外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 第7話
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第7話  爺執事

 

 

 

 

 

一同はカラハ・シャールへとたどり着いた。

 

「やっとカラハ・シャールに着いたね」

「えらく遠回りしちまったな」

「もうでっかいおじさん来ないかなー?」

「この雰囲気の中までは追って来れまい」

「来たら来たで返り討ちにしてやるさ」

 

一同は売り場の方へとやって来る。

 

「……おっ、この店、なかなかいい品がそろってるな」

「いらっしゃい! どうぞ見ていってください」

「骨董か……ふむふむ」

 

ミラは真剣に骨董品を見ている。

 

「なんだか、街のあちこちが物騒だな?」

「ええ。なんでも首都の軍研究所にスパイが入ったらしくてね。王の親衛隊が直々に出張ってきて、怪しい奴らを検問してるんですよ。まったく迷惑な話で……」

「ああ、まったく……」

 

秋山は苦笑いする。

 

「……キレイなカップ」

 

エリーゼは先客の女性が見ているカップを見て、感想を言う。

 

「でも、こーゆーのって高いんだよねー」

「そりゃあ、そいつは『イフリート紋』が浮かぶ逸品ですからねぇ」

「『イフリート紋』! イフリートさんが焼いた品なのね」

 

女性は驚く。

 

「ふむ。それは無かろう。彼は秩序を重んじる生真面目な奴だ。こんな奔放な紋様は好まない」

「ほっほっほ、面白いですね。四大精霊をまるで知人のように」

 

そこに女性の執事と思われる老人がやって来る。

 

「確かに、本物のイフリート紋はもっと幾何学的な法則性をもつものです。

…おや。このカップが作られたのは十八年前のようですね?」

「それが……何か?」

「おかしいですね。イフリートの召喚は二十年前から不可能になっていませんか?」

「う……」

 

店主は言葉を詰まらせた。

 

「カッカッカ」

 

笑う秋山。

 

「おや、老人みたいな笑い方をする方ですね」

「たまにするもんでの……」

 

老人と気の合う(?)秋山。

 

「残念、イフリートさんがつくったんじゃないのね……。でも、いただくわ。このカップが素敵なことに変わりないもの」

「優しい人だな。店主……」

「は、はい。……お値段の方は勉強させていただきます」

 

秋山の威圧に負けて、値段はかなり安くなった。

 

「ふふ、あなたたちのおかげで、いい買い物ができちゃった。ドロッセル・K・シャールよ。よろしくね」

「執事のローエンと申します。どうぞお見知りおきを」

「こちらこそどうも」

「お礼に、お茶にご招待させて頂けないかしら?」 

「お、いいね。じゃあ後でお邪魔するとしますか」

「私の家は、街の南西地区です。お待ちしておりますわ」

 

ドロッセルとローエンはその場を去っていった。

 

「そんな暇など無いのだがな」

「ま、この街にいる間は利用させてもらう方が色々好都合だろ」

「確かにそうかも。こんなに厳重じゃ宿にも泊まれなさそうだし」

 

一同は御呼ばれされたので、南西地区の方に向かう。

そこにドロッセルとローエンが待っていた。

 

「お待ちしておりましたわ」

「すごいお屋敷……」

 

ドロッセルの屋敷はかなりでかかった。

その屋敷から兵士数名となんだが偉そうな男とその副官と思われる男が馬車に乗って、どこかに去っていった。

 

「今のは……」

「……お客様はお帰りになりましたか」

 

客が帰ったのを見計らって、屋敷の前に行く。

 

「やぁ、お帰り。お友達かい?」

 

屋敷から一人の青年が出てきた。

 

「お兄様! 紹介します。……あ、まだみんなの名前を聞いてなかった」

「ははは、妹がお世話になったようですね」

「クレイン・K・シャールです」

「クレイン様は、カラハ・シャールを治める領主様です」

「この街の領主!?」

 

ジュードは大いに驚いた。

 

