英雄伝説〜光と闇の軌跡〜  160
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〜グランセル城・地下宝物庫〜

 

そしてヨシュアは宝物庫にある王家の紋章が彫ってある大きな扉の周辺を念入りに調べ、結果を全員に言った。

「間違いありません……。つい最近、ここを頻繁に出入りしたような跡があります。」

「……それだけじゃないわ。かなり重量のある物が運び込まれたような跡もある。」

シェラザードは扉の下にある痕跡を見て推測した。

「おそらく、予備の鍵を使って中で何かをしていたのでしょう。調べてみる必要がありそうですね。」

女王が懐から鍵を出し、扉を開き全員がその先に行くと大型のエレベーターが建造されていた。

「こ、こんな場所にエレベーターが……。こんな物、無かったはずなのに!」

ユリアは予想外の場所にエレベーターがあったことに驚愕した。

「わざわざ大佐が建造させたということか……。とすると、このエレベーターで『輝く環』が封じられた場所に降りることができるわけですな。」

「ええ……。ひょっとしたら、これこそが今回のクーデターを起こした真の目的だったのかもしれません。王城を占領でもしない限り、こんなものを造るのは不可能ですから。」

ジンの言葉に女王は頷きクーデターの原因を推測した。

「ま、まさかそんな……」

エステルはそれを聞いて信じられないような顔をした。

「ふむ、ありうるかもしれない。どこの国でもそうだが、王権が守る聖域とは不可侵のものだ。それを破るとなれば、よほど思い切った強行手段に出る必要があるだろうね。」

オリビエは納得した表情で頷いた。

 

「いずれにせよ、これを使って地下に降りる必要がありますね。まずは動かしてみましょう………っ!!!」

エレベータ―を動かそうと操作していたヨシュアだったが、ある事に気付き手を止めた。その様子を見て、エステルは怪訝そうな顔で尋ねた。

「どうしたの、ヨシュア?」

「これは……導力的な方法でロックされている。特殊な結晶回路(クオーツ)を組み込んだ鍵を使わないと動かせないみたいだ。」

「あ、あんですって〜!?」

「そんな〜!」

ヨシュアの言葉にエステルとミントは大きな声をあげた。

「そんな、ここまで来て……」

クロ―ゼはどうすればいいかわからず悲痛な顔をした。

「……………今までの戦いで気絶させた特務兵達を使えばいいのではなくて?」

「……確かに………!今すぐ、拘束してある特務兵を締め上げて聞いてやります!どこかに鍵があるかもしれません!」

「ええ……そうした方がよさそうですね。」

ファーミシルスの考えにユリアは頷き、女王も頷いたのを見て早速行動をしようとしたところ、聞き覚えのある声がエステル達の後ろから聞こえて姿を現した。

「いや、それには及びませんぞ。」

声に気付き、全員が振り返るとなんと逃亡中のラッセル博士がいた。

 

「え……!」

「あ………!」

「まさか……!」

エステルとミント、ヨシュアは驚き

「まあ……ラッセル博士!?」

女王も博士の姿を見て驚いた。

「アリシア様。ご無沙汰しておりましたな。エステルとヨシュア、ミントも元気そうで何よりじゃ。」

エステル達に近付いた博士は再会の言葉をかけた。

「ちょ、ちょっと……。なんで博士がここにいるのよ!」

「ツァイスで、情報部に追われていたんじゃ……」

「ねえねえ!博士がここにいるって事はもしかして……!」

博士を見たエステルやヨシュアは驚き、ミントは博士と一緒にいるであろう人物の事を尋ねかけた所を

「お、おじいちゃあ〜ん。どこに行っちゃったのぉ!?」

「こら、チョロチョロと動き回ってるんじゃねえよ。爺さんもそうだが、落ち着きのない一家だな。」

「だ、だってアガットさん……。あ……!」

ティータとアガット騒ぎながらが姿を現した。

「ティータ!?」

「ティータちゃん!」

エステルとミントはティータの無事な姿を見て声を合わせて喜びの声をあげ

「やっぱり……」

ヨシュアは納得していた。

「エステルお姉ちゃん!それにヨシュアお兄ちゃんにミントちゃんも!」

ティータはエステルとミントにしがみついてきた。

「わわ、ティータ……」

「動きにくいよ〜、ティータちゃん。」

しがみつかれた2人は驚いたが、ティータとの再会を喜んでいた。

「よ、よかったぁ。また会うことができて〜。ギルドで聞いたらお姉ちゃんたちがお城で戦っているって聞いて。うう、無事で良かったよう〜!」

「ティータ…………」

「あれ?ミントちゃん。ツーヤちゃんは?」

ツーヤがいない事に気付いたティータはミントに尋ねた。

「ツーヤちゃんはちょっと別行動、プリネさん達といるんだ!」

「そうなんだ…………」

ミントの説明を聞いたティータは少し残念そうな表情をした。

 

