外史を行く喧嘩師 八幕
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俺達侵入部隊は火を点けた後城壁の上に集まり、俺の鎖を使って砦を脱出した。

 

俺達が脱出し終える頃には曹操の軍なども、殲滅戦に参戦し、黄巾党はただ敗北を待つしかなかった。

そして、黄巾党は壊滅。ここで黄巾の乱は終息した。

 

そして俺達は「黄巾党本隊討伐の一番の功労者は董卓軍。」という名声を、

死者600名、負傷者800名という、最低限の被害で勝ち取る事が出来た。

 

そして今俺達は朝日を望みながら、自分達の陣を目指していた。

 

「ふあ〜ぁ、眠ぃ。徹夜なんてするもんじゃねぇな。」

 

「隊長は早寝早起きを心掛けて、毎日寝るの早いっすもんね〜」

 

「なんでお前がそんな事知ってんだ。」

 

「そりゃ私は隊長を影から守る護衛ですからね〜

 寝台から湯浴みまでいつでも傍にいてお守りしてるんすよ〜」

 

こいつ、そんな事していてくれてたのか。

 

「そうなのか、ありがとな。お前の御陰でいつもぐっすり眠れてるよ。」

 

そう言って笑顔で暗の頭を撫でる。

 

「う。か、からかおうと思ったら空振ったっす//」

 

そんな事をしてるうちに陣に着いた。

 

そこでは小恋と霞、華雄が出迎えてくれた。

 

「隊長、お疲れ様です。ご無事で何よりです。

 

「ご苦労さんやったな狼鬼。狼鬼やったら、成功させるって、信じとったで。」

 

「流石は詠の見込んだ軍師というわけか。あそこまで上手くいくとは思っても居なかったぞ。」

 

「俺の力だけじゃねぇよ、皆の御陰だ。ありがとよ。」

 

俺一人じゃ何も出来ないからな。

 

「ほな、狼鬼達の無事も確認したことやし、ウチらは休むとしますかい。

 もうウチクタクタや〜」

 

「そうだな。昨日から動きっぱなしだしな。お前達も休んだらどうだ?」

 

「そうさせてもらうよ。」

 

「ほな、またな〜」

 

そう言って自分の天幕に向かう二人。

 

「んじゃ、寝るか〜もう眠くて死にそうだ・・・」

 

バタッ

 

「ちょっと、隊長!大丈夫ですか!」

 

「すぅ〜。すぅ〜。すぅ〜・・・」

 

「寝ただけっすか〜。全く、驚かせますね〜」

 

「よかった〜。暗、隊長天幕まで運ぶよ。」

 

「はいは〜い。」

 

・・・

 

「ふぅ〜。やっと着いた。。暗、隊長寝かせて私達も休みましょう。」

 

「よいしょっと、ってうわっ!」

 

「きゃっ!」

 

今どういう状況かというと、狼鬼を寝台に卸そうとした暗の足にたまたま、

狼鬼の鎖が絡まり転んでしまい、それにつられて小恋も転倒。

肩を貸すような状態から狼鬼が二人を抱きながら寝ている状態に。

 

「ええと、どうしよう暗///」

 

「あはは〜これはどうしようもないと思うっすよ〜。

 抜け出すためには隊長起こさないとっすから///」

 

「じゃあ、隊長が起きるまでこのまま・・・///」

 

「まぁ甘んじて寝るしかないっすね。愛しの隊長様の腕枕なんて

 そうそう味わえないっすよ、小恋。」

 

「愛しのって//そういう暗はどうなの?」

 

「そりゃ勿論。上司として尊敬してますし、男としても好きっすよ。だからこの状況は

 ある意味役得っすね〜」

 

「そう、なら。このままでいいかな・・・」

 

「んじゃ私は寝るっす。」

 

「私も寝る。おやすみなさい。」

 

「おやすみ〜」

 

そうして、見る人が見ればそういう事があったと見えなくもない状態で、

三人は眠りについた。

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次の日

 

どうしてこうなった・・・

 

朝起きたら正しく両手に花な状態なんだが、俺は昨日なにをしていたんだ?

 

「ん、う〜ん?あっ・・・」

 

「おはよ、小恋。」

 

取り敢えず朝の挨拶。

 

「ええと、えと。お早うございます・・・あの、ごめんなさい。」

 

え、なんで?