「とんでもねえ人の関係者と知り合いになったもんだぜ」

「立ち話もなんです。さぁ、どうぞ屋敷の中へ」

 

一同はシャール家の屋敷に入り、お茶を楽しむ。

 

「なるほど、また無駄遣いするところをみなさんが助けてくれたんだね?」

「無駄遣いなんて! 協力して買い物をしたのよね」

「ねー」

「ははは……」

 

そこにローエンがやって来て、クレインに何やら耳打ちをする。

 

「……わかった。みなさんのお相手を頼むよ」

「かしこまりました」

 

クレインは立ち上がる。

 

「申しわけありませんが、僕はこれで」

 

クレインは立ち去った。

 

「俺も、ちょっと」

「アルヴィン?」

「生理現象。一緒に行くかい?」

「ううん」

 

アルヴィンも出て行った。

 

「ねぇねぇ、みんな旅の途中なんでしょう? 旅のお話を聞かせて」

「あの……わたし……」

「私、この街から離れたことがなくて……だから、遠い場所のお話を知りたいの」

「わたしも……外に出たことなかったです。でも……」

「ジュード君たちが、エリーを連れ出してくれたんだー。

海や森を通ってねー、波やキノコがすごかったー」

「エリーは海を渡ったんだ? いいなぁ、私、まだ海を見たことないの」

「海には気をつけろ。岩に化けるタコがいるからな」

「岩に化けるタコさん!?」

「ああ、ゼペリオン光線で一発で倒してやったやつか」

「あの、貝や魚も……います」

「あ、貝殻でつくったキレイなアクセサリなら、広場のお店で見たわ」

「キレイなアクセサリ……」

「興味あるの? だったら今度プレゼントするわね。お友達の証よ」

「だったらこれも覚える」

 

秋山はいきなり片言に喋り、友達の印をやる。

 

「それは?」

「秋山が言うには……、友達の印みたいです」

「友達の印……、これでいい?」

 

ドロッセルも秋山の友達の印をやる。

 

「そう……それ」

「しかし、プレゼントをするのは友達の証なのか?」

「ええ。信頼を形にして贈るの」

「それも……悪くない……」

「タダでもらえると得した気分だしねー」

「それはさすがに……」

 

元の口調に戻る秋山。

 

「なるほど……」

「ほっほっほ、お嬢様によいお友達ができたようですね。

どうぞおくつろぎください。お菓子もたくさんございますよ」

 

しばらくするとクレインが戻ってきたが、兵士を数名連れており、何やらとても突っかかりにくい雰囲気を出していた。

 

「なにするんだよー!」

「まだ、お帰りいただくわけにはいきません」

「その理由は?」

「……あなた方が、イル・ファンの研究所に潜入したと知った以上はね」

「なんのことか……」

 

ジュードはとぼける。

 

「とぼけても無駄です。アルヴィンさんが、すべて教えてくれました」

「アルヴィンが?!」

「……軍に突き出すのか?」

「いいえ・イル・ファンの研究所で見たことを教えて欲しいのです」

 

クレインは座る。

 

「……ラ・シュガルは、ナハティガルが王位に就いてからすっかり変わってしまった。

何がなされているのか、六家(りくけ)の人間ですら知らされていない……」

「軍は、人間から強制的にマナを吸い出し、新兵器を開発していた」

「人体実験を? まさか、そこまで!?」

 

クレインは思わず立ち上がった。

 

「嘘だと思いたいが……事実だとすれば、すべてつじつまが合う」

 

落ち込むように再び座るクレイン。

 

「実験の主導者はラ・シュガル王……ナハティガルなのか?」

「そうなるでしょう」

「…………」

「ドロッセルの友達を捕まえるつもりはありません。

ですが、即刻この街を離れていただきたい」

「ま、それが普通だろうな」

「ありがとうございます、クレインさん」

 

ジュード達は屋敷を出ていく。

屋敷を出て、中央広場でアルヴィンと会った。

 

