IS学園にもう一人男を追加した 〜 61話 A
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投稿者SIDE

【海上】

 

 

簪 「お、お姉ちゃん・・・」

楯 「下がってて、簪ちゃん」

簪 「う、うん」

 

楯無の言葉に従い、近くの小島に着地し、安全圏へ。

 

楯 「じゃあ、自己紹介といこうかしら・・・私は更識楯無。IS学園の生徒会長よ。あなたは?」

W 「・・・なま、え・・・ない。けど・・・『W』、って・・・よばれ、てる」

楯 「なら、貴方の事は『W』って、呼べばいいのかしら?」

 

すると、『W』は首を"フルフル"と振って・・・

 

W 「駄目・・・その、なまえ・・・きらい」

楯 「ふぅん・・・亡国機業(そっち)はなんか、色々とあるのね」

W 「・・・?」

楯 「じゃあ、さっそく・・・始めましょうかっ」

 

蛇腹剣『ラスティーネイル』を振り下ろし、伸びた刃が『W』を襲う。

 

W 「・・・」

楯 「え・・・?」

 

だが、『W』は避ける事無く、蛇腹剣をモロに喰らう。

楯無もその事に疑問と驚きを隠せずにいたが、油断は出来ず、徹底的に『W』を斬り続ける。

 

楯 「はぁあっ!」

W 「っ・・・」

 

渾身の一撃が入り、『W』は海に叩きつけられ、海底へと沈んでいった。

 

楯 「・・・ふぅ」

 

"あれだけ痛めつければSEも残ってないだろう"と、実感する楯無は蛇腹剣を収納。

 

W 「・・・」

楯 「っ・・・あらら、まだやるの?」

 

海からゆっくりと出てきた『W』のIS『海神(わだつみ)』は未だに健在・・・いや、無傷に近い。

 

楯 「なら、もっとっ!」

 

蛇腹剣を再度、展開した楯無はさっきと同じく、『W』を斬りつけ、『W』はまたもや やられ放題。

 

簪 「・・・」

 

その様子を、簪は小島で監視、もとい『海神』を解析中。

 

簪 (おかしい・・・あんなに、SEの回復スピードが早い装備なんて、どこの国にもない、はず・・・)

W 『水素・・・を、あつかえ、る・・・っぽい』

簪 「・・・」

 

『W』が教えてくれた言葉を良く思い返し、2人の戦闘を監視。

 

簪 (そういえば、さっきからかなり低空で戦闘してるよね・・・海面ギリギリで・・・あっ!)

 

良く見ると、『海神』がいた海面が一瞬、凹む。

それも、楯無の攻撃が当たった時に、スラスターの風圧ではなく、まるで"海が消える"ように。

 

簪 「お姉ちゃん! その人に"ただの攻撃"は意味ない!」

 

叫けぶ簪。

楯無は『W』から、気をそらす事は出来ないため、耳だけを傾ける。

 

簪 「その人のISは、"水素を原動力"にして動いてる!」

楯 「つまり、何? このISは、海水を分解して"水素を取り入れてる"って事?・・・それって、すごく反則じゃない?」

W 「・・・? だった、ら・・・やめる」

楯・簪 「は?」

 

『W』の意味不明な発言に、更識姉妹は あんぐり。

 

W 「その、かわ、り・・・本気、だ、す・・・」

楯 「こっからが、本当の勝負って訳ね」

 

2機のナノマシンが海を揺るがす。

楯無は蛇腹剣から、ランス『蒼流旋(そうりゅうせん)』に持ち替えて、海水を操り、ランスに螺旋状に纏わす。

 

W 「・・・」

楯 「・・・っ」

 

『W』がこちらの動きを伺っているのを感じた楯無がランスの先を前面に出して突撃。

 

W 「・・・」

楯 「また、同じ事をするの?」

 

動かない『W』に楯無は突撃スピードを落とさずに尋ねる。

すると、『W』は片手をかざして・・・

 

W 「言った、はず。"本気、だす"・・・って」

 

ランスが『W』の手の平に触れると、ランスに纏っていた海水が"分解"され、ランス自体を握られる。

 

楯 「っ!? くっ!」

 

楯無も負けじとランスに備えられた"四門ガトリング"で、ランス自体が回転・・・しない。

 

[ググッ、グググッ!]