 

「えっと、昨日隊長が天幕の外で寝てしまって、私と暗で運んで来たんですが。

 誤って転んでしまって、こういう状態になってしまって。それでそのまま・・・」

 

成程。俺を起こさないようにそのままでいたってことか。

 

「ワリィ。迷惑掛けたな。それに嫌じゃなかったか?」

 

「いえそんな!えっと、えと、暖かったですし・・・」

 

「そうか。なら、よかったんだが。」

 

頭を撫でてやると、気持ちよさそうな顔になる。

 

「さて、名残惜しいがそろそろ起きるか。おい暗、起きろ。」

 

そうして、ちょっとだけ甘い朝は過ぎていった。

 

そして、朝飯を食って茶を啜りながらのんびりしたりする事一刻。

 

「隊長。この軍の代表者に会いたいと言っているものが。」

 

この軍の代表って俺じゃん。

 

「なんて奴だ?」

 

「曹孟徳と名乗っておりますが。」

 

曹操か・・・会っておいても損はねぇか。

 

「よし、ここに通せ。」

 

「はっ!」

 

さてと、用心に越した事はねぇな。

 

「暗。」

 

「はいは〜い、りょうか〜い。」

 

そう言って消える暗。

 

「小恋はここに居てくれ。」

 

「了解です。」

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そして、数分待ち、天幕に入ってきたのは。

 

金髪をドリルの様な髪型にしたかなりの覇気を纏った少女と、

赤いチャイナ服を着ているアホ毛が目立つ女性と、

その女性と対照的な蒼のチャイナ服を着た、クールビューティーな女性の三人だった。

 

「貴方が董卓軍の代表かしら?」

 

「そういうのは自分の名を言ってから言うもんだろ。

 聞きたきゃ自分から名乗れ。」

 

と、皮肉っぽく言うと。

 

「貴様!華琳様になんて口の聴き方を!」

 

アホ毛が一瞬で大剣を抜き切り掛かろうとした、が。

 

「はいは〜い。そこまでだよお姉さん。それ以上行くと、命無いっすよ〜」

 

暗がアホ毛の喉元に苦無を当てながら言い、残りの二人にも暗直属の部下達が十字弓を向ける。

 

「春蘭、止めなさい。私達三人とも死ぬわよ。」

 

「すみません、華琳様・・・」

 

そう言って渋々大剣をしまうアホ毛。

 

「部下が失礼したわ。私は曹操、字は孟徳。

 こっちが夏侯惇、夏侯淵よ。」

 

「・・・暗、下がらせろ。」

 

「りょうか〜い。」

 

そして、部下たちは消えるように下がっていった。

 

「俺の名前は姓が神崎、名が狼鬼だ。字は無い。こっちが徐栄、こいつが李カクだ。」

 

二人共軽く礼をする。

 

「それで、こんな所に何の用だ?」

 

「昨夜の策を考えた者の顔が見たくてね。誰が考えたのかしら?」

 

「俺が考えたんだが。」

 

そう言うと、三人の顔は驚きに変わった。

 

「貴方が考えたと言うの?男である貴方が?」

 

「男を馬鹿にしすぎじゃねぇか?男でも才を持った奴はいるぜ。」

 

この世界は女尊男卑が普通で、才能を持って産まれるのも、女の方が多いらしい。

 

「そうね。少しは認識を改めた方がよさそうね。

 貴方、私の元に来ない?今以上の待遇は保証するわよ。」

 

「馬鹿言うな。俺の主は一人だけだよ。」

 

「貴様!華琳様の誘いを断r「春蘭!止めなさい!」う〜う。」

 

「それは残念ね・・・なら昨日の策について聞かせて貰えないかしら?」

 

まぁ、別に大丈夫か。

 

「簡単だよ。囮として砦の前に軍を展開し、囮に目がいってる隙に砦に侵入。囮の部隊は

 一当てしてすぐに撤退。

 四つの内の三つの門と、砦の内部に火を点ける。そして、賊の逃げ道を一つにし、

 混乱させた所で、砦から出てきた所を叩く。こんな感じだが。」

 

「そう。やるわね、貴方。」

 

「そうだな。あの混戦の中、わざわざ砦に入っていって女の子三人も助ける曹操に

 言ってもらえると、自信が出るな。」

 

この情報は確かだ。曹操軍に忍び混んでいる隠密からの情報だ。

曹操軍は少数部隊で砦の内部に入り、女の子を三人助けた。

その名は。

 

「何て言ったっけか〜たしか張三姉妹だったか?」

 

俺がそう言うと曹操の顔は険しくなる。

 

「・・・何が望みかしら?」

 

「別に何もねぇよ。俺が言ってるのはただの女の子の話だぜ。」

 

