外史を行く喧嘩師 三幕 
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「よっしゃー!またウチの勝ちや!」

 

「また負けた・・・orz」

 

今俺は霞と仕合をしていたんだが、最初の仕合以降一回も勝っていない。

こんなに負けたのは両親以外で初めてだ。

 

「狼鬼、大丈夫?」

 

「ああ、恋。ありがとう。しかし、ここまで強いとはな。昔関羽にだって勝てるぜなんて言ってた

 自分が恥ずかしいぜ。」

 

まずは霞。何つってもその一撃一撃の速さが尋常じゃない。

俺は素手だからよけるしかなく、攻撃も碌にできやしない。

 

次に華雄。速さはそこまででも無いが、とにかく力が強い。

一回華雄の戦斧を掴んだことがあるが、そのまま投げ飛ばされた。20メートルは飛んだな。

 

んで最後に恋。・・・化け物だろ。全ての動作が物理法則を無視してんじゃないか

って位速く、強い。霞と華雄に勝てない俺に勝てるはずもなく・・・

 

「なあ、狼鬼よ。お前は何か自分の獲物はないのか?」

 

「獲物?喧嘩にそんなもんいらん!」

 

「けど今のままやと結構キツイで。武器はともかくなんか防具でもせんと。」

 

「狼鬼、強いけど・・・武具が無いから弱い。」

 

ぐはっ。二人とも痛いとこ突くな。

 

「・・・ならなんか作るか。俺の今の給料で買えっかな〜」

 

「足りなかった時は私が少し出してやろう。」

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「え、マジで。じゃなくて本当に!」

 

「ああ。武具を作ったほうが良いといったのは私だからな。」

 

マジ華雄優しい。

 

「あんがと華雄。」

 

俺は嬉しくて満面の笑みでお礼を言った。

 

「/// と、とりあえず鍛冶屋に行ってこい。自分に合ったやつでも探してくるといい。」

 

「おう。んじゃ今から行ってくるか。んじゃな三人とも。」

 

そう言って街の方に駆け出す。

 

「華雄・・・」

 

「なんだ、恋?」

 

「・・・顔真っ赤。」

 

「な///ば、馬鹿。そんなことはない!」

 

「おやおや。華雄、もしかして。 (ニヤニヤ)」

 

「霞!そんなんでは無い!」

 

なんだ?騒がしいけど。ま、いっか。

 

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街の鍛冶屋

 

 

「邪魔すんぜ。」

 

「いらっしゃい。なんの用だい?」

 

いかにも鍛冶屋って感じのおっさんが出てきた。これは期待できそうだな。

 

「少しばかり作って貰いたいものがあんだけど、頼めるか?」

 

「儂は自分で作りたいと思ったもんしか作らんぞ。そのへんの鍛冶屋でも作れるような

 もんは他所を当たってくれ。」

 

ほう、ここまで言うか。

 

「そんなに自信があるなら、作れないとは言わせないぜ。」

 

「ふん、さっさと作りたいものを言ってみろ。」

 

まずは手甲と足甲かな

 

「手と足を守る物を作って欲しい。刃を通さず、且つ動きに支障がでないような。」

 

「・・・具体的には?」

 

「布地は皮で。指の第二関節が出るぐらいの手袋みたいな奴。

 んで鉄の板を何枚か繋ぎ合わせて作ってくれ。

 足甲はふくらはぎを覆えるぐらいの長さで、構造は手甲と同じ。」

 

「ほう、面白い考えするじゃねえか。何枚かの鉄板を繋ぎ合わせて自分の動きに合う様にすんのか。

 ・・・いいぜ。作ってやるよ。後はねぇのか?」

 

作ってくれるか。よっしゃ!あとは

 

「鎖っつっても分かんないか。こう小さな鉄の輪っかを繋げて一本の綱みたいにするんだが。

 強度もかなり欲しい・・・こんな感じなんだが作れるか?」

 

木簡に絵で描きながら説明すると。

 

「ふん、誰に聞いてんだ。面白いじゃねぇか。作ってやるよ、

 最高の出来のな。十日待て。十日で作り上げるから、そん時またここに来い。」

 

「おっしゃ!よろしく頼むぜ。んじゃ楽しみにしてっからな。」

 

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十日後

 

「うし!今日には出来るって言ってたな。行ってみますか!」

 

あれから十日経って、今日が受け渡しの日だ。

 

ちなみに鎖を選んだのは理由があり、中学二年の中二病真っ盛りだった時、

喧嘩に鎖を使っていたのだ。

とある漫画の童顔刑事の友達が使っているのを見て、俺も!と思って使っていた。

使い勝手はかなり良く。持ったままでも殴る蹴るが出来、多くの相手を吹き飛ばせるし、

何より持ち歩きやすいしな。

 

俺は刃物は使わねぇ。これは俺が決めたルールだ。あれは喧嘩の道具じゃなくて

誰かを殺すもんだからな。

俺は喧嘩が好きだが誰だろうと喧嘩を吹っかける訳じゃない。

困っている奴や、誰かを助けるためだ。

例えばそうだな。月や詠、とかああいう奴等を守る為に。

 

と、そんな事考えてるうちに着いたな。

 

「お〜い、おっさん。頼んだの出来てるか〜?」

 

「おう、坊主。来たか。ほれ。」

 

ジャラァァン

 