W 「・・・」

 

『海神』の握力がランスの回転を力任せに止めて、ガトリングが放てない。

 

楯 「馬鹿力にも、程があるでしょ・・・」

W 「・・・っ!」

 

冷や汗をかいて苦笑いを浮かべる楯無に、『W』の回し蹴り。

 

[バキィンッ!!]

楯 「がっ!!」

 

強烈な蹴りが『ミステリアス・レイディ』の"装甲を砕き"、楯無はその衝撃で体制を崩し、『W』の追撃のかかと落としがで楯無は海に落とされる。

 

W 「・・・」

 

『W』が楯無が落ちた海を覗く様に、下を向いていると・・・

 

W 「・・・?」

 

"ザッパーンッ!"と、龍の形をした海水が『W』を飲み込む。

 

楯 「悪いわね・・・私も手段を選べないから」

 

そこに、さらに3体の龍が『W』に集まる。

ちなみに、『海神』と違い『ミステリアス・レイディ』は、水そのものを操る事ができるので、硬さも圧力も操作が出来るため、『W』を水圧で一発KOを狙ったのだが・・・

 

W 「・・・」

 

海水が弾け飛び、楯無が操っていた海水が強制的に分解された。

 

楯 「あ〜あ、やっぱ駄目かぁ・・・やっぱ、"アレ"で」

 

楯無は右手に海水の塊を一点に集中。

 

楯 「ここで、力を発揮できるのは、私も一緒なのよ」

 

『ミストルテインの槍』は、防御に回していた装甲表面のアクア・ナノマシンを一点に集中させ、強力な攻撃力を持つ技で、逆に自らも大怪我をする諸刃の剣。

だが、装甲表面から集めなくとも、無限にある海水で代用すれば、怪我はおろか、さらに強力な攻撃を放つ事ができる。

しかも、何回も・・・

 

楯 「はぁあああっ!!」

W 「・・・ふぅ」

 

放たれた"大技"。

だけども、『W』はマイペースにその"大技"すらも、無力化してしまう。

 

楯 「まだ!」

 

『ミストルテインの槍』すらも、無力化されることを予想をしていた楯無は、蛇腹剣を『海神』の装甲に突き刺す。

 

W 「っ!」

楯 「やっと、見れた・・・あなたの"驚いた態度"」

 

勝ち誇ったように笑い、蛇腹剣を引き抜いて距離を取る楯無。

だが、この勝負の結果はもう見えている事は、楯無は気づいているため、半分 この勝負を諦めていた。

 

W 「・・・・・・かえ、る」

楯 「あら? このままいけば、あなたの勝ちは確実なのに」

W 「かつ、の・・・目的、じゃ・・・ない。それに・・・かって、も・・・ほこ、れない」

楯 「・・・」

W 「じゃ・・・」

 

仲間の元へ飛んでいく『W』を、黙って見つめる楯無。

すると、簪が楯無に近寄る。

 

簪 「どうして、見逃したの?」

楯 「相性が悪すぎたのよ・・・いくら、強力な攻撃をしても、頑丈な水のヴェールを張っても、全部、無力化にされちゃったら、意味がないもの」

 

"やれやれ"と、砕かれた装甲を見ながら、ため息を吐く楯無であった・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

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【市街地】

 

 

ダ 「ったく、生徒会長さんからの急な呼び出しだと思ったら・・・」

セ 「うっ・・・」

ダ 「あれだけ鍛えてやったのに、すでにボロボロとは・・・」

 

"やれやれ"と、首を左右に振る。

セシリアも言い返すことが出来ず、どもってしまう。

 

