恋姫無双 槍兵の力を持ちし者が行く 5話
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皆さんこんにちは。蒼です。

前回かっこよく洛陽を出ていったわけですが……

只今倒れています。原因は日射病。水筒の水が漏れてて水分摂取が出来ない状況に……マジで洒落にならん。ふざけている場合じゃない。目も霞んで来た。誰か助け…て…。

 

 

―side 星

 

 我が名は趙子竜、真名は星。我が武を預けるに値する主を探す旅をしている。

 しかし、ひょんなことから一人ではなく、三人で行動している。

 

 「うーん、なかなか着きませんねー。風はもう疲れました」

 

 「しょうがないでしょう?次の街までは遠いと言ったはずですよ」

 

 こう言い合っているのが私の旅の仲間だ。

 のんびりしている方が名は程立、真名は風という。一見のほほんとしているが、物事の本質を見る目は私達のなかでも一番だ。

 真面目な方は名を戯志才、真名は稟、しっかりとしていて、我らの世話役兼突っ込み役だ。

 

 私か?私はこの旅の護衛役をしている。これでも一人で二人を守ってるわけだからかなり気を遣う。

 

 「ふむ、私も風の言うことも一理あると思うが、稟、どこかに休める場所はないか?」

 

 「全く星まで……分かりました。もう少し行けば川があります。そこまでは頑張ってください」

 

 よし、ならばもう少し気張ろうか。川で少し水を浴びたい。それにしてもなんという暑さだ。このままでは干からびて…ん?誰かが倒れている?

 

 「おやー。あそこに人が倒れていませんか?」

 

 「ええ、誰かが倒れていますね」

 

 私の見間違いではないようだ。

 

 

 

 

 

 助けに向かった我々はその旅人が生きていることに一安心しつつ、彼の状態を確認すると、ただ暑さにやられただけとわかり、彼も川に連れて行くことになったのだが……

 

 「連れていく方法がこれしかないとはいえ少し同情するな」

 

 運ぶ方法として荷物は稟と風で、私は彼を引きずっている。幸運なのは彼の意識が殆どないことだろう。

 それにしてもこの男、持っていた赤い槍といい、鍛練していたと思われる体といい、なかなかの者と見た。是非とも手合わせてもらえないだろうか。

 

―side out

 

 何だか背中が痛い。それに誰かが乗っているような重苦しさを感じてた。

 また、なんだか涼しい。感覚的に木陰にいることがわかる。

 おそらく誰かに助けられたのだろう。じゃなきゃ人攫いか……

 まず前者なら礼を言わなきゃならないなと思いつつ、目を開けると―

 

 「お!起きましたねー。お兄さん。大丈夫ですかー。私達が見つけなきゃ干からびていましたよ」

 

 目の前には頭に人形を乗せている小さな女の子が俺に乗っかっていた。

 

 「えーと。俺を助けてくれたのは君かい?その事については有り難いのだが、俺の上から降りてくれたら助かる」

 

 「助けたのは風だけの力ではないのですよー。後二人いるのですが、今その二人は川で水浴びをしていましてそれが終わるまでは我慢して欲しいのです」

 

 この風(恐らく真名)という子の言い草から察して、女三人で旅をしているのだろう。

 俺はその二人が早く戻って来ることを願いつつ、木陰の涼しさを堪能していた。

 

 その後、二人が戻ってくると、風という子は俺から降り、立たせてくれた。俺は礼を三人に礼をしつつ自己紹介をした。

 

 「助けてくれてありがとう。あのままだと多分死んでいた。俺の名は李高 雲犬、好きに呼んでくれ」

 

 「いえ、此方は当然のことをしたまでです。私の名は戯志才と言います」

 

 「風は程立というのですよ」

 

 「私の名は趙雲 子竜と言う。李高殿は中々の武をお持ちと見える。後で手合わせを願いたい」

 

