魔装機神インフィニット・ストラトス
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第三話「一日目終了」

 

 

〜IS学園一年一組〜

 

「うう・・・」

 

「おい、一夏。何時まで唸ってんだよ」

 

放課後、俺は机の上でうずまっている一夏に声をかけた。

 

「だ、だってよぉ〜雅樹。全然意味がわかんねェンだよ。なんでこんなややこしいんだ・・・?」

 

「自業自得だ。そもそも参考書を古い電話帳と間違えるなど、アホか貴様は」

 

「ううっ・・・」

 

クリスカの辛辣な言葉に一夏さらに縮こまってしまった。

 

「ああ、織斑くん、龍見くんも、まだ教室にいたんですね。よかったです」

 

「はい?」

 

「ん?俺達に何か用っすか?」

 

呼ばれた方を見ると副担任の山田先生が書類片手にやって来た。

やっぱ、年上には思えないんだよな〜この先生。

 

「えっとですね。寮の部屋が決まりました」

 

そう言って山田先生は俺と一夏に暗証番号の書かれた紙とキーを手渡す。

ここ、IS学園は全寮制だ。生徒はすべて寮で生活を送ることが義務付けられている。これは将来有望なIS操縦者達を保護するという目的があるらしい。現にイーニャとクリスカは今日から寮生活を送るから日用品を今朝方、運送業者に運んでもらって行ったのだ。

 

「あれ?俺らの部屋決まって無いんじゃなかったんですか?前に聞いた話だと一週間は自宅から通学してもらうって話だったんですけど」

 

「そうなんですけど、事情が事情なので一時的な措置として部屋割りを無理やり変更したらしいです。・・・・織斑くんと龍見くんはそのあたりの事って政府から聞いてます?」

 

最後あたりは俺達に聞えるように耳打ちする。

因みに政府っていうのはもちろん日本政府。なにせ今まで前例のない『男のIS操縦者』だもんな。

IS学園で保護って形にすれば向こうも安心するってわけか・・・。

 

「そういう訳で、政府特命もあって、とにかく寮に入れるのを優先したみたいです。一か月もすれば個室の方が用意できますから、しばらくは相部屋で我慢してください」

 

「それはいいんですけど、荷物は一回家に戻って取りに行かなくちゃなんないんで、もう帰っていいですか?」

 

「あ、いえ、荷物でしたら―――」

 

「私が手配しておいてやった。ありがたく思え」

 

何でだろう。千冬さんの声を来た瞬間、ダース○イダーのテーマ曲が流れてきた様な気がしたんだが、気の所為か?

 

「ど、どうもありがとうございます・・・」

 

「あ、ありがとうございます千冬さ―――じゃなくて、織斑先生」

 

「まあ、生活必需品だけだがな。着替えと、携帯の充電器があればいいだろう。それと、龍見の方は夏樹さん―――お前の母親が用意してくれたのだがな」

 

さっすが、お袋。頼りになるぜ。

 

「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は六時から七時、寮の一年生用食堂で取ってください。因みに各部屋にはシャワーがありますけで、大浴場もあります。学園ごとに使える時間が違いますけど・・・・えっと、その、織斑くんと龍見くんは今のところ使えません」

 

まぁ、しょうがねぇよな。そればっかりは。

 

「え、何でですか?」

 

コイツ、アホか?

 

「アホかお前はまさか同年代の女子と一緒に入りたいと言うのか?」

 

「一夏、イーニァの半径一キロ以内に入るんじゃねぇ。変態がうつる」

 

「いちか、へんたいなの?」

 

「・・・どうしようもない変態が」

 

「グハッ!?」

 

イーニャの純粋な目で見つめられ一夏は吐血した。

クリスカもイーニャを背に庇いながら一夏をゴミを見るような眼で見てきて、蔑んだ。

 

「おっ、織斑くんっ、女子と風呂に入りたいんですか!?だっ、ダメですよ!」

 

「い、いや、入りたくないです」

 

「ええっ?女の子に興味無いんですか?!そ、それはそれで問題の様な・・・・」

 

また山田先生が暴走しちまったー!?しかも、その発言を聞いて周りの女子たちから不穏な会話が聞こえてくるんですけどー!!