マ 「・・・っ」

 

後ろから銃剣で仕掛けるマドカ。

だが、その銃剣は、ダリルのISの周りを浮遊している『片思い』によって、受け止められる。

 

マ 「チッ・・・」

 

距離を取ったマドカは、『スターブレイカー』での射撃行動に。

だが、その実弾もレーザーも、すべて弾かれ、反射される。

 

ダ 「あ〜、1つ忠告しとくけどさぁ・・・」

 

ダルそうに振り向いたダリルは、マドカと目を合わせ・・・

 

ダ 「私を、セシリアと一緒と思っていると・・・痛い目、見るぞ。クソが」

マ [ビリビリッ]

 

ダリルの殺気が、マドカの身を震わす。

 

ダ 「それに、すでに私の勝ちは決まったぞ」

マ 「何・・・?」

ダ 「周りを見てみろよ」

 

マドカがバッと、周囲を確認すると、マドカを中心として3色種類の『片思い』が合計11機が配置されていた。

 

マ 「これが、何だと?」

ダ 「慌てんなよ・・・すぐに分かる」

 

そう言って、ダリルの周辺に1機だけ残った黄色の『片思い』

その『片思い』には、セシリアを庇った時に防いだ『スターブレイカー』のレーザーが球体に留まっていた。

 

ダ 「発射・・・」

 

ビュンッ!と、球体に留められていたレーザーがマドカの方に。

 

マ 「そんな、見え透いた攻撃など」

 

マドカが無駄な動きなく、レーザーを避ける。

 

ダ 「おいおい、避けて良いのか?」

マ 「?・・・っ!」

 

ダリルの言った意味を理解できていないマドカの背後から、避けたはずのレーザーが襲う。

 

マ 「・・・そういう事か」

 

ダリルの方に残っていた『片思い』も、マドカの周辺に配置されている『片思い』と合流し、レーザーを反射させて、マドカを四方八方から襲う。

 

マ 「こんな物で、私を倒せると・・・舐められたものだな」

 

シールドビットでレーザーを防ぎ、反射させる事なく、レーザーを掻き消す。

 

ダ 「それぐらいで、終わりだと思ってるのか?・・・舐められたもんだな」

マ 「私の言った事を、真似するなっ!!」

 

キレたマドカがダリルに銃剣を構えて、突っ込むのだが、『片思い』がマドカの周囲を高速で回転し始め、包囲網から抜け出せない。

 

マ 「くっ・・・このっ!」

 

銃剣で高速で動く『片思い』を捉え、突き刺そうにも、当たるには当たるのだが、ビームは弾かれ、破壊することができない。

 

マ 「なら、コイツを爆破させて!」

 

シールドビット『エネルギー・アンブレラ』の高性能爆薬による自爆機能を作動させようと・・・

 

マ 「・・・何故・・・何故、反応しない」

ダ 「ぷっ・・・」

マ 「貴様・・・何をしたっ!?」

 

マドカが怒号の声を上げる間に、使用不能になったシールドビットは爆発する事無く、『片思い』によってスクラップに。

 

ダ 「ただ、ジャミングを張っただけだ。かっかするなよ」

 

言葉の最後にアクビをかいたダリル。

その様子を見たマドカは、さらに怒りのボルテージが上がるわけなのだが、『片思い』の包囲網からは出られない。

 

ダ 「会長からは、捕獲しろとは言われていたんだが・・・お仲間が来たみたいだぞ」

W 「・・・っ」

マ 「ぁ・・・」

 

『W』が力任せに高速に動く『片思い』を鷲掴みし、マドカを引きずり出す。

 

W 「かえ、る・・・よ」

マ 「だ、だが・・・分かった・・・」

 

相手が悪いと分かっているマドカは、『W』の指示に従うしかなく、『W』はマドカの手を引いて飛び去っていく。

 