「ありがとう……。心配してくれたみたいだね。アガットさんも……よくご無事でしたね。どうして王都にいるんですか?」

ヨシュアはなぜアガットが王都にいるかを聞いた。

「いや、ひょんなところで王都行きの貨物船を見つけてな。灯台下暗しを狙って来てみたら騒ぎが起こってるじゃねえか。で、エルナンに事情を聞いてわざわざ来てみたってまけだ。おっと、ヤツからの預り物もあるぜ。」

そしてアガットはエステル達にそれぞれ報酬を渡した。

「い、いいのかな……。ちゃんと報告してないのに。」

エステルは依頼終了の報告をしていないことを思い出し、本当に報酬を受け取っていいのか悩んだ。

「親衛隊の伝令から大体の事は聞いたみたいだぜ。しかし、こんな所でガン首揃えてどうしたんだよ?てっきり残りの特務兵どもをブチのめせるかと思ってきたんだが。ん、あんたは……」

「お久しぶりです、アガットさん。灯台ではありがとうございました。」

「たしか、クローゼと言ったな?どうして、あんたみたいな学生がこんな場所にいやがるんだ?」

アガットはクロ―ゼに気付き、自分が認識しているクロ―ゼはただの学園の生徒だったのでなぜ、一介の学生が城にいるのか疑問に思った。

「どうやら、孫娘がお世話になったようですね。わたくしからもお礼を言わせてください。」

「ああ、気にすんなって。単なる仕事のついでだからな。ところで婆さんはこの城の関係者か何かかい?」

女王にお礼を言われたアガットは女王の正体がわからなかったのでいつもの口調で返した。そしてそれを聞いたユリアが怒りの表情でアガットを咎めた。

「ぶ、無礼者!この方をどなたと心得る!我がリベール国主たるアリシア女王陛下であるぞ!」

「へっ……。そ、そういえばどっかで見たような気が……」

ユリアに女王の正体を知らされたアガットは驚いて女王を見た。

「やれやれ。相変わらず未熟者じゃのう。」

「んだとう!」

博士に呆れられたアガットは思わずつっかかた。

 

一方女王の正体を知ったティータは驚いた後、クロ―ゼを見た。

「じょ、女王さま!?そ、それじゃあ……こっちのお姉ちゃんは……」

「女王陛下の孫娘のクローディア姫殿下だよ。僕たちはクローゼって呼んでるけどね。」

そしてヨシュアがティータにクロ―ゼの正体を明かし、エステルがクロ―ゼにティータを紹介した。

「クローゼ。この子が博士の孫のティータよ。あたしたちの妹同然の子でミントとツーヤの友達。」

「そうですか……。初めまして、ティータちゃん。私のことはクローゼって呼んでくれると嬉しいです。」

「は、はいぃ……。ク、クローゼさん……」

ティータは緊張しながらも笑顔で答えた。

「あらやだ。この子、なんか可愛いわねぇ。あたしはシェラザード。エステルとヨシュアの先輩よ。シェラって呼んでちょうだい♪」

「は、はい、シェラさん……」

「それじゃあボクは『オリビエおにいちゃん』って……」

「あんたはやめい、あんたは。」

シェラザードに続くようにオリビエはどさくさに紛れてティータに変な呼び方をさせようとした所、エステルに白い目で睨まれ止められた。

「それはともかく……。そのエレベーターが動かなくて困っておるようじゃな。いったいどういう事情なのかね?」

「実は……」

エステル達はリシャールの目的、エレベーターの行き先を博士達に説明した。

「おいおい、マジかよ……。シャレになってねえぞ。」

アガットはエレベータ―を睨み呟き

「そんなものがこの下に埋まってるなんて……」

ティータは信じられないような表情をした。

「ふむ……やはりわしが恐れていた通りじゃったか。このエレベーターを使えばその場所に降りられるようじゃな?………どれ、見てみるか。」

博士はエレベーターの操作パネルを操作しある事に気付いた。

「これはわしが開発したカードキーを応用したものじゃな。同一の結晶回路を持つカードを差し込まないとロックは解除されん。じゃが、この手の初期型にはプロテクトが実装されておらん。こうして、導力圧を調整して回路に負荷を流し込めば……」