「おお〜、スゲ〜!マジで鎖だ。長さは、5mぐらいか。丁度いいな。

 手甲と足甲は?」

 

「ほれ、これじゃ。大きさは多分丁度じゃろ。」

 

「おお〜、ここまで俺の想像通りだと怖いな。着けてみていいか?」

 

手甲と足甲は鉄の部分が朱色に染められておりかなりカッコイイ。

 

無言で頷く鍛冶屋のおっさん。

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チャキッ  ガチャッ

 

「うん。動きにくさもない。重さも重すぎず、シュッ、はあ!!」

 

簡単にジャブとハイキックで着けた感じを確認。そして鎖を引っ張ったり、叩いたりして強度

の確認。

 

「うん、完璧だ。ここまで完成度が高いのは予想外だな。

 おっさんあんがと。お代はいくら?」

 

「こんなもんでいい。」

 

と、おっさんが提示した額はかなり安かった。

 

「おい、いいのかよ。そんなに簡単じゃ無かったろ。」

 

「ふん、久々に面白い物が作れたからの。無料でもいいんじゃが、ただ働きも癪じゃからの、

 材料費だけじゃ。」

 

「・・・あんがとよ。これからもよろしく頼むぜ。」

 

「ふん。」

 

そう言ってそっぽ向いてしまったおっさん。

 

「んじゃお代ここに置いてくからな。じゃあな!」

 

手甲と足甲を着け、鎖を丸めて腰から提げると城に向かって走った。

 

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中庭

 

 

「まだかいな狼鬼の奴。今日あいつの武具出来るゆうたから楽しみにしとったのに。」

 

「まぁ待ってろ霞。今取りにいってるんだ。もう少し待て。」

 

「・・・来た。」

 

うわ、あいつらもう来てるよ。だが今日の俺は一味違うぜ。

・・・中二病じゃないからな。

 

「待たせたな。今日やっと出来たからな。」

 

「ん、その手甲と足甲は分かるけどなんやその変なのは?」

 

「これは鎖って言ってな。鉄の縄だとでも思ってくれ。んじゃ、誰からやる?

 今日はそう簡単には負けないぜ。」

 

そう言うと待ってましたとばかりに。

 

「私がやろう。正直かなり楽しみだったからな。」

 

「え〜いいな〜華雄。ウチもやりたい。」

 

「霞、我慢。」

 

「う、恋に言われるなんて・・・」

 

「ならやるか、華雄。」

 

「おう。そんな縄など、私の戦斧でまっぷたつにしてくれる!」

 

そして中庭の中央に距離をとって立つ二人。

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「おっしゃ!んじゃ。始め!」

 

そう言った瞬間に突っ込んで来る華雄。今までならここで受けになったが、

 

「おらああぁぁぁ!!」

 

鎖を鞭の要領で華雄に叩きつける。

それを冷静に戦斧で受ける、が。

鎖はそのまま勢いのまま動き華雄の体に当たる。

 

「な、なに!」

 

強さは無いがよろめかせるだけなら出来る。

華雄が少しよろめいた所に一気に間合いを詰める。

 

「おらあっ!!」

 

だがそれをかろうじて戦斧で受ける。

 

「終わりじゃねぇぞ!」

 

そのままハイキック。

 

「くっ!」

 

バックステップで躱す華雄だが、そこにまた鎖が襲う。

 

「っ!!甜めるなぁぁ!!」

 

今度は鎖を受けるのでは無く弾く華雄。

そしてまた突進。

 

「はああぁぁぁ!!」

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グオンッッ!!  ガキンッッ!!

 

華雄の一撃必殺の一撃を手甲で防ぐ。

 

「な、何だと!!」

 

「これで仕舞いだ!!」

 

突進してきた華雄との間合いは零。

両手が使えないのでその状態で鳩尾に渾身の膝蹴り。

華雄の何もない土手っ腹に蹴りがめり込む。

 

「ぐはっ!・・・」

 

ドサッ

 

「はぁ、はぁ・・・うっしゃ勝ったーーーー!!」

 

「ほぇ〜出来たばっかの武器で華雄に勝ってもうたわ。勝者狼鬼!!」

 

「・・・おお〜。」

 

「ごほっごほっ。うう、まさか負けてしまうとは。」

 

よっしゃよっしゃ。こんなに嬉しいのは親父に勝って以来だな。

 

「それにしても凄いな〜。離れればあの鉄の縄が、近づけば狼鬼の拳と蹴り。

 死角無しって奴やな。」

 

「狼鬼。今度は恋と。」

 

うし。今なら恋にだって勝てる気がするぜ!

 

「よっしゃー!恋、来い!今度は勝つ!」

 

「行く!!」

 

 

 

この日の夜、ボコボコになっている狼鬼がいたという。

 

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あとがき

 

 

こんにちは荒紅です。

 

今回は武官の人達との絡みと武器作りを書きました。

 

武器はとある方のアイデアをいただきました。

 

次は文官との絡みを入れてみたいと思っています。

 

それではご感想などコメしてもらえるとありがたいです。

んじゃ

説明
今回は武器作ります。

喧嘩はやっぱり拳がいいんですけど・・・
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コメント
アルヤ様:言われてみればそうですね・・・船と船を繋げる為に・・・(荒紅)
鎖って原作で出てたよな?赤壁の連環で(アルヤ)
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真・恋姫†無双 オリ主 喧嘩師 董卓√ 狼鬼   華雄 

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