ダ 「・・・」

セ 「何故、見逃すのですか?」

ダ 「いや・・・『W(アイツ)』さ、海の方から来たよな?」

セ 「え、ええ。そうですわね・・・」

ダ 「実はさ、海の方には、"我らが生徒会長様"が向かったんだが・・・」

セ 「それって・・・つまり」

ダ 「・・・まぁ、大丈夫だろ」

 

開き直ったダリルは、セシリアに手を差し出す。

 

ダ 「手、貸すぞ」

セ 「自分で立てますわよ・・・ふふふっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【キャノンボール・ファスト 会場】

 

 

鈴 「な、何なのよ・・・一体・・・」

 

爆煙を突き破るほどの光が打鉄(うちがね)を包み込み、光が神々しく会場の全体を照らしている。

 

R 「・・・は、ははっ、ははははっ!」

 

さっきまで、自分を本音と(胸を)比べて怒っていた『R』が、片手で顔を隠して笑う。

 

鈴 「何、笑ってるのよっ!?」

 

距離があるので、大声で『R』に尋ねる鈴。

 

R 「はははっ・・・やっと、マジモンの『進化』が見れる」

鈴 「え!? 聞こえないっ!」

R 「く、くくっ! はははははっ!」

 

一度、堪えた笑いを抑えきれず、また『R』は笑い始める。

 

鈴 「・・・頭、おかしくなったんじゃないの・・・?」

 

 

本音SIDE

 

 

本 「ん〜・・・ここ、どこ〜?」

 

気づけば、そこは真っ白な世界。

いくら、歩き続けても、白、白、白。

 

本 「・・・・・・・・・ん?」

 

しばらく、歩き続けていると、地面に転がっている石を発見。

それを、拾い上げると・・・

 

? 『あなたが、"器"?』

本 「え?」

 

その瞬間、私の意識が途切れた。

 

 

投稿者SIDE

 

 

[フシュー・・・]

 

会場を照らしていた光が収まり、中から姿を現す"白銀の鎧"

 

本 「・・・」

R 「ん?」

 

先までとは、本音の雰囲気が違う。

 

本 『攻撃対象を確認・・・"白鬣犬(ハイエナ)"、戦闘を開始します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【雲の上空】

 

 

B 「はっはーっ! どうしたどうしたっ!?」

獅 「っ・・・」

 

血が震え上がった『B』の喧嘩。

武器は一切使わず、己の体のみで獅苑を追い詰めているのだが、獅苑も負けじと対艦刀で防ぎながら、相手の隙を伺っている。

 

B 「おいおい、そんな事をしたって、時間を食うだけだ。てめぇも、死ぬ気で来いよ!」

獅 「・・・それを決めるのは、俺だ」

B 「言ったな? だったら、死んでも文句を言うなよ!」

獅 「ぐっ!」

 

"磁場"を纏わした拳が獅苑の腹部にめり込み、絶対防御を通り越して、獅苑の身にダメージが入り、獅苑は一時距離を取る。

 

獅 「・・・ぺっ」

 

口から血を吐き捨て、対艦刀を構える。

 

B 「はぁ・・・つかさ、お前は"楽しくない"のか?」

獅 「?」

B 「ったく、俺だけが楽しくても、つまんないじゃないか・・・本当に、"お前はお前"なのか?」

獅 「俺は俺・・・お前は、俺の何を知ってる?」

B 「知ってるぞ。お前自身の知らない事だってな・・・」

 

"クククッ"と、笑う『B』は、自分が被っているバイザーを外す。

 

獅 「っ!」

B 「おぉ、驚いてるなぁ・・・どうする? 説明はいるか?」

獅 「・・・・・・・・・・・・別に」

B 「[ガクッ]・・・いらないのかよ」

 

バイザーを被り直す『B』。

 

獅 「俺が"誰"だろうが、関係ない。俺は俺・・・」

B 「まっ、スッキリした考えだな・・・それよりさ、本当に"楽しくない"? 俺とやり合って」

獅 「・・・手加減されてる相手に、燃える訳ない」

B 「・・・」

 

『B』は獅苑が自分の力をセーブしていた事に気づいていて、一瞬驚くが、すぐに笑みを零した。

 

B 「何だ、気づいてたか・・・」

獅 「当たり前。そんな奴に、"楽しい?"とは、聞かれたくない」

B 「あ〜、悪い・・・んじゃまぁ、また本気で」

 

『B』はダーツを投げるように構え、空気のダーツを持つ手の手首をくいっと曲げる。

 

[ビュンッ!]