博士が小型の装置を出し、それを使ってパネルをさらに操作するとエレベーターの電源が入った。

「やった、さすが博士!」

「……お見それしました。」

エステルとヨシュアはエレベーターが動くことに喜んだ。

「へ〜……さすがね。」

「……さすがは”導力革命の父”と評されているだけはありますね。」

カーリアンやファーミシルスも博士の手腕に感心した。

 

「おや?カーリアン殿に大将軍殿ではありませんか!どうしてこちらに……!」

カーリアンとファーミシルスを見た博士は驚いた。

「今は私達の事は気にしないで優先すべき事をした方がいいでしょ?」

「そうですね……。それではさっそく地下に降りてみるとしましょうか。」

女王もエステル達に続くようにエレベーターに乗ろうとした時

「た、大変です!王都の大門に正規軍の一個師団が到着!情報部の士官によって率いられている模様です!」

「なに、もう来たのか!?」

「さらに湖上から3隻の軍用警備艇が接近中!い、いかがいたしましょうか!?」

「ええい、この大変な時に!」

一人の親衛隊員が知らせを持ってきて、その知らせを聞いたユリアは情報部の予想以上の動きの早さに驚き、どうするか悩んだ。

「……どうやら、わたくしが説得に出た方がよさそうですね。」

その知らせを聞いた女王は静かに進み出た。

「お、お祖母さま……!?」

それを聞いたクロ―ゼは心配そうな表情をした。

「屋上のテラスに出て到着した部隊に声をかけます。ユリア中尉、用意してください。」

「で、ですが……万が一攻撃されてしまったら!」

「わたくしは彼らを信じます。誤解があったとはいえ、彼らもリベールの民……。わたくしの姿を見て、声を聞いてなぜ攻撃することがありましょう。」

「陛下………」

ユリアは女王の決意を覆すのは無理だと思いまた女王らしいと思い、反対するのを諦めた。

「…………僭越ながら私もご同行させて頂いてもよろしいでしょうか?」

そこにファーミシルスが女王達の同行を申し出た。

「ファーミ?」

ファーミシルスの急な申し出にカーリアンは驚いた。

 

「情報部将校がいる以上、万が一という可能性がゼロではないでしょう?私達メンフィルとしても色々と便宜を図って下さったアリシア女王に何の恩返しもしない訳にも行きませんので。……心配しなくとも、攻撃を仕掛けるまでは私は陰で見守らせて頂きますわ。」

「大将軍…………ありがとうございます。よろしくお願いします。」

ファーミシルスの申し出を女王は感謝して受け取った。そして女王はエステル達を見た。

「エステルさん、皆さん……。こんな事を頼むのは非常に心苦しいのですが……」

「女王様……。それ以上は仰らないでください。リシャール大佐の野望はあたしたちが食い止めます!」

「どうかお任せください。」

女王の言葉の続きがわかっていたエステルとヨシュアは女王の依頼を快く受け、女王とユリアが先にテラスに行き、ファーミシルスも続こうとしたその時

「エステル〜!」

「こちらにいらっしゃいましたか………!チキさん、こちらですよ!」

「はい………」

なんとリスティ、ティア、そして一人の商人に見える服装の少女がエステル達に近付いて来た。

「リスティ!それにティアさんも!どうしてここに!?」

リスティとティアを見たエステルは驚いて尋ねた。エステルの疑問にリスティ達に代わってファーミシルスが溜息を吐きながら答えた。

「………どうしても貴女を手伝いたいと言うから、連れて来たのよ。リスティはともかく、なぜティア様まで………」

「すみません、ファーミシルス様。メンフィル皇女として私の出来る事で、リベールに運びうる闇を祓うお手伝いをさせて頂きたかったので………ファーミシルス様のお手を煩わせてしまい、申し訳ありません。」

呆れている様子のファーミシルスにティアは申し訳なさそうな表情で謝った。

「………私の事はお気になさらず。多くの部下達の命を救った戦友の娘であり、陛下の娘でもある貴女の頼みは無下にできませんわ。」

謝るティアにファーミシルスは軽く会釈をした。

「リスティはどうしてここに来たの?」

「エステル達が自分達の国のために戦っているってご主人様が言っていたので、ご主人様の許可を貰ってお手伝いをするために来ました〜」

「へ!?まさか、2人とも戦う気なの!?」

ティアとリスティの話を聞いたエステルは驚いた。

 

