ある外史のメイジ2  ― 七縱七禽 ―
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「おや、山火事ですか。これはまずいですね」

密林を行くこと1ヶ月。あるものを求めて南蛮までやってきた俺だが、

キナ臭い匂いで目が覚めて、泊っていた洞窟から出ると炎と煙の壁が北のほうから迫ってくる。

このまま、焼きメイジになるつもりもないので消火のための呪文を詠唱する。

呪文は瀑布(ウォーター・フォール)。

精神力を余分に費やし範囲を拡大、周辺一帯に豪雨同然の水を振り撒き炎を鎮圧する。

「これでよし。しかし、今日はもう精神力切れです。この洞窟でもう一泊ですね」

倦怠感で重い足を引きずって洞窟の中に引き返そうとする。

「待つニャ! あの炎を消した雨を降らせたのはお前かニャ?」

その俺の背中に女の子の声がかけられる。

「はぁ。仰るとおりあの『雨』を降らせたのは私です。

 私は五斗米道の医師、華佗の助手で道士の『陳簡』と申しますが、貴女様は?」

振り向いて、現在使っている姓と字を名乗り相手を観察する。

まだ少女といえる年代で猫耳・猫尻尾のその筋の人向けの容貌をしているが、

一方でかなり武に秀でている様に見える。

「む、名乗られたら答えないわけにはいかないのニャ。 美以は南蛮大王、孟獲ニャ!」

ああ、そういえば恋姫ではタムタムの妹みたいなのだったかな。

 

孟獲と出会ったおかげで、目的のモノを予想より早く手に入れた俺は、

拠点に戻ると、作業にかかり、2年をかけてソレの実を成らす事に成功する。

その黄色い皮を剥き白い果肉を口へと運ぶ。

「うん、これです。これこそ私が求めていた味です」

俺は収穫したばかりの果実を満足げに頬張る。

「珍しいものを食べているわね。この時代、中原でバナナなんて」

「ん? あなたも食べますか、貂蝉」

いつの間にか背後に立っていた漢女に振り向きつつ一本渡す。

「あら、ありがと」

「普通に食べて下さいよ?」

しばし二人で完熟採りたてバナナを味わった後、貂蝉が口を開く。

「熱病の研究と称して南蛮に行って、美以ちゃんと取引してるのは知っていたけれど、

 何でバナナなの? それもガラス温室まで建てて」

土系統は苦手ですがガラスの錬金がんばりました。

「前世からの未練ですよ。 

 ハルケギニアと違って手が届くとなると、我慢できませんでして。

 ところで、御用向きは何でしょう。 

 バナナを食べにきた訳ではないでしょう?」 

「貴方が、この外史に与える影響がいささか大きいのよ」

首を振りながら咎めるように言う貂蝉。

「引退した身で勢力滅亡後、たつきの術として美羽と七乃に養蜂を手がけさせたのがまずかったですか?

 それとも、系統魔法で病人を癒すのが引っかかるのでしょうか」

「別にそれぐらい構わないわ」 

「では一体、何が問題なのです?」

首を傾げながら尋ねる俺。

「バナナの苗を手に入れるのに、美以ちゃんと取引するのはいいわ。

 でも、南蛮攻めの蜀軍の火計を豪雨同然の瀑布(ウォーター・フォール)で潰すのは困りものね。

 朱里ちゃんと焔耶ちゃんが逆に捕まってたわよ」

……あの火事は孔明の火計だったのか。

一寸した行いが事態に大きな影響を与えてしまうものだなぁ。カオスカオスストレンジアトラクター。

「何の事かわかりませんなー。薊(けい)の辺りで蝶々でも羽ばたいたのではありませんかー」

棒読み口調で現実逃避する俺に貂蝉は追い討ちをかけてくる。

「貴方がそう言うならそれでもいいけど、桃花ちゃんの配下に収まった美以ちゃんが、

『豪雨で火計から救ってくれた道士』の事を、嬉しそうに朱里ちゃんに話してたわねぇ」

アーアーキコエナーイ。

 

「のう七乃。陳簡の奴は何をしておるのじゃ。

 耳を塞いで、光の消えた単色の瞳で明後日のほう見ておるが」

「何でしょうねぇ。でも何となく、私達が孫策に追い詰められた時を思い出しますねぇ」

今日のところは漢中は平和だった。

 

 

 (^.^ξξ*゚∇゚)ξξ   ⌒゚( ´∀`)゚⌒  (∩゚д゚)

 

説明
外史に来ても国取りには関わりません。
私は一介のメイジに過ぎませんから。

……だから、こっち見んな。
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コメント
大変面白かったです。この世界だと錬金の魔法はチートですね。相手の武器に錬金を掛けてナマクラにしたり出来そう…。(トッシー)
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恋姫†無双 ゼロの使い魔 バナナ 

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