何もねぇよ、ただの警告だ。

 

「そう。この借りはいつか返すわ。」

 

「気が向いたらでいいぜ。」

 

「・・・少しいいか?」

 

今まで黙っていた夏侯淵が口を開く

 

「先程の兵が持っていたあの弓、あれは貴殿が考えた物か?」

 

「ああ、十字弓の事か。たしかに俺の考えた物だぜ。」

 

「見たことも無い形をしていたが、あれはなんだ?」

 

「あれは通常よりも太い矢を放つ為に開発したもんだ。詳しくは教えられねぇが。

 そういや、夏侯淵は弓使いだったな。」

 

「ああ。少し、気になってな。」

 

分かる。分かるぜ夏侯淵。相手が見たことも無い技とか武器使ってると気になっちまうもんな!

 

「貴方は、いえ、董卓は何が為に戦うの?」

 

「月・・・董卓は、民と、自分を支えてくれる者の平和の為に戦っている。

 この、この腐った時代に生まれちまった奴等の、平和の為にな。

 自分を遮る奴等をねじ伏せてでも、実現させようとしてる、自慢の主だよ。」

 

「そう、分かったわ。貴方の事は董卓を倒していただくとしましょう。

 華雄も張遼もね。」

 

倒して頂くか・・・見た目は少女でも覇王か、そうこなくっちゃな。

 

「俺達は手強いぜ。」

 

「強敵を倒してこそ我が覇道は輝くのよ。

 長居をしすぎたようね。そろそろ帰るわ。また会いましょう。

 行くわよ。」

 

「「御意。」」

 

そして、曹操達は帰っていった。

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「はぁ〜疲れた〜。あのチビ。なんつー覇気だ・・・普通にしてるだけ疲れたぜ。」

 

「私もです。」

 

「それよりも私に対して大剣のお姉さんが殺気をずっとぶつけてたっすよ〜」

 

もう疲れた、働きたくない。

 

「気分転換に外でも歩いてくるか。お前らはどうする?」

 

「お供いたします。」

 

「私も行くっすよ〜」

 

そんな感じで外に出ると、俺達の陣の前で誰かが揉めていた。

 

「あの、ですから私達の方が早かったんです!」

 

「ちょっと、どう考えても私たちの方が早かったわよね、冥琳?」

 

「勝手にやってくれ・・・」

 

なんだ、あいつ等?

 

「ちょっとそこのあんた。私達の方が早かったよね?」

 

「違います。私達の方が早かったんです。」

 

「えっと、その。」

 

あの兵可愛そ〜ああいうのに絡まれるとか・・・

 

「おい、どうした?」

 

「あ、神崎様。こちらの方々が神崎様にお会いしたいと言っていたのですが、

 どちらも一緒に申し込んだものでして、どちらが先に、と言い合いになっていて。」

 

はぁ〜気分転換に外に出れば揉め事かよ、勘弁してくれ。

 

「貴方がこの軍の代表?結構いい男ね。」

 

なんか言ってるけど、まぁいいか。

 

「どちらも俺に用があるんだろ?両方の話聞くから、こっちに来い。」

 

そう言ってまた天幕に戻る。

 

「んで、お前等誰よ?」

 

「私の名前は孫策、字は伯符よ。よろしくね。」

 

「周瑜、字は公謹だ。」

 

成程。こいつらがあの断金か。

 

「私は劉備、字は玄徳って言います。」

 

「関羽だ。字は雲長。」

 

「諸葛亮、字は孔明でしゅ。噛んじゃった・・・」

 

おいゴラちょっと待てや。

関羽は分かる。なんで孔明居るんだよ。チート過ぎんだろ。

三献の礼とか絶対に無かったろ。歴史好きに謝れ。

 

「俺は神崎狼鬼。姓が神崎で、名が狼鬼だ。字は無い。んで、なんの用だ?」

 

あれ、デジャブった。

 

「今回の手柄持っていかれちゃったから、これからの為にも仲良くしとこうかな〜って。」

 

「成程。んで、そっちは?」

 

「私がお願いしたのです。一度会ってみたいと。」

 

孔明か、周瑜も頭良いな。その思考の百分の一でもウチの猪に分けて欲しいぜ。

 

 

「へっくしっ!!」

 

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「んで、会った感想は?」

 

「貴方に会っただけじゃ図りきれないな。董卓に実際に会ってみないことには。」

 

「私も同意見でしゅ。」

 

・・・こいつ本当に孔明か?