 

「お、おい、一夏。さっさと寮に向かおうぜ?ここにいたら色々とヤバい事になりかねぇからよ」

 

「ん、そうか?」

 

コイツは殺気の周りの女子の会話を聞いてなかったのか?

そして俺達は、千冬さん達に別れを告げ教室を出ていった。

因みに教室を出ていった直後・・・

 

「あ、おい。雅樹!」

 

「なんだよ?」

 

一夏に呼び止められ振り向くと何故かイーニァとクリスカまで呆れた目で見てた

 

「寮はこっちだぞ」

 

「・・・・・・まさき」

 

「相変わらずの方向音痴だな」

 

「わ、わかってるって、ちょ、ちょっと間違えただけだ!」

 

言っとくが俺は方向音痴じゃないから?ただ、この学園が広くてまだ覚えていないだけだ!

 

 

 

 

 

〜IS学園一年生寮〜

 

「一夏、お前の部屋番号は?」

 

「えっと・・・1025だな。雅樹は?」

 

「・・・1024」

 

どういうことだ?俺と一夏の部屋番が違うぞ?

 

「マサキ、となりのへやだね!」

 

「ん、イーニャの部屋って1023なのか?」

 

「うんっ!クリスカといっしょだよ」

 

そう言ってキーの番号を嬉しそうにみせるイーニャ。

 

「そうなのか〜良かったなイーニァ。クリスカもなんかあったら遠慮なく来いよ?」

 

「うんっ!」

 

「それは此方のセリフだ」

 

そんな話をしていると自分の部屋の前に来ていた。

 

「んじゃ俺はこっちだから」

 

「まさき、いつでもへやにきてね?」

 

「部屋に来るのは自由だ。好きにすればいい」

 

そう言ってイーニャとクリスカは自分の部屋に入っていった。

 

「んじゃあ一夏。俺はこの部屋だから」

 

「おう、お互い頑張ろうぜ?」

 

「そっちもな」

 

そう言って俺と一夏は自分の部屋に入っていった。

 

ガチャ。

 

部屋に入るとまず目に入ったのは大きめのベットが二つ並んでいた。そこらのビジネスホテルよりよっぽど上等な部屋だ。これが国立の了って奴か、っていうか俺の部屋よりずっと広いな・・・。

その上に同室の奴らしき荷物が置かれて俺はそれとは違うベットに荷物を下ろし、自分も腰を下ろした。

 

「うおっ、なんつうモフモフ感。かなり上等なベットだな」

 

同室の奴はシャワーを浴びているのか?

そう考えると同時にヤバいと思った。もしバスタオル一枚とか素っ裸で出てこられたら変態の烙印を押されかねん。

 

「あー今日から同室になった、龍見雅樹だけど・・・」

 

そう考えた俺はシャワー室のドアの前に立ちシャワー室にいるであろう人物に声をかけた。

 

『えっ・・・雅樹?』

 

ドアの向こうから独特の曇りのある声が響き、俺の名前を呼んだ。

 

キュッ・・・・。

 

シャワーを止め、ドア越しで体を拭き、着替える音が聞こえてきた。

その音に内心ドキドキしながらベットに腰かけて待っていると、

 

「遅くなってすまない」

 

「いやいや、こっちこそ悪かった――――」

 

シャワー室から出てきたのは上質な黒髪を濡らし、湯上りで上気した頬がなんとも言えない色気を醸し出し寝巻用の着物を着た幼馴染みの篁唯依が立っていた。

 

「ゆ、唯依・・・?」

 

「・・・・・(コクリ)」

 

俺の言葉に唯依頷くだけでそのまま下を向いてしまった。

その後、なんとも言えない沈黙が流れたが、

 

ズドンッ!

