ONE PIECE ?黒髪少年の描く世界? 第二十七話 半不死身
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階段を下りていき、廊下を渡っていくと、広い部屋にたどり着いた。そしてそのど真ん中によくわかんない文字がズラズラ書いてある正方形の石が置いてある。そしてその石にミス・オールサンデーが触れながらどうやらその文字を解読してるらしい。コブラ王は…ここからは見えない。

あれ本当に何語で書いてあるんだ?多分あれが“ぽーねぐりふ”なんだろ?

 

 

 

 

 

「これがお望みの“ぽーねぐりふ”か?」

ミス・オールサンデーがこちらを振り返る。どうやらここまで追いかけてくるとは思わなかったらしくその目には少し驚愕が浮かんでいる。

「そうよ」

「へー。全っ然読めねー。あ、でもここは読めるぜ、ぱ、“パンダマン”?なんだこりゃ。ヒーローの伝記か?こういうのはルフィが喜ぶぞ」

石に近づいて言う。コブラ王は部屋に入ってすぐ横の壁に縛られていた。見えない訳だ。

「いいえ。伝記じゃないわ。この石にはプルトンと言う我々が望む兵器の場所が書かれているはず…だった」

「だった」

ヤマトが繰り返す。

「そう、だった。けれどここには…アラバスタ王国の歴史しか記されていなかった。我々の期待に反してね」

 

 

「そうか…残念だ」

振り返るとクロコダイルが部屋の入り口に立っていた。

全く気がつかなかった。砂だから影が薄いのだろうか。砂って影薄そうなイメージだし。実際どうなのだろう。あれ、てことは俺も影薄いってことか!?ちっとショックだなそりゃ。今度から少し自己主張を増やしてみよう。

クロコダイルがミス・オールサンデーの方に近寄る。

 

「お前は優秀なパートナーだったが…ここで殺すとしよう」

それからクロコダイルがなにやらぺちゃくちゃ喋っていたのを聞いているとどうやらクロコダイルとミス・オールサンデーは4年間もの間パートナーとしてやってきたらしい。それを今更殺しちゃだめだろー。

だがミス・オールサンデーもそんなに簡単にやられるような女じゃなく、クロコダイルのフックの攻撃を素早く避けて水の入った試験管を取り出し、クロコダイルの方へ投げる。それをクロコダイルが避けるがミス・オールサンデーの手がクロコダイルの背中から生えて試験管をキャッチする。そしてそれをクロコダイルに向けてかけようとするがその間にクロコダイルはどこかへ逃げ、試験管は空しく床に落とされ、割れた。

 

はい。ここまでおよそ3秒足らずの事。急がしー。

ここまでのやりとりを全て客観的に見ていた俺だがどうやらそうもいかなくなってきた。

 

 

 

 

キィィィィィン…

 

「女をそのフックで串刺しってのはどうかと思うんだが、そうは思わないか?」

「てめぇ…」

ミス・オールサンデーを刺そうとしているクロコダイルと、ミス・オールサンデーの間に葉で即席サーベルを作り出して割り込んだのだ。

俺なんでこんな事してんだろ…俺はサンジかよ…フェミニストみたいで気持ち悪い…。いや、フェミニストを気持ち悪いって言ってんじゃねーよ?俺がそんな事してんのが変だなーっていうね。あ、血を見たくなかったって事で。うんそうしよう。

 

「それにな、ミス・オールサンデーみてーな身体してる奴とかは、少し血ぃ流しただけでしょっちゅー貧血になっちまうんだよ」

ぶっちゃけ俺はミス・オールサンデーはそんな事で倒れるようなやわな奴じゃないと思うがここは棚に上げておく。

「だから俺で我慢しておくれや」

 

 

サーベルで自分の肌を斬りつける。そしてサーベルに血を塗り付ける。

「いつつ…うし。これで5分はもつかな。その間にケリつけっか」

そういい、サーベルの切っ先をクロコダイルに向けて走り出す。

 

「クハハハハ!!そんな儀式まがいの事が俺に通じるとでも」

ドンッ

 