 

「あの、董卓さんは何の為に戦っているんですか?」

 

またかよ。メンドクセ〜な〜

 

「董卓は、民と自分を支えてくれる奴の平和の為に戦ってるよ。」

 

「なら、私と似ていますね。」

 

そういや、劉備って仁徳の劉備とか言われてたっけ。なら、近しいものかもしれないが。

 

「私達とも似てるわね。私は呉の民が平和ならそれに越した事はないわ。」

 

「劉備のはどんなんだ?」

 

「私は、大陸の皆が笑って暮らせる世の中にする事です。人と人は話し合えば解り合える。

 だから、誰も争わない、大陸の皆が笑顔で暮らせる世の中にしたいんです。」

 

「・・・すまない、孫策。俺の耳おかしくなったのか?」

 

「大丈夫よ。私にもそう聞こえた。」

 

こんな奴が劉備か・・・

 

「どういう意味だ。」

 

関羽が明らかな警戒の色を出しながら言う。

 

「言ってる事とやってる事が違うっと思っただけだよ。劉備よ、テメェ今まで殺してきた賊の

 事考えた事あるか?

 あいつらは、食うもんも無く税が高すぎて働いても金が手に入らなくて仕方なく賊になった奴

 も居るんだ。

 そんな奴等は、お前の言う大陸の皆には入れねぇのかよ、入れてはもらえねぇのかよ。」

 

「それは・・・」

 

「人と人が話し合えば解り合えるなら、そいつらと話し合えば良かったじゃねぇか。

 私が大陸平和にするんで待ってて下さいって。

 お前は話し合ったか?」

 

「いいえ・・・」

 

こいつは、この程度か。

 

「そんな夢物語みてぇな理想を俺等の主の理想と一緒にすんじゃねぇ。」

 

「・・・」

 

黙りか。まだまだ強かさが足りねぇな。

 

「悪いが帰ってくれ。孫策もすまないが・・・」

 

「気にしないで。少なくとも私達は似ているって事が分かったし。

 今後は仲良くしましょうね。」

 

「ああ。客人がお帰りだ、案内しろ。」

 

「はっ!」

 

そう言って帰ろうとする一行。

 

「孔明。お前は理解していただろう。なぜあいつの元に行ったんだ?」

 

孔明程の智者。あいつの言葉の矛盾位気づいたろうに。

 

「理解しているからこそ、支えたいんです。無理だと分かっていても桃華様なら、実現出来る気が

 するんです。ほんの僅かな可能性に掛けてみたいんです。

 雛里ちゃんも。」

 

「そうか。なら何も言わねぇ。その信念貫いてみろよ。」

 

「有難うございます。でわ。」

 

そして、孔明は帰って行った。

 

「あいつらが、劉備、孫策、曹操か・・・

 孫策は何とかやっていけそうだな。曹操は倒す以外に道なし。

 劉備は、この時代を生きていけるか微妙だな。」

 

そんな事を思案しながら、日は傾いていった。

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あとがき

 

こんばんは荒紅です。

 

今回は董卓軍以外の人達との絡みでした。

桃華は嫌いなキャラ一位なんで少し扱いひどくしましたが、今後成長していくんで・・・

 

では、次回は狼鬼さん単独の拠点です。

ちょっとパワーアップさせます。

 

それではご感想などコメしてもらえるとありがたいです。

 

んじゃ

説明
原作組と絡みます。

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コメント
デーモン赤ペン:桃華はこれから成長してくので、楽しみにしていてください。(荒紅)
SAZUKI様:そういえば、容姿について触れてなかったですね・・・次の投稿に載せます。(荒紅)
一緒に寝るシーンが来るまで、暗を男だと思っていた自分を許してください。   今後の展開楽しみにしてます。(SAZUKI)
やっぱり桃の字にはこういう役回りが回りますか。ですが甘いのは確かなんですよねー。狼鬼はその点しっかりして味方になる人間を選べていますね。今後も更新待ってます(デーモン赤ペン)
アルヤ様:ありがとうございます。魏ルート程のアンチにはならないので、暖かい目で見てやってください(荒紅)
全体に性→姓ですね。やっぱ蜀√意外だとアンチになるなぁ。(アルヤ)
イマ様:ありがとうございます。ご期待に添える様な作品にしていくので、今後ともよろしくです。(荒紅)
この後の勢力図としてはどんな感じになるのか、今からわくわくしてます。(イマ)
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真・恋姫†無双 狼鬼 小恋  桃華 華琳 雪蓮 喧嘩師 

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