「はい〜。戦うのはあんまり好きじゃないですけど、エステルのために頑張ります〜。」

「………私は戦う事はできませんが、傷ついたみなさんを癒す事はできますので、衛生兵としてお使い下さい。」

「リスティ、ティアさん………ありがとう!」

2人の心強い言葉を聞いたエステルは感謝した。

「………チキ。例の物を渡して。」

「はい。」

そこにファーミシルスに言われた少女――チキがエステル達の前に出た。

「え〜と、貴女は?」

チキと初対面なエステルは尋ねた。

「ラギール商会、ミルス店の店長、チキ・インディスと申します。………エステル・ブライト様とヨシュア・ブライト様はお二人でよろしいでしょうか?」

チキはエステルとヨシュアを見て、尋ねた。

「う、うん。」

「そうだけど、どうして商人の君がここに………?」

初対面であるチキが自分達の名前や顔を知っている事にエステルは驚き、ヨシュアは尋ねた。

「ご主人様からお二人の情報を頂いているので…………どうぞ。こちらをお受け取り下さい。」

そしてチキは背負っていた荷物から真新しい棒と双剣を出して、エステルには棒、ヨシュアには双剣を渡した。

「へ!?これって棒!!」

「そっちの棒もそうだけど、この双剣もかなりの業物だね………どうして僕達に?」

渡されたエステルは驚き、ヨシュアは尋ねた。

「……その武器は本来、貴女達が正遊撃士になった際、リフィア様が祝いの代わりに贈る予定だった武器よ。貴女達の現状を考えたリフィア様が急遽、それらをできるだけ早く貴女達に渡すようにおっしゃったので渡しに来たのよ。」

「リフィアが………じゃあ、あの時プリネとリフィア達が『例の物を渡す時間を早めてくれ』っていう話って……!」

「これらを僕達に届けるために、わざわざ王都に来られたのですか!?」

ファーミシルスの説明を聞いたエステルとヨシュアは驚いた。

 

「………あくまでそれはついでよ。チキ、説明を。」

尋ねられたファーミシルスは答えた後、チキに武器の説明を促した。

「はい。………その棒の名は『エレメンタルロッド』。高級木枝や六属性の魔法石に加え………希少価値が高い魔法鋼――リエン石が素材として使われている棒です。攻撃力はもちろんの事………六属性の魔法石が使われているお陰で………火炎、冷却、電撃、地、神聖、暗黒の魔力を通しやすい上、威力を倍増してくれる性質を………持っています。」

「……わっ、凄い!今まで使っていた棒より軽いし、魔力を凄く通しやすいわ!しかも、今までとは比べ物にならないくらいの強い雷が宿っているし!これなら前から考えていた戦技(クラフト)に魔術の力を加えた技ができそうだわ!」

チキの説明を聞いたエステルは渡された棒を何度か素振りし、また棒に魔力を通して驚いた。そしてチキは説明を続けた。

「双剣の名は『双月刀・『隠・忍』』。『月隠刀』を双剣化して………『忍刀ナクア』が合成してある逸品です。そちらの棒と同じように………リエン石やよほどの戦士でしか手に入らない『石地龍の牙』が使われているので………攻撃力はもちろんの事、『忍刀ナクア』が合成されているので………その効果で所有者の回避や身体能力を上げる効果を持っています。……他には『忍刀ナクア』に秘められていた……魔術効果のお陰で……攻撃した相手を……たまにですが……一撃で戦闘不能まで……陥らせる事も……できる上……『月隠刀』に込められている魔術効果の……お陰で……所有者の……体力や……傷を……時間と共に……回復して……くれます。」

「………!さっきから身体が以前より軽く感じたのはこの双剣の効果だったのか…………それにさっきの戦闘で負った傷が、どんどんなくなっていってる……!」

チキの説明を聞いたヨシュアは双剣を渡されてから感じてた違和感の正体がわかり、驚いて双剣を見た。

「い、いいのかな?こんな凄い武器をただでもらって…………」

説明を聞き終えたエステルは渡された棒を見て、恐る恐る言った。

「………さっきも言ったけどそれは本来、リフィア様が貴女達に渡す予定だった祝い品よ。気にする必要はないわ。」

「エステル………リフィアのせっかくの好意だし、ここは受けておこう。じゃないと、リフィアに失礼だよ。」

「…………そうね!」

ファーミシルスとヨシュアに言われたエステルは納得した。

「それじゃあ、私はアリシア女王を追うわ。………クロ―ディア姫達の足を引っ張って、リウイ様に恥を欠かさないでよ、カーリアン。」

「うっさいわね!余計なお世話よ!」

「フン。」

そしてファーミシルスは女王達を追って行った。

(なんかあの2人って仲が悪いのかな………?)

