デジモンクロスウォーズ 絆の将と魔道の戦士
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光の中に飛び込んだタイキは、次の瞬間街のような場所に現れた。しかし街といってもそれは過去の話であり、かなり長い間人の営みが無かったのか、今タイキが立っている道路や周りに建っている建物は、あちこちが欠けたりしてとても人が生活できるような有様では無かった。

「なんだここ?もしかしてサイバーランドに戻ってきちまったのか?」

クロスローダーより出てきたシャウトモンは、開口一発こう叫んだ。

「いや、それはないと思う。元々サイバーランドには誰も居なかったとはいえ、スプラッシュモンが倒された後、少しずつだけど他の国のデジモン達が集まってきていた。そんな中でここまで荒廃する事は有り得ない。」

「それに、サイバーランドにはもっと高い建物が多かったはずだ。」

タイキの説明に、後からクロスローダーから出てきたドルルモンが付け足した。彼にとってサイバーランドは、お守りに苦労したり、敵に捕まったりと、悪い意味で思い出深い場所である。それ故、他より詳しくサイバーランドについて覚えていたのだろう。

「それならタイキ、俺がクロスローダーから出てこの場所について調べてきてもいいが?」

クロスローダーの中から声が響いた。声の主はベルゼブモン。かつてデジタルワールドがゾーンに分かれていた頃は、バアルモンというデジモンとしてバグラ軍に協力するフリーの殺し屋だった。サンドゾーンでの戦いでタイキ達を狙うも、その後元々このゾーンに存在したが、バグラ軍三元士であるリリスモンに滅ぼされた女神の戦士の生き残りである事が判明、リリスモンの放った刺客から捨て身でタイキ達を護ったとき女神に認められ、今の姿であるベルゼブモンとなり、クロスハートに協力するようになったのだ。

「いや、それはやめたほうがいい。」

しかしタイキは、ベルゼブモンの言葉に反対した。

「ここが何処か分からない以上、誰か一人が別行動を取るのは危険だと思うんだ。」

しかし、だからと言ってここで突っ立っていても何も進展しないので、とりあえず人の居る場所を探してそこに行くことにした。

では早速、とタイキが思った瞬間、背後で爆発音が響いた。

これはしめた、と考えたタイキは、すぐさま回れ右をしてその場所へと向かっていった。誰も居ない、何も無いような場所で爆発が起きる事は無い。と思ったからである。

 

 

 

 

「うぅ……どうしよう。」

現場では、一人の少女が壁に背を預け、数十体の機械兵器を相手に向かいあっていた。左手には本のような物を持ち、右手に握った長い杖を前に突き出している。

彼女の名は八神はやて。一仕事を終えて戻る時、偶然目の前の機械兵器ガジェットドローンを見つけ、一般人に危険が無いようにこの場所まで誘導し対処しようとしていたのだが、人の居ない所というのが良くなかったようで、多勢に無勢があいまって現在危機的状態にある。

「この場所じゃ、なのはちゃん達もすぐにはこれないし……」

はやてはこの状況下で、自分の目標を応援すると言ってくれた友人の事を考えていた。苦労に苦労を重ね、ようやく目標を達成できると言うときに、悪くて殉職、良くても大怪我をした私の事がニュースになったら彼女達はどんな反応をするだろう、と。

「ごめんなみんな、後の事はまかせ……」

はやてが覚悟を決めたとき、

「大丈夫か!!」

突然、赤と青のツートンカラーのTシャツと普通の長ズボンを身に付け、頭に青いレンズの入ったゴーグルをつけた少年が現れた。

はやては、突然の乱入者には驚いたが、

「君、ここは危ないよ。」

と、声をかけた。自分の失敗に他人、それも一般人を巻き込んだとあってはかなりの大問題である。

「確かにこの場は危険かもしれない。」

少年は目の前の敵を見据えて、真剣な口調で言った。

「でも、誰かが傷つこうとしているのなら、俺はほっとけない!!」

そして彼は、腰につけていた赤いマイクのような形のデヴァイスを掲げた、実際はクロスローダーなのだが、そんな物の存在を知らない彼女にはこう見えたのだ。

「リロード!!シャウトモン!バリスタモン!ドルルモン!スターモンズ!」

タイキが声の限り叫ぶと、クロスローダーが光だし中から、頭にV字型の角の生えた小竜、青いボディを持つカブトムシ型のロボット、茶色と白の毛並みを持ち頭と尻尾の先にドリルを持った超大型犬、星のような形の生き物とそれにしたがうおにぎり型の銀色のデジモンが現れた。

ガジェットドローンは、突然の新たな敵の登場に驚いたのか、一斉に砲撃を開始した。デジモン達はそれを上手く回避すると、

「いくぜ!!ラウディロッカー!!」

シャウトモンは何処からか取り出したマイク型の棍棒でガジェットを殴り倒し、

「アームバンカー!!」

バリスタモンは自身の太い腕でガジェットを殴り飛ばし、

「ドリルブレーダー!!」

ドルルモンは大きくなった尻尾のドリルに乗っかり、回転しながらガジェットに体当たりし、

「メテオスコール!!」

スターモンの指示を受けたピックモンズが、複数のガジェットに襲い掛かる。これによりあっという間に雑兵は片付き、親玉らしき大き目のガジェットが一体残った。

「アイツが親玉か!ソウルクラッシャー!!」

シャウトモンは、自分の情熱を声に変化させた雄たけびを飛ばし、

「ヘヴィスピーカー!!」

バリスタモンは、腹部のスピーカーから衝撃波を発射し、

「ドリルバスター!!」

ドルルモンは、額についたドリルを打ち出した。

ガジェットに三つの攻撃が当たり、辺りに砂煙が舞った。その砂煙が晴れたとき、ガジェットは健在であった。元から張られているシールドと、何処からか出てきている触手で防いだようだ。

「!どうするんや!!」

後ろのはやては心配そうだが、タイキはまるで動じる事は無い。再びクロスローダーを掲げると、再び声の限り叫んだ。

「シャウトモン、バリスタモン、デジクロス!!」

クロスローダーから発せられた光がシャウトモンとバリスタモンを包み込み、その光が一つになると、頭にシャウトモンの角、腹部にバリスタモンの頭部が付いた機械型デジモンが出てきた。

「シャウトモン×2!!」

シャウトモン×2は元気良く名乗りを上げた。ガジェットは触手を伸ばして掴みかかろうとするも、シャウトモン×2は素早い動きで回避すると、手刀を振り下ろして触手を切断し、バリスタモン単体で放つときよりも威力の上がったアームバンカーで、ガジェットを取り巻くシールドと一緒に光線発射口を潰し。逃がさないようにとガジェットを捕まえた。

「バディブラスター!!」

バリスタモンの頭部から発射する、二人の息がぴったり合って初めて撃つことのできる破壊光線で、ガジェットを粉々に吹き飛ばした。

「やったぜ!一丁あがり!!」

バリスタモンと分離したシャウトモンは、飛び上がって喜んでいる。

すると後ろから、

「なんか良く分からない所も多いけど、助けてくれてありがとうな。」

はやてが声をかけた。もう必要ないと考えたのか、長い杖は光に包まれた途端何処かへ引っ込み、服装も茶色を基調とした制服に変わった。

この一連の流れに、タイキ達が驚いて呆然としていると。

「とりあえず、ここじゃなんだから。うちについて来てくれる?」

とはやてに言われたので、とりあえずついて行ってみる事にした。

 

 

 

 

その後、タイキ達は完成したばかりの、明日ある部隊の隊舎となる巨大な建物に来たタイキは、明日隊長の部屋になるという部屋で、はやてと話をしていた。

タイキはとりあえず、自分の身の上と、どうやってここへ来たのかという事を簡潔に説明した。はやては、タイキが自分と出身世界が同じという事に驚いていたが、その後謎の声に呼ばれてここに来た、と言った時は、

「ようするに、次元漂流者か。」

と、言った。

「すいません、詳しい説明をしてもらえますか?」

タイキは何のことか、ちんぷんかんぷんである。なので、分かりやすく教える事を要求した。

なのではやては、

 

世界というのは、自分達の出身世界一つではなく、様々な文明の発達した世界が数多く存在しており。自分がその世界の治安の管理を行う「管理局」という組織に所属していることと、ここがその次元世界の中心である「ミッドチルダ」と呼ばれる世界である事。

時折、事件や事故で違う世界に飛ばされてしまう人がいて。そういった次元世界での迷子になった人を「次元漂流者」と呼んでいる。

 

といった内容の説明を簡潔に行った。そして、

「とりあえず、タイキ君が元々居た、でじたるわーるど、まで帰る方法はうちらが責任を持って見つける、だから。」

この世界でタイキ達の運命を決める一言を言った。

「それまでの間、うちの部隊、機動六課、で働かない?」

 

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カットマン

「カットマンと。」

 

モニタモン

「モニタモンの。」

 

二人

「デジモン紹介のコーナー!!」

 

カットマン

「さて、本編の開始と同時に始まりましたこのコーナー。ここではこの小説に登場するデジモンを一話につき一体紹介していきます。」

 

モニタモン

「さて、今回紹介するのは、シャウトモンですな。」

 

カットマン

「シャウトモンは小竜型のデジモン。必殺技は情熱の力で生成した火炎弾を投げつけるロックダマシーと、持っているマイクで殴りつけるラウディーロッカー、殺人級の大声を上げるソウルクラッシャー。」

 

モニタモン

「非常に攻撃的な性格ですが、一度仲良くなれば種族を超えて友情を育むことができますな。」

 

カットマン

「そして、ラウディロッカーを使うときに使用するマイクは、マクフィルド社という会社で作った特注品で、シャウトモンは常にこれを持ち歩く修正がある。もし失くした暁には、自分がシャウトモンではない、というショックでショック死するらしい。」

 

モニタモン

「だから、シャウトモンのマイクを取り上げる事だけは絶対にしてはいけないんですな。」

 

二人

「次回もお楽しみに!!」

 

 

次回予告

ついに始動する機動六課。民間協力者として活動に参加する事になったタイキは、管理局のエースオブエースと、彼女の教え子である新人達と出会う。

そして、シャウトモン×4VSシグナム、夢の対決が実現?

 

第二話「機動六課始動、お前の力を見せてみろ」

 

説明
第一話 タイキ異世界に着く
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タグ
魔道 異世界 デジモンクロスウォーズ 

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