 

 

タックルするようにクロコダイルに刺す。

「がっ」

「儀式?儀式じゃねえっての。さっきルフィが水だったらあんたに触れるって教えてくれたからな。教えてくれた事はいかさねーとな」

「くっ、こざかしい真似を!この俺を…なんだと思ってやがる!!|“砂漠の宝刀”(デザート・スパーダ)!」

クロコダイルの右手が砂の刀と化しこちらへ向かってくる。

 

「ちょっとー。地下ってこと忘れてねー?」

俺も右手に葉で作ったサーベルを持つ。

「目には目を、歯には歯を、刀には刀を、なんちって」

刀を真上から思いっきり振り下ろす。

 

 

キィィィィィィィンッッ

クロコダイルの攻撃と俺の攻撃が合わさって行き場のなくなった力は火花を散らして消え去った。

「そういや、ルフィはどうした?」

先ほど立っていた場所から双方とも一歩も動かない。

「麦わらか?干涸びて死んださ。今度こそな」

ニヤリと悪そうな笑みを浮かべて言う。

 

「そうか。…それ確かめたか?」

「あ?」

「死んだかどうか確かめたか?」

「ああ、無惨に干涸びた様を見届けてやったさ」

にやにやしながらこちらを見ている。

 

 

 

 

「そうか」

ヤマトもにんまり笑ってクロコダイルを見る。

 

 

 

 

「でもな」

 

 

 

 

 

「ぅぉぉぉぉぉぉ」

遠くからうなり声のような物が聞こえてくる。

 

 

 

「俺には船長がそんなに簡単にくたばれるとは思えないんだが」

 

 

 

「ぉぉぉぉぉぉおおおお!クロコダイルーーーー!!!!!」

叫びながらルフィが部屋に入ってくる。

 

「そら来た。くたばってねーだろ。ルフィは半不死身だかんな。下手したらルフィは墓からでも這い出てくるかんな。きっと」

 

「おお!ヤマト!また会ったな!」

こちらに気がついて声をあげる。

「そうだな。俺は二人を連れてずらかるぜ、あとは任せる!」

いつから惚けていたコブラ王とミス・オールサンデーを両手に抱えて部屋を飛び出す。

 

後ろからルフィが「おお!」と叫ぶのを聞きながらひたすら廊下を駆け抜ける。そのまんま下ってきた階段を上る。その途中でミス・オールサンデーが我にかえって俺に話しかける。

「離して!あそこに何もなかったのであれば私はもう生きる目的がないわ!」

「生きる目的?そんなの『生きる事』でいいじゃねぇか。それにあの石他のとこにもあるかもしんねーぞ?」

知らん顔して言う俺にミス・オールサンデーは何を言ってもどうせ降ろしてもらえないとわかったのか静かになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、コブラ王が寄ってほしいと言った宮殿に行き、コブラ王を降ろす。ここでこれからの事を考えるそうだ。確かに反乱軍は一時的に止まってるだけで解決した訳ではない。

そしてそのあと俺はアルバーナの入り口までミス・オールサンデーを連れて行き、オオオニバスの葉を出す。これなら3mはあるから楽に行けるだろう。それに縁が10cmくらい反り返っていて盆形になっているから安心だ。

「うい。乗る」

「え?」

「乗ーる!」

言ってもぼーっとしてるミス・オールサンデーを抱えて葉の上に乗せる。

「!何をするの、」

「これに乗ってたらメリー号に着くと思うからゆっくりしてていいから。んじゃ」

ミス・オールサンデーが言ってる途中を遮って葉を発進させる。

 

きっと数時間後には着くだろう。別に頑張れば30分くらいに着かせる事もできるのだがミス・オールサンデーが酔うだろう。

 

 

 

「よし。それじゃ俺もビビ達を手伝うかな」

懐中時計を取り出して時間を見る。

4:18。

砲撃まで後12分だ。

それまでになんとかして砲撃場所を見つけねーとな。

 

俺はまた先ほどの宮殿前広場に向かった。

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にじファンからの転載です。
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