タイムトラベルママ01/カンバックママ 08
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 野添智美、享年十七歳。

 結城重幸の幼馴染。

 十年前、事故で死亡。

 

 

 

 

 ドンドンドン。

 ドアをノックする音が響く。

 いや、響いていた。

 

 一年間三六五日休まずに、ドアをノックする音が、毎朝鳴っていた。三年間休まずに、鳴っていた。

 

 でも、十年前の七月五日を境に、それはなくなる。

 

 僕は……。

 

 ずっと、ずぅっと彼女が、智美が居てくれていると思っていた。

 一歳しか年齢は変わらないのに、彼女はとても大人で、そしてずっと、僕を守ってくれるお姉さんだと思っていた。

 

 だけど、暗転した世界の中、事件は僕を闇の中に落としていった。

 

 気がつけば僕は、智美よりも年上になってしまい……。

 

 好きだったのだなぁと、今になって思う。

 僕は彼女のことが好きだったのだなぁ…と。

 

 

 だからなのだろう。

 

 僕は病院にも会いに行かず、葬式にも出なかった。

 

 本当は病院の前までは行ったけれど、だけれど、結局死んだ智美には、ついぞ会わないままだ。

 だって、いやじゃないか。

 言葉も何も交わさず、勝手に最後だと見切りをつけられては。

 

 

 だから僕は、彼女に会いに行くことにした。

 

 

 生きている彼女に、会いに行くことにした。

 

 

 

 会って一言想いを告げて……。

 

 

 今ならば、わかる。

 

 

 あの日までの僕は、挫けていた。

 世界から背を向けていた。

 

 ダメなんだ、そんなんじゃ。

 

 

 僕は……立ち上がった。

 

 でも智美、十年間もかかってしまったよ。

 

説明
タイムトラベルSF小説

ノーテンキなママが出てきます




原稿用紙で78枚とちょっと長いので、12分割でお届け〜の(9/12)
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SF タイムトラベル ママ コメディ ライトノベル 

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