「よ」

「アルヴィン!」

「アルヴィン君、ヒドイよー! バカー、アホー、もう略してバホー!」

「なぜ、私たちをクレインに売った?」

「売ったなんて人聞きの悪い。シャール卿が、今の政権に不満をもってるってのは有名だからな。情報を得るには、うってつけだ。交換で、こっちの情報をだしただけ。いい情報聞けたろ?」

「ラ・シュガル王ナハティガル……こいつが元凶のようだ。ナハティガルを討たねば第二、第三のクルスニクの槍が作られるかもしれん」

「王様を討つの……?」

「ああ。君たち国民は混乱するだろうが、見過ごすことはできない」

「うん……人から無理やりマナを引き出して犠牲にするようなこと、放っておけない……」

「人を平気で傷つけたり、犠牲にする奴が王になる資格はないな」

 

そんな話をしていると兵士達がやって来る。

 

「お前らは……手配書の!?」

「はっ、往来で堂々としすぎたかもな」

「……ふぅ……仕方ねえな……」

 

秋山がまた北斗神拳を使おうとした時であった。

 

「南西の風2……いい風ですね」

「執事さん?」

 

そこにローエンがやって来た。

 

「この場は、私が……」

「おい! じいさん! こっちを向け! 何を企んでる」

 

ローエンが振り向くと同時にナイフを数本、上空に投げたが、兵士達は気付いていない。

 

「おおっと。恐い恐い」

「おや? 後ろのお二人。陣形が開きすぎていませんか? その位置は、一呼吸で互いをフォローできる間合いではないですよ?」

「貴様……余計な口をきくな!」

「そしてあなた。もう少し前ではありませんか? それでは、私はともかく後ろのみなさんを拘束できません」

「ふん」

 

指摘されて、下がる兵士。

 

「いい子ですね」

 

するとローエンが投げたナイフが落ちてきて、兵士達を拘束した。

 

「ぐうっ! これは……」

「では、これで失礼します。さぁ、みなさんこちらへ」

 

ローエンに連れられて移動する一同。

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ローエン達に連れられて屋敷前へと戻った。

 

「ローエン君、すごいー! こわいおじさんたちもイチコロだね!」

「いえいえ。イチコロなど、とてもとても。私程度では、ただの足止めです」

「助かりました。ありがとう。えっと……ローエンさん」

「ローエンで結構ですよ」

「それでローエン。我々に用があるのだろう?」

「おや、直球ですね」

「お尋ね者を抱えてる集団をわざわざ追ってきたんだ。用がないとは考えにくいだろ」

「実は、みなさんにお願いがあるのです」

「あんまり楽しそうな話じゃなさそうだ」

「先ほどラ・シュガル王が屋敷に来られ、王命により街の民を強制徴用いたしました」

「何? ナハティガルが来ていたのか?」

「はい。先刻屋敷を馬車で出て行ったのがナハティガル王です」

「あの偉そうな爺さんか?」

「あの人が……ラ・シュガルの王様……」

「しかし、なんで強制徴用なんて……」

「まさか……人体実験を?」

「可能性はあるな」

「民の危険を感じた旦那様は、徴収された者たちを連れ戻しに向かわれました。

しかし、ナハティガルは反抗者を許すような男ではない……」

「ドロッセルのお兄さん……危ないの?」

 

ローエンは黙って頷く。

 

「力を貸していただけませんか? クレイン様をお助けしたいのです」

「ドロッセル君のお兄さんを助けよ〜! ね? エリー」

 

ティポに言われてエリーゼは頷く。

 

「うん。クレインさんもだけど、連れて行かれた人たちも心配だし」

「あーあ。優等生のお節介に火がついちまったよ?」

 

ミラは腕を組んで考えるがすぐに答えを出す。

 

