」

 

鼻歌交じりに、湯が沸くのを待つ。

 

『……そろそろかな』

 

鼻歌を止め、鳴り出しそうなやかんに手を伸ばす。

が、同時に部屋の方から『きゃあっ!?』という声が五つ聞こえ、おもわず手が止まった。

 

「何をしている、馬鹿者どもが」

 

……やかん一つじゃあ足りなさそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

「あははははは!!面白っ!!」

 

四人がふすまの前にいた理由。それを聞いて、爆笑せざるを得なかった。

 

「…五月蝿いぞ金沢」

「いや、この状況は笑わざるを…」

 

ちなみに、一夏は二度目の風呂に入っている。

と、五人に物凄く睨まれた。怖え。

 

「…悪かったよ恋する乙女の皆さん。で、ラウラはどういった事情の元に来たんだ?」

「わ、私は…」

 

もじもじして、黙り込まれた。なんかよく見る光景な気がしたが、気には止めない。

と、唐突に千冬が口を開く。

 

「おい、金沢。売店でつまみを買ってこい」

「パシリ!?ヒドイよジャイ◯ン!!」

「いいから行ってこい。」

 

理不尽だ。唯一助かったのは小銭が投げ渡されたところ。

仕方なく、ふすまに手をかける。

 

「…まぁ、ゆっくりして行きな、皆さん」

 

捨て台詞を残し、廊下を西へ向かう。

その突き当たりにある階段を下ると、目の前に現れたるは売店。

 

「いらっしゃい」

 

結構高齢のお婆さんがカウンターに座っていた。

テキトーに商品を見て回る。

 

「…お」

 

面白そうな品物を発見。…した瞬間、脳にインスピレーションが湧いて来た。

 

「よし!決定!すみません、これ下さい。後これも」

「はい、568円になりますよ」

 

釣りが出ないように小銭を払い、売店を出る。

足先は、部屋と違う方向を向いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

ふすまを引くと、中では千冬さんが腹を抱えて(声は出さずに)爆笑していた。

 

「…何このカオス空間」

 

さらに、ラウラ以外の四人の女子は羨望の眼差しで一点を見ている。

その視線の先には…ラウラ。また、耳まで真っ赤に染めている。肩も若干震えてるし。

 

「…何があったの?」

「くくっ…さぁ、な」

 

千冬さんがめちゃくちゃ意地悪な顔(ただし大爆笑)で答える。

うわ、すごく気になる。

 

「ラウラ、何話してたんだ?」

「そ、そんな恥ずかしいこと言えるか!」

 

恥ずかしい話か。うん、それなら納得できるかも。

俺にもいくつか恥ずかしい話あるからね。

 

「…竜也、意外と鈍感だよね」

「俺?一夏だろ、そりゃあ」

「…そういうところが一夏とはちがうんだよね…ラウラが羨ましい」

「?わからん」

 

言いながら千冬さんの手元を見て、問う。

 

「…千冬さん、ビール何本目?」

「ほんの二本目だ」

「あーもう!お酒は控えろって言ったじゃないですか!!しかも仕事中!!」

「なんだ、お前は私から唯一の楽しみを奪うのか?」

「お酒は体に良くないですよ!三本目は許しませんからね!」

「む……私を止められると思うか?」

 

無理だと思う。

ため息が出て、最大限の譲歩をした。

 

「わかりました、俺が今からおつまみ作るんで、それで我慢して下さい」

「お前…つまみは酒を飲むためにあるだろう」

「ちがいます、お腹を満たして酒の摂取量を減らすためです。」

 

台所の前に立ち、ビニール袋を置く。

 

「はい、そこの恋する乙女たち必見。織斑姉弟お気に入りの一品を作ろうと思うよ!

「「「「!!!!!」」」」

 

女子四人組の反応速度には驚きだ。

エプロンをつけながら、ビニール袋からキャベツ、ベーコン、ソーセージを取り出す。

 

「…おい、金沢。売店にキャベツがあったのか?」

「もう捨てちゃうって言うので厨房でもらって来ました。」

「そ、それで、何を作るんだ?」

 

メモの用意をしっかりした箒さんが聞いて来る。

いいでしょう、答えましょう。

 

「その名も『ザワークラウト』!今回は即席だがね」

「ザワークラウト?」

 

声をあげたのはラウラ。それもそうだろうねえ。

 

「ドイツの一般的な付け合わせだろう、作れるのか?」

「はっはっは、この前のシュニッツェルの味を忘れたわけではあるまい?」

「キャラ崩れてるわよ」

 

と、何か思い出したようにラウラは赤く。…なりすぎでしょう。回数的にも、質的にも。

 

「あ、あれは美味かった……ぞ…///」

「そう?うれしいな、また作るよ」

「あ、ああ」

「おい、あまり惚気るな。周りの女子どもがあてられてる」

「え?あ、どうした皆」

 

なんか、よくわかんない表情でこっちを見てるよ。

シャルルは陰で『僕もいつか一夏と…』とかなんとか。よく聞こえねえ。

 

「じゃ、まずはキャベツとベーコンを刻んでくよー。出来るだけ細い方がいいかな…あぁ、でも一夏は多少大きい方がいいって言ってたかな。」

 

手際良く、包丁を躍らせる。心地よく、まな板と刃が当たる音が響く横で、女子たちは必死にメモをとっている。

それを暇そうに千冬が眺める。

 

「さて、刻み終わったところで耐熱皿のご登場。ソーセージを並べて、刻んだ二つを乗せて…塩を振って、後はレンジへinto!さすが文明の利器!ぱねえ!」

「なんか、テンションがおかしいわよあんた」

「おっと、ラップを忘れちゃいけないな!時間は好みだが、千冬さんは3分半くらいが好きらしいからその通りに。一夏は…4分半だって言ってたような。そのくらいかな。しばしお待ちを」

 

3分半は、千冬さんがビールを取ろうとするのをラウラと二人で止めているだけで過ぎて行った。

 

「あ、終わったね。じゃあこれにレモン汁、後は山椒をかけて…ウインナーとベーコンを添えて完成だぜ!!お疲れ俺!」

「やっとか。待ちくたびれたな」

 

千冬の目の前に皿をおき、割り箸を差し出す。

 

「でもまぁ、本当に付け合わせだから日常的にも非常に役立つんですな。肉料理に添えるだけで幅が広がるよ。」

「うむ、美味いな。この酸味がちょうどいい」

「YATTANE、褒められたよ!」

「「「「「……………。」」」」」

 

じー、と、今度はラウラを含めた五人から見られる。

…えーと。あ、そっか。

 

「はいはい、もちろん全員分用意してあるから大丈夫だよ。今お皿持って来るね」

 

うん、俺って気が利く。小皿を取りに奥に向かうと、ラウラが後ろからついて来た。

 

「どうした?」

「その…なんだ。……こんど、料理を教えてくれ」

「?おーけーだよ。何時でも任せなさい」

「…お前に、何か作ってやる///」

「お?」

 

ラウラはそう言って俺の手から小皿を奪い取り、逃げるように座敷へと向かった。

 

「…若干、小っ恥ずかしいけど…」

 

 

 

こういうのも、いいかな。

 

 

 

 

 

 

「何笑ってんですか、千冬さん」

「くくっ…ガキどもが、まだまだ若いな」

「き、教官……///」

「…あんまり言うとビール全部捨てますよ」

「悪かった」

 

説明
第六話。PCがゴミ過ぎてエラーが止まらないので無修正で後悔する事を御了承ください
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IS インフィニット・ストラトス ラウラ・ボーデヴィッヒ 

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