 

空気を切り裂く音と共に、絶対防御を通り越して、獅苑の頬をかすめる。

 

獅 「・・・」

 

獅苑は頬から流れる血を指ですくい、その血を見つめて、口元が少し緩む。

 

B 「挨拶代わりだ・・・遅い挨拶だけど」

獅 「・・・なら、俺も」

 

獅苑は対艦刀を一本を片手に投擲。

『B』は横に移動して、横から対艦刀を掴み取り、獅苑に投げ返そうと・・・

 

B 「あれ?」

 

そこに、獅苑の姿はなく、『雷神』にはハイパーセンサー機能はついてないため、肉眼で辺りを見渡すが、やっぱりいない。

 

B 「っ」

獅 「っ!?」

 

もう一本の対艦刀で斬りかかろうとした刃を、『B』は片手で掴み取り、持っていた対艦刀で『死戔』の装甲に突き刺した。

 

獅 「くっ」

B 「はーい、逃がさんぞ〜」

 

肩と腕を掴んだ『雷神』の手の平から、磁場がキャノンのように撃ち出され、獅苑は衝撃で吹っ飛び、追い討ちをかけるようにして、『B』の磁場で固められた玉が直撃し、煙が立ち込める。

 

獅 「・・・アフタリミジン ランカン」

 

"バンッ!"と、立ち込めていた煙が赤い閃光が吹き飛ばし、姿を露になる獅子。

 

[ビュンッ!]

B 「はやっ!?」

獅・コ 「『花天月地』」

 

驚いた『B』の頭上に細切れの荷電粒子砲が放たれる。

 

B 「おっとっと・・・少し、喰らっちまったな」

獅 「・・・っ!」

 

またもや、目に止まらないスピードで、『B』に接近。

だけども、今度は完全に『B』に見切られ、両肩を掴み取られてしまった。

 

B 「速く動けんのは、お前のISだけじゃない、ぞっ」

 

ゴチンッ!と、頭突きをかました『B』は、距離を取り、腕を横に振るう。

すると、衝撃砲ではないが、見えない扇状の攻撃が死戔の装甲を傷つけ、まだ放たれる"見えない攻撃"を獅苑は避けるのだが・・・

 

B 「後ろ、取ったり〜!」

獅 「ぐっ!?」

 

後ろから、首根っこを掴まれ、蹴りなどでボコ殴り。

 

獅 「っ・・・舐めんなっ」

B 「おっと、あぶね・・・」

 

頭部と尾部分の対艦刀を上手く使って、『B』を引き離し、すぐに距離を縮め、Bブレイクで『雷神』に切りかかる。

だが、磁場を纏わせた手にいなされ、カウンターのパンチを腹部にもらう。

 

獅 「チッ・・・」

B 「おいおい、待てよ!」

 

雲の上で超音速飛行でぶつかりあうをする2人。

だが、勝利の風は『B』の方に吹いていた。

 

獅 「っ・・・時間切れ、か」

B 「終わりだっ!!」

 

通常状態に戻った『死戔』の黒翼を引きちぎられて、手に集めた"磁場の塊"を獅苑に叩きつけた。

獅苑は、地上へと勢い良く落ちていき、もう人も住んでない廃墟地帯に落ちる。

 

B(ス 「さぁて、次はどうやって 『悪いけど、お楽しみはそこまでよ』・・・おい、俺が何で『亡国機業』に協力してるか、知らない訳じゃないだろ」

ス 『"強い奴と戦いたいから"でしょ・・・でも、"時間は守って"って、私は言ったわよ』

B 「・・・はぁ、分かったよ。んじゃな、"それなりに"楽しかったぜ」

 