「いいだろう。あれを使おうというナハティガルの企みは見過ごせない」

「だってさ」

「決まりだな」

「ありがとうございます」

「で、どこ行きゃいい?」

「民が連れ去られた先は、バーミア峡谷。急ぎましょう!」

 

一同はバーミア峡谷を目指す。

その間にあるクラマ間道で魔物と遭遇する。

 

「先を急いでいます。どいていただきますよ!」

「……ローエン、エリーゼ。ちっと協力してもらうぜ」

「……わかりました」

「……はい」

「まずはローエン!」

 

秋山とローエンは共鳴(リンク)し、秋山の竜巻旋風脚とローエンのウインドランスが合わさり、共鳴術技(リンクアーツ)を放つ。

 

「神空竜巻旋風脚!」

 

秋山を中心に強力な竜巻が展開され、魔物達は上空へと飛んで行く。

 

「つぎ行くぞ、エリーゼ!」

「はい!」

 

秋山はエリーゼと共鳴(リンク)し、秋山の爆烈拳とエリーゼのネガティブゲイトが合わさり、共鳴術技(リンクアーツ)となった。

 

「「ネガティブ拳(パンチ)!!」」

 

秋山が地面に向かって爆烈拳を叩きこむと、ネガティブゲイトが発生している地面から黒い拳の塊がいっぱい現れ、空中に浮いた魔物を倒す。

 

「いくぞ」

 

そんなこんなで一同は魔物を倒し、バーミア峡谷へとやって来た。

 

「すごい地層だな」

「ここは、ラ・シュガルでも有数の境界帯ですからね」

「もしかして、ここ登るのー? 疲れちゃうよー」

 

エリーゼを狙う一本の矢。

ジュードはそれに気付いた。

 

「……危ない!」

 

ジュードはエリーゼを庇う形で押し倒す。

しかし矢は地面には刺さってない。

何故ならそれよりも先に秋山が指の間で矢を止めていたから。

 

「北斗神拳 二指真空把!」

 

秋山はすぐにその矢を放たれた場所へと指で放ちかえす。

すると放たれた場所から人が倒れてくる。

 

「北斗神拳の前ではボーガンの矢など止まった棒にすぎない」

 

秋山が倒れた兵士の所にいく。

 

「秘孔に向かって返したから体は動けんが死ぬことはない。それに毒が塗ってなければの話だがな……」

 

すると洞窟の方が光り出す。

 

「これは……イル・ファンで感じた気配……?」

 

皆が洞窟の中に入ると、洞窟の中では何やら装置があり、マナを吸収していた。

 

「これは……」

 

中をよく見てみると民達やクレインが捕まっていた。

 

「クレイン様! やはり人体実験を行っていましたか」

 

ミラが結界術式に手を触れようとする。

 

「よせっ、手が吹き飛ぶぞ」

 

アルヴィンが止めた。

 

「今の、研究所でハウス教授を殺した装置と似てるんだ!」

「ここでも黒匣(ジン)の兵器をつくろうというのか?」

「それほどたやすくつくれはしないはず……」

 

ミラはカギを取り出し、すぐにしまう。

 

「……私たちを追うのをやめた理由がこれか。くだらぬ知恵ばかり働く連中だな」

「とにかく時間はかけられんな!」

 

秋山が結界魔法陣の前に立つ。

 

「何する気だ?」

「思いっきり壊す!」

「やめろ! 吹き飛ぶぞ!」

「それ以上の力を使えばいい! chrysaor(クリュサオル)!」

 

秋山はクリュサオルと呼んだ剣を召喚する。

 

「(アストレア! お前の力でいくぜ!)どっせええええええええい!!」

 

秋山のクリュサオルは魔法陣を叩き斬り、壊した。

 

「嘘だろ……」

「いくぞ!」

 

秋山を先頭に研究施設の内部に入る。

 

「どおおおおりゃああああ!!」

 

秋山はクリュサオルの刀身を大きくし、中央のコアと装置をも破壊した。

 

「破壊完了!」

 