 

「「っ!?」」

 

突然隣の部屋からものすごい音が鳴り響いた。

様子を見る為にドアを少し開け、周りを見回すと、

 

「・・・・・何やってんだお前?」

 

「雅樹、助けてくれ!」

 

何やら一夏がドア越しでドアに助けを請うように縋っていた。よく見ると、ドアに木刀の先端が突き抜けていた。

 

「あれ、龍見くんの部屋って織斑くんの隣なんだー」

 

「えっ!?うそ、どこどこ?」

 

「やべっ!」

 

バタンッ!ガチャッ・・・・。

 

一夏の様子を見ていた女子がこっちに気付いたので、俺は慌ててドアを閉め鍵をかけた。

ドア越しから一夏の裏切り者ー!という声が聞こえてきたが明日なんか奢ってやるよ。

 

「どうだったんだ?」

 

「ん?ああ、一夏の奴がおそらく箒の奴になんかしたみてぇだな。問題ねぇよ」

 

「そうか・・・・」

 

「あ〜そういえば昼休みん時に聞いたけど、今航空自衛隊に所属してんだっけ?」

 

「あ、ああ。伯父様の推薦でな。そこのテストパイロットもしている」

 

「へぇ〜そうなのか?すげぇな・・・」

 

さっきも言った様に俺と唯依、それにクリスカにイーニャ、一夏と箒で昼食を取った時に自己紹介をした。といっても、唯依と箒にイーニャとクリスカの紹介をするだけだったんだけどな。

でも、そこで意外だったのがイーニャがあっさり唯依に心を開いた事だ。イーニャと、それにクリスカも過去の事があって人間不信な所があり、俺とお袋も最初は苦労したし、現に付き合いの長い一夏にはいまだ警戒している。それだけにイーニャが唯依に心を開いた事がクリスカに余計な警戒心を与えてしまって、唯依を警戒している。

 

「ところで、雅樹。授業で訊いていたが本当にお前はISの知識は大丈夫なのか?」

 

「おう!そこん所は大丈夫だぜ?クリスカにみっちり仕込まれたからな!」

 

忘れもしねぇあの地獄の日々。クリスカのスパルタ授業は思い出しただけで寒気が・・・。イーニャがいなかったら発狂してたぜ・・・。

 

「そ、そうか・・・」

 

「?」

 

なんか唯依が少しガッカリしているけど、どうしたんだ?まさか、俺が勉強してた事がそんなに意外だったのか?そ、そりゃあ、小学の頃は成績はかなり下だったけどよ・・・・。

 

「そ、そうだ!雅樹、勉強もいいが剣の腕は鈍っていないだろうな?」

 

「へっ、当ったり前だ!中学の時は全中優勝したくらいだぜ?」

 

「ほう、それは楽しみだな。では明日、久しぶりに手合わせしないか?」

 

「おう!いいぜ。昔の俺と思うなよ?」

 

実は俺は唯依に昔っから剣道の試合で一度も勝ったことが無いのだ。だから、その機会がこんな早く巡ってきて嬉しく思う。

 

「そんじゃあ、早く寝ちまおうぜ?っと、その前にシャワー、シャワーっと」

 

「いや、その前に部屋のルールを決めなければ・・・」

 

シャワーを浴びようと着替えを取り出そうとしていると、唯依がそんな事を言い出した。

 

「ん、そういえばそうだな・・・で、何を決めんだ?」

 

「まず、入浴の時間なのだが、私が先でいいか?」

 

「おう、そん位ぇかまわねぇよ。一夏と違ってそこまでこだわんねぇし・・・」

 

「そ、そうか。なら、私が七時から八時。雅樹が八時から九時でいいか?」

 

「別にかまわねぇ。けど、トイレに行く時はどうしたらいいんだ?」

 

俺の質問に唯依は若干頬を染め困った顔して、

 

「そ、それは寮長に訊いてくれ///。わ、私には判断が付かない////」

 

「あーそっか。悪いな変な事聞いて」

 

「い、いや、お前にとっては死活問題なのだから仕方ないだろう///」

 

とか言うが、唯依もやっぱり恥ずかしいのか、いまだ頬を赤く染めてそっぽを向いている。

 

「ま、そこん所は明日にでも訊くか」

 

「そうしてくれ」

 

その後色々と部屋での決まり事を決めた後、俺達は別れてからの事を話した。

お互いこの六年間の事を話している内にすっかり消灯時間を迎えている事に気付き慌てて、就寝した。

決めている途中、隣の部屋でドゴスッ!って音が聞こえたけど、無視した。

 

 

説明
女性しかISを稼働できなかったのが、突然男でISを稼働できるのが同時に二人も現れた!?その二人の名は織斑一夏と龍見雅樹。
この物語の主人公である龍見雅樹が女尊男卑の世の中に疾る『風』・・・その名はサイバスター!!
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