 驚いた。少し見ただけで非凡とわかった。そして偽名を使っているのかしらないが、あのちびっこ不思議ちゃんが程立(程c)で、眼鏡の委員長キャラが戯志才で、青髪の一癖ありそうなのが趙雲とはな。戯志才と程立が魏繋がりで一緒にいるのはわかるがまさか趙雲とね……少し探りを入れたいが、趙雲の今すぐ戦えオーラが半端ない。俺も趙雲がどれくらい強いか確かめたいが、どのぐらい時間がたっているのかわからないが、腹が減っている。

 

 「趙雲殿には、申し訳ないんだが、俺は腹が減っていてね。どうだいここで腹ごしらえをしてその後というのは?」

 

 「ふむ、そうかならばここで食事をし「ちょっと、星!」いいではないか。もう昼過ぎだ。」

 

 というように戯志才を無理矢理言いくるめ、結果として食事をし、その後手合わせと言うことになった。

 

 食事をしている時に旅をする理由が俺と大体は同じ、王を探すことがわかった。(唯一の違いは俺は仕える王が決まっていて、向こうは決まってないことだが)それと、三人は旅の途中で偶々一緒になったらしい。

 

 

 

 食事を終えた後、戯志才と程立が審判を務め、俺と趙雲が向かい合っている。

 

 「んじゃ、はじめますか。我が名は李高」

 

 「此方も、万端だぞ。

 我が名は趙雲」

 

 「「いざ、尋常に勝負!」」

 

 名乗りをお互いに上げ、示し合わせたように間合いに入るまで距離を詰める。

 しかし、お互いの得物は槍。間合いは同じ。勝敗の行く末はいかに速く、鋭く攻撃出来るかの勝負になる。いくら某槍兵の体だとしても、相手はおそらく槍を使わせたら三国一の趙子竜だ。かなり厳しい戦いになると思ってたのだが……

 

 「ハァ!ハイハイハイー!どうした?避けたり防ぐだけでは勝てんぞ!その槍は飾りか?」

 

 そんなことを避けている最中に考えていたからだろう、攻勢が来るように俺を挑発しているようだが、そんな挑発には乗らず、ただ趙雲を観察する。

 確かに槍の基本の動きは出来ている。しかし、槍の弱点の近距離を意識しすぎて、攻撃が雑だ。

 それに速いことは速い。力強いことは強い。しかし、中途半端なのだ。速いが最速ではなく、強いが最強ではない。

 

 「中途半端だな…」

 

 「何?私の武が中途半端だと仰るのか?」

 

 「そうだ。趙雲は中途半端だ。速いが、反応出来る速さだ。強いが、防げる強さだ」

 

 「言わせておけば!ならば李高!貴様の武で証明しろ!」

 

 俺の一言で逆に趙雲を怒らせてしまった。が、こんな槍が趙子竜の槍と言って欲しくない。

 俺が戦いたいのは一騎当千の趙子竜だ。だから……

 

 「教えてやるよ。一つを極めようとする武を」

 

 確かに速さと強さを両方を極めたら、無敵になるだろう。だが、それは不可能だ。だからこそ、人は一つを目指し、極め頂点に立つ。

 

 趙雲との間合いを開ける。

 

 見せてやる。これが、俺が目指す武。

 

 「神速を……いや、最速を目指す槍だ!」

 

 そして俺は一気に間合いを詰めて攻撃をする。攻撃方法は槍の真髄、刺突の一択、斬撃や打撃などの線の軌道とは違い、見切りにくい点の軌道。

 それに俺は今までの全ての速さを注ぎ、連続で放つ。

 

 「くっ」

 

 趙雲は反応しきれていない。証拠に幾つかの傷が出来ている。

 このまま倒すことは可能だが、今回の目的は一つの武の道を見せること、だから、槍を狙う!