(………僕は、あの2人はお互い強い対抗意識を持っている事を感じているよ。)

2人のやり取りを見たエステルとヨシュアは小声でファーミシルスとカーリアンの関係を相談していた。

 

「まさかティア様まで力を貸して下さるなんて………!本当にありがとうございます!」

一方クロ―ゼはティアに頭を下げてお礼を言っていた。

「フフ、私が出来るのはみなさんの傷や魔力を治癒する事ぐらいですよ。」

「それでもありがたいです。魔力に関しては回復装置ではどうにもなりませんし。」

上品に笑いながら謙遜しているティアにシェラザードはお礼を言った。

「フフ、こんな所でまた貴女にお会いする事ができるとは夢にも思わなかったよ。どうやら僕達は必ず出会う運命なようだね、プリンセスシスター?」

「あ、あの〜……申し訳ないのですが、できれば手を放して欲しいのですが………」

そこにオリビエがちゃっかりティアの手を握って、ナンパを始めた。手を握られたティアは戸惑った後、苦笑しながらやんわりと手を放すように言った。

「はっ!」

「せいっ!」

そしてオリビエの行動を見て、エステルとシェラザードがそれぞれ武器でオリビエを吹っ飛ばした!

「あ〜れ〜!………はうっ!?」

エステルとシェラザードに攻撃されて吹っ飛ばされたオリビエはわざとらしい悲鳴を上げて、壁にぶつかって呻いた。

「このスチャラカ演奏家が〜!この人はあんたごときがナンパしていい人じゃないわよ!!」

「どうやらお仕置きが足りなかったようね…………」

「あ、あの2人とも?なんか、武器に雷がともっていません?」

エステルとシェラザードに睨まれたオリビエは2人の武器に雷が宿っている事に気付いて、恐る恐る言った。

「いや〜、こんなにも早く、貰ったばかりの武器の性能を試すいい機会が訪れるとはね♪」

「先ほど出来た鞭に魔術の力を加えさせる技、感覚をもう少し掴んでおきたい気分だったのよね〜♪」

2人は口は笑っていたが目は笑っていなく、武器を構えていた。

「ふ、2人とも落ち着いて下さい!」

エステル達の様子を見たティアは慌ててエステル達に駆け寄って仲裁を始めた。

 

「ハァ………全く何をしているんですか………」

「ハッハッハ!聖女に声をかけるとか、あの兄ちゃん、とんでもない度胸をしているな!」

「ア、アハハ……」

エステル達を見て、ヨシュアは呆れ、ジンは豪快に笑い、クロ―ゼは何も言えず苦笑していた。

「聖女……だと?おい、ヨシュア。それは本当なのか?」

一方ティアの正体がわからなかったアガットは驚き、ヨシュアに尋ねた。

「はい。彼女がイーリュン教の”癒しの聖女”です。……本人は”聖女”と呼ばれるより、名前で呼ばれる方がいいらしいですけど。」

「ほう〜。あれが噂の”癒しの聖女”か。随分若いの〜。まあ、見た所人間ではなく”闇夜の眷属”だから、あの外見で何年生きているのかの?」

博士は感心した声を出して、仲裁しているティアを見ていた。

「……………………………」

一方ヨシュアの説明を聞いたアガットは厳しい目つきで仲裁しているティアを見ていた。

「ア、アガットさん?どうしたんですか?なんか、怖い目つきをしていますけど………」

「ティータちゃんの言う通りだよ。ティアさん、凄く優しい人なのに、どうして睨むの??」

アガットの様子に気付いたティータとミントは尋ねた。

「うるせえ。目つきは生まれつきだ。別に睨んでもいねえよ。」

2人の声に気付いたアガットは気を取り直して、なんでもない風に装った。

 

「まさか、あなた達もここに来るとはね、リスティ、チキ。」

一方カーリアンはリスティやチキに話しかけた。

「お久しぶり……です………」

「エステルとは友達ですから〜。友達が困っていたら助けるのが当然じゃないですか〜。」

「そう。……フフ、まさかリスティやマーリオンがあの娘と友達になった事がきっかけで、こんな事になるとはねぇ………本当、あの娘には驚かされるわ。チキはリウイに頼まれたのかしら?」

リスティの答えを聞いたカーリアンは笑みを浮かべた後、チキに尋ねた。

「ご主人様から頼まれた事も……ありますが……クオーツやオーブメント、七曜石(セプチウム)を独自で……手に入れる……チャンスでも……ありました……ので………」

「そういえば、オーブメントに関する物って向こうの世界じゃ希少だから、まだ市井には出廻っていなかったわね……」

チキの答えを聞いたカーリアンは自分達の世界でのオーブメント技術の希少性を思い出した。

 

その後ティア、リスティ、チキを加えたエステル達は博士のお陰で動けるようになったエレベーターを使って、地下に降りた…………

 

 

 

 

説明
第160話
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