装置は止まり、捕まっていた人たちの牢も開く。

民達は急いで出ていく。

しかしその中にクレインの姿がない。

ローエンが周りを見てみる。

そしてクレインを発見する。

 

「旦那様!」

 

クレインは弱り切っていた人達の中にいた。

ローエンは急いで介抱する。

 

「……うう」

「気がついた?」

「すまない。忠告を聞かずに突っ走った結果が、これだ……」

「ご無事でなによりです」

 

ローエンは泣きそうな顔だった。

 

「ナハティガルは、ここに来ているのか?」

「僕も、あの男を問い詰める気で来たのですが、親衛隊に捕えられてしまって……」

「そうか」

「もはやもぬけの殻ってやつか」

「もーこんなとこ、早く外に出よーよー!」

「だな。長居は無用だ」

 

そんな時、コアの上にあった鍾乳洞の突起物が光り出す。

 

「危ない、下がれ!」

 

そしてその光は魔物の形を成した。

 

「な、何こいつ……!?」

「来るぞ、構えろ!」

 

その突然現れた魔物らしきものと戦闘になる。

相手は空を飛んでいるためになかなか攻撃が当たらない。

 

「あいつを落とせれば……」

「俺に任せろ! リリアルオーブで習得したもう一つの技をお見舞いさせてやるぜ!」

「どうするんだ?」

「こうするんだよ!」

 

秋山は高くジャンプする。

そして秋山はその魔物の背後を完全に取った。

 

「輝く神の名のもとに……ってか……!

ビックバン、パーーーーーーンチ!!!」

 

秋山の右手は金色の光り輝き、秋山の体は氣で出来た、金色の大きな拳に覆われる。

そしてその金色の氣の拳と秋山の金色の拳が魔物の背中に直撃し、魔物はそのまま地面へと叩き落とされる。

 

「あらよっと」

 

秋山は地面に着地する。

 

「はああああぁ!」

 

ミラは落ちた魔物に斬りかかろうとする。

 

「ダメだよ!」

 

ジュードが前に出て止めた。

 

「なんのつもりだ!」

「よく、感じてみてよ」

「……なに!?」

 

ジュードに言われて、ミラも冷静になって感じてみる。

 

「微精霊だよ!」

 

魔物の正体は微精霊の集合体でだった。

その微精霊の集合体は光り出す。

 

「おお、これは……」

「すごい、すごーい!」

 

微精霊の集合体は光って消えていった。

 

「……ありがとう」

「え…………?」

「我を忘れ、危うく微精霊を滅するところだった」

「あ……うん……」

「まあ我を忘れるなんてどんな奴でもたまにはあることさ。

それにさ、俺がさっきやったビックバンパンチ、あれは本当に害あるものは原子に打ち砕く力がある。

けどそうでないものの場合にはただのダメージにしかならない。

つまり最初の一撃で本当に魔物だったら、あれは原子に砕かれていたってことさ」

「さぁ、カラハ・シャールに戻りましょう。

みな、大量にマナを吸い取られて相当弱っています」

 

そして皆、マナを吸われたクレインや民達を連れてカラハ・シャールへと戻っていく。

その間のクラマ間道に出てくる魔物は秋山が思いっきり倒していた。

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カラハ・シャールに戻るとドロッセルが屋敷の前で待っていた。

 

「お兄様!」

 

ドロッセルが駆け寄る。

 

「僕は大丈夫だ。それより、この人たちを早く病院へ」

「うう……」

「は、はい!」

 

シャール家の兵達の助けもあって、特に弱っていた人々はすぐに病院に送られた。

ジュード達はシャール家の屋敷で待っていた。

しばらくするとクレイン達が戻って来た。

 

「徴収された民もみな、命に別状はないようです」

「みなさん、本当にありがとうございました」

「私からも、お礼を申し上げます。ありがとうございました」

「みんな無事でよかったです」

「では、私たちは行くとしよう」

 

ミラは最初に言われた通りにカラハ・シャールを出ようとする。

 