獅苑を見下ろして、飛びだって行く『B』。

 

獅 「・・・"それなりに"、か・・・」

 

"自分はそれどころじゃなかった"と、相手の技量の差を思い知る獅苑。

 

マ 『1つだけ、忠告してやる。"人形"が人の心を持つという事は、それだけ本来の力を発揮できない』

獅 「・・・人形、ね・・・馬鹿らしい」

 

ムクッと、クレーターの中心で起き上がる。

 

獅 「コウ、他の奴らは?」

コ 『状況は分からないけど、とりあえず無事みたい・・・でも』

獅 「でも?」

 

エネルギー限界の『死戔』を解除して、コウが待機状態のチェーンから出てくる。

 

コ 『会場の方でさ、変な反応があるんだ。『打鉄』の識別番号なんだけど・・・まったく、別のものがいるみたいで』

獅 「ほかに、そこに誰かいるか?」

コ 『あの、小柄な女子だけど・・・連絡取ってみる? 通信も回復したから』

獅 「おねがい・・・っと」

 

フラフラしながらも、鈴との通信を・・・

 

獅 「あ、鈴か?」

鈴 『"あ、鈴か?"じゃないわよっ!! 今、アンタどこにいんのよーっ!!』

 

キーンッ! と、鼓膜が震え、獅苑は何が何だか分からず、鈴に尋ね・・・

 

鈴 『こっちはもう滅茶苦茶! アンタの"彼女さん"が、敵味方構わず攻撃して来てんのよ!!』

獅 「は? 本音が?」

コ 『・・・あ、分かった!!』

 

"まさか"と、思っていると、コウが会話中に話に割り込んでくる。

 

鈴 『そこに誰かいんの!? まさか、こんな時に浮気して [ブツッ!]』

獅 「で、何が分かったんだ?」

コ 『この機体の反応が"僕"に似てるんだよ! もしかしたら・・・』

獅 「コアが命を? 誰がそんな事を・・・あっ」

 

クラス代表決定戦で、『打鉄』に乗った事を思い出す獅苑だったが、"たかが一回だけで"と呟くと・・・

 

コ 『ISコアの奥深くはブラックボックスで僕にだってよく分からないんだから、何が起こっても不思議じゃない! それに、"僕"みたいな人格をみんなが持つ訳じゃないから・・・」

獅 「・・・」

コ 『コア自体が・・・操縦者を操る場合も・・・』

獅 「っ!!」

 

コウの最後の言葉を聞いて、『死戔』をすぐさま展開し、会場へと飛び立つ。

 

コ(獅 『『死戔』はもう限界で 「うるせぇ、黙ってろっ!」・・・ご、ごめん・・・』

獅 「あっ・・・くそったれ」

 

コウに怒鳴った事を後悔しつつ、獅苑は会場に急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

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【キャノンボール・ファスト 会場】

 

 

本 『IS学園教員、生徒の撃退を確認。しかし、最初に捉えた敵機は健在』

R(ス 「もう、戦い辛い相手 『『R』、退却よ』・・・で、でも」

ス 『そっちの状況は知ってるわ。データは取れたんでしょ。これ以上、その場に居ると厄介になるわ』

R 「了解・・・」

 

名残惜しそうに、『白鬣犬』を見つめて、会場を飛び出す。

 

本 『対象の離脱を確認。そして、会場に高速で近づく機体を確認。そちらの撃退を最優先とし、肉眼で確認出来たら、行動を開始します』

獅 「本音っ!!」

本 『敵機確認。攻撃を開始します』

獅 「っ!?」

 

獅苑が驚いた時には、飛んできた"ISブレード"が死戔の装甲を貫通して獅苑の脇腹に突き刺さった。

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インフィニット・ストラトス 朝霧獅苑 のほほんさん 

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