 そして、趙雲の槍を弾き、そのまま槍を趙雲の前に向け、趙雲に宣言する。

 

 「俺の勝ちだな」

 

 「勝負ありですよ。それにしても李高さんは凄いですね。星ちゃんが一方的に負けるなんて初めて見ましたよ。」

 

 程立が終了の宣言をする。

 だが、今回の目的は俺の武を趙雲に見て、何かを感じて欲しかったのだが、見た限りよく分かってないようだ。

 

 

 

 

 

 戦いが終わり、俺は槍を取りにいった趙雲を追いかけた。やはり、自分の武を否定されたのがショックなのだろう、少し暗い。まったく、こういうのは柄じゃないと思ってるんだがな……

 

 「よう。お前の武が中途半端だという意味が分かったか?」

 

 「それは私が弱いということですかな?」

 

 「確かに、今のあんたは弱い。武には力が必要だ。けど、槍には速さが必要だ」

 

 「だから、私は!」

 

 「力と速さを両立出来るのは、一介の将までだ。必ず壁がくる。趙雲、あんたもそうじゃないのか?」

 

 「ならば、どうすればいい?」

 

 「それは自分で考えな。自分で出した答えが一番納得するよ。

 まあ、助言をやると一つを極めてみるのがいいんじゃねえのか」

 

 「つまり、力か、速さかというわけですかな」

 

 お、少し分かったようだな。だがまだ何か悩んでるようだ。

 

 「しかし、あなたは速さを極めようとしているようですが、対策を立てられた時はどうなさるおつもりか?」

 

 「ふーん。お前はそれに悩んでるわけか。

 俺なら対策を立てられたら……」

 

 「立てられたら?」

 

 「今までの自分より速く、相手が対応出来ないくらい速くなればいい。それが、豪傑に必要なことだと考えてる。ま、後は自分で考えな」

 

 そうだ、対策をとられるぐらいの速さなど俺の目指す『最速』には程遠い。その対策をも追いつけない、俺ですら追いつけない程の『最速』、それが俺の目指す武。

 俺はこの決意を再確認しつつ程立と郭嘉な所に戻っていった。

 

 

―side 星

 

 李高殿が風と稟の場所に戻っていくのを見ながら私は一人で考えていた。

 

 立ち合いの最中、彼に中途半端と言われた時、怒りを感じた。

 武を志した私はある壁に悩んでいた。

 それは世に残る豪傑は力がある者ばかりだ。

 だから、自分も力を求めたが限界を感じた。だから足りない部分を速さで補ってきた。いつか私も世にいう豪傑になれると信じて。

 その努力を中途半端と言った彼を許せなかった。

 

 だが、それは間違いだった。彼が繰り出した刺突はあまりに速く、鋭く私が近付くことが出来なかった。

 そして、同時に彼の武を見た。あまりに真っ直ぐに、あまりに速い武に魅せられた。まさに今まで私が目指していた豪傑と対極の存在。

 

 そして戦いの後、彼は言った。

 このままではダメだ。更に上に行くために一方を捨て、一方を極めろと言った。

 恐らく彼は速さを極めたのだろう。だがそれを破られる不安はなかったのか?……それは彼に対しての疑問であり、私が極めることに躊躇する理由。

 だからこそ聞いた。

 すると、驚く返答が来た。彼は、それならば自分を超えてみせると。

 そう言って来た。その姿は余りに愚直。自分の武を信じ、また信じずに、更に上を目指そうとしていた。

 私はその姿に見惚れ、またその時、私の目指す武が見えた気がした。

 

 

 

 

 その後、彼はしばらく私達と旅をしたが、やることがあると言って私達と別れた。

 彼と別れて私は決意した。彼に次会うときは、私の本当の武を見せようと、彼より速い武を極め見せてやろう。

 李高殿、またいずれ。今度は勝たせてもらいますぞ。

 

 

説明

 次は本編ではないかと……

 連続投稿はここで打ち止め
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コメント
赤い槍一本ってことはクーフーリンの方か。無手も強いってことはいずれ槍投げするな。(アルヤ)
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