「え! もういくのー?」

「最初に言われた出てってくれを実行するだけだ。問題なかろう」

「ここからだとガンダラ要塞を抜ける必要があるな」

「ガンダラ要塞ということは……みなさんの目的地はイル・ファンですか」

「そうだ。あそこには、やり残したことがある」

「ガンダラ要塞を、どう抜けるつもりでなんですか?」

 

クレインは心配そうな顔をする。

 

「力づく」

「押し通るしかないかもしれないな」

 

秋山とミラは即答する。

正直な話、秋山が本気出せばどんな要塞だろうと攻略は簡単である。

秋山は星や世界を破壊する力も持っているのだから……。

だが、いくらなんでもそこまでの力を秋山は使う気はない。

とはいえ、秋山には手はいくらでもある。

しかしそんな事を知らないジュードとアルヴィンはあきれてものも言えない状態だった。

 

「さすがにそれは難しいでしょう。

僕の手のものを潜ませて通り抜けられるよう手配してみます」

「僕たちに協力したりして大丈夫なんですか? 僕たち、軍に追われている身ですし……」

「元々、我がシャール家はナハティガルに従順ではありませんし。

先ほど軍に抗議し、兵をカラハ・シャールから退かせるよう手配したところです」

「これ以上軍との関係は悪化しようがない、ということか」

 

クレインは頷く。

 

「……んじゃ、お言葉に甘えさせてもらうぜ。

無策で要塞に突っ込むより何倍もマシだからな」

「そうか……そうだな。では頼んでいいだろうか?」

「任せてください。色々世話になったお礼です。

手配は上手くいってもしばらくはかかるでしょう。それまで滞在なさるといい」

「そいつはありがたい。わざわざ出ていく必要がなくなったな」

「ローエン、君は彼らと共にいてくれ。彼らのお世話も、その方がしやすいだろう」

「承知いたしました」

「ありがとうございます」

「わーい。またドロッセル君といっぱいお話できるねー」

 

嬉しそうなティポとエリーゼ。

 

「ふふふ。そうね」

 

ドロッセルも嬉しそうだった。

 

「今日はもうお疲れでしょう。部屋を準備させておきます」

 

そして一同はシャール家の屋敷で休むことになった。

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その日の夜、秋山は屋敷の屋根に出ていた。

 

「………さてと、世界の記憶の見直しでもするか」

 

秋山は自分が手に入れた世界の記憶を見直す。

 

「ええっと……今は、ジュードとミラが相談を受けてるか」

 

秋山が下を見るとそこにはジュードやミラがおり、その側にはローエンがいた。

 

「よし、合ってる。

けど、問題は次の日だな。

次の日はかなり荒れるってか、動きがあるな。

今までの俺の動きは世界にこれといった大きな動きはない。

だが明日、俺が思い切ったことをすればかなり世界も動くだろうな。

正史とは全く違う外史として……。

まあこの外史、かなり特殊だから、普段なら世界崩壊レベルのことをしても問題ないってなると………ものすごく暴れてやるか……」

 

秋山は立ち上がる。

 

「さて、とりあえずは、明日起こることに対しての対処の順番と使う技だな。

まあ二つくらいはもう決めてるけど、その後だな……。大判ふるまいでもしてやるか」

 

秋山はその場から姿を消し、部屋へと戻るのだった。

説明
この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

http://www.tinami.com/search/list?keyword=%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E7%B7%8F%E5%8F%B8%E9%83%8E&genrekey=1

秋山総司郎の時系列

この世界を訪れる前の話

「そらのおとしものf 番外編 『カオスのとある日常(いちにち)  里帰り編』」


http://www.tinami.com/view/225368


この世界を訪れた後の話


「そらのおとしもの  外伝  もしもイカロスの次に地上に来たのがカオスでその次に来たのがニンフだったら…。(アニメ仕様)」


http://www.tinami.com/view